二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケットモンスター 魔王と救世の絆
日時: 2018/04/30 21:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)

こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。

※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。

それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。

登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45

プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204

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http:// ( No.194 )
日時: 2017/06/24 12:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: UcGDDbHP)

>>長山さん

コメントありがとうございます!
ジムリーダーマキナの次なるポケモンは、ジバコイルですね。
ファイアローはほぼ無傷でクレッフィを突破していますが、ここからマキナがとんなバトルを展開するのか、さらにクレッフィの雨の置き土産がどう影響するのか、楽しみにしていてください。

第117話 ジムバトル!イザヨイジムⅡ ( No.195 )
日時: 2017/06/24 13:11
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: UcGDDbHP)

ハル対マキナ、フィールドは雨。
ハルのファイアローがまず一体先取し、マキナの二番手、ジバコイルが現れる。
「ファイアロー、ニトロチャージ!」
炎を体に纏い、ファイアローは勢いよく突撃していく。
雨の影響を受けて炎の勢いが少し弱まるが、それでも威力はなかなか。
「ジバコイル、そのままヨ」
対するジバコイルは動かなかった。三つのユニットを回転させて静かに力を溜めつつ、ファイアローの攻撃を正面から受け切る。
「ファイアロー、続けて鋼の翼!」
立て続けのニトロチャージで麻痺した分の素早さは戻した。さらにファイアローは旋回しながら翼を鋼の如く硬化させ、再びジバコイルへと向かっていく。
しかし。

「ジバコイル、雷ヨ」

ジバコイルが三つのユニットから電気を上空の雨雲へと放つ。
次の瞬間。
雷鳴と共に、電撃の槍のような雷が瞬時にファイアローへと降って来た。
「なっ……!?」
雷にその身を貫かれ、ファイアローが床へと撃墜される。
「もう一度、雷ヨ」
さらにジバコイルが三つのユニットを回転させると、立て続けに落雷が起こる。
再び雷撃の槍がファイアローに炸裂し、たった二発で戦闘不能にまで追い込んだ。
「ファイアロー……! そんな、バカな……」
最初のクレッフィ戦でファイアローは全くダメージを受けていなかった。それが効果抜群とはいえ、たった二発で戦闘不能にまでされてしまうとは。
「私のジバコイルの特性は、アナライズ。相手より後に動いて攻撃すると、威力が上がるのヨ。さらに雨が降っている時、雷は必中。躱すことは出来ないわヨ」
得意げに語るマキナの緑色の右目が、小さくピカピカと光る。
「そういうことか……ファイアロー、交代させなかったのは僕の判断ミスだ。ごめんね、休んでて」
ハルがファイアローの嘴を撫でると、ファイアローは気にするなとでも言うかのように首を振り、ハルの目をまっすぐ見つめる。
ファイアローをボールに戻し、ハルは二番手を考える。
(さっきのクレッフィとはうって変わって、このジバコイルは火力がえげつない。多分、オノンドの耐久だと効果今一つでも大ダメージを受けるよね……しかもこの雨で炎の牙は効果が薄いし。ファイアローでの反省を生かせないけど、ここはやっぱりワルビアルに任せるしかない)
やむを得ない。雨を受けて不利になっても、躱せない必中の電気技を防げるポケモンを選ぶのが賢明だ。
「出てきて、ワルビアル!」
ハルが二番手に選ぶのは、電気技を無効化できる地面タイプのワルビアル。
「ワルビアル、雨はあまり得意じゃないだろうけど、ここは君しかいない。頼んだよ」
降り注ぐ雨を見てワルビアルは少し顔をしかめるが、ハルの言葉に応えて大きな雄叫びを上げる。
「ワルビアル、まずはストーンエッジ!」
ワルビアルが握り締めた拳を地面に叩きつけると、そこからジバコイルに向けて無数の尖った岩の柱が出現する。
「ジバコイル、砕きなさい。磁力線」
三つのユニットを回転させ、ジバコイルが周囲に磁力を発生させる。
一気に強められた磁力によって荒ぶる磁力の波が発生し、放たれた磁力の波は襲い来る岩の柱を纏めて破壊し、さらにワルビアルを吹き飛ばす。
「シャドークロー!」
ワルビアルは勇ましく一声上げると鋭い爪に黒い影を纏わせ、影の爪を構えてジバコイルへ飛びかかっていく。
「止めるだけなら簡単なのよネ。ジバコイル、雷」
ジバコイルがユニットを回すと、天から雷撃の槍が降り注ぐ。
ワルビアルにダメージはないものの、雷によって腕を纏う黒い影が打ち消されてしまう。
「だったら、噛み砕く!」
だがワルビアルの動きはそこで止まらない。
腕の影を打ち消されたが、即座に大顎を開いて襲い掛かり、ジバコイルの鋼のボディに頑丈な牙を突き立てる。
しかし、
「……?」
思っていたよりもワルビアルの攻撃のダメージが少ない。
というか、ワルビアルが牙を食い込ませようとした瞬間、その部位が光り輝き、牙を防いでいるように見える。
「あれって……!」
「ジバコイル、磁力線」
ジバコイルの三つのユニットが回転すると同時に荒れ狂う磁力の波が起こり、噛み付いてきたワルビアルを逆に吹き飛ばしてしまう。
「ワルビアル! っ、今の光……」
ジバコイルを一瞬覆ったのは、先ほどクレッフィが使ったリフレクターの光に酷似していた。
咄嗟にハルは図鑑を取り出し、技を調べる。
「リフレクター……物理攻撃のダメージを、一時的に半減させる……!?」
「その通りヨ。ついでに光の壁は特殊攻撃のダメージを半減するノ。この技は技を使ったクレッフィが場を離れた後もしばらく続くから、今のジバコイルは耐久力が二倍ヨ」
「なっ……2倍……!?」
ようやくハルには分かった。
先発でいとも容易く倒れたクレッフィ。次のポケモンに少しでも補助技の効果を与えるために、マキナはわざと耐久力を下げていたのだ。
「まずいね……どうにかワルビアルの地震を当てたいけど、あのジバコイル、浮いてるんだよね……」
ジバコイルは飛行タイプではないし、浮遊の特性を持つわけでもないので、地面技は効果抜群で通る。
しかし、地震は地面を揺らして衝撃波を起こす技。当てるためには、浮いているジバコイルを地面に叩き落とす必要がある。
「だけど、その方針で行くしかない……ワルビアル、もう一度噛み砕く!」
大きく口を開き、ワルビアルはジバコイルへと飛び掛かる。
「ジバコイル、トライアタック」
牙を突き立てられたジバコイルの前方の二つのユニットが動き、さらに頭部のアンテナが輝く。
「ワルビアル! 投げ飛ばして、地震だ!」
ワルビアルは大顎を振るってジバコイルを投げ飛ばし、地面へと叩きつける。
そのまま地面を蹴りつけて地面を揺らそうとするワルビアルだが、
「撃ちなさい」
地面に落ちたままのジバコイルのユニット二つとアンテナから、それぞれ炎、氷、雷を模した三色の光線が撃ち出される。
地面を揺らそうと急降下するワルビアルを光線が吹き飛ばし、ジバコイルは体を震わせると再び空中へ浮上してしまう。
「っ、いいチャンスだったのにな……」
吹き飛ばされたワルビアルは悔しそうに唸りつつ、まだ立ち上がる。
やはりリフレクターが厄介だ。ダメージが少なくなることで、結果的にジバコイルの反撃速度を早めてしまっている。
ハルが天井を見上げると、雨は未だ勢いを衰えることなく降りしきっている。
「ワルビアル、ストーンエッジ!」
雄叫びと共にワルビアルは拳を地面へ叩きつけ、床から尖った岩の柱を次々と出現させる。
「ジバコイル、磁力線」
ジバコイルが三つのユニットを回転させ、磁力が一気に強まり、荒れ狂う磁力の波を巻き起こす。
磁力が無数の岩を破壊するが、
「シャドークロー!」
磁力線を躱して、粉砕された岩と砂埃の中を突破し、ワルビアルは黒い影を纏わせた鋭い爪を振るう。
ジバコイルに斬撃を与え、再びジバコイルを床へと落とす。
「もう一度! ワルビアル、地震だ!」
空中から急降下し、ワルビアルは思い切り床を踏みつけ、地面を揺らして衝撃波を起こす。
衝撃波が円状に床を這い、今度こそジバコイルを捉え、吹き飛ばした。
「一気に畳み掛けるよ! ワルビアル、噛み砕く!」
宙を舞うジバコイルに狙いを定め、ワルビアルは地を蹴って飛び出す。
そのまま大顎を開き、ジバコイルに頑丈な牙を突き立てる。

第118話 ジムバトル!イザヨイジムⅢ ( No.196 )
日時: 2017/06/26 11:33
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

ワルビアルが大顎を開き、ジバコイルへと襲い掛かる。
頑丈な牙を、ジバコイルの鋼のボディへと突き立てる。
その、瞬間。

「ジバコイル、ハイドロポンプ」

前方の二つのユニットがフル回転し、直後、パイモンのスターミーもかくやというレベルの高水圧の大量の水が放出された。
「なっ……水技!?」
極太の水柱に押し流され、ワルビアルが地面へと叩きつけられる。
「磁力線ヨ」
ジバコイルの三つのユニットが回転して磁力が一気に強まり、荒れ狂う磁力の波が巻き起こる。
床に倒れたワルビアルは磁力の波に巻き込まれてさらに吹き飛ばされ、戦闘不能になってしまう。
「くっ……ワルビアル、よく頑張った。休んでて」
ワルビアルをボールへ戻すと、ハルはジバコイルの方に視線を戻す。
炎技を弱める、雷を必中にする。ジバコイルに有利に働いてきた雨だが、それにはもう一つ効果がある。
それが先ほど発揮された。水技の威力を上げるという効果だ。
さらにジバコイルの特性、アナライズも上乗せされ、結果的にジバコイルの放ったハイドロポンプは威力が跳ね上がり、ワルビアルに致命傷をを負わせた。
「ハイドロポンプを隠しておいて正解だったワ。一度見せたら、絶対に警戒されてしまうものネ。だけど、あの地震はなかなか効いたわヨ」
フフフ、とマキナは小さく笑う。点滅する緑色の機械の右目が、ハルに焦点を合わせる。
「次は君だ。ここでジバコイルを止めるよ! 出てきて、オノンド!」
ハルが三番手に選ぶのは、有効打を持つオノンド。
「なるほど、ドラゴンタイプのポケモンネ。でも、タイプ相性くらいじゃ私のジバコイルの雷は止められないわヨ?」
「分かってます。でも、こっちにも策はあります。そろそろそのジバコイルを倒さないと、こっちもまずいので」
「なるほどネ。それじゃ、見せてもらおうかしら」
オノンド対ジバコイルのバトルが始まるが、
「オノンド、僕が指示を出すまで、動いちゃだめだよ」
積極的な攻撃が得意なオノンドだが、ハルはオノンドに攻撃の指示を出さない。
マキナも明確な指示を出さず、ハルとオノンドの動きを探る。
そして。
「うーん……ジバコイル、雷」
天井を見上げて顔をしかめ、マキナが遂に指示を出す。
雨が弱まってきた。ジバコイルは電気を空に送り、オノンドの上空から必中の雷撃の槍を落とす。
「それを待ってた! オノンド、一発耐えて、瓦割りだ!」
雷がオノンドを撃ち抜くが、先程までと比べて威力がない。
電撃を耐えてオノンドは一気にジバコイルとの距離を詰め、手刀をジバコイルの頭部へ叩き込んだ。
「っ……!」
マキナの表情が変化する。
その刹那、ジバコイルを覆う光の壁が、粉々に砕け散った。
「今のは……いや、考えるのは後だ! オノンド、もう一度!」
地面に叩き落とされたジバコイルを狙い、再びオノンドは手刀を振り下ろす。
ジバコイルは再び吹き飛ばされ、壁に激突して地面に落ち、戦闘不能となってしまう。
「二体倒せば仕事としては充分ヨ。ジバコイル、休んでてネ」
マキナがジバコイルを戻すと同時に、雨乞いの効果が切れ、雨が止む。
ジバコイルを倒すために、ハルは考えたのだ。
ジバコイルの圧倒的な火力は、アナライズの特性によって得られている。相手の動きより後に技を繰り出すと、その威力が上がるというもの。
だからハルは、ジバコイルが動くまで攻撃の指示を出さなかった。ジバコイルが痺れを切らして先に動けば、技の威力が落ちる。お互いに睨み合いが続けば、やがて雨は止む。どっちに転んでも、ハルには有利な展開になると考えたのだ。
「そういえば、瓦割りの効果を知らないみたいネ」
先ほどのハルの様子を見ていたマキナが、ハルへ言葉を掛ける。
「さっきのは偶然だったみたいだけど、瓦割りには光の壁やリフレクターを破壊する効果を持つのヨ。覚えておきなさいネ」
光の壁が砕けたのは、どうやら瓦割りの効果だったようだ。
雨が止み、ポケモンの数が五分五分に戻ったところで、マキナが三体目のポケモンを繰り出す。
「おいで、ギギギアル」
マキナの三番手は、複数の歯車が組み合わさったような奇妙な姿のポケモン。小さな二つの歯車の背後に大きめの歯車、その下部に赤いコア付きの歯車、そして棘の生えた大きいリングで体が構成されている。

『information
 ギギギアル 歯車ポケモン
 回転してエネルギーを作り出し
 赤いコアに蓄積する。機械の
 動力源として活躍することもある。』

『機械仕掛けの女王』の異名を持つマキナには、ぴったりのポケモンだ。タイプは鋼タイプのみ。
「鋼タイプだけか……それなら、まだ戦いやすいかな」
オノンドは炎の牙と瓦割り、鋼タイプに効果抜群を取れる技を二つ持っている。
「雨も無くなったし、勝負はここからだ。オノンド、行くよ! まずは炎の牙!」
オノンドが長いふたつ牙に炎を灯し、地を蹴って飛び出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
対するギギギアルは、体を構成する小さい歯車の部分を二つ発射する。
オノンドの左右に回り込む二つの歯車は、そのままオノンドを挟み込んで締め付け、さらに回転してダメージを与える。
「っ、オノンド、振り払って!」
その場で暴れ、オノンドは歯車の拘束から逃れる。
弾かれた二つの小さな歯車は、引き寄せられるように元あった場所へと戻る。
「だったら、これならどうだ。オノンド、ドラゴンクロー!」
両手に龍の力を纏わせ、オノンドは蒼い光の爪を纏わせ、再びギギギアルへと突撃する。
「ギギギアル、ギガスパーク」
対するギギギアルが歯車の体を一斉に回転させる。
急速なエネルギーチャージによって赤いコアが光を放ち、エネルギーを核として巨大な電撃の砲弾が作り上げられ、オノンドを迎撃すべく発射される。
「オノンド、躱して! 上からだ!」
大きく跳躍して電撃の砲弾を躱し、オノンドは上空から急降下して両手の爪を振り抜き、ギギギアルを切り裂く。
「逃さないで。ギギギアル、ギアソーサー」
体勢を崩すギギギアルが、小さい歯車を二つ飛ばす。
二つの歯車はオノンドを挟んで持ち上げ、地面へと叩きつけて吹き飛ばす。
「オノンド、大丈夫?」
ハルの元まで戻されたオノンドはすぐに起き上がり、頷く。
(なかなかトリッキーで戦いづらい。あの歯車、独立して動けるのか……厄介だな)
恐らくオノンドの動き方やスピードを全て計算し、確実に当たる位置へ歯車を投げているのだろう。
となれば、歯車を投げられてから命中するまでのごく短い時間で対処しなければならない。
ハルが思考を巡らせてる間に、
「ギギギアル、ギアチェンジ」
マキナは次の手に出る。
ギギギアルの体を構成する歯車が一瞬回転を停止し、一斉に逆回転を始める。
回転の変化によってエネルギーがチャージされ赤いコアが光りだし、ギギギアルのパワーを向上させる。
「見た感じ、積み技かな……えっと」
ハルは図鑑を取り出して技を調べる。
「ギアソーサー……攻撃力と、素早さまで上げるのか。これはこれ以上積ませるわけにはいかないね」
ギギギアルを見ると、若干回転速度が上がっている。能力上昇の影響だろうか。
「オノンド、炎の牙!」
斧のような牙に炎を纏わせ、オノンドは突撃して行く。
対して、
「ギギギアル、ぶち壊す」
赤いコアのエネルギーを駆け巡らせ、ギギギアルが全身に力を滾らせ、こちらも突撃を仕掛ける。
炎の牙を構えたオノンドと、力を溜め込んだギギギアルが激突。
だが攻撃力の上がった影響か、徐々にオノンドは押され、競り合った末にギギギアルが打ち勝ち、オノンドが吹き飛ばされる。
「まだまだ! オノンド、瓦割り!」
オノンドはすぐさま起き上がり、雄叫びと共に駆け出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
突っ込んでくるオノンドの動きを瞬時に計算し、ギギギアルは二つの歯車を投げる。
「オノンド、躱して!」
挟み込まれる寸前にオノンドは跳躍し、今度こそギアソーサーを躱す。
そのまま一気にギギギアルへと飛び掛かり、手形を振り下ろし、ギギギアルを床へと叩き落とす。

第119話 ジムバトル!イザヨイジムⅣ ( No.197 )
日時: 2017/06/27 09:33
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

オノンドが手刀を叩きつけ、ギギギアルは床へと落ちる。
しかしその直後、先ほどオノンドが躱した小さな歯車が戻ってくる。
戻ってきた歯車はオノンドを挟んで締め上げ、そのまま投げ飛ばす。
「ギアソーサーは最大二回まで攻撃できるノ。一度目を躱したからって、油断しちゃいけないわヨ」
歯車はギギギアルの元へと戻ってまた回転を始め、ギギギアルは再び浮上する。
「っ、なるほど……」
ハルはオノンドの方に目をやる。
オノンドも結構体力を消耗している。ギギギアルは攻撃力が上がっているため、撃ち合いになると不利だ。
「オノンド、ドラゴンクロー!」
両手に龍の力を纏わせ、蒼い光の爪を構えてオノンドが飛び出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
対するギギギアルは再び二つの小さな歯車を飛ばす。
「オノンド、弾け!」
両手を振るって左右から飛んでくる歯車を弾き飛ばし、オノンドは突き進む。
「炎の牙!」
歯車は弾き飛ばされてギギギアルの元へ戻ってしまい、オノンドが炎を灯した牙を振り抜き、ギギギアルを切り裂いた。
「オノンド、瓦割り!」
「ギギギアル、ぶち壊す」
さらに上空からオノンドは手刀を振り下ろす。
一方ギギギアルの全ての歯車が回転し、赤いコアにエネルギーが溜まる。
チャージされたエネルギーを体内に駆け巡らせ、ギギギアルはフルパワーでオノンドに激突する。
お互いの攻撃が激しく競り合うが、
「ギガスパーク」
全身にエネルギーを駆け巡らせたギギギアルの体に、電気が迸る。
電撃を体全体に纏い、ギギギアルは巨大な電撃の砲弾を放ち、オノンドを吹き飛ばした。
「っ!」
「とどめヨ。ギギギアル、ぶち壊す」
吹き飛ばされたオノンドへ、ギギギアルが渾身の力を込めて突っ込んでくる。
オノンドに激突し、オノンドは派手に吹き飛ばされ、床をバウンドしながら転がった。
「オノンド!?」
床に落ちたオノンドは手足を震わせて起き上がろうとするが、そこで力尽きて再び倒れ、戦闘不能となった。
「ここまでか……オノンド、お疲れ様。ゆっくり休んでて」
オノンドの頭を撫で、ハルはオノンドをボールへと戻す。
(今のギギギアルは攻撃力が上がってる。特にあの歯車の回転させた攻撃が……回転?)
ここでハルは思いついた。この方法なら、ギギギアルを倒せるかもしれない。
「……よし。初陣だ、頼んだよ。出てきて、ラプラス!」
四番手にハルが選んだのは、最近仲間になったばかりのラプラス。
ハルの作戦通りに行けば、確実にギギギアルを倒せる。
「あら、そのラプラス、アルス本社にいた子に似ているわネ。もしかして?」
「ええ。研究者の人たちが、お礼にって、ラプラスを譲ってくれたんです」
「なるほど。その子は珍しいポケモンなのヨ、大切に育ててあげてネ」
ラプラスを見てマキナは軽く微笑み、
「だけど、バトルは別ヨ。顔見知りのポケモンだからって、手加減はしないワ」
「勿論です。このラプラスなら、ギギギアルを倒すことができます」
「それじゃ、見せてもらうわヨ。ギギギアル、ギガスパーク」
ギギギアルの全身の歯車が回転し、赤いコアが激しく光りだす。
溜まったエネルギーを核として電撃が集まり、巨大な電撃の砲弾が放たれる。
「ラプラス、ハイドロポンプ! 軌道を変えて!」
ラプラスが大きく口を開き、鞭を振るうように大量の水流を放つ。
横から電撃の砲弾を叩き、砲弾は軌道が逸れ、ラプラスのすぐ横を通過していく。
「もう一度だ!」
すかさずラプラスはもう一度水流を吹き出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
ギギギアルの体を構成する二つの小さい歯車が放り投げられ、ラプラスへと向かってくる。
ギギギアルが水流を受けて押し流され、対してラプラスは二つの歯車に挟まれ、締め上げられる。
「ギギギアル、ぶち壊す」
二つの歯車を引き戻し、再びギギギアルは全身の歯車を回転させる。
再び赤いコアが光を放ち、今度はチャージされたエネルギーが全身を駆け巡り、ギギギアルに力を滾らせていく。
力を溜め込んだギギギアルが、渾身の突撃を仕掛ける。
しかし。

「それを待ってた! ラプラス、フリーズドライ!」

ラプラスが口を開き、氷点下の凍える冷気を放つ。
氷技はギギギアルに効果今一つ、しかし、ハルの狙いはそこではない。
ラプラスの放ったハイドロポンプによって、ギギギアルの体は濡れている。
つまり。
回転しながら突撃するギギギアルが、徐々に凍りついていく。ギギギアルの体が急速に冷やされ、濡れていた部分が凍っていくのだ。
「っ、やるわネ……!」
氷が邪魔をし、ギギギアルの歯車の体は回転することができなくなる。
そして回転ができなくなれば、ギギギアルは力を発揮できない。全身に溜め込んだパワーをみるみるうちに失い、墜落してしまう。
「これで決めるよ! ラプラス、ハイドロポンプ!」
再びラプラスが大量の水流を放射し、ギギギアルを押し流した。
水流に押され、ギギギアルは壁へ叩きつけられる。体を覆う氷は砕けるが、同時に体力も尽き、戦闘不能となってしまう。
「ギギギアル、お疲れ様。休んでてネ」
ギギギアルをボールに戻し、マキナはハルの方へ向き直る。
「なかなかやるじゃないノ。技の特徴をよく生かせているわネ」
「ありがとうございます。このラプラス、とっても賢いんですよ」
「そうみたいネ。では、次はこの子よ」
マキナが手にしたモンスターボールから、四番目のポケモンが現れる。
「おいで、アイアント」
鋼の装甲で全身を纏った姿をしているが、シルエットは完全に目の赤い大きなアリだ。

『information
 アイアント 鉄蟻ポケモン
 群れで生息し山に巣穴を作る。
 山の中の複雑に入り組んだ洞窟は
 アイアントの巣穴の可能性が高い。』

大きなアリのようなポケモンとはいえ、ポケモン全体の中ではかなり小柄だ。タイプは見た目通り、鋼と虫タイプ。
「やけに小さなポケモンだけど……ラプラス、油断しないで」
ハルの言葉にラプラスは頷き、アイアントを見据える。
「それじゃ、始めるわヨ。アイアント、ストーンエッジ」
マキナが指示を出すと同時に、アイアントは穴を掘って床下へと潜る。
視界から消えたことで警戒を強めるハルだが、直後、フィールド全体が大きく揺れる。
「なっ?」
それから一拍置き、ラプラス付近の床から立て続けに岩の柱が突き出す。
乱雑に放たれる岩の柱は逆に躱すのが難しく、何本かの尖った岩がラプラスを突き刺す。
「続けてアイアンヘッド」
押し戻されたラプラスが体勢を整えるが、その直後、今度はアイアントが地中からラプラスへ近づき、すぐ近くから飛び出し、硬い鋼の頭を向けて突撃する。
「ラプラス、冷凍ビーム!」
地中から強襲を仕掛けるアイアントに対し、ラプラスは角から凍える冷気の光線を放って迎え撃つ。
しかしアイアントの攻撃力がなかなか高い。ラプラスの放つ冷気の光線を打ち破り、鋼の頭突きがラプラスの顔面に直撃した。
「っ! ラプラス、大丈夫!?」
如何にも痛そうにラプラスは顔をしかめるが、すぐに顔を振って体勢を整え、頷く。
「ラプラス、ハイドロポンプ!」
ラプラスが大きく息を吸い込み、大量の水を吹き出す。
「アイアント、シザークロス」
しかしアイアントは不規則に、かつ素早く、水流を躱しつつラプラスへ近づき、鋼の顎を開いてラプラスを切り裂く。
「ダイヤブラスト!」
切り裂かれたラプラスの周囲に、白い光が迸る。
刹那、爆発と共にダイヤのように青白く煌めく爆風が起こり、アイアントを吹き飛ばした。
「ラプラス、続けて冷凍ビーム!」
ラプラスの角からさらに凍える冷気の光線が撃ち出され、吹き飛ぶアイアントへと追撃を仕掛ける。
「アイアント、ストーンエッジ」
しかし着地したアイアントはそのまますぐに床を食い破り、地中へと身を隠す。
「また来る……! だったらラプラス、渦潮!」
地面が揺れ、ラプラスの足元近くから無数の岩の柱が出現する。
対するラプラスは自らを中心に周囲へ波の渦を起こし、岩の柱を粉砕しようとするが、全てを破壊することはできずに岩の柱の直撃を受けてしまう。
「っ、なかなか威力が高い……ラプラス、まだやれる?」
何とか体勢を立て直し、ラプラスは頷く。
対するアイアントは床下から再び姿を現し、赤い瞳でラプラスを見据える。

第120話 ジムバトル!イザヨイジムⅤ ( No.198 )
日時: 2017/11/30 20:56
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: taU2X.e0)

120
「ラプラス、フリーズドライ!」
床下から姿を現したアイアントへ、ラプラスは息を吸い、氷点下の凍える冷気を放つ。
「アイアント、躱してシザークロス」
白い床を這い回って冷気を躱しつつ、アイアントは徐々にラプラスとの距離を詰めていく。
「それなら、渦潮!」
ラプラスが甲高い声で鳴き、周囲に波を起こす。
渦の波はラプラスを中心として広がり、アイアントの行く手を阻む。
「ならばアイアント、アイアンヘッド」
「ラプラス、ハイドロポンプ!」
顎を打ち鳴らし、アイアントは硬い頭部を構え、波の中を突っ切ってラプラスは頭突きを仕掛ける。
対するラプラスは口から大量の水を噴射し、突撃するアイアントを迎え撃つ。
激しく競り合った末、
「シザークロス!」
「させるか! 渦潮だ!」
再び顎を開いてラプラスを切り裂こうとするアイアントに対し、ラプラスは自身を中心に波の渦を起こす。
顎を開いて襲い掛かろうとするアイアントを波が攫い、マキナの元まで押し流し、アイアントの猛攻を何とか凌ぎ切った。
「なかなかやるわネ。今までのポケモンたちと違って徹底攻撃を得意とする私のアイアントを相手に、互角に渡り合うとはネ」
マキナがラプラスを見据え、感心したようにそう言う。
前日何試合かしてハルも分かっている。攻撃力も備えているが、ラプラスの最大の特徴はハルの手持ちの中でもトップクラスとなる耐久力とスタミナだ。
水の上でなければあまり身軽には動けないものの、それを補って余りある耐久力を持ち、相手の攻撃を耐え切った上で反撃に出ることができる。
「ええ。このラプラスの耐久力は、侮れませんよ」
何発も攻撃を受けラプラスのダメージも決して小さくはないが、それでもまだ戦える。
「よし! ラプラス、ハイドロポンプ! 薙ぎ払って!」
ラプラスが口を開く。大きく首を振るい、鞭を振るうように大量の水を発射する。
「アイアント、躱してシザークロス」
飛び跳ね、這いずり、アイアントは水の柱を躱しながらラプラスへと接近していく。
「ラプラス、押し流して! 渦潮!」
ハイドロポンプが躱されたのを見て、すぐさまハルは次の指示を出す。
ラプラスは周囲へと渦の波を放出し、徐々に迫り来るアイアントを遠ざけようとする。
「アイアント、躱しなさい」
対してアイアントが素早く飛び退き、ラプラスを中心に渦巻く波から逃れる。
距離を取らせ、一旦立て直そうとするハル。
だが。

「馬鹿力」

飛び退いたアイアントが、地面を蹴って再びラプラスへと飛び出す。
「なっ!? ラプラス——」
慌ててハルが指示を出そうとしたが、既に遅い。
渾身の力を込めてアイアントがラプラスへ激突し、ラプラスの巨体を吹き飛ばした。
「っ、ラプラス!」
馬鹿力は格闘技。氷タイプを持つラプラスには、効果抜群。
「フフフ、切り札はここぞという時まで隠しておくものヨ。いくら耐久力に優れているといえど、今ラプラスは私のアイアント最強の技を効果抜群で受けた。もう一、二発ほど技を当てれば、そろそろ限界よネ」
ニヤリとマキナは笑い、
「アイアント、ストーンエッジ」
アイアントにとどめの一撃を指示する。
マキナの元へと戻っていたアイアントはすぐさま床へと潜る。
「っ、ラプラス、一発だけ耐えて! フィールド全体へ、冷凍ビーム!」
角の先からラプラスが全方位を薙ぎ払うように凍える冷気の光線を放つ。
光線は濡れた床を走らせ、床全体を凍りつかせてしまうも、地中のアイアントには届かず、その直後フィールドが揺れてラプラスの周囲から氷を突き破り、尖った岩の柱がラプラスを突き刺す。
それでも、ラプラスはまだ耐えた。しかし次の一撃を受ければ、もう持たないだろう。
ただ、
「アイアントを捕らえましたよ」
自信満々に、ハルはそう告げる。
「フィールドを凍らせてしまえば、アイアントは出てこられない。ストーンエッジで開けた穴から水を打ち込めば、アイアントは逃れられませんよね」
「甘いわネ。私のアイアントの顎の力はこのフィールドすら食い破る。氷を砕くくらい、造作もないワ。アイアント、帰って来なさい」
マキナの言った通りだった。マキナの近くの氷にヒビが入り、床から鋼の大顎が現れ、氷を砕く。
そして。
「今だラプラス! ハイドロポンプ!」
その瞬間をラプラスは見逃さなかった。
床から出て来た瞬間のアイアントへ、大量の水が発射され、アイアントを水流に飲み込み、押し流し、壁へと叩きつけた。
「っ! アイアント……」
どうやら耐久力は低いらしい。叩きつけられたアイアントは、目を回して床へ落ち、戦闘不能となってしまった。
「……やるじゃないノ。アイアントの動きを誘導したのネ」
「ええ。氷が割れたところを狙うつもりでした」
ハルの狙い通り。ラプラスがハイドロポンプを鞭のように薙ぎ払ったことで地面を濡らし、それを利用して床を凍らせ、アイアントの位置を特定させ、確実に攻撃を当てられるようにしたのだ。
「アイアント、お疲れ様。休んでてネ」
「ラプラス、ありがとう。ゆっくり休んで」
アイアントを倒した直後、ラプラスもダメージが限界だったのか、床に横たわってしまった。
お互いにポケモンを戻し、そして最後となるボールを手に取る。
「頼んだよ、ルカリオ!」
「おいで、ハガネール」
ハルの最後のポケモンは、エースのルカリオ。
そしてマキナのエースは、複数の鋼の鉱石が連結したような体を持つ巨大な大蛇のような姿のポケモン。頭部が非常に大きく、特徴的な大顎の形をしている。

『information
 ハガネール 鉄蛇ポケモン
 地中の奥深くに生息するがその
 巨体故に動くだけで地震を起こす。
 皮膚はあらゆる金属よりも頑丈だ。』

鋼と地面タイプを併せ持つポケモン。そして一番の特徴は、何よりその規模。
物凄く大きい。目測だが、10メートルはある。
野太い声で咆哮し、大気を震わせ、ハガネールは赤い瞳でルカリオを見下ろす。
「なんて大きさだ……こんな大きいポケモン、初めて見たよ」
カガチのバクーダを遥かに凌ぐ大物。だが、負けるわけにはいかない。
「分かっているとは思うけど、このハガネールは私のエース。すなわち、最強のポケモンなのヨ」
「分かってます。でも、僕のルカリオもエースなんです。負けられません」
ハルの言葉と共に、ルカリオは両手から青い波導を噴き出す。
「なるほど。では、始めるわヨ」
「はい! ルカリオ、ボーンラッシュ!」
ルカリオが両手を構えると、青い波導が長い骨の形を作り上げる。
骨のロッドを掴み、ルカリオは一気にハガネールとの距離を詰め、骨のロッドで殴りかかる。
しかし、
「っ!?」
ガキィン! と音が響き、ハガネールに叩きつけた骨が逆に弾かれた。
どうやらその見た目通り、その鋼の胴体はとてつもなく硬いようだ。
「だったら、やっぱり本気で行くよ! ルカリオ!」
骨のロッドを青い波導へと戻し、右手に纏わせ、ルカリオはハルの言葉に頷く。
「僕と君の、絆の力に応えて! ルカリオ、メガシンカ!」
ハルのキーストーンの光にルカリオのメガストーンが反応し、光を放つ。
七色の光に包まれ、ルカリオはその姿を変化させていく。
黒い模様を体に刻み、咆哮と共に光を薙ぎ払い、ルカリオはメガシンカを遂げる。
対して。
「なるほど」
何やら意味深な表情と口調で、マキナは頷く。
そして、
「ならば、こちらも」
そう返し、マキナは機械化した右腕を上げ、その掌を突き出す。
その掌の真ん中に填め込まれているのは、ハルが持つ輝く石と同じ。
すなわち、キーストーン。

「全ての数値を、凌駕する。計算しきれないほどの鋼の暴力を——ハガネール、メガシンカ」

ハガネールの顎の下に装着されていた小さな機械。
そこに填め込まれていたメガストーンが、光を放つ。
マキナのキーストーンとハガネールのメガストーンが七色の光を放ち、双方の光が繋がり、ハガネールを包む。
光がハガネールの体を包むが、たたでさえ圧倒的な巨体を持つハガネール、そのシルエットはあまり変わらない。特徴的な顎がさらに大型化した程度だ。
明確な変化が見られたのは、光を薙ぎ払ってその姿を現した直後。体を構成する鉱石の一部がさらに硬質化し、鋼の皮膚が剥がれ落ち強固な結晶体へと変化する。
そして剥がれ落ちた金属片は地面に落ちることなく、ハガネールの首回りを浮遊して回転し始めたのだ。
「これが、メガハガネールか……」
よく見ると、少しだけだがさらに大きくなっているように見える。もう少し首を上げれば、天井にぶつかってしまいそうだ。
「さあ、ハルサン。貴方のメガシンカの力と私のメガシンカの力、どっちが強いか、勝負ヨ」
「望むところです。絶対に、負けませんよ」
双方のエースとなるメガシンカポケモンが、真っ白なバトルフィールドに相対する。


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