二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 遊戯王 七つの輝きと光の守り手
- 日時: 2015/03/20 00:00
- 名前: 緋兎雫 ◆cW98CwF.kQ (ID: 0ZLVN9hQ)
!
リアルの事情でロックします。
追記
いきなりロックしてすみません。オリキャラも募集していたのに、このような形になって頭を下げるしかありません。
リアルで色々あり、現在名前を変えています。
調子がよすぎるとは思いますが、お知らせを。
何やかんや言って、遊戯王からは離れられず、カキコで新しい遊戯王作品を書いています。諸事情でタイトルは書けませんが御興味のある方は、お探し下さい。版は映像版の方です。
最後に小説をご愛読頂いていた皆様、本当にありがとうございました。
- Re: 遊戯王、七つの輝きと光の守り人 ( No.11 )
- 日時: 2014/01/27 22:58
- 名前: 緋兎雫 ◆cW98CwF.kQ (ID: g8YCqQvJ)
「次に俺のターンが来れば、俺の勝ちだ!」
男の言葉で、不安になったらしいルビー・カーバンクルが心配そうに話しかけてくる。
『水葵……策はある?』
正直に言えばない。
メイコウはリリースし、墓地に送ったため使えない。また、平和の使者を破壊できるカードは、現時点で手札にも、フィールドにもない。
「伏せた大嵐は、相手フィールド上にカードが二枚以上ないと発動できないカウンター罠だし」
伏せてある大嵐は、相手フィールド上にカードが二枚以上伏せられていないと使えない。と水葵は勘違いしていた。
「あれ?大嵐って確か……」
ルビー・カーバンクルが言い終える前に、水葵は自身のデッキを信じ、ドローしていた。頼りになるカードは必ずデッキに。それを信じるだけ。
引いたカードを見た水葵の瞳が揺れる。デッキがまた、応えてくれた。これなら、平和の使者を攻略できる。ただ、やり方に自信がない。それは、最近覚えたばかりの『ある召喚方法』。水葵はクラスの木村君に教えてもらった言葉を、この場で一生懸命に復唱する。
「そう確か……チューナーとチューナー以外のモンスターのレベルを合計して、同じにすればいい……のよね」
と呟いて水葵は、次に自分が何をしようとしているのか手を明かしていることに気がつく。
慌てて口を閉じた。
しかし、男の反応は、
「何かのまじないか。どんなに祈っても、状況は変わらんな」
その召喚方法を知らない様子で水葵はほっとする。
なら、と張り切って引いたカードを召喚しようとした時、ルビー・カーバンクルから待って、と声がかかる。
「ルビー・カーバンクル、何の用?」
召喚を邪魔された水葵は、不機嫌な声でルビー・カーバンクルに問う。
『水葵。チューナーってなに?』
水葵は説明するのが面倒なので、質問には答えなかった。
カードホルダーからルビー・カーバンクルを取り出すと、ディスクの空いた部分に置く。ここからなら、ルビー・カーバンクルでも、デュエルが見えるはずだ。
「ルビー・カーバンクル、フィールドはよく見える?」
『う、うん。よく見える』「なら、そこでよく見て。チューナーモンスターを、ね」
今度こそ水葵は、引いたモンスターをフィールドに呼び出す。
「私はチューナーモンスター、ガスタの巫女ウィンダを召喚!」
『ガスタの巫女ウィンダ
☆2、風、サイキック族。ATK1000、DEF400』
フィールドに緑の髪を後ろで一つにした、若い少女が現れる。巫女、と言うが杖を持っているので魔法使いのように見えた。
「また雑魚か」
「あんた、チューナーモンスターを知らないの?」
「そんな雑魚、俺は知らんな」
水葵が率直に尋ねると、男は吐き捨てるように言った。チューナーモンスターを雑魚呼ばわりする辺り、本当にシンクロ召喚を知らないようだ。
ちょっとした優越感を感じながら、水葵は宣言する。
「私はレベル2のガスタの巫女に、レベル4のヒータをチューニング!」
男がたじろぐ。
「な、なんだ!何をするつもりだ!」
ウィンダが二つの光の球へと姿を変え、輝くヒータと交わる時、光が弾け、新しいモンスターが現れる。
それは、水色の身体を持つ龍だった。頭には氷のトゲを思わせる凹凸、閉じれば身体を覆ってしまいそうな翼がある。
「シンクロ召喚!氷結界の龍、ブリューナク!」
『氷結界の龍、ブリューナク。☆6、水、海竜族、シンクロ。ATK2100、DEF1400』
突如現れたブリューナクは、首を持ち上げ天に向かい鳴いた。
逆ギレパンダとは違う、畏怖を感じさせる鳴き声はさすが、龍と言ったところか。
(クラスの木村君がこれを入れたら強くなれる、ってくれたカード。ありがとう、木村君!)
余ったからあげる。
と、くれたデュエル仲間の木村君に礼を心の中で言う。
ブリューナクを前にした男は、たじろいでいた。
「し、シンクロ召喚だと!?な、何だ、この奇妙なモンスターは!」
『す、すごい!こんな召喚は初めて見たよ!』
一方、ルビー・カーバンクルは感嘆の声を上げた。
ふ、と勝利を確信したように笑うと、水葵はブリューナクのモンスター効果を発動する。
「ブリューナクの効果発動!」
ごくん、と男が生唾を飲む。その顔は恐怖からすっかり青ざめていた。
(シンクロ召喚も、ブリューナクも、今の遊戯王では普通なのに)
水葵は、男の反応を不思議に思う。クラスの男子と戦えばシンクロ召喚や、ブリューナクは当たり前のように出てくる。別段、驚くことではないのだが。
「私は、手札を二枚、墓地へ送る。そして、私が墓地に捨てた枚数分、あんたのフィールドのカードは、あんたの手札に戻る!」
「な、なに……」
男の顔から、血の気が失せる。
ブリューナクの効果で、フィールドにセットしたモンスターと、平和の使者、二枚が男の手札に戻った。これで攻撃を制限するカードも、モンスターもいない。——つまり、男のフィールドは、がら空き。
『そうか!永続魔法は、フィールドに存在しなければ意味がない。手札に戻してしまえば、その効果は無効だ!』
ルビー・カーバンクルが、嬉しそうに解説をした。
水葵はブリューナクに攻撃の指示を出す。
「これで決めるわ!ブリューナクで、あんたにダイレクトアタック!」
ブリューナクは軽く空気を吸うと、息と共に冷気を吐き出した。冷気は大量の雪を帯びながら渦巻き、吹雪となって男に吹き付ける。吹雪をくらった男は、呆然と己のD・ディスクを見つめていた。LPを現す数値が0となるのを、真っ青な顔つきで眺めていた。
男
LP650→0
「ば、バカな……この俺が敗北しただと……」
震えた声で呟き、男は足下を見る。
フィールドにある不思議な模様が、ゆっくりと収縮していた。模様は徐々に小さくなり、やがて男の足下まで来ると止まる。
男は意味不明な言葉を叫びながらその場から逃げだそうとするが、見えない壁に阻まれ動けなかった。
来るな、と何度も繰り返しながら後ずさるが勿論進めない。抵抗むなしく、模様が輝き、中から一本の光が伸びる。男は光の柱に飲み込まれた。
〜つづく〜
- Re: 遊戯王、七つの輝きと光の守り人 ( No.13 )
- 日時: 2014/01/27 23:01
- 名前: 緋兎雫 ◆cW98CwF.kQ (ID: I1RbCwCF)
「ああ。デッキ強化をするのか。よかったら、俺も付き合うよ」
木村の提案に、水葵は目を輝かせる。
木村は、水葵のデュエル仲間の内でも、特にデュエルが得意だ。遊戯王の知識の多さは、誰にも負けない。強いモンスターが分からない水葵にとっては、木村の助言は心強い。
「ありがとう!」
※
その後、水葵は木村に教えてもらった強いカードや、自分なりに気に入ったカードを購入した。
今月のお小遣いはそれを買うのに全て使ってしまったが、後悔はない。
木村とは本屋で別れ、水葵は足早に帰宅した。遅い、と小言を言って来る母親を無視して、水葵は二階の自室へと向かう。入ってすぐ右にある、勉強机の脇に鞄をかけた。鞄を開け、カード・ホルダーを取り出し、中からデッキを出し、机の上に置く。
水葵が組んだ、デッキ。お気に入りのカードたち。
何となく一番上のカードを引いてみると、ブリューナクだった。今日のデュエルの決め手となったカード。
「あれは、本当に夢?」
目を閉じれば、今日のデュエルが鮮やかに蘇ってくる。ブリューナクが、ダイレクトアタックをした時の息遣い。吹雪が相手を襲う音。夢とは思えないくらい、リアルだった。
ぼんやりとしながら、ブリューナクを机の上に置き、またデッキのカードをめくる。引いたカードを見て、水葵は我が目を疑う。
そのカードは、デッキに入れた覚えのないものだった。しかし、見覚えはある。——『宝玉獣アメジスト・キャット』のカード。
「夢じゃない!?」
驚きのあまり、思わず椅子から立ち上がる。水葵はアメジスト・キャットをブリューナクの横に並べ、慌てデッキからカードを勢いよく引いて、手のひらを返す。
——カードのイラストには、ルビー・カーバンクルが描かれていた。赤い石、恐らく宝石のルビーを背景に、嬉しそうな顔でこちらを見ている。
あり得ない事態に、水葵はルビー・カーバンクルのカードを持ったまま硬直した。一体、このカードはどこからやって来たのだろう。ルビー・カーバンクルは赤いカードでイラストなどない。アメジスト・キャットは、デッキに入れた覚えがない。
二枚のカードについて考えるが、堂々巡りになり始めた頃、不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、水葵。やっとボクたちに気がついたね」
びっくりして足下を見ると、ルビー・カーバンクルとアメジスト・キャットの二体が水葵を見上げていた。二匹がいるだけでも十分驚くが、水葵はさらに驚愕する。
二匹の身体は、透けていた。カードの配色と同じモンスターが目の前にいるが、触れようとしても触れられない。
彼らの身体の向こうにある、赤い絨毯が見えるのだから、実体がないのは間違いないが。
「な、何か透けてる……?ゆ、幽霊なの?」
びくびくしながら、水葵はルビー・カーバンクルとアメジスト・キャットを見つめる。生まれて十数年、幽霊を初めて見る水葵は、完全にびびっていた。
彼らを睨みはするが、顔は青ざめ、逃げるように一歩後退する。
頭の中では、最近見たホラー映画のワンシーン、幽霊が追いかけてくる場面が再生され、恐怖心が高まる。
それを見たアメジスト・キャットは、くすくすと笑った。
「私たちは何もしないわ」「酷いよ。ボクたちは、何もしてないのに」
不機嫌そうにそっぽを向くルビー・カーバンクル。それを見て、水葵は戸惑う。確かにルビー・カーバンクルもアメジスト・キャットもなにもしていないのは、事実だ。
「えっと……」
言葉に詰まる水葵に、アメジスト・キャットは優しく微笑んだ。
「初めまして。私は、アメジスト・キャットよ」
アメジスト・キャットは、頭を下げる。その背中にルビー・カーバンクルが飛び乗った。
「みんなは、アイシスって呼んでるよ!あ、ちなみにボクはルビーだよ」
「あ、アイシスとルビーね。よろしく」
アメジスト・キャットことアイシスの笑顔を見て、水葵はかなり恐怖心が和らぐ。なんとか、友好的に挨拶はできた。
ただ、遊戯王のモンスターが目の前に現れると言う不可解な出来事への戸惑いは、まだ消えないが。
「ねえ、あなた。名前はなんて言うの?」
アイシスに聞かれた水葵は、緊張しながら名乗る。
「あ、あたしは水葵。宝塚、水葵」
「水葵、私を助けてくれてありがとう」
いきなりアイシスにお礼を言われ、水葵はぽかんとする。
「た、助けた?」
「あなたがデュエルで勝ってくれたから、闇の力から解放されたのよ」
とアイシスがよく分からないことを言って、
「そして、さっきのデュエルによってキミが宝玉獣使いであると認められたんだよ!」
ルビーがアイシスの背中で嬉しそうにジャンプした。二匹の言葉の意味が理解出来ない水葵は、頭を抱えるしかない。
しかし、二匹はさらに話を進めてくる。
「ねえ、お願い、水葵。私たちと一緒に来て。みんなを、私たちの仲間を助けて!」
水葵をしっかりと見据えたアイシスは、必死な形相で訴えてくる。
アイシスが助けを求めることだけはかろうじて分かるが。
行くって、どこに?仲間を助けるって何、と纏まらない思考がさらにぐちゃぐちゃになる。
「ボクからも頼むよ。あのシンクロ召喚なら、きっとエクシーズを使うやつらとも戦えるよ!」
戦う前提となっているルビーの言葉で、水葵はパンクしそうになった。
マシンガンのように話続ける彼らに待って、と水葵は割り込んで無理やり話を止めさせた。
批判的な視線をよこす彼らに、水葵は疲れきった表情を見せる。
「ち、ちょっと待って。精霊とか、闇の力とか、宝玉獣使い、とか助けてと言われても、さっぱりなんだけど……」
その言葉でアイシスとルビーは、しゅんとする。
「ごめんなさい。話が速すぎたわね」
「時間がないから、焦りすぎてたかな」
二匹は互いに見あうと、頷いた。
「分かった。一から順を追って話すわね」
〜つづく〜
以上が前スレからの引き継ぎになります。
- Re: 遊戯王、七つの輝きと光の守り人 ( No.14 )
- 日時: 2014/01/28 00:14
- 名前: ブーーーン (ID: AQILp0xC)
楽しみっす!
- Re: 遊戯王、七つの輝きと光の守り人 ( No.15 )
- 日時: 2014/01/29 00:36
- 名前: 午前の麦茶 ◆s5/dFsxZtI (ID: vX58USPj)
移転お疲れ様です。
雑談板の方で移転したと聞いたので来ました。
次回を楽しみに待ってます。
- Re: 遊戯王、七つの輝きと光の守り人 ( No.16 )
- 日時: 2014/01/31 23:04
- 名前: 緋兎雫 ◆cW98CwF.kQ (ID: cTgMt2qy)
「は?異世界?」
説明をしてくれたのはいいのだが、水葵は二匹を信じることが出来なかった。
アイシスとルビーは、自分たちを異世界から来た生き物だと名乗ったからだ。
「私とルビーは、こことは違う次元にある、別の世界から来たのよ」
水葵は腕を組み、首を傾げる。異世界、と言う言葉は知っている。
この世界とは全く違う世界のこと。ドラゴンや妖精が住む世界、科学が異様に発達した世界など挙げればきりがない。
——ただし、それは小説や漫画の中だけのお話だ。人間の空想が生み出した、現実にはない世界。
ただ、ルビーたちの存在がある以上、それを否定できないのも事実である。
「この世界はね、様々な世界に囲まれているんだ。ボクたちは、そこにある、精霊界と呼ばれる世界で平和に暮らしていた。けど」
ルビーは当時の状況を思い出したのか、俯いたまま、ぽつりぽつりと溢す。
「けど……ある日、変なやつらが攻めこんできて……ボクたちは、敵わなず、ボク以外は捕まえられた」
「仲間を……」
かける言葉が見つからず、水葵は口を閉ざす。
だが、ようやくルビーとアイシスが助けを求めてきた理由が分かった。助けて、と言うのは仲間を取り戻す手伝いをして欲しいと言うことだろう。
「何とか逃げ切ったボクは、宝玉獣の使い手を探すために、次元を越えてきたんだ」
「どうしてあたしの力が必要なの?」
「ボクたち一匹一匹には、大した力はない。その力を引き出すためには、パートナーである人間の力が必要なんだ。それは誰でもいいって訳じゃない。選ばれた人間にしか出来ないんだ」
水葵は、デュエルをした男を思い出す。あの男もデュエルでアイシスの力を引き出していたような気がするが。
「でも、それだと変よ。あの男だって、アイシスを使えてたわ」
「あれは、邪悪な力で無理やり操っているだけ。あれを宝玉獣使いに選ぶほど、あたしたちは物好きじゃないわ」
そしてアイシスは、水葵をしっかりと見据える。
「奪われた仲間たちは、あたしみたいに他のデュエリストが捕えているの。あのデュエリストたちは、宝玉獣の力を欲しているから、また狙いにくる」
ルビーは器用に水葵の身体を登り、肩に座る。
「繰り返すけど、ボクたちは弱い。パートナーなしの宝玉獣なんて、簡単にやられてしまうんだ」
「…………」
二匹のすがる視線から目をそらすように、水葵は俯いた。
ルビーとアイシスに力を貸す、と言うことになればまたデュエルになるだろう。しかし、水葵のデュエルの腕はまだ初心者。今回は簡単に勝てたが、もっと強い相手に会えば勝てる気がしない。
それに行くとは、どこに行くのか。
「ねえ、あたしを連れてどこに行くの?」
「あいつらが逃げた世界。こことは、別の世界だよ」「こっちに帰れる?」
水葵が聞くと、ルビーは押し黙る。しかし、きちんと答えてくれた。
「……多分、出来ない。ボクたちの力は、一方通行だから」
けど、とルビーは懇願してくる。
「無茶な頼みなのは、分かってる。けど、一緒に来て欲しいんだ。パートナーであるキミがいれば、あいつらはボクたちをデュエルでしか捕まえられなくなる」
アイシスもまた、真剣な瞳で水葵に訴えてくる。
「それに、あのデュエリストたちに勝てば、仲間たちを取り戻せるわ」
水葵は、簡単に答えられなかった。異界に行く、と言うことは全てを捨てると言うことに等しい。家族も、友達も、生活も。何もかも置き去りにして、消えなければならない。
それに、水葵は自分のデュエルの腕を嫌と言うほど自覚している。
デュエルで仲間を取り戻すなら、初心者より世界チャンピオンにでも頼んだ方がいいに決まっている。
強敵と戦う自信が、水葵にはなかった。
「ねえ、水葵。ボクたちの仲間を取り戻して」
「あたしは……」
ルビーの言葉に、水葵は口を開いた。
〜つづく〜
近々またデュエルします。
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