二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケットモンスター 魔王と救世の絆
日時: 2018/04/30 21:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)

こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。

※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。

それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。

登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45

プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204

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第47話 進出 ( No.99 )
日時: 2016/12/21 22:32
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: o6cQWKqt)

エレザードの電撃とボーマンダの龍爪が激突し、爆発が巻き起こる。
「ボーマンダ、大文字!」
翼を大きく羽ばたかせて爆煙を吹き飛ばし、ボーマンダは大きく息を吸い、大の字型の灼熱の炎弾を放つ。
が、
「隙あり! エレザード、ドラゴンテール!」
そこに既にエレザードの姿はなく、次の瞬間、ボーマンダの死角からエレザードが大きく跳躍し、竜の力を込めた尻尾を薙ぎ払い、ボーマンダへと叩きつけた。
「っ、ボーマンダ、逃がしてはダメ! 噛み砕く!」
尻尾の一撃を受けたボーマンダは体勢を崩すも、牙を剥いて首を伸ばし、エレザードの尻尾に食らいつく。
「ドラゴンクロー!」
「遅い! 十万ボルト!」
エレザードを牙で捕らえ、龍の爪による斬撃を放とうとするボーマンダ。
だがそれよりも速く、エレザードが尻尾から電撃を放ち、ゼロ距離からボーマンダに電撃を直撃させた。
体勢が崩れてエレザードは解放され、さらにボーマンダの爪はエレザードを捉えられず、
「ドラゴンテール!」
残された力を振り絞り、エレザードは龍の力を纏って光り輝く尻尾を思い切り振り抜き、ボーマンダを叩き飛ばした。
「っ、ボーマンダ!」
顔面に強烈な一撃を受け、ボーマンダの体が傾く。
立ち上がろうとするも叶わず、その巨体がぐらりと揺れ、フィールドへ倒れ伏した。
『決まったぁぁぁぁっ! 一回戦から、超・激・闘! どちらが勝ってもおかしくない戦い、紙一重の差で相手を上回り、二回戦へ駒を進めるのは、スグリ選手——ッ!』
女性アナウンサーがマイクを握り締めて叫び、会場からまるで決勝戦かのような大歓声が巻き起こる。
「ふーっ、どうにか勝った。でもエレザードは全力出し切って完全に手の内晒したし、この大会はもうお休みかな。エレザード、よくやったぞ」
「あと一歩、及びませんでしたわね……ボーマンダ、よく頑張ってくれましたわ。もっと精進しましょう」
お互いに全力を尽くしたポケモンたちを労い、ボールへと戻す。
「私に勝つなんて、相当な腕前ね。この私を打ち負かしたとなれば、優勝以外は認めませんわよ」
「ああ、分かってる。オレだって元より優勝するつもりで来てるんだ。言われるまでもないさ」
そしてエストレとスグリは握手を交わし、フィールドを去っていく。



試合数が多いため、二日目は一回戦で終了。
そして三日目、今日で準決勝まで行われ、四日目に決勝戦が行われる。

「エーフィ、サイコショット!」
「っ、ガラガラ、骨棍棒で防御!」

『information
 ガラガラ 骨好きポケモン
 手にした骨を振り回し投げつける。
 空飛ぶポケモンを叩き落とすほどの
 コントロールとパワーが持ち味。』

ハルは二回戦、エーフィを出し、対戦相手の骸骨を被って棒状の骨を持ったポケモン、ガラガラを相手に、試合を有利に進めている。
エーフィの放った念力の弾に対し、ガラガラは手にした骨を振り下ろして念弾を打ち壊す。
「スピードスター!」
間髪入れず、エーフィはさらに無数の星形弾を撃ち出す。
ガラガラは再び骨を振り上げるも、それを振り下ろすまでの余裕はなく、星形弾を打ち付けられる。
「っ、ガラガラ、ロケット頭突きだ!」
立ち上がったガラガラは首を引っ込めて硬い頭を構え、勢いよくエーフィへと突っ込んでいく。
「エーフィ、マジカルシャイン!」
エーフィの額の珠が輝き、周囲に純白の光を放出する。
突っ込んでくるガラガラを、逆に光に飲み込んだ。
「ガラガラ!?」
光がようやく収まった時には、ガラガラは戦闘不能となって倒れていた。
『二回戦第一試合、決着ぅぅ! ハル選手、二回戦も終始有利に試合を進め、準決勝へと駒を進めましたぁ!』
アナウンサーの声が会場に響く。ハルは二回戦を突破し、一番乗りで準決勝へと進む。
「よかった、勝てた……! エーフィ、お疲れ様だよ」
エーフィの頭を撫でてボールに戻し、ハルはバトルフィールドを去る。
「準決勝からは、ポケモン三体ずつで戦うのか。二回戦はこの後ミオ、サヤナ、スグリ君……どの試合も見ておかないと。特にサヤナの試合は、相手も気になるしね……」
サヤナの二回戦の相手は、不気味な白い仮面を被った、ローという選手。
一回戦を見たが、顔だけでなく体も真っ黒なローブに身を包み、バトル中もポケモンへの指示以外は口を開かなかった。
しかもその実力もかなりの腕前。一回戦は速攻で決めてしまっていた。
「サヤナも不安だけど……人の心配ばっかりしてる場合じゃないな。次の試合、恐らくミオが上がってくるはずだ」
ハルは急いで観客席に戻り、ミオの試合観戦に向かう。



そして。
ハルの予想は、正しかった。
「カビゴン、のしかかり」
カビゴンが大きく跳躍し、重力に従いそのまま落下。
回避させる隙すら与えず、対戦相手のポケモンを押し潰し、戦闘不能とした。
『決着ぅ! ミオ選手、またもカビゴンと共に二回戦を突破! このミオ選手、予選からこの二回戦までずっと、カビゴン一匹しか使用しておりません!』
アナウンサーの声をバックに、ミオは笑顔でカビゴンのお腹を撫で、ボールへと戻す。
そしてこの試合の結果により、ハルの次の試合、準決勝の相手はミオになることが確定した。
ちなみに、横にはエストレがいる。
「あのカビゴン、相当のやり手ですわね。あの子とも、いずれ戦いたいもの」
「ミオ、やっぱり上がってきたか……準決勝で、リベンジを果たさなきゃ」
「あらハル、もしかして貴方、あの子と戦ったことがあるのかしら?」
「ええ。ポケモンセンターの交流所で、調整も兼ねて。負けちゃいましたけどね」
「準決勝からは三対三よね。ハル、頑張りなさいよ」
「はい、今度は勝って、そのまま決勝も勝ってみせます」
エストレに激励され、ハルは気持ちを入れ直し、気を引き締める。
少し時間を挟んで、次はサヤナの試合だ。

Re: ポケットモンスター 魔王と救世の絆 ( No.100 )
日時: 2016/12/21 23:36
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: YhMlOecY)

大会の第1回戦の最終試合では、エストレとスグリ君という強者同士の戦いが繰り広げられましたか。どちらもハル君を追い詰めた実力者ですから、どちらが勝つのかわからないのでドキドキしましたね。結果はスグリ君の勝利となりましたが
それはそうと、エレザード、ジュプトル、フローゼル……どれも素早さの高いポケモンですね。彼は素早さの高いポケモンが好きなんでしょうか?

次はサヤナちゃんの試合ですが、相手が怪しい雰囲気を醸し出しているのでそう簡単に勝てる相手じゃないかもしれませんね……

メガシンカの件については承諾しました。>>9の中から選ばせて頂きます。>>13に載せておきますので、その際にはご報告致します

http:// ( No.101 )
日時: 2016/12/24 17:50
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: o6cQWKqt)

>>マルガリータさん
返信が遅れてしまいました、申し訳ない。

一回戦のスグリ対エストレは、今回の大会の最初の目玉です。
結果は僅かに相手を上回ったスグリの勝利となりましたね。
その通りですね。スグリのポケモンはその三匹に加えてオンバットにニューラと、素早さの高いポケモンが揃っています。

次の目玉はサヤナ対謎の選手、ローですね。
いかにも怪しげな雰囲気を放っている相手ですが……楽しみにしていてください。

ありがとうございます、了解しました。
ゆっくり考えてくださって構いません。

第48話 黒装束 ( No.102 )
日時: 2016/12/25 12:19
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: rS2QK8cL)
参照: サヤナの対戦相手となる、謎の選手の実力は——

『さあ、参りましょう! 二回戦第三試合目、ロー選手とサヤナ選手の対戦です!』
テンションの高いアナウンサーの声と会場の歓声を受け、二人の選手がフィールドに立つ。
サヤナの相手となるのは、白い不気味な仮面と黒いローブに身を包んだ正体不明の男、ロー。
『サヤナ選手は優勝こそないものの、出場した大会では必ず好成績を残す実力派! 対するロー選手はバッジの数以外経歴は一切不明! ミオ選手と同じく、ポケモンもここまで一匹しか使用しておりません! 準決勝に駒を進めるのはどちらか!? それでは、バトルスタートです!』
アナウンサーの声を引き金に、両選手は同時にポケモンを繰り出す。
「頼んだよ! ワカシャモ!」
「バクオング」
サヤナのポケモン、ワカシャモに対し、ローはやはり予選からずっと同じポケモン。
身体中に楽器のパイプのような穴を持つ、怪獣型ポケモンだ。

『information
 バクオング 騒音ポケモン
 大声の振動によって地面を揺らし
 衝撃波で敵を吹き飛ばす。
 遠吠えは10キロ先まで響き渡る。』

ノーマルタイプのポケモン、バクオング。それを読んで、サヤナは格闘タイプのワカシャモを出したのだろう。
「それじゃ行くよ! ワカシャモ、アクセルフレア!」
身体中に炎を纏い、ワカシャモは目にも留まらぬスピードで突っ込む。
一気にバクオングまで近づき、そのまま激突し、バクオングを突き飛ばした。
「ワカシャモ、火炎弾!」
さらにワカシャモは嘴を開き、無数の炎弾を放つ。
対して、
「バクオング、地震」
バクオングが身体中の穴から空気を吸い込み、爆音のような大声を発する。
空気の振動だけで炎の弾を掻き消し、さらにフィールド全体までも大きく揺らし、その衝撃でワカシャモを吹き飛ばした。
「ワカシャモ!? 大丈夫!?」
吹き飛ばされたワカシャモは地に手をつき、勢いよく起き上がり、勇ましく鳴く。
「よし、まだ行けるね! ワカシャモ、マグナムパンチ!」
ワカシャモが地を蹴って飛び出し、バクオングとの距離を詰めていく。
「バクオング、ハイパーボイス」
「ワカシャモ、躱して!」
バクオングが再び空気を吸い込み、大声と共に大音量の衝撃波を放つ。
だが今度はワカシャモは思い切り跳躍し、衝撃波を躱すと、上空からバクオングへと強烈な拳の一撃を叩き込んだ。
「一気に行くよワカシャモ! もう一度マグナムパンチ!」
さらにワカシャモは拳を握りしめ、一旦引っ込めた腕をもう一度思い切り突き出す。
それに対して、
「バクオング、噛み砕く」
ワカシャモが突き出した腕を、バクオングは歯で強引に受け止め、
「ハイパーボイス」
間髪入れずに口から大音量の音波と共に衝撃波を放ち、ワカシャモを大きく吹き飛ばした。
「気合玉」
さらにバクオングは大きく口を開く。
口内の一点に気合の力が集まり、気合の念弾がバクオングの口から放出された。
「来た……! ワカシャモ、受け止めて!」
回避が間に合わないと判断したのか、サヤナのその指示通り、どうにか立ち上がったワカシャモは両手を構え、正面から気合玉を受け止める。
ズザザザザザ! という音と共にワカシャモが大きく押し戻されるが、それでも地に足をつけて耐え切った。
そして。
「それを待ってたんだよ! ワカシャモ、オウム返し!」
刹那、ワカシャモの構えた両手に気合の念弾が作り上げられる。
返す刀で、ワカシャモは渾身の気合の念弾をバクオングへと投げつけた。
一直線に飛ぶ気合の念弾はバクオングの額へ直撃。格闘技の気合玉はノーマルタイプのバクオングへと効果抜群、その体勢を大きく崩した。
「今だよワカシャモ! マグナムパンチ!」
その隙を逃さずワカシャモは拳を構え、一気にバクオングへと向かっていく。
しかし。

「バクオング、地震」

バクオングが怒りの形相を浮かべて爆音の如き怒声を放つ。
爆音の衝撃波によってワカシャモの動きは止められ、さらにフィールド全体も大きく揺れ、地震に巻き込まれてワカシャモが吹き飛ばされる。
「ハイパーボイス」
バクオングがもう一度身体中の穴から空気を吸い込み、口から大音量の音波と共に衝撃波を放つ。
地震を受けたワカシャモを衝撃波に巻き込み、壁にまで飛ばして叩きつけた。
「あ……っ! ワカシャモ!?」
壁に叩きつけられたワカシャモはそのまま力なく床へと落ち、戦闘不能となった。
『決まったぁぁ! ロー選手、タイプ相性を覆し、またもバクオングで勝利! 謎の選手が謎に包まれたまま、準決勝へと駒を進めていきます!』
アナウンサーの叫びが試合終了を告げる。善戦していたサヤナとワカシャモだが、二回戦で敗北することとなった。
「……負けちゃったね。ワカシャモ、そんな顔しないで。よく頑張ったよ、お疲れ様」
サヤナは悔しそうに低い声で鳴くワカシャモを労い、その頭を撫で、ボールへと戻す。
ローは何も語らずバクオングをボールへと戻すと、そのままフィールドを去っていった。
「サヤナ、負けちゃったか……」
「さっきの子もそうだけど、バクオング一匹でここまで上がってきてるだけある。あのローってトレーナー、相当な腕前ね」
それにしても、とハルの隣でエストレは続け、
「あのスタイル、気にくわないわね。何の目的か知らないけど、わざわざ顔を隠してるあたりが特に。何かやましいことでもあるのかしら」
「運営が雇った悪役か何かですかね? 大会を盛り上げるために、みたいな……」
「それだとしたらこの配役は大失敗よ。不気味すぎて寧ろ盛り上がらないわ」
ローの正体がそろそろ気になってくるが、それは一先ず置いておく。
次の試合は二回戦最後の試合。スグリが登場する。



「オンバット、龍の息吹!」
二回戦、第四試合目。
スグリのポケモン、オンバットが、対戦相手の紫色の毒蛇のようなポケモンへ龍の力を帯びた息吹を放つ。

『information
 アーボック コブラポケモン
 腹に持つ顔の模様と不気味な
 吐息の音で獲物を威圧する。
 竦んだ獲物を長い体で捕らえる。』

「っ、アーボック、バインドファング!」
息吹を受けたアーボックは体を起こすと、毒牙を剥いてオンバットへと食らいつく。
「遅い遅い、躱してアクロバット!」
オンバットを狙ってアーボックが次々と噛み付きを仕掛けるも、オンバットはそれを易々と躱し、軽快な動きでアーボックの背後に回り込み、体当たりを仕掛ける。
「今だアーボック! 締め付ける!」
アーボックの長い胴体が動き、瞬く間にオンバットを囲む。
「遅いんだってば! 龍の息吹!」
だがそれよりも早く、オンバットはこちらを振り向いた瞬間のアーボックの額に龍の息吹を撃ち、アーボックの体勢を大きく崩す。
「これでとどめだ、オンバット、鋼の翼!」
オンバットが鋼の如く硬化させた翼をアーボックの脳天へと振り下ろす。
アーボックは甲高い悲鳴を上げ、フィールドに倒れてそのまま戦闘不能となった。
『決まりましたぁ! スグリ選手、激闘を見せてくれた一回戦とは打って変わり、終始余裕の戦いを見せつけ、二回戦も突破! そして、これで準決勝へ進む選手が全て決定しました!』
やはりスグリは勝ち上がってきた。体格に大きな差があるポケモン相手でも、余裕の勝利だ。
『それでは、一時間の休憩を挟んだ後、準決勝進出の選手に一言インタビューさせていただき、それから準決勝を行います!』
「……え? インタビュー?」
ここで素っ頓狂な声を上げたのは観客席のハルだ。
「にひひー、ハル、インタビューだって! ちゃんと上手く喋らなきゃダメだよ!」
しかもハルの隣に戻ってきているサヤナがプレッシャーを掛けてくる。
「や、やめてよサヤナ……インタビューなんてされたこともないんだから……」
「どうせ意気込みを聞かれるくらいですわ。そんなに緊張することでもないわよ」
少しだけ薄ら笑いを浮かべながら、エストレが口を開く。
「優勝したい、って気持ちを、会場全体に伝えてきなさい。それでいいのよ」
「……うぅ、緊張するなぁ」
緊張を抱えたまま、ハルはサヤナとエストレに背中を押され、控え室へと向かう。

第49話 リベンジ ( No.103 )
日時: 2016/12/27 19:42
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: いよいよ準決勝開始。ハルの相手は、強敵ミオ!

「さあ、間も無く準決勝が開始されます! ということで、その前に!」
今大会司会の女性アナウンサーは、実況のスペースからマイクを持ってフィールドに降りてきている。
「優勝まではもう少し! 見事準決勝まで勝ち上がってきた、四人の選手に! ここからの意気込みを聞いていきたいと思います!」
アナウンサーの言葉に続けて、観客席全体から歓声が飛ぶ。
「それでは……まずはハル選手から! 一言お願いします!」
アナウンサーからマイクを手渡される。
緊張は、吹っ切れた。
「残ってる人たちは、僕よりも強い人たちばかりです。だけど、ここまで来たからには、優勝目指して、全力で戦い抜きます!」
ハルの力強い言葉を受け、会場がどっと湧き上がる。
「はい! 準決勝、決勝に向けて、強い心意気を示してくれました! それでは!」
ハルからマイクを受け取り、次にマイクを渡されるのは、
「次はミオ選手!お願いします!」
相変わらずぼーっとした感じのミオが、マイクを受け取る。
「えーっとぉ、優勝したら、カビゴンと一緒に美味しいものを一杯食べに行きます」
いかにもミオのキャラらしいコメントに、会場からは笑いも混じった歓声が響く。
「さて、それでは次は、ロー選手! お願いします!」
ローがマイクを受け取ろうとしないので、アナウンサーはマイクを仮面の口元に向けるが、
「……」
「あ、あの、ロー選手。何か一言……」
「……」
しばらく続く沈黙。やがて、
「……はぁい! ロー選手は、とっても無口な方でした!」
遂に諦めたらしく、女性アナウンサーは勝手に自分で締めくくってしまう。
「さあ、それでは最後に、スグリ選手! お願いします!」
咄嗟のアドリブでどうにか会場の盛り上がりを保ちつつ、四人目、スグリにマイクが手渡される。
「誰と当たってもやることは変わらないんですけどね。戦って勝つだけ。オレとオレのポケモンなら、それができる! 勝ちます!」
スグリの言葉で、少し下がっていた会場のテンションは再び大きく上がる。
「自信満々のコメント、ありがとうございます! さあ、それではいよいよ、準決勝を開始します! 最初の対戦カードは、ハル選手対ミオ選手! ここからは、三対三のバトルになります! 果たして、どんなバトルを見せてくれるのでしょうか!」
いよいよ準決勝。ハルの相手は、以前敗れたミオだ。
年の割に強力なポケモンを使うトレーナー。得ている情報はカビゴンのみ。しかし、そのカビゴンの情報はしっかり仕入れておいた。
「さすがハル君、ここまで上がってくると思ってたよぅ」
「ミオもね。僕もどこかで当たるとは思ってた。この間のリベンジを果たさせてもらうよ」
「それができるなら、ねぇ」
ハルとミオは同時にボールを取り出す。
『それでは、準決勝第一試合、スタートです!』
実況席に戻った女性アナウンサーの声を引き金に、二人は同時にポケモンを繰り出す。
「出てきて、ワルビル!」
「頼んだよぅ、ペンドラー」
ハルの先発はワルビル。
対するミオのポケモンは、カビゴンではなかった。鎌首をもたげた、巨大なムカデのようなポケモンだ。

『information
 ペンドラー メガムカデポケモン
 巨体の割に素早い動きで獲物を
 狙う。首の爪て獲物の動きを封じ
 頭の角を突き刺してとどめを刺す。』

虫と毒タイプを併せ持つポケモンだ。一応ワルビルからは打点として燕返しがあるが、
(でも相手の虫技はワルビルの弱点だな……気をつけなきゃ)
ペンドラー自体好戦的なポケモンでもあり、恐らくミオは虫技で積極的に攻めてくるだろう。
と。そう、ハルは考えていたのだが。
ミオの初動は、違った。

「ペンドラー、毒菱」

ペンドラーが、ワルビルの足元へと毒を含んだ撒菱を仕掛けた。
「えっ……?」
「さあ、ペンドラー、メガホーンだぁ」
困惑するハルをよそに、ペンドラーは頭をさげると角を構え、全力の突撃を繰り出してくる。
「っ、ワルビル、躱して燕返し!」
ワルビルは横っ飛びでペンドラーの突進を躱すと、白く輝く腕を構えて斬りかかる。
「ペンドラー、メガホーンで防御」
向かってくるワルビルに対し、ペンドラーは角を横薙ぎに振り払い、ワルビルの攻撃を迎え撃つ。
本来は角で突き飛ばす技なのを防御に使ったためか、威力は思ったほど高くなく、追撃は来ない。
「さっきの技は……?」
ハルは素早く図鑑を取り出し、最初の技について調べる。
「毒菱……浮いていない交代したポケモンを、毒状態にするだって……?」
つまり、これでハルは安易にポケモンを交代させる事ができなくなった。
さらにそれだけでなく、エーフィを出しづらくなった。いくらマジックミラーがあっても、毒菱は跳ね返せない。
「続けるよぅ、ペンドラー、ベノムショック」
続けてペンドラーは特殊な毒液をワルビルへと放つ。
「ワルビル、弾け! シャドークロー!」
両腕に影の爪を纏い、両手を振り抜き、ワルビルは毒の液体を弾く。
「ちなみにベノムショックは毒状態のポケモンに威力が増す技だよぅ。この技自体も毒にすることがあるから、気をつけてねえ」
ミオは力の抜けた笑顔でそう語る。
「それじゃ、まだまだ行くよぅ。ペンドラー、メガホーン!」
思い切り角を突き出し、再びペンドラーは勢いよく突進を仕掛ける。
「ワルビル、穴を掘る!」
対して、ワルビルは素早くフィールドに穴を掘り、地面に潜る。
ペンドラーの突撃を潜って躱し、地中から忍び寄り、その足元から飛び出し、ペンドラーを殴り飛ばした。
「やるねぇ。それじゃあ、次はこうかなぁ」
ペンドラーが起き上がったのを確認すると、ミオは次の手に出る。

「ペンドラー、バトンタッチ」

次の瞬間、ペンドラーはミオの構えたボールへと戻っていく。
「えっ?」
「それじゃあ頼んだよぅ、トゲチック」
戸惑うハルのことは気にせず、ミオは次のポケモンを繰り出す。
卵の形をした体に首と短い手足、そして天使のような小さな翼が生えたようなポケモンだ。

『information
 トゲチック 幸せポケモン
 純粋な心を持つ者の前にだけ
 姿を現すポケモン。幸運を
 運んでくると言われている。』

「トゲチック……タイプはフェアリーと飛行。これはちょっときついな……」
苦い顔をするハル。理由は単純、ワルビルのタイプ一致の主力技の通りが悪いからだ。
本来ならハルも交代に合わせてポケモンを交代していきたい場面、なのだが、
「……なるほど、そのための毒菱か」
その交代を躊躇わせるのが、毒菱の存在だ。
交代際に毒菱を踏むと、そのポケモンは毒を受けてしまう。
ここで飛んでいるヒノヤコマを出すとしても、その後に出すワルビルは確実に毒を受ける。
さらに、毒を受けるとまずいことはもう一つある。
(確か、あのペンドラーのベノムショックは毒を受けたポケモンに対して威力が上がる。出来れば、ワルビルに毒は与えたくない)
敢えてミオがベノムショックの説明をしたのも、ここでハルの交代を躊躇わせるためだろう。有利な対面を作って、一体ずつ相手を倒していくつもりか。
「……ワルビル、相性の悪い相手だけど、ここは頑張って。君に毒を受けさせたくはないし、頼んだよ」
ハルの言葉に、ワルビルは任せろと言わんばかりに大きく吼える。
「……よし! ワルビル、シャドークロー!」
ワルビルが両手に影の爪を纏わせ、トゲチックへと飛びかかる。
しかし、
「トゲチック、躱してエアスラッシュ」
見た目に反して素早い動きでトゲチックはワルビルの爪を躱すと、小さい羽をぱたぱたと羽ばたかせて空気の刃を飛ばし、ワルビルを切り裂く。
「っ、速い……!」
「バトンタッチは、ただ交代するだけじゃない。交代前のポケモンの能力変化を引き継ぐんだよぅ」
ミオが再び説明を始める。
「能力変化……? だとしても、さっきのペンドラーは能力変化の技なんて……」
「うんうん、技は使ってないよぅ。だけど」
ハルの疑問に対し、ミオはどことなく得意げな表情で言葉を続ける。
「僕のペンドラーの特性は加速。そんな動きは見せなかったけど、時間が経つにつれて素早さが上がっていくんだぁ。それを引き継いだから、今のトゲチックは素早さが上がってるんだよぅ」
分かっていたことだが、ミオの強さはカビゴンだけではなかった。
二重三重に織り交ぜたミオの戦術が、あらゆる角度からハルを迎え撃つ。


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