二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケットモンスター 魔王と救世の絆
- 日時: 2018/04/30 21:14
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)
こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。
※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。
それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。
登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45
プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204
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- 第34話 ジムバトル! サオヒメジムⅣ ( No.79 )
- 日時: 2016/12/05 09:06
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: jJGlzzOL)
- 参照: アリスのエースポケモン、ライボルト、満を持して登場!
地中に潜ったワルビル。
それに対して、マルマインは途切れることのない高速移動て翻弄する。
しかし、遂に。
「……今だ! ワルビル!」
マルマインの動きを完全に見切ったワルビルが地中から飛び出し、マルマインを突き飛ばした。
「っ……! やるじゃないの! マルマイン、シグナルビーム!」
空中に打ち上げられたマルマインは、すぐさま激しく点滅する光線を放つが、
「ワルビル、躱して噛み砕く!」
光線を躱してワルビルは大きく跳躍し、大顎を開き、頑丈な無数の牙をマルマインに食い込ませる。
そのまま首を大きく振り、マルマインを硬い金属の床へと投げ飛ばした。
「マルマイン……!」
ひっくり返って目を回し、マルマインは戦闘不能となっていた。
「マルマイン、お疲れ様。休んでて」
マルマインをボールへと戻し、アリスはハルの方を向く。
「たった二度目でマルマインのスピードを見切るなんて。流石ね」
「そのマルマインはスピードは速いけど、加速しているわけじゃありません。それに、速すぎるせいで急に軌道を変えられないのか、ずっと同じ軌道を描いてることに気づいたんです。地中で暮らしていて感覚の鋭いワルビルなら、捉えられると思ってました」
ハルの言葉に、アリスは感心したように頷く。
「なるほどねぇ。自分のポケモンの長所を把握し、ポケモンとの信頼関係があって初めて成せる技ね。やっぱり君は、ポケモンと仲がいいのね」
だけど、とアリスは続け、
「仲がいいだけじゃ、私に勝つことはできないよ。最後のポケモンがどの子か、ハル君はもう分かってるよね」
「……ええ。もちろんですよ」
間違いなく、最後のポケモンはあのポケモン。
今までの三体よりも明らかに強い強敵だが、勝たなければジムを制覇することはできない。
「それじゃあ、行くよ!」
アリスが、最後のボールを取り出す。
「輝け、ライボルト!」
アリスの最後のポケモン、ライボルトが姿を現した。
鋭く逆立つ黄色い鬣、稲妻のように鋭い眼光。体毛に隠れたネックレスの先には、メガストーンが煌めいている。
「やっぱりライボルトか……強敵だけど、勝たなきゃ先に進めない。ワルビル、やるぞ!」
じっとこちらを見据えるライボルトに対し、ワルビルは大きく吼えて威嚇する。
「始めるわよ! ライボルト、火炎放射!」
「ワルビル、穴を掘る!」
ライボルトが灼熱の炎を吹き出し、対するワルビルは素早く穴を掘って地中に身を隠す。
地下からライボルトとの距離を詰め、ライボルトの足元から勢いよく飛び出す。
しかし、
「ライボルト、躱して!」
床にヒビが入った時、ワルビルが飛び出すよりも早く、ライボルトは素早く飛んでワルビルの一撃を躱し、
「目覚めるパワー!」
間髪入れずに無数の水色のエネルギーの球体を撃ち出す。ワルビルに命中すると球体は炸裂し、冷気を吹き出す。氷タイプの目覚めるパワーだ。
「火炎放射!」
さらにライボルトはもう一度灼熱の炎を吹き出した。
「っ、ワルビル——」
指示を出すよりも早く、ワルビルは灼熱の炎に飲み込まれた。
体を黒く焦がしたワルビルは、力なく床に落ち、そのまま戦闘不能となった。
「くっ……ワルビル、よく頑張った。後は任せて」
ハルはワルビルを労い、ボールに戻す。レアコイルとマルマインを立て続けに倒してくれたが、ライボルトには敗れてしまった。
「やっぱり、最後は君しかいないね。何としても勝とう! 頼んだよ、リオル!」
ハルの最後のポケモンは、エースのリオル。右手から放つ青い波導も、いつもより勢いが強い。
「最後のポケモンはリオルね。まだ進化していなくても私には分かるわ。今までの三匹も君のことをよく信頼していたけど、リオルと君との絆は今までの三匹よりも強い」
「ありがとうございます。僕の初めてのポケモンですからね」
ハルの言葉を聞いて、アリスは小さく微笑み、
「最後のバトルを始めましょうか! ライボルト、火炎放射!」
「望むところです! リオル、発勁!」
ライボルトが灼熱の炎を吹き出し、それに対してリオルは右手に燃える炎のような青い波導を纏う。
右手を勢いよく突き出し、襲い来る炎を吹き飛ばした。
「電光石火!」
床を蹴り、猛スピードでリオルが飛び出す。
一気に距離を詰め、反撃の隙を与えず、ライボルトを突き飛ばした。
「ライボルト、シグナルビーム!」
「リオル、真空波!」
ライボルトの鋭い瞳から、激しく光を放つ光線が撃ち出される。
リオルは素早く右手を振って真空の波を放ち、光線を防いだ。
「目覚めるパワー!」
「躱して発勁!」
ライボルトが吼え、無数の水色のエネルギー弾を放つが、リオルは右手に波導を纏って突撃。
球体を飛び越え、掻い潜りながら一気に距離を詰め、波導を纏った右手を叩きつけ、ライボルトを突き飛ばした。
「やるじゃないの……! 小さくても、スピードもパワーも一級品! これが君のエースね!」
アリスが楽しそうに笑い、ライボルトが低く唸る。
(……来る!)
直感的にハルは感じ取った。
そして、
「……ライボルト」
それは来た。
アリスが右手を天に掲げる。右手首のブレスレットから、眩い光が放たれる。
それに呼応し、ライボルトの首元のメガストーンも閃光を放つ。
「絆の煌めき、閃光の如く! ライボルト、メガシンカ!」
アリスのキーストーンとライボルトのメガストーンの光が、一つに繋がる。
七色の光が、ライボルトの姿を変化させていく。
体毛が、鬣が、稲妻のように鋭く逆立つ。咆哮と共に、雷の獣が、電撃と光を解き放った。
「メガシンカ——メガライボルト!」
ライボルトが、雷の如く天を貫く咆哮を放つ。
アリスの切り札、メガシンカだ。
「遂に来たか……! リオル、気をつけて戦うよ! こっちも全力で行こう!」
メガライボルト相手に一歩も引かず、ハルとリオルは立ち向かう。
「よし! リオル、サイコパンチ!」
念力を右手に纏わせ、リオルは地を蹴って飛び出す。
だが。
「ライボルト、サンダーブラスト!」
身体中に纏う電撃をライボルトは周囲に解き放った。
ライボルトを中心として電撃の衝撃波が飛ぶ。リオルの右手を纏う念力を突き破り、逆にリオルを弾き飛ばした。
「リオル! 大丈夫!?」
電撃を受けて吹き飛ばされたリオルは、起き上がると自分の頬を叩き、気合いを入れ直す。
「休む暇はないわよ! ライボルト、火炎放射!」
ライボルトが大きく息を吸い込み、灼熱の業火を放射する。メガシンカする前より、明らかに炎の勢いが増している。
「リオル、躱して真空波!」
大きく跳躍して炎を躱すと、リオルは素早く腕を振って高速の真空の波を飛ばし、
「電光石火!」
真空波をライボルトに命中させたところに、さらに猛スピードで突っ込んでいく。
「ライボルト、躱して目覚めるパワー!」
だが素早さも上がっているようで、ライボルトは瞬時にリオルの突撃を躱し、水色のエネルギー弾を無数に撃ち出す。
「リオル、発勁!」
球体も大きくなっているが、当たらなければ問題ない。無数のエネルギー弾を潜り抜け、リオルは波導を纏った右手を構えてライボルトとの距離を詰めていく。
- 第35話 ジムバトル! サオヒメジムⅤ ( No.80 )
- 日時: 2016/12/06 17:08
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: cYeSCNTQ)
- 参照: 波導、覚醒——
波導を右手に纏ったリオルが、ライボルトへ向かっていく。
「ライボルト、シグナルビーム!」
対して、ライボルトは瞳から激しい光を放つ光線を発射してリオルを迎撃する。
波導を纏った右手が光線を打ち消すが、発勁も止められてしまう。
「サンダーブラスト!」
電気を纏い、ライボルトが飛び出す。
リオルとの距離を詰めながら、纏った電撃を衝撃波として一斉に放出する。
「っ、リオル、躱して!」
大きく横っ飛びして、リオルは何とか電撃の衝撃波を躱す。
「真空波!」
「火炎放射!」
リオルが素早く腕を振り、高速の真空の波を飛ばす。
だが真空波を受けてもライボルトは怯まず、すぐさま灼熱の業火を吹き出し、リオルに炎を浴びせて吹き飛ばす。
「ライボルト、シグナルビーム!」
さらにライボルトは激しく点滅する光線を発射し、追撃を仕掛ける。
「くっ……リオル、躱してサイコパンチ!」
咄嗟に横に転がり、リオルは光線を躱すと、右拳に念力を纏わせて起き上がり、再びライボルトへと向かっていく。
「ライボルト、サンダーブラスト!」
ライボルトが電気を纏い、電撃の衝撃波を放出するが、
「来るよリオル! 躱して!」
リオルは跳躍してそれを躱し、上空から念力の拳をライボルトの額へと叩き込んだ。
「ライボルト、目覚めるパワー!」
殴り飛ばされたライボルトはすぐさま起き上がり、周囲へと無数のエネルギー弾を放つ。
「リオル、真空波!」
対して、リオルは腕を振って真空の波を放ち、自分の方へ向かってくる球体を打ち消し、
「電光石火!」
地を蹴り、目にも留まらぬ猛スピードでライボルトへ突っ込む。
しかし。
「ライボルト、一発耐えなさい! サンダーブラスト!」
リオルの高速の突撃を、ライボルトはしっかりと地面に足をつけて耐え切った。
「まずい……! リオル、発勁!」
リオルが右手に波導を纏わせ、突き出したその瞬間。
ライボルトの身体から強烈な電撃の衝撃波が周囲一帯に放出され、リオルの波導の右手を打ち破り、リオルを吹き飛ばした。
発勁で多少威力を抑えたが、それでもライボルトの主力技、その威力はかなりのもの。
「くっ、リオル、まだ行ける?」
リオルはフィールドに手を付き、起き上がって自信を鼓舞するように叫ぶ。決してダメージは小さくないが、それでもまだやれる。
「ライボルト、火炎放射!」
「リオル、躱してサイコパンチ!」
ライボルトが灼熱の業火を噴射し、対するリオルは右拳に念力を纏わせ、炎を躱してライボルトへ殴りかかる。
「ライボルト、躱してシグナルビーム!」
ライボルトは真上に跳躍し、リオルの念力の拳を回避、上空から激しい光を放つ光線を発射する。
「リオル、躱して発勁!」
光線を躱したリオルは床を蹴って跳躍し、上空のライボルトへと波導を纏わせた右手を突き出す。
しかし。
「今よライボルト! サンダーブラスト!」
空中でライボルトが大きく身を捻り、リオルの拳を躱す。
そして間髪入れず、身体中に纏わせた電撃を衝撃波と共に一斉に解き放った。
この至近距離で、しかも空中の攻撃を躱せるはずもなく、リオルは衝撃波を叩きつけられ、金属の床へと撃墜される。
「リオル……!」
「終わりにしましょう! 火炎放射!」
床へ落ちたリオルに、ライボルトは容赦なく炎を吹き出す。
「リオル! まだだ、立ってくれ!」
ハルの呼びかけに応えて、リオルは腕を震わせ、必死に起き上がろうと力を振り絞る。
眼前には、灼熱の業火がすぐそこまで迫るを
「リオル、僕たちは勝つ! 例え相手がメガシンカポケモンだって、勝つんだぁ!」
ハルの叫びが、リオルに届く。
リオルが、大きく、その瞳を見開いた。
刹那。
炎が吹き飛び、掻き消され、リオルの身体が青白く輝く光に包まれる。
「……っ、リオル……!」
「……へえ。やっぱり君は、ポケモンとの仲がいいんだね」
リオルを包む光は、紛れもない進化の光。
小柄なリオルのシルエットが変化し、大柄な人型の獣人のような姿に変わっていく。
光が消えると、リオルは進化して別の姿になっていた。
リオルの面影を残しながら大きくなり、細身ながらもがっしりとした体つき。胴体には薄橙の体毛が生え、腕や胸には鋼の棘を持っている。
『information
ルカリオ 波導ポケモン
あらゆる生命の波導を感じ取れる。
1km離れた相手の感情をも理解し
見えない敵の場所も正確に読み取る。』
「ルカリオ……進化してくれたんだね!」
立ち上がったルカリオはハルの言葉に応え、静かに頷く。
「行ける、勝てるよ! この勝負、絶対勝とう!」
対して、アリスも不敵に笑う。
「進化しただけじゃ、私には勝てないわ。私に勝ちたかったら、私とライボルトと上回る絆を見せ——」
そこで、アリスは言葉を止めた。
なぜなら。
ルカリオが普通では考えられないほど膨大な量の波導を纏っているからだ。
「これは……!」
アリスの表情に浮かぶ驚愕。
その驚きは、
「……すごい! ハル君、やっぱり君はすごいトレーナーだよ!」
次第に楽しむような笑みへと変わっていく。
「そのルカリオの膨大な波導の力、それは、君とルカリオの絆の力! ポケモンはトレーナーとの絆を得て、最大まで力を引き出せる。そのルカリオは、ハル君との絶対的な絆を得た上で、その力を使いこなせているのね……!」
心の底から楽しそうな表情を浮かべ、アリスは叫ぶ。
「ライボルト、すごいよ! この子、私たち以上かもしれない! この子たちになら、もしかしたら……!」
最高の笑顔で、アリスはハルの方に向き直る。
「君の輝きと私の輝き、どっちが強いか勝負! さあ! その絆の力を! 私たちに見せてよ!」
「絆の力……それが、この力の正体」
ようやく分かった、リオルの時からの特別な力。
それは、ハルとルカリオの絆によって生み出される力だったのだ。
「ええ! 僕とルカリオは、絶対に負けません! ルカリオ、発勁!」
ルカリオの右手から、爆発するように青い波導が噴き出す。
地を蹴り、ルカリオは一気にライボルトとの距離を詰め、波導の右手を叩き込む。
「格段に威力が上がってる……! ライボルト、サンダーブラスト!」
すぐに体勢を立て直し、ライボルトは電気を溜め込み、衝撃波と共に電撃を放出するが、
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
対して、ルカリオは骨の形をした長い波導のロッドを作り上げる。
地面タイプの技のボーンラッシュなら、電気タイプの技を打ち消せる。波導のロッドを構えてルカリオが突撃し、電撃の衝撃波を難なく打ち破り、さらにライボルトを殴り飛ばす。
「躱してシグナルビーム!」
立て続けに繰り出されるロッドの連続攻撃を躱しつつ、ライボルトは瞳から激しく点滅する光線を放ち、ルカリオを押し戻す。
「火炎放射!」
「発勁で防いで!」
さらにライボルトが灼熱の業火を吹き出すが、ルカリオは波導を纏った右手を振り抜いて炎をなぎ払い、
「サイコパンチ!」
念力を纏った拳を構え、一気にライボルトとの距離を詰め、殴り飛ばす。
「ルカリオ! 次で決めるよ!」
「へえ! それならライボルト、こっちも次で終わりにしましょう!」
両者が、最後の技を繰り出す。
ルカリオが体を纏う全ての波導を一点に集め、ライボルトは体の全ての電気エネルギーを溜め込んでいく。
「ルカリオ、波導弾!」
「ライボルト、サンダーブラスト!」
ルカリオの構えた両手から、全ての波導を凝縮した巨大な波導の念弾が撃ち出される。
ライボルトもあらん限りの電撃を全て、衝撃波と共に解き放つ。
波導の念弾と電撃の衝撃波が、正面から激突。
轟音を立てて双方が競り合い、その末に、遂に波導の念弾が衝撃波を打ち破った。
止めるものがなくなった波導弾は、そのまま一直線に飛び、ライボルトを捉えた。
「……すっごい」
ライボルトが倒れ、光と共に姿が元に戻る。
目を回し、戦闘不能となって倒れていた。
「お見事ね。私とライボルトの絆を、君とルカリオの絆の力が上回った。あの力を発揮できたのがその証よ」
「ありがとうございます。やっとこの力の正体を知ることができました」
ハルと同時に、ルカリオもアリスに礼を言う。
「それじゃ、これを」
アリスは微笑み、小さな箱からバッジを取り出す。
青い無数の火花が飛び散る、黄色の稲妻を模した模様のバッジだ。
「サオヒメジム制覇の証、ライトニングバッジ。大事にしてね?」
「はい、ありがとうございます!」
ハルのバッジケースに、四つ目のバッジが填め込まれた。
「……それと」
と、そこでアリスがさらに口を開く。
「このあと時間あるかしら? よかったら、この街の外れの塔に来てほしいのだけれど」
「……? いいですけど、何かあるんですか?」
ハルの疑問に対し。
アリスは、こう答えた。
「そこで君に継承したいの。私を超える絆を持つ君とルカリオに、メガシンカの力をね」
『information
ジムリーダー アリス
専門:電気タイプ
異名:閃光煌めく戦乙女(スパークヴァルキリー)
家系:継承者』
- 第36話 強奪 ( No.81 )
- 日時: 2016/12/07 13:14
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ハルに与えられし、メガシンカの力——
「メガシンカを……継承……?」
突如アリスから告げられた、継承という言葉。
「そうよ。私の先祖は古くからメガシンカの使い手の家系なの。メガシンカの伝わる街には、継承者って言われる人たちがいてね。その継承者たちは、大元を辿れば皆私のご先祖様の子孫なのよ。例えば、カロス地方ってところにもジムリーダーをやってる継承者がいるわ」
さらにアリスは言葉を続け、
「継承者の使命は、優秀なトレーナー——それもポケモンと強い絆で結ばれたトレーナーを見極め、メガシンカの力を継承すること。今のバトルで確信したわ。君とルカリオには、その資格がある」
「……僕が、ですか……?」
「そうよ。さっきも言ったけど、あのルカリオの力は君との絆があってこその力。メガシンカにはね、強い絆の力が必要なの。だから普通のトレーナーには扱えない。だけど、君くらいの力があれば、きっとメガシンカを使えるはず」
「……」
ハルにはまだアリスの言うことが信じられない。正確には、自分がそんなトレーナーであるということが。
「とにかく、私と一緒に、街の外れの塔——エボルヴタワーに来て。そこで私の父さんが待ってるわ」
「……はい」
アリスに連れられ、とりあえずハルは塔へと向かう。
街外れの塔——エボルヴタワー。
外観は物寂しい寂れた塔だが、その中は石造の構成をそのままにきちんと整備されていた。
「父さん! メガシンカの継承者となるトレーナーを、連れてきたよ」
「お、お邪魔します……」
アリスとハルが塔の中に入ると、白衣を着た大柄の男性がゆっくりと振り返る。
「よく来たね。名前はアリスから聞いているよ、ハル君だったね。僕の名前はリデル、アリスの父親で、この塔の管理者だ。メガシンカについての研究も行っているよ」
リデルと名乗った男性は、にこやかに笑って自己紹介する。
「さて。アリスの話によると、君とルカリオが絆の力を扱えると聞いた。アリスは人を見る目は一流だから間違いはないと思うが、僕も興味がある。君ほどの若いトレーナーに継承するのは、私の知る限り初めてだからね。一度、君のルカリオを見せてくれたまえ」
「はい。ルカリオ、出ておいで」
リデルに促され、ハルはルカリオを出す。
「……ほう。まだまだ伸びしろのあるポケモンだね。そして、君のことをよく信頼している。そんな目をしているよ。そうだろう、ルカリオ?」
リデルがそう尋ねると、ルカリオはゆっくりと頷く。
「よろしい。この子たちなら、メガシンカの力を扱えるだろう。アリス、キーストーンを」
「はいよ。ちょっと待ってね……」
アリスは部屋の隅から小さな箱を持ち出し、その箱を開ける。
その中には、アリスの腕のブレスレットに填められたものと同じ宝玉が入っていた。
「これが……メガシンカの力を使う石」
「そう、キーストーンよ。そして」
アリスがリデルの方を振り向き、リデルはもう一つの箱を取り出し、開ける。
「これはメガストーン、ルカリオナイト。ルカリオのメガシンカに必要なものだ。僕はメガストーンマニアでね、使いもしないメガストーンをいくつも集めている。一つくらい譲っても何ということもない、寧ろそのために集めているくらいだしね」
「さあ、受け取って。そして、ここでメガシンカを試してみて。ちゃんとメガシンカ出来れば、その時はハル君、君にメガシンカを正式に継承するよ」
「……はい」
覚悟を決め、ゆっくりとハルはキーストーンに手を伸ばす。
だが、その時。
ズドォォォォン!! と。
轟音が響き、塔の外壁に大穴が開けられた。
「っ……!」
「何者だ!」
ハルとアリスが振動によろめく中、リデルはメガストーンの箱を閉じて素早く身構える。
対して、
「これはこれは継承者親子。お久しぶりです」
穴の空いた塔の淵に立つのは、教皇が着るような黄金の祭服に身を包み、十字架のような杖を持った老人の男性。
「あんたは……!」
「ディントス教の教皇が、ここに何の用かな」
アリスとリデルが、素早くボールを取り出す。
「教皇……ってことは、まさか」
「察しがいい少年だ。我が名はディントス。世界に救いをもたらすために、メガシンカの力を、メガストーンを戴きに参った」
その男はディントスと名乗り、指を鳴らす。
するとその左右に見覚えのある男女が姿を現す。ディントス教司教、ミョルとグングだ。
「父さん、ハル君を守って! こいつらは私が追い出す! ライボルト、出てきなさい!」
メガストーンの箱を持ったまま、アリスが一歩踏み出し、ライボルトを繰り出す。
「やはりただでは得られぬか。ならばこちらも! 神道を示せ、ギルガルド!」
対してディントスが繰り出すのは、盾を構えた剣そのものの姿をしたポケモン。
『information
ギルガルド 王剣ポケモン
王の素質を持つ人間を見抜く力を
持つ。強大な霊力で人やポケモンの
心を操り思いのままに従わせる。』
「一撃で仕留める! ライボルト、メガシンカよ!」
アリスのブレスレットのキーストーンの光に、ライボルトのメガストーンが反応する。
光が一つに繋がり、ライボルトの姿を変えていく。
「覚悟しなさい! ライボルト、火炎放射!」
メガシンカしたライボルトが、灼熱の業火を吹き出す。
対して、
「ギルガルド、キングシールド!」
ギルガルドが神々しい光を放つ純白の結界を張る。
灼熱の炎は、結界に触れた瞬間に消滅してしまう。
「聖なる剣!」
刹那、ギルガルドが構えた盾を手に取り、刀身の体を現す。
一瞬でライボルトとの距離を詰め、体を一振りし、ライボルトを叩き斬る。
「っ! ライボルト、サンダーブラスト!」
「甘いな。ギルガルド、キングシールド!」
ライボルトが纏った電撃を衝撃波と共に解き放つが、再びギルガルドは盾を構え、純白の結界を張る。
ライボルト最大の大技、電撃の衝撃波でさえも、結界に触れた瞬間に消滅してしまう。
「隙あり! ライボルト、火炎——」
結界が消えた瞬間を狙い、次なる攻撃を指示しようとするアリス。
しかし。
「ランプラー、サイコキネシス!」
ディントスの影に隠れていた司教、グングがいつの間にかランプラーを出していた。
ランプラーが念力を発生させる。その狙いはライボルトではなく、アリスの持つ小さな箱。
つまり、キーストーン。
「しまっ……! ライボルト、箱を!」
咄嗟にライボルトが大きく跳躍し、箱を取り戻そうと口を開くが、
「させません! ニダンギル、イビルスラッシュ!」
ミョルのニダンギルが飛び出し、瞬時に連続の斬撃を放ち、ライボルトを叩き落とす。
ランプラーが箱を引き寄せ、グングがキーストーンを手中に収めた。
「キーストーンは戴いた。それでは、さらばだ」
そう言うが早いか、ディントスはギルガルドに飛び乗り、そのまま塔から飛び去っていった。
- 第37話 ディントス ( No.82 )
- 日時: 2016/12/07 21:22
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「……ハル君、父さん。ごめんなさい。奴らを撃退する前に、まずキーストーンを隠すべきだった。冷静な判断が出来なかったわ……」
頭を下げるアリスの表情には、怒りと後悔が浮かんでいた。
「お前だけの責任ではないよ、アリス。僕としたことが、目の前の敵だけに気を取られすぎた。ハル君、せっかく来てくれたのにこんな騒動に巻き込んでしまって、すまなかったね」
アリスに比べてリデルは幾分か冷静だったが、それでもその口調にはどことなく後悔の念が感じられた。
「しかしあのディントス教、いつの間にかあのような邪教まで成り下がりよって」
そこで、ハルがふと口を開く。
「……すいません。あのディントスって人、何者なんですか? ただの一宗教の教皇には見えないんですけど」
「……何者、か」
リデルは苦い顔を浮かべ、少しの間押し黙るが、
「……かつては、僕の友人だった男だ」
やがて、ゆっくりと語り出す。
「あれでも、昔はまっすぐに真剣に世の人々を救うことを考えていたんだがね。ある日突然、『V』などというよく分からん存在に心を奪われ、宗教を作り上げてまでその『V』を崇め、突然教祖を名乗り出した。その時に僕と大喧嘩して、縁をきっぱり切ったんだ。それ以降はもう他人さ」
はぁ、とリデルは深く息を吐く。
「そうだったんですか……」
「だが、最近の奴の言動を聞くと、奴の行動原理は人々を救う、だけではないように思える。何か、秘密がある。裏の目的があって盛んに活動をしている。そんな風に僕には見えるんだ」
それが分かれば、ディントス教の闇を暴く手がかりになるのかもしれない。
しばらく続く沈黙を破ったのは、アリスだった。
「ねえ、ハル君」
アリスに急に名前を呼ばれ、ハルは顔を上げる。
「ハル君と、君の友達を、危険に巻き込んでもいいかしら。私に、力を貸してほしい」
そう尋ね、アリスはハルの瞳を見据える。
「……はい。僕は構いません。ただ、サヤナがどうするかまで決める権利は僕にはない。司教に襲われかけたとはいえ、彼女はこの件に深くは関わっていませんし」
「分かっているわ。今から頭を下げに行く。父さん、私は行くわ。父さんはここを守ってて。奴らがまた来た時に、留守だといけない」
アリスの言葉に、リデルは黙って頷いた。
リデルに見送られ、ハルとアリスはエボルヴタワーを出て、街中へと向かう。
ポケモンセンターに入ると、ハルを待っていたのはサヤナだけではなかった。
「ハル! おかえり! アリスさんも一緒なんだね」
「久しぶりじゃん、ハル君。元気にしてた?」
黒いパーカーを羽織る気取った実力派の少年、スグリだ。
「うん、まあ何とかね。スグリ君も元気そうでよかった」
スグリに返事を返すと、ハルはサヤナの方を向く。
「サヤナ、僕とアリスさんから君に、話があるんだ」
「話?」
きょとんと首を傾げるサヤナだが、そこからの話はアリスに譲る。
「ええ。危険を伴うから、あくまでお願いよ。強制はしないわ」
そう言って、アリスは頭を下げながら次の言葉を続ける。
「ディントス教壊滅に、協力をしてほしいの」
「かいめつ?」
再び、サヤナはきょとんとした顔になる。
「詳しい話は終わってから話すわ。ただ、奴らは遂に一線を越えた。この街の宝物が、さっきディントスに強奪されたの。これ以上ディントス教の好き勝手を許すわけにはいかない。さっきも言った通り強制じゃないわよ。ただ、協力して——」
「いいよ」
全て言い終わる前に、サヤナはそう返した。
「私もポケモン取られかけてるし、他に被害を受けた人もたくさんいるんだよね。私は偶然ハルやアリスさんに助けられたけど、他に私みたいな怖い思いをする人がいてほしくない。ちょっと不安ではあるけど、協力するよ」
「……ありがとう」
「だったら、オレも手伝いましょうか?」
唐突に、スグリか口を開く。
「正直、オレもさっき司教とかいうのに狙われたんすよ。ま、オレ強いから軽くあしらってやりましたけどね。面倒事は嫌いっすけど、あいつら、間違いなく悪いやつなんでしょ? それなら性格上、そういうの気に食わないんで、手伝いますよ」
そう言って、スグリはニヤリと笑う。
「……助かるわ。私とうちのジムのトレーナーたち、それに君たち三人がいれば、絶対に負けないわね。ありがとう、それじゃ三人とも、一回ジムに来てくれるかしら」
そして、アリスは三人をジムに連れ、エボルヴタワーであったことの一部始終を説明する。
さらにジムトレーナーたちも呼び寄せ、教会突撃の段取りを立てる。
着々と、ディントス教壊滅の作戦会議は進んでいった。
キーストーンを強奪し、教会に戻ったディントスは、誰もいない聖堂の巨大な十字架の前で祈りを捧げ、独り言をぶつぶつと呟いていた。
「仰せの通りに、キーストーンを回収いたしましたぞ」
そう呟きながら、ディントスは手にしたキーストーンを掲げる。
その時。
『よくやりました、ディントス』
誰もいないはずの聖堂に、どこからか声が響く。
「……『V』様。この後は、私はどのようにいたしましょうか」
『そうですね。明日、私がキーストーンの回収に上がります。それまでは特に動く必要もありません。ですが、くれぐれもキーストーンを失うことのないよう、存分に気をつけるのですよ』
「心得ております。私は『V』様の一番の信仰者たるもの。このディントスにお任せください」
『キーストーンが私の手に渡った暁には、貴方の絶対的な地位を約束しましょう。それでは、また明日』
笑い声が響き、音源の分からぬ声は、それきり聞こえなかった。
残ったディントスは不敵に笑うと、立ち上がって杖を突き、聖堂を去っていった。
- 第38話 激突 ( No.83 )
- 日時: 2016/12/08 11:01
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ディントス教とアリス率いる精鋭、激突!
「これはこれはジムリーダー一行。我々ディントス教に何の用かね」
「キーストーンを取り戻しに来たのよ。ついでにディントス教もぶっ潰すの」
ディントスが支配する教会の大聖堂に、二つの集団が対峙していた。
かたやジムリーダーのアリス率いるディントス教壊滅部隊。かたや教皇ディントスが牛耳るディントス教信者。
一触即発の雰囲気の中、先頭に立つそれぞれのリーダー、アリスとディントスが睨み合いを続けている。
「今ここでキーストーンを返して土下座するというのなら、それで許してあげるけど」
「ふっ、つまらぬ冗談よ。『V』様の加護がある限り、我々ディントス教の敗北などあり得ない。貴様らを叩き潰し、そのポケモンも『V』様への献上物にしてやろうか」
「交渉決裂ってわけね。それじゃあ、こっちも手段は選ばないわよ!」
モンスターボールを取り出し、アリスは大声で叫ぶ。
それに呼応し、ハルたちも一斉にそれぞれのボールを取り出した。
「あくまでやる気のようだな。『V』様は資格のある者しか救いを与えない。迷える子羊は導きたいところだが、生憎救いの手は貴様らには向けられないようだ。お前たち、この異教のサル共に、裁きの鉄槌を」
ディントスも静かにボールを取り出し、それに呼応する信者も戦闘態勢に入る。
それが戦闘開始の合図となった。サオヒメのジムトレーナーとディントスの背後に控える信者たちが一斉に飛び出し、大聖堂が瞬く間に混戦の地となっていく。
「さあ、我々も始めようか!」
ディントスが叫ぶと、その背後から司教の二人組、ミョルとグングが姿を現す。
「スグリ君、サヤナちゃん! 司教二人をお願い! ハル君、私と一緒にディントスを倒すわよ!」
「はい!」
ハルは一歩踏み出し、アリスの横に並ぶ。
「さぁてお二人さん、今度こそ本気でかかって来なよ。サヤナちゃん、後衛を頼むよ」
「任せて! 私だって、戦えるんだから!」
スグリとサヤナが対峙するのは、司教の二人組。
「いいでしよう。ただし」
「貴方たちが敗れた時、その手元にポケモンが残ると思わないことですよ」
こちらもこちらで、戦闘に入る。
「神の道よ、ニダンギル!」
「神の命よ、ランプラー!」
ミョルとグングが繰り出すのは、やはりニダンギルとランプラー。
「頼んだよ、コドラ!」
「出て来い、フローゼル!」
サヤナのポケモンはコドラ、そしてスグリのポケモンはブイゼルを一回り大きくしたようなポケモン。首を覆っていた浮き袋は背中にかけて広がっている。
『information
フローゼル 海イタチポケモン
昔から人と共存してきた。溺れた
人の救助や漁師の仕事の手伝いを
するなど今も人と共に暮らしている。』
ブイゼルの進化系、フローゼルだ。タイプは変わらず水。
「それでは、お覚悟を。ニダンギル、聖なる剣」
「ランプラー、火炎放射」
ニダンギルが刀身そのものの体を構えて動き出し、その姿を隠すようにランプラーが灼熱の炎を吹き出す。
「フローゼル、アクアジェット!」
対してフローゼルが水を纏い、床を蹴って飛び出し、突撃を仕掛ける。
ランプラーの炎を躱し、ニダンギルが斬撃を放つよりも早くその脇を通り抜け、ランプラーを突き飛ばした。
「私たちも行くよ! コドラ、水の波動!」
「させません。ニダンギル、切り裂く」
体勢を崩すランプラーを狙ってコドラが水弾を放出するが、その弾はニダンギルに両断されてしまう。
「ちょうどいいや。オレがメインで戦うから、サヤナちゃんはフローゼルの隙をカバーして。流石に二対一だと隙を隠しきれないからね」
「わかった! サポートすればいいんだね!」
サヤナの返事にスグリは小さく笑い、
「それじゃ続けようか! フローゼル、噛み砕く!」
フローゼルは口を大きく開き、ランプラーへと牙を剥く。
「守りなさい。ニダンギル、切り裂く」
しかしフローゼルとランプラーの間にニダンギルが割り込み、剣の体を振るい、フローゼルの攻撃を食い止めた。
「今ですランプラー、シャドーボール」
「させないよ! コドラ、ロックスパイク!」
長い両手を動かし、ランプラーが影を溜め込むが、その隙を狙ってコドラが素早く岩の破片を飛ばし、ランプラーに破片を突き刺す。
「ニダンギル、イビルスラッシュ!」
「サヤナちゃんナイス! フローゼル、冷凍パンチ!」
ニダンギルが斬撃を繰り出そうとするが、それよりも早くフローゼルが冷気の拳を振り下ろし、ニダンギルを床へと叩き落とす。
「ランプラー、サイコキネシス」
「遅いっての! 噛み砕く!」
さらにフローゼルはランプラーの頭部に牙を食い込ませ、首を大きく振ってランプラーを真上に投げ飛ばす。
「今だよコドラ! 水の波動!」
そのランプラーに対し、コドラがさらに水の弾を放出。
しかし、
「ニダンギル、聖なる剣」
それとほぼ同時に、コドラへと標的を変更したニダンギルが一気にコドラとの距離を詰める。
水弾はランプラーに直撃するが、その直後にニダンギルの黄金に輝く剣の一撃がコドラを捉えた。
「っ、コドラ!」
聖なる剣は格闘タイプの技。コドラには二重に効果抜群で、ダメージは相当なもの。
「コドラ、大丈夫?」
それでも防御の高さが幸いし、まだ倒れてはいない。体勢を立て直したコドラが、サヤナの声に応えて頷く。
だが一方で、まだランプラーも倒れてはいない。
「小癪な……! やってくれますね……」
「グング、落ち着きなさい。まだ状況は五分ですよ」
「……そうですねミョル。失礼しました、立て直していきましょうか」
ミョルとグングも仕切り直し、再びランプラーとニダンギルが戦闘の体勢を取る。
「へえ、まだ倒れないんだ。そろそろやられてくれると嬉しいんだけど」
「我々はディントス教のナンバー2、そう簡単に倒せると思わないことです」
「へえ。フローゼル、アクアジェット!」
「ランプラー、躱しなさい」
水を纏って猛スピードで突撃するフローゼルに対し、ランプラーは大きく浮上してフローゼルの突撃を何とか躱し、影の力を両手に集める。
「ニダンギル、コドラに手出しをさせないように。イビルスラッシュです」
「やっぱりこっちに来るのね! コドラ、守る!」
ニダンギルが剣を構えてコドラへと向かい、対するコドラは守りの結界を周囲に張る。
闇の力を込めて振り下ろされる連続の斬撃は、結界の前に弾かれてしまう。
「ランプラー、シャドーボールです」
「遅い! フローゼル、リキッドブレード!」
ランプラーが両手に影の力を溜め込むと同時、フローゼルの右の掌から水が噴き出し、剣を作り上げる。
ランプラーが影の弾を放つよりも早く、水の剣を握ったフローゼルが剣を一振りし、ランプラーを一刀両断した。
「ランプラー……!」
ランプラーがゆっくりと下降し、力なく倒れる。
効果抜群の一撃を立て続けに受け、戦闘不能となってしまうが、
「っ、コドラ、水の波動!」
「ニダンギル、躱して聖なる剣です」
コドラが放つ水弾を身を捻って躱し、ニダンギルが二本の黄金の剣をコドラへと振り下ろす。
「コドラっ!?」
致命的な弱点となる格闘技を受け、コドラも戦闘不能となった。
「うぅ……スグリ君、後は頼んだよ」
「任せときなって。ニダンギルの体力を削ってくれたおかげで、後は楽に倒せるよ」
サヤナの言葉に対し、スグリはニヤリと笑って親指を立てる。
「……ミョル、後はお願いします」
「引き続き、私の出番のようですね。任せておいてください」
グングは引き下がり、代わりにミョルが一歩進み出る。
「さあ、ここからはオレの得意なシングルバトルだ。速攻で終わらせてあげるよ」
「残念ですが、貴方に救いの手は届かない。我がニダンギルの聖なる剣か邪なる剣、どちらに裁かれたいか、今のうちに決めておきなさい」
余裕を浮かべるスグリに対し、表情を一切変えないミョル。
ニダンギルとフローゼルも、お互いの敵を見据えて睨み合う。
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