二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケットモンスター 魔王と救世の絆
- 日時: 2018/04/30 21:14
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)
こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。
※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。
それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。
登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45
プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204
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- 第61話 Parallel ( No.119 )
- 日時: 2017/01/13 12:56
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ハルに勝負を申し込んできたのは、ゴエティアの用心棒と名乗る謎の少年、パラレル!
「え……?」
突然告げられた、パラレルという少年からのバトル。
「お前はパイモンが注目するほどのトレーナー。そんなお前の実力、見せてもらう。そしてお前に勝ち、俺はもっと強くなる。さあ、ポケモンを出せ」
まっすぐにハルの瞳を見据え、パラレルはモンスターボールを取り出す。
「……分かった、相手になるよ。ミオ、アリスさん、そっちの大男の相手をお願いします」
今までパラレルの剣幕に怯んでいたハルだが、ハルも覚悟を決め、モンスターボールを手に取る。
「任せておいて。じゃあハル君、その男の子の相手は頼んだわよ」
「僕たちは二人でこの大男を倒せばいいんだねぇ」
そしてアリスとミオはボールを取り出し、大男アモンと対峙する。
「ほっほぅ、いいでしょう。ポケモン一体で、あなた方二体のポケモンを相手取って差し上げましょう」
アモンもニヤリと笑い、アリスとミオを迎え撃つ。
「出てきて、ルカリオ!」
「我が力を示せ、ガバイト!」
ハルのポケモン、ルカリオに対し、パラレルのポケモンは、サメのようなヒレを持つ青い小型の恐竜のようなポケモン。
『information
ガバイト 洞穴ポケモン
輝くものが好きで宝石を巣穴に
集める。その宝石を狙う外敵に
対しては鋭い爪や牙で撃退する。』
「ドラゴンポケモンか……それに地面タイプも持っている。地面技に気をつけて戦わないと」
「そいつがメガシンカを使うルカリオだな。さあ、メガシンカを使え。全力で俺と戦ってもらうぞ」
パラレルはハルのルカリオについて知っているようで、いきなりメガシンカを要求する。
「こっちだってそのつもりだよ。ルカリオ、いきなりだけど、頼むよ」
ハルの呼びかけにルカリオは頷き、腕輪をつけた右腕を構える。
「ルカリオ、メガシンカ!」
ハルのキーストーンとルカリオのメガストーンから放たれる光の束が一つに繋がり、ルカリオを包む。
光の中で、ルカリオは姿を変え、メガシンカを遂げる。
「ほう、これがメガルカリオ……ガバイト、メガシンカポケモンをも薙ぎ倒し、さらなる強さを得るんだ。始めるぞ」
そしてメガルカリオを見ても全く表情を変えず、パラレルはガバイトへと指示を出す。
「ガバイト、ドラゴンクロー!」
鋭い爪に龍の力を込め、ガバイトは地を蹴って飛び出し、蒼く輝く爪を振るう。
「ルカリオ、サイコパンチ!」
対するルカリオは拳に念力を纏わせ、ガバイトへ拳を突き出す。
ガバイトの龍爪と激突し、火花を起こして激しく競り合う。
「ガバイト、離れろ!」
力技では勝てないと見たのか、ガバイトは大きく後退し、素早く後ろへ飛び退く。
「穴を掘る!」
そのままガバイトは床へと潜る。
しかし完全に姿は隠さず、背ビレを出したまま、海原を泳ぐサメのように一直線にルカリオへと突っ込んでくる。
「ルカリオ、波導弾!」
ガバイトの場所は見えているため、それを狙い、ルカリオは掌から青い波導の念弾を放出する。
波導の念弾はガバイトの背ビレに直撃するが、
「無駄だ。ガバイト、突っ込め!」
背ビレに当たった波導弾は、刀で切り裂かれたかのように両断されてしまう。
そのままガバイトは地中から飛び出し、ルカリオを突き飛ばした。
「俺のガバイトの背ビレは剣にも負けない切れ味だ。飛び道具如きなら真っ二つにしてくれる」
ぶっきらぼうなままのパラレルの言葉に続け、ガバイトは甲高く吼える。
「くっ……ルカリオ、ここから反撃だよ。発勁!」
右手から膨大な波導を生み出し、今度はルカリオが飛び出していく。
波導を纏った右手を、ガバイトへと叩きつけるが、
「ガバイト、炎の牙!」
牙に炎を灯し、ガバイトは振り下ろされるルカリオの右手へと噛み付く。
牙を食い込ませると炎は爆発し、ガバイトもろともルカリオを吹き飛ばした。
「ルカリオ! 大丈夫!?」
吹き飛ばされたルカリオはすぐさま立ち上がり、再び構えを取るが、
「……あれ?」
同じく爆発で吹き飛んだはずのガバイトが、どこにもいない。
「それならルカリオ、奴の位置を探るんだ!」
ルカリオは波導の力でガバイトの出す波導を探り、姿を消したガバイトを探す。
しかし、
「遅い。ガバイト、やれ!」
刹那、ルカリオの足元からガバイトが強襲し、ルカリオを宙に打ち上げた。
「っ、穴を掘るか……!」
「気づくのが遅すぎる。ポケモンは強いが、トレーナーはまだまだだな。ポケモンの高い実力を扱いきれていない」
そうパラレルは吐き捨て、
「ガバイト、炎の牙!」
牙に炎を灯し、ガバイトはルカリオを追って跳躍する。
「くそっ……だったらルカリオ、ボーンラッシュ!」
宙を舞うルカリオは、咄嗟に右手から骨の形をしたロッドを作り出す。
ガバイトの牙はルカリオを捉えられず、骨のロッドに噛み付く。
爆発を起こすが、爆風も爆煙もルカリオには届かない。
「っ……!」
「僕だって戦えるんだ! ルカリオ、発勁!」
爆煙の中へルカリオは切り込み、波導を纏った右手を振り下ろす。
爆発の中心にいたガバイトの脳天に右手が叩きつけられ、ガバイトは床へと叩き落とされた。
「ガバイト、怯むな! 次だ!」
パラレルの声が響く。爆煙が消えた時、ガバイトはまたも姿を消している。
「またか……ルカリオ、今度こそ奴の位置を!」
ルカリオは目を閉じ、再びガバイトの位置を探る。
「遅いと言っている! ガバイト、行け!」
次の瞬間、ルカリオの背後からガバイトが飛び出す。
鋭い爪の切っ先を、ルカリオへ突き立てる。
しかし。
「それはどうかな! ルカリオ、発勁!」
ルカリオが目を見開き、背後へ波導を纏った右手を思い切り突き出す。
襲撃を仕掛けたガバイトの腹部に右手を叩き込み、逆に吹き飛ばした。
「なにっ……!? ガバイト、一旦戻って来い。立て直すぞ」
ガバイトは素早く地面へと潜り、パラレルの近くから姿を現わす。
「今のタイミングで穴を掘るを使うのは分かってたよ。だからすぐにルカリオにガバイトの位置を探らせたんだ。同じ手は効かないよ」
「ほう、思っていたより少しはやるようだな。先程の発言は撤回しよう」
全く変化しなかった表情に僅かに笑みを浮かべ、パラレルはそう言い返す。
その上で、
「だがやはりお前は俺には勝てない。勝負にはなるだろうが、このガバイトを倒せたとしても相討ちがいいところか」
「そんなの、やってみなきゃ分からないだろ」
「俺には分かるのさ。バトルをしていれば、やがて分かる。さあ、続けるぞ」
「絶対に勝ってやる……ルカリオ、この勝負、絶対勝つよ」
ハルとルカリオ、そしてパラレルとガバイト。
お互いの敵をその瞳に映し、バトルが再開される。
- 第62話 Amon ( No.120 )
- 日時: 2017/01/14 00:50
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ゴエティアの参謀、魔神卿アモン。その実力は——
ハルとパラレルがバトルを始めた、そのすぐ近くでは。
「さて、我々も始めるとしましょうぞ」
フクロウのような顔をした野太い声野の大男、魔神卿アモンがボールを手に取る。
だが、
「一体で充分。この一体で、あなた方二人を相手取って差し上げましょう」
アモンが持つボールは一つ。たった一体で、アリスとミオの二人組と戦うつもりなのだ。
「あら、随分と余裕ね。あまり甘く見てると、痛い目見るわよ」
「舐めてかかっているつもりはありませんぞ。元々私の好みは多勢に無勢な戦闘。少数で大軍勢を捻じ伏せる戦いこそ、私の得意戦術なのです」
「……何がゴエティアの参謀よ。立派な戦闘要員じゃない」
まぁいいわ、とアリスは続け、
「それじゃあ、始めようかしら。ミオ君、準備はいいわね」
「いつでも行けますよぅ」
アリスとミオ、対するアモンの三人が、同時にポケモンを繰り出す。
「輝け、ライボルト!」
「頼んだよぅ、トゲチック」
アリスのポケモンはライボルト、ミオのポケモンはトゲチック。そして、
「一仕事頼みますぞ、ローブシン!」
アモンのポケモンは、巨大な鉄柱を片手で一つずつ手にした、圧倒的な筋肉を持つ老人のようなポケモン。
『information
ローブシン 筋骨ポケモン
コンクリートの柱は杖代わりだが
バトルでは武器として使用する。
筋力を使わず柱を振り回せる。』
「おやおや、カビゴンは出してきませんでしたか。中々切れ者の少年ですな」
ミオのトゲチックを見て、アモンは感心したような声を上げる。
「カビゴンは大会とかで暴れさせてたからねぇ。他の魔神卿にも見られていたし、知られてるかなと思ってさぁ」
カビゴンを出していれば、格闘タイプのローブシン相手にはかなり不利だった。
「とはいえ、飛行タイプであれば対策は万全。どこからでも掛かって来なさい」
「それじゃあこっちから行くわよ。ライボルト、火炎放射!」
最初に動いたのはアリスとライボルト。
手始めに灼熱の炎を噴き出し、先制攻撃を仕掛ける。
「ローブシン、柱で防御を」
だがローブシンは柱を構え、炎を防ぎ切ってしまう。
「こっちも行くよぅ。トゲチック、マジカルリーフ」
そこにトゲチックが妖しい光を放つ無数の葉を飛ばすが、
「ローブシン、今度は弾き飛ばせ」
もう片方の手で柱を振り、ローブシンは無数の葉をまとめて弾き飛ばす。
「その程度では我がローブシンには傷一つ付けられませんぞ。もっと本気でガンガン来なされ。まずはそのライボルトをメガシンカさせてはどうですかな?」
「言ってくれるじゃない。それならお望み通り、メガシンカで相手をしてあげるわ」
アモンの誘いに敢えて乗り、アリスはブレスレットを掲げる。
「絆の煌めき、閃光の如く! ライボルト、メガシンカ!」
アリスのキーストーンの光に、ライボルトのメガストーンが反応する。
七色の光に包まれ、ライボルトがメガシンカを遂げる。
「ミオ君。ライボルトのサンダーブラストは全体攻撃なの。悪いけど、上手く躱してね」
「分かりましたよぅ」
それだけ言ってアリスとミオは再びアモンの方に向き直る。
「覚悟なさい! ライボルト、サンダーブラスト!」
天を貫く方向と共に、ライボルトが全身を纏う電撃を衝撃波と共に解き放つ。
「ほう、飛躍的に火力が上昇しましたな。しかし……ローブシン、アームハンマー!」
ローブシンが鉄槌の如く硬い腕を、まっすぐに振り下ろす。
電撃の衝撃波と互角に競り合い、強引に相殺してしまった。
「今だよトゲチック、エアスラッシュ」
だがその隙に、ローブシンの背後からトゲチックが空気の刃を飛ばし、ローブシンの背を切り裂く。
効果抜群の一撃にローブシンは少し顔を歪め、トゲチックの方を振り向くが、
「ローブシン」
アモンの声を聞くと、ローブシンはすぐに体勢を立て直す。
「二体を同時に相手取ろうとしてはいけませんぞ。見たところライボルトの方が実力は上。トゲチックの攻撃に気を配りつつ、ライボルトだけを狙うのです」
アモンの言葉にローブシンは頷き、ライボルトの方に向き直る。
「悪人の割に、信頼関係は一流って感じね」
「ほほほ、こう見えても自分のポケモンには愛着を持って育てておりますからな。ポケモンに良いも悪いもない、善悪に左右されるのは我々人間でございます」
「へえ、思考はまともなのね。だったらどうしてゴエティアを辞めようと思わないのかしら」
「ゴエティアで活動する事が我々魔神卿の定めだからです。下っ端や部下たち、またそこのパラレルはともかく、我々魔神卿は生まれた時から王と共に戦う定め、その行動理念には善も悪もない。さあ無駄話はここまで、バトルを続けますぞ」
止まっていたバトルが再び動き出す。今度はローブシンが仕掛けてくる。
「こちらから行きますぞ。ローブシン、ストーンエッジ!」
ローブシンが柱で床を叩きつけると、その床からライボルトを狙って一直線に巨大な岩の剣が飛び出す。トゲチックには目もくれず、完全にライボルトだけを狙った攻撃だ。
「ライボルト、躱して火炎放射!」
「ローブシン、アームハンマー!」
横へと飛び退いて岩の剣を躱し、ライボルトは灼熱の業火を吹き出す。
対するローブシンはコンクリートの柱ごと腕を振り下ろし、炎を蹴散らす。
「エアスラッシュだよぅ」
その直後、再びローブシンの死角からトゲチックが空気の刃を放つが、
「背後から来ますぞ。ローブシン、躱して冷凍パンチ!」
見た目に似合わず大きく跳躍し、ローブシンは空気の刃を躱す。
空中で拳に冷気を纏わせ、勢いをつけて急降下しながら、やはりトゲチックではなくライボルトへと氷の拳を突き出す。
「ライボルト、もう一度火炎放射!」
再びライボルトは口から灼熱の炎を吐く。
拳の冷気は打ち消すも、ローブシン自身の勢いは止められず、結果ライボルトは拳を受けて殴り飛ばされる。
「追撃せよ。ストーンエッジ!」
「させないよぅ。マジカルシャイン」
ローブシンが柱を叩きつける直前、トゲチックが純白の光を放出する。
「ローブシン、目標変更!」
ローブシンが柱を地面に叩きつけると、ローブシンを囲む形で無数の岩の剣が出現する。
無数の岩に守られ、純白の光はローブシンには届かない。
「岩ごと砕け! ライボルト、サンダーブラスト!」
ライボルトが電撃を帯びた衝撃波を解き放ち、岩の剣を粉砕する。
しかし、
「外れですぞ。アームハンマー!」
いつの間にか宙に飛び上がっていたローブシンが、渾身の力を込めてコンクリートの柱をライボルトへと叩きつける。
「っ……!」
「トゲチック、エアスラッシュ」
ローブシンの持つ柱がライボルトへ叩きつけられる直前、トゲチックの放った空気の刃がローブシンの腕へと命中する。
僅かに軌道を逸らされ、コンクリートの柱はライボルトのすぐ横の地面を叩きつけた。
衝撃を受けてライボルトが吹き飛ばされるも、直撃による大ダメージは何とか免れた。
「危ないところだったわ。ミオ君、ありがとう」
「これくらいなら、お安い御用ですよぅ」
アリスはミオに礼を言い、二人は再びアモンの方へ向き直る。
「ほっほう、中々の腕前。焦ることはないぞローブシン、少しずつ追い詰めていけばよいのです」
対するアモンとローブシンは相変わらずどっしりと構えたまま、壁として二人の前に立ちはだかる。
- 第63話 Belial ( No.121 )
- 日時: 2017/01/15 00:27
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: パラレルと互角に戦うハル。勝負の行方は——
「ガバイト、ドラゴンクロー!」
「ルカリオ、躱してボーンラッシュ!」
ガバイトが龍の力を込めて輝く爪を振るい、対するルカリオは爪の一撃を躱し、波導を操って骨の形をしたロッドを作り上げる。
「ガバイト、アイアンヘッド!」
対するガバイトは鋼のごとく硬化された頭を突き出す。
回避を捨て、硬い頭部で何度も叩きつけられるロッドの攻撃を耐え切り、
「炎の牙!」
攻撃が止まるや否やすぐさま飛び出し、炎を灯した牙を剥く。
ルカリオに牙が突き刺さると炎が爆発し、ガバイトもろともルカリオを吹き飛ばす。
「穴を掘る!」
地中に潜ったガバイトは、背ビレを出しながら一直線にルカリオへ向かっていく。
「ルカリオ、発勁!」
地中から飛び出し襲撃するガバイトに対し、ルカリオは青い波導を纏った右手を振り下ろす。
二者の攻撃は一歩も譲らず、お互いに競り合う。
「波導弾!」
その直後、ルカリオの右手を覆う波導が念弾として放出され、ガバイトを吹き飛ばした。
「今だルカリオ! もう一度発勁!」
吹き飛ぶガバイトを追い、ルカリオは再び右手に波導を纏わせ、勢いよく突っ込んでいく。
「穴を掘る!」
対するガバイトは着地と同時に穴を掘って地中に潜り、身を隠す。
発勁は命中せず、その直後、ルカリオの背後からガバイトが飛び出し、そのまま襲い掛かる。
「ルカリオ、躱してサイコパンチ!」
ガバイトの襲撃を何とか躱すと、ルカリオは拳に念力を込め、ガバイトへと殴りかかるが、
「炎の牙!」
牙に炎を灯したガバイトは念力を纏ったルカリオの拳に噛み付く。
炎が爆発し、ルカリオは吹き飛ばされるが、ガバイトも爆発に巻き込まれる上に念力のダメージも加わり、大ダメージを受けたはずだ。
それでもまだ両者共に立ち上がり、戦闘の構えは崩さない。
「そろそろ決めるぞ。ガバイト、ドラゴンクロー!」
ガバイトが吼え、両手の爪に龍の力を纏う。
青く輝く龍爪を構え、ルカリオへ真っ直ぐに突撃する。
「そっちがその気なら、こっちだって! ルカリオ、発勁だ!」
ルカリオも右手に爆発的な波導を纏わせ、ガバイトを迎え撃つべく突っ込んでいく。
ガバイトの龍爪と、ルカリオの波導の右手が正面から激突した。
「炎の牙!」
一歩も引かず競り合う中、ガバイトが牙に炎を纏わせ、ルカリオの腹部へと噛み付いた。
それによって爪の力が弱まり、ルカリオの右手がガバイトへと炸裂。
次の瞬間、牙に灯る炎が爆発し、ルカリオとガバイトは同時に吹き飛ばされた。
「ルカリオ!」
「……ここまでか」
ハルはルカリオの名を叫び、パラレルは勝敗がもう分かっているかのように呟く。
吹き飛ばされて床に倒れるルカリオの体が光に包まれ、メガシンカ前の元の姿に戻る。つまり、戦闘不能を意味していた。
かたやガバイトも目を回して床に倒れ伏し、戦闘不能となっていた。この勝負は、引き分けだ。
「ガバイト、よくやった。戻れ」
「ルカリオ、お疲れ様。休んでてね」
二人ともポケモンを労い、ボールへと戻す。
「「後半から実力を発揮してきたか。そのルカリオが強いのも確かだ。だがハル、お前自身はまだまだポケモンの力に頼っている分が大きい。その状態では、俺たちゴエティアには到底勝てん。まぁ、次に戦うのを楽しみにしているぞ」
パラレルは追撃を加えることもなく、それだけ言って引き下がる。
「アモン。こっちの試合は終わった。撤収するぞ」
「おや、もう終わりましたか。やはり一対一の勝負だと、早く終わってしまいますな」
パラレルの言葉を聞き、アモンはバトル中だというのにパラレルの方を向いてそう返す。
「お二人とも。パラレルのバトルが終わりましたので、こちらも終わらせていただきますぞ。ローブシン、戻りなされ」
ボールを取り出し、アモンはローブシンを戻し、勝手にバトルを打ち切ってしまう。
「何を言っているのかしら。あんたたち二人はここで私たちに捕まってもらうのよ。バトルを辞めて逃げるなんて、そんなことが本気でできると思っているのかしら」
「ええ、できますとも」
アリスの言葉に対し。
あまりにもあっさりと、アモンは言い返す。
「なぜなら、ここにはもう一人、魔神卿がおりますからな」
そうアモンが告げた、次の瞬間。
「ジヘッド! ドラゴンダイブ!」
ここにいる誰のものでもない男の声が響くと同時、すぐ横の壁が爆発と共に粉砕され、黒いポケモンがライボルトへと襲い掛かった。
そのポケモンはライボルトを思い切り叩き飛ばし、向かいの壁へと叩きつけると、
「ラスターカノン!」
すぐさま二つの頭から二発の鋼の光をレーザーの如く撃ち出し、トゲチックを吹き飛ばし、戦闘不能にしてしまう。
『information
ジヘッド 乱暴ポケモン
二つの頭を持つが仲が悪く常に
餌を巡って争っている。最終的に
争いに負けた方が進化時に脳を失う。』
「誰!?」
三人の注目を集める中、ジヘッドの後ろ、壁に空いた穴の中から男が姿を現わす。
燃える炎の如き真っ赤な髪と瞳。その瞳は悪魔のように鋭く残忍で、両耳に髑髏の形のピアスをつけている。
服も真紅のスーツ系の服装で、とにかく赤に身を包んだ男だ。
「ゴエティア魔神卿が一人、ベリアル」
男は出てくるや否や、簡単に自分の名を名乗り、
「アモン、パラレル。こっちの仕事は終わった。撤収だ」
それ以降ハルたち三人には目もくれず、仲間にそう告げる。
「了解」
「お疲れ様でしたベリアル。全て破壊しましたかな」
「お前に聞いたものは全てぶっ壊した。もし破壊漏れがあったらお前の責任だからな。出てこいメタング」
その男、ベリアルはメタングを繰り出し、その上に飛び乗った。
ハルには見覚えのあるポケモンだ。恐らくパイモンのものだろう。
「逃すわけないでしょ——」
「あぁそうだ。お前ら、一つだけ言っておくぞ」
アリスの言葉を強引に遮り、ベリアルはメタングの上に座ったまま口を開く。
「今回はアモンがいたから見逃してやるが、次はないと思えよ。俺様はゴエティアの直接戦闘専門、まどろっこしいことは嫌いでな。組織の邪魔になる奴は全員ぶっ殺して解決するような悪党だ。無様な死体になりたくなけりゃ、今後俺たちゴエティアに楯突くようなことはやめておくんだな。それじゃ撤収だ。メタング」
ベリアルがメタングに指示し、メタングは頑丈な爪でパラレルとアモンを掴む。
ハルたちが呆気にとられている間にそのまま天井をぶち抜き、どこかへ飛び去っていった。
その後警察が到着し、ハルたちと共にアジトを最奥まで探ったが、成果は何一つ得られなかった。
成果となりそうな資料や研究装置は、全て木っ端微塵に粉砕されていたからだ。
先ほどのアモンとベリアルのやり取りから察するに、恐らくアモンとパラレルが時間を稼いでいる間、ベリアルが破壊して回っていたのだろう。
「ごめんね、ハル君にミオ君。面倒な事態に巻き込んでしまって」
ゴエティアの拠点を出てポケモンセンターに戻った後、アリスは二人に頭を下げた。
「いえ、僕もゴエティア関連となれば放ってはおけませんし」
「これくらいだったら、お安い御用ですよぅ」
「いやはや、皆無事でよかったよ。魔神卿が二人も居たんだってね」
ずっとポケモンセンターで待機していたアリスの父親、リデルが、三人の近くに歩み寄る。
「さて、僕たちはこれからサオヒメに戻って、ディントスを保護しなければね」
「ええ。ジムリーダーとして、無駄に血は流させない。絶対に守り切るわ。それじゃ、ハル君、ミオ君。旅を頑張ってね。あと、ゴエティアには気をつけるのよ」
そう言って、アリスやリデルたちはハルとミオに別れを告げ、サオヒメへと戻っていった。
「それじゃハル君、ここでお別れだねぇ。次に会うときは、またバトルしようねぇ」
「うん。次にやるときも、負けないからね」
そしてミオも次の街へと去っていく。
ハルの次なる目的地は、カタカゲシティだ。
- 第64話 カタカゲシティ ( No.122 )
- 日時: 2017/01/16 20:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: J/brDdUE)
- 参照: ハダレタウンを出発し、ハルは次の街へ。
明くる日の朝早く、ハルはハダレタウンを出発した。
次の目的地、カタカゲシティまではそこそこ距離があるため、朝早くから出発することにしたのだ。
とはいえ、道自体は舗装された平坦な道路なので、かつての山道よりはずっと楽。
すれ違うトレーナーたちと時々バトルもしながら、ハルは道をまっすぐに歩んでいく。
カタカゲシティ。
赤いレンガの家や倉庫が立ち並ぶ、どちらかといえばレトロな雰囲気の街並みだ。
また街中には商店街が発達しており、なかなかの都会として日々賑わっている。調べた通り、この街にはジムも存在している。
無数の赤レンガの倉庫は全て財団によって管理されているらしく、ここのジムリーダーはその財団の代表も務めているらしい。
また、街の郊外には巨大も巨大なテントの骨組みが張り巡らされている。
「なんだろ、あれ……」
ハルがターミナルで情報にアクセスすると、近々、このカタカゲシティでハーメルン・サーカスというサーカス団による公演があるらしい。
とりあえずまずはポケモンセンターに向かい、情報収集を始めようとしたところで、
「お兄はん、ちょいとよろしいか?」
後ろから、そんな声が聞こえた。
近くにハルの他にお兄はんらしき人はいなかったため、ハルは自分のことだろうと思い、振り向く。
ピエロが着るようなぶかぶかの緑の衣装に身を包んだ男だ。髪も緑色でやや長め、毛先はカールが掛かっている。
衣服の首元と手袋にはフリルが付けられ、目の下や頬には紫色で雫や星の模様がペイントされている。
「僕ですか?」
「せやせや、お兄はんや。お兄はん、旅のトレーナーやろ?」
ハルが返事を返すと、その男性は訛った喋り方でさらに質問を続けてくる。
「はい、そうですけど」
「そりゃあよかった。おっと、自己紹介が遅れましたな。私はルンペル。ハーメルン・サーカスの団員なんですわ」
その男性はルンペルと名乗る。見た目で分かってはいたが、やはりサーカス団員のようだ。
「サーカスの団員さんが、僕に何か用ですか?」
「そんな大層な用事やあらへん。なに、旅のトレーナーさんに、このチケットを差し上げたろう思いましてなあ」
そう言って、ルンペルと名乗った男性は一枚のチケットをハルに手渡す。
「これは……?」
「二週間後に開催される、私らハーメルン・サーカスの公演。そのチケットや。本来は有料やねんけど、特・別・大・サービスで、先着十名に無料で招待しようっちゅーわけやな」
疑問を浮かべるハルに対し、ルンペルは大袈裟に両腕を広げて説明する。
「え……いいんですか?」
「ええんよええんよ。元々私らは他の地方から進出してきたサーカス団、マデル地方ではまだまだ無名。ぎょうさんの人に私らのサーカス見てもらうためなら、これっくらいお安い御用や」
せやけど、とルンペルは続け、
「その代わりに一つだけ頼まれてくれへん? お兄はんの友人、知り合い、親戚の皆はん……まあ誰にでもええねんけどね、私らのサーカス開催を広めたってほしいんや。さっき言うた通り、私らはここでは無名。今回の公演はこっちじゃ最初の公演なんや、絶対成功させたい」
「……分かりました。友達はそんなに多くないですけど、声を掛けてみますね」
「おおきに。ほなそーゆーことで、頼んだでー」
チケットを受け取るハルに対し、ルンペルは柔和な笑顔を浮かべ、去っていく。
「サーカスか。まぁ他に予定がなかったら、行ってみることにしようかな……」
チケットをバッグの中に仕舞い、ハルはポケモンセンターを目指す。
パンフレットを読んだり、旅のトレーナーたちと軽く話して情報を得た後(少しだけサーカスの話もしておいた)、ハルはカタカゲジムを目指す。
今までは若いジムリーダーばかりだったが、ここのジムリーダーはなかなかのベテラントレーナーだそうだ。使用するポケモンは岩や地面タイプ。
「ベテランのジムリーダーか、強い相手には間違いないよね……だけど僕にはメガシンカがある。絶対に勝つぞ」
ターミナルに表示される地図を頼りに進み、ハルはジムと思われる場所に辿り着く。
街並みに合わせて赤レンガで造られているが、他の家や倉庫と比べてより大きな建物だ。
入り口の扉の上にはジムのマークがあるし、ここで間違いないだろう。
そして、着いたと同時に、
「あっ、ハルじゃん。来てたの?」
「あれ、サヤナもここに?」
丁度、ジムからサヤナが出てきた。ハダレタウンで一旦別れたのだが、どうも行き先は同じだったようだ。
「ここから出てきたってことは、ジムに挑戦してたってことだよね」
「そうだよ。にひひー、めでたく五個目のジムバッジ、ゲットだよ!」
そう言ってサヤナは満面の笑みと共にバッジケースを取り出す。填め込まれている五つのバッジのうち、三つはハルが持っているバッジだった。
「ハルもここに来たってことは今から挑戦だよね。ここのジムリーダーさんちょっと怖いし、すっごい強かったよ。まぁ私でも勝てたし、ハルならきっと勝てると思うけどね。じゃあ私ポケモンセンターで待ってるから、結果報告待ってるね」
サヤナは手を振り、先に戻っていった。
怖い人と言われて少し緊張するが、やることはポケモンバトル。気持ちを切り替え、ハルは扉をくぐる。
「失礼します」
ジムの内部は広いが、造りは至って普通のジムだ。
中央にバトルフィールドがあり、観客席もある。このジムは、岩場のフィールドのようだ。
そして、
「何だ、また挑戦者か。今日は客が多いな」
フィールドの向こう側に立つのは、かなり背の高い男性だ。
歳は三十代後半から四十代前半といったところか。テンガロンハットを被り、白いシャツの上から丈の長い青いコートを羽織っている。表情はどことなくしかめっ面で無愛想だ。
「さっきまでジム戦をしてたんだ。ポケモンを回復させる。ちょっと待ってろ」
その男はそれだけ告げると、ハルの返事を待たずに一旦奥の部屋へと引っ込んでしまう。
しばらくして回復を終えたのか、再び奥の部屋から男が現れる。
「ジムの挑戦者だな。俺の名はカガチ。お前は」
「あ、ハルです……」
威圧的なカガチの雰囲気に既に圧倒されている気がするが、とにかくハルは自己紹介する。
「ハル……? それにその腕輪。なるほど、サオヒメのアリスがメガシンカを継承した話は聞いていたが、お前がそのトレーナーか」
どうやら、カガチはハルがメガシンカを使用することを知っているようだ。
「メガシンカの力は強大かつ単純だ。ポケモンとの間に絆があれば扱える。だがそれを正しく理解、使用しなければ、本当の力は発揮できん。お前にそれが理解できているか、このジム戦で俺が見極めてやろう」
さて、とカガチは言葉を続け、
「使用ポケモンは三体。ポケモンの交代は挑戦者のみ可能。いいな」
ジムのルールを軽く説明すると、モンスターボールを取り出す。
ルール自体は単純だ。先に三体倒せば勝ち。
「はい、よろしくお願いします」
五個目のバッジを賭けた、ハルのジム戦が始まる。
『information
ジムリーダー カガチ
専門:地面タイプ
異名:荒ぶる大地の王(グランドキング)
兼業:赤煉瓦財団代表』
- 第65話 ジムバトル! カタカゲジムⅠ ( No.123 )
- 日時: 2017/01/17 23:32
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: 五個目のバッジを賭けたジムバトル。今度のジムリーダーは地面タイプ使い!
「まずは頼んだよ、エーフィ!」
「出番だ、サナギラス!」
ハルの一番手は、様子見も兼ねて器用なエーフィ。
対するカガチのポケモンは、青い岩で体を覆い尽くした蛹のようなポケモンだ。
『information
サナギラス 弾丸ポケモン
ガスを噴射して自由に飛び回る。
山を崩すほどのパワーを殻内に持つが
ほぼ全て進化へのエネルギーとなる。』
「岩、地面タイプのサナギラスか。地面タイプだからってヒノヤコマを出さなくて正解だった」
地面技が効かないからとヒノヤコマを選んでいれば、炎技も飛行技も通りが悪く苦戦を強いられていただろう。
「それじゃ、行きますよ! エーフィ、まずはサイコショット!」
エーフィの額の珠がサイコパワーを溜め込み、念力の弾を放出する。
対して。
「サナギラス、砂嵐!」
サナギラスが下半身を地面に突き立て、ドリルの如く超高速で回転を始める。
回転によってサナギラスを中心に風の渦が出現し、念力の弾を風の壁で防いだところで、サナギラスは体から大量の砂を放出。
結果。
フィールド全体に、砂嵐が吹き荒れる。
「くっ……これは、何だ……?」
急いでハルは図鑑を取り出し、調べる。
「砂嵐状態……地面、岩、鋼タイプ以外のポケモンの体力が少しずつ奪われる、だって……?」
カガチのポケモンは恐らく全て岩か地面タイプ。
さらに、
「それだけじゃない。砂嵐下においては岩タイプのポケモンの特防が上昇する」
「何だって……?」
エーフィの技は全て特殊技。目の前のサナギラスは岩タイプを持ち合わせているため、与えられるダメージはさらに減ってしまう。
つまり、長期戦になればなるほどハルにとっては不利になるということだ。
(だけどワルビルとルカリオは砂嵐が効かない。ヒノヤコマを出せないのは辛いけど、砂嵐はそこまで警戒しなくていいかな)
「よし、エーフィ、シャドーボール!」
砂嵐の中エーフィは額に影を集め、黒い影の弾を放出する。
「サナギラス、躱してアイアンヘッド!」
対するサナギラスは大きく跳躍して影の弾を躱すと、体内からガスを噴出させて勢いよくエーフィへと飛び出す。
硬い頭を突き出して突撃するサナギラスのスピードは思っていたよりも速く、エーフィは躱し切れずに突き飛ばした。
「っ、なかなか速いな……それならエーフィ、スピードスター!」
エーフィは立ち上がると、二股の尻尾を振り、無数の星形弾を飛ばす。
「サナギラス、もう一度アイアンヘッド!」
対するサナギラスは再び頭部を硬化させて勢いよく飛び出し、瞬く間に星形弾を粉砕してしまう。
「サイコショット!」
サナギラスの突撃を今度はしっかりと回避し、エーフィは背後から念力の弾を発射する。
サナギラスの背中に弾を直撃させ、吹き飛ばすが、砂嵐がそのダメージを軽減してしまう。
「続けてシャドーボールだ!」
「ならば、悪の波動!」
さらにエーフィが影の弾を放つが、サナギラスは素早く振り返り、悪意に満ちた黒い波動を放出する。
エーフィの放った影の弾を悪意の波動が掻き消し、さらにその奥のエーフィを捉えた。
「っ、エーフィ!」
「休む暇はないぞ。ストーンエッジ!」
サナギラスが硬い体を地面に叩きつける。
吹き飛ばされるエーフィを狙い、地面から柱のように岩の剣が飛び出す。
「来るよエーフィ! 躱して!」
エーフィは体勢の整わないまま、間一髪横に飛び退く。
次の瞬間、先ほどまでエーフィが立っていた場所を岩の剣が貫いた。
「サナギラス、アイアンヘッド!」
「エーフィ、躱してサイコショット!」
ガスを噴射して一気に飛び出し、サナギラスが硬い頭で頭突きを繰り出す。
エーフィはそれを再び躱し、額の弾にサイコパワーを集め、念力の弾を発射する。
「打ち消せ! 悪の波動!」
「それならマジカルシャインだ!」
サナギラスが悪意に満ちた波動を撃ち出し、念力の弾を突き破る。
だがエーフィがその上からさらに純白の光を放出し、悪の波動を押し切ってサナギラスを光に飲み込み、吹き飛ばした。
「ほう……サナギラス、ストーンエッジ!」
吹き飛ぶサナギラスだが、着地と共に地面に体を叩きつけ、岩の剣を地面から出現させる。
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
無数の岩の剣を躱しながらエーフィはサナギラスへと近づき、額の弾から黒い影の弾を撃ち出す。
「弾き返せ。アイアンヘッド!」
サナギラスが頭部を効果させ、バットのようにその身を振るう。
撃ち出された影の弾はサナギラスに弾き返され、エーフィの元へと逆に戻ってくる。
「っ、躱して!」
「逃すなよ。悪の波動!」
大きく跳躍してエーフィは影の弾を躱すが、その直後、サナギラスが悪意に満ちた黒い波動を放出する。
エーフィへと悪の波動を浴びせ、吹き飛ばした。効果は抜群だ。
「サナギラス、ストーンエッジ!」
サナギラスが地面に体を叩きつける。
宙を舞うエーフィに狙いを定め、岩の剣が地面から次々と飛び出す。
「まずい! エーフィ、サイコショット!」
重力に従って落下するエーフィは、真下に向けて額の珠からサイコパワーの念弾を撃ち出す。
エーフィを貫かんと迫る岩の剣に念力の弾をぶつけ、何とか岩を打ち砕いた。
「まだ終わっていないぞ。アイアンヘッド!」
体からガスを噴射し、サナギラスは頭部を硬化させ、弾丸の如く突っ込んでくる。
「っ、まだ来るか……エーフィ、シャドーボール!」
咄嗟にエーフィは影の弾を発射しようとするが、サナギラスの動きに間に合わず、頭突きを食らって突き飛ばされてしまう。
「悪の波動!」
「マジカルシャイン!」
さらにサナギラスが悪意に満ちた波動を撃ち出すも、エーフィは額の珠から純白の光を放出させる。
悪の波動を打ち消しつつ、サナギラスに光が迫る。
しかし。
「サナギラス、ストーンエッジ!」
被弾覚悟で、サナギラスは地面に体を叩きつける。
その直後、サナギラスは純白の光に飲み込まれてしまう。
しかし。
刹那、エーフィの足元から巨大な岩の剣が飛び出し、エーフィを貫いた。
「エーフィ!?」
突き上げられたエーフィは宙を舞い、そのまま力なく地面に落ちる。
目を回して地に伏し、戦闘不能となっていた。
対するサナギラスは砂嵐によって守られ、まだフィールドに立っていた。
「エーフィ、お疲れ様。休んでて」
ハルはエーフィをボールへ戻すと、次のボールを手に取る。
「それじゃあ次は、頼んだよ、ワルビル!」
ハルの二番手は、砂嵐のダメージを受けない地面タイプのワルビル。
「なるほど、砂嵐が効かない地面タイプで来たか」
「ええ、これで砂嵐は怖くない。ここから逆転してみせます」
ハルの威勢のいい言葉に対してカガチは何も返さず、無愛想な表情のまま、ハルとワルビルをじっと見据える。
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