二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケットモンスター 魔王と救世の絆
日時: 2018/04/30 21:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)

こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。

※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。

それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。

登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45

プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204

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第121話 ジムバトル!イザヨイジムⅥ ( No.199 )
日時: 2017/06/29 11:29
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ルカリオ、発勁!」
ルカリオが右腕を振るうと、その右手から燃える炎のような青い波導が噴き出す。
波導を纏った右手を構えてルカリオは一気に飛び出し、ハガネールの胴体へ右手を叩きつける。
対して、
「ハガネール、ぶち壊す」
結晶体の体へ波導の右手を叩きつけられたハガネールは、怯むことすらせずに右手を弾き返し、巨大な尻尾を動かす。
弾かれて逆に体勢を崩すルカリオへ、結晶化した尻尾を振り下ろし、ルカリオを吹き飛ばした。
「っ、ルカリオ!」
幸いにも効果今一つ、ルカリオはすぐに立ち上がる。
しかし今の一撃だけで、ハガネールの攻撃力はかなりのものだと分かった。
「防御力はピカイチ、攻撃力も侮れない。強敵だけど……これならどうだ! ルカリオ、波導弾!」
右手を覆う青い波導を球体へ変え、ルカリオは波導の念弾を撃ち出す。
必中の念弾はハガネールの顔へ向けて正確に飛び、そのまま直撃した。
顔面に攻撃を受け、ハガネールは少し後ずさりする。
「さっきより通りがいい……少なくとも特防は防御よりは低いみたいですね」
とりあえず、突破の糸口を一つ掴むハル。しかし、
「フフフ、その通りヨ。だけどそれが分かっただけじゃ、このハガネールは倒せないワ」
己のポケモンの弱点はマキナもよく分かっているはず。ハルが掴んだのは、まだ糸口の一つに過ぎない。
「反撃ヨ。ハガネール、地震攻撃」
ハガネールが咆哮し、それに呼応して大地が振動する。
「ルカリオ、躱して龍の波導!」
ルカリオは跳躍して地を這う衝撃波を躱し、両手から波導を生み出し、輝く龍の形をした波導の光線を放つが
「メタルブラスト」
突如、ハガネールの周囲を回転する金属片が一斉に光り、無数の鋼エネルギーの光線が発射される。
龍の波導はハガネールを捉えるが、その直後、ルカリオも無数の鋼の光線を浴び、床に叩き落とされる。
「ハガネール、グランボールダ」
立て直したハガネールが尻尾を地面に叩きつけると、今度は地中から無数の岩が浮かび上がる。
出現した岩は少し空中に浮遊した後、一斉にルカリオへと飛来する。
「ルカリオ、躱して発勁! 顔を狙って!」
右手に波導を纏わせ、ルカリオは地を蹴って飛び出す。
襲い来る大小無数の岩を躱し、時には足場に使って跳躍し、ルカリオは無数の岩を乗り越えてハガネールの顔面へと迫る。
ハガネールの脳天へと波導の右手が叩き込まれ、ハガネールは僅かに仰け反る。物理技でも、やはり顔へはそこそこ通るようだが、
「メタルブラスト」
一瞬遅れてハガネールの周囲の金属片が輝き、一斉に鋼エネルギーの光線が放射される。
空中にいたルカリオには躱すことができず、光線をまともに浴びて吹き飛ばされてしまう。
「っ、やっぱり硬い……! 動きは遅いけど、ここまで硬いと関係ないよね……」
このハガネールは動作自体は極めて遅い。同時に攻撃を繰り出しても、ルカリオの攻撃が先に当たるほど。
しかしそれを補って有り余るハガネールの長所は、その圧倒的な防御力。
胴体への物理攻撃は効果抜群の攻撃ですらほぼ通用せず、弱点の顔に特殊攻撃を当てても怯みこそするものの、すぐさま反撃を繰り出してくる。
さらに遠距離への攻撃も備えているため、結果的に攻防の隙がほとんどない。
「ハガネール、地震」
再びハガネールが咆哮し、フィールドが大きく揺れる。
「ルカリオ、躱して波導弾!」
ルカリオは跳躍して地震の衝撃を躱すと、両手に波導を纏わせて掌を突き出し、波導の念弾を放つ。
「ハガネール、グランボールダ」
対するハガネールが尻尾で床を叩くと、再びその周囲へ無数の岩が浮かび上がる。
複数の岩が波導弾の行く手を阻み、念弾を打ち消し、その直後に残った岩が一斉にルカリオへと向かってくる。
「ルカリオ、弾き飛ばして! ボーンラッシュ!」
両手を覆う波導を長い骨の形に変え、骨のロッドを振るい、ルカリオは迫り来る岩を砕き、弾き飛ばし、どうにかやり過ごす。
「メタルブラスト」
しかし休む間も無く、ハガネールの周囲の金属片が一斉に光を放つ。
「ルカリオ、迎え撃つよ! 龍の波導!」
手にした骨のロッドをさらに龍の形に変え、ルカリオは輝く龍の波導を放つ。
それと同時にハガネールも無数の金属片から鋼エネルギーの光線を発射。双方の攻撃が激突し、競り合った末に爆発を起こす。
「今だ! ルカリオ、波導弾!」
ルカリオが掌を突き出し、爆煙の向こうのハガネールへと青い波導の念弾を発射する。
必中の念弾は煙の中を突っ切り、確実にハガネールを捉えるが、
「ハガネール、地震」
大気を揺るがす咆哮によって爆煙は吹き飛び、間髪入れずに大地が揺れる。
「っ、ルカリオ、床に発勁!」
波導を纏った右手を床へと叩きつけ、ルカリオは何とか衝撃波を食い止める。
「ハガネール、ぶち壊す」
しかしその直後、ハガネールが巨体を生かしてルカリオを押し潰しにかかる。
「まず……っ!? ルカリオ、躱して!」
咄嗟に横へと飛び退き、何とかハガネールの体全体による攻撃を躱すルカリオ。しかし、
「メタルブラスト」
全ポケモンの中でもトップクラスの重量を持つハガネールが地面に激突、それによって大きな揺れが生じ、ルカリオが体勢を崩す。
その隙を突き、ハガネールの周囲の金属片が輝き、ルカリオへ向けて一斉に鋼エネルギーの光線が発射される。
体勢を崩したルカリオを無数の光線が貫き、吹き飛ばした。
「まだだ! ルカリオ、ボーンラッシュ!」
受け身を取って起き上がり、ルカリオは長い骨のロッドを構えて飛び出す。
起き上がろうとしているハガネールの頭へ飛び乗り、踊り狂うように長い骨を振り回し叩きつけ、そして反撃が来る前に素早く飛び退く。
「ハガネール、起きなさい。もう一度メタルブラスト」
自ら床に倒れたハガネールがゆっくりと起き上がり、回転する金属片が輝き、一斉に鋼エネルギーの光線を発射する。
「ルカリオ、波導弾!」
ルカリオの持つ骨のロッドが、青い念弾へ形を変える。
掌から放出された青い念弾は、無数の鋼エネルギーの光線と激突し、競り合った末に爆発する。
「ハガネール、地震」
そしてハガネールは大気と大地を揺るがす咆哮を上げ、爆煙を薙ぎ払い、地面を大きく揺らす。
「ルカリオ、躱して! ジャンプだ!」
素早く跳躍し、ルカリオはハガネールの起こす地震の衝撃波を躱す。
ハルの次の指示が分かっているのか、その右手から炎が吹き出すように青い波導が出現し、右手を覆った。
「ルカリオ、発勁!」
右手に波導を纏ったルカリオは、着地するとすぐさま地を蹴り、ハガネールへと一気に突撃していく。
「ハガネール、ぶち壊す」
対するハガネールは大きく体を捻らせ、結晶体となった尻尾を持ち上げ、ルカリオを迎え撃つように思い切りその尻尾を振り下ろす。
ルカリオの波導の右手と、ハガネールの結晶体の尻尾が激突。
火花を散らすほどの激しい競り合いが続き、ぶつかり合う力は遂に限界を超え、爆発を起こした。
「っ、ルカリオ!」
「ハガネール、まだヨ」
爆発に巻き込まれてルカリオが吹き飛ばされ、ハガネールも爆風を受けてぐらりとその巨体を揺らし、体勢を崩す。
しかし。

「ハガネール、グランボールダ」

その次の動きは、ハガネールの方が速かった。
尻尾で床を打ち鳴らすと、地面に倒れ起き上がろうとするルカリオの周囲から、大小無数の岩が浮かび上がる。
「捕らえなさい」
緑色の瞳を光らせ、マキナがそう言い放った直後。
無数の岩が一斉に狙いを定め、ルカリオへと襲い掛かる。

第122話 ジムバトル!イザヨイジムⅦ ( No.200 )
日時: 2017/06/30 10:28
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

大小無数の岩が、ルカリオへ襲い掛かる。
「っ! ルカリオ——」
行動する隙も与えられなかった。
無数の岩がルカリオを捕らえ、動きを封じ、押し潰す。
いくら格闘タイプのルカリオでも、この量の岩の中から脱出するにはかなりの時間が掛かる。
「ハガネール、ぶち壊す」
だが圧倒的な重量を持つハガネールになら、一瞬でその岩を破壊することができる。
ハガネールがゆっくりと結晶体の尻尾を持ち上げ、狙いを定める。
狙うは岩の下のルカリオ。標的目掛けて、周りの岩ごと容易く粉砕する勢いで、尻尾を振り下ろす。
しかし。

「まだ終わらない! ルカリオ、発勁!」

岩の下に捕らえられていたルカリオの体から、青い閃光が放たれる。
無数の岩を容易く破壊し、そのままルカリオを押し潰そうとしたハガネールの尻尾が、止まった。
「っ……!?」
慌てたマキナがハガネールの尻尾の下を見ると。
「なっ……まさか、ハガネールの尻尾を、持ち上げているノ!?」
流石のマキナも、驚きを隠せなかった。
体全体から、青い波導のオーラを放出させ。
ルカリオが膨大な量の青い波導を纏った両手を突き出し、ハガネールの尻尾と競り合っているのだ。
「ルカリオ! そのまま押し返せ!」
ルカリオがその瞳をカッと見開く。
刹那、ルカリオの両手からジェット噴射のように青い波導が放出され、ハガネールを押し返した。
尻尾を押し返してバランスが崩れ、ハガネールの巨体がぐらつく。
「今だルカリオ! ボーンラッシュ!」
青い波導を骨の形に変え、ルカリオは跳躍し、両手に長い骨のロッドを持つ。
二刀流の骨の攻撃が、ハガネールの顔面へ怒涛の連続攻撃を叩き込む。
「っ、とんでもない波導の力ネ……メガシンカによるトレーナーとポケモンのシンクロ率が、今までに見たことないくらい高い数値を叩き出している……なんて興味深いのかしら」
だけど、とマキナは続け、
「今はジムバトル、今すべきことは全力で勝ちを追い求めること。ルカリオはピンチになるほど波導の力が高まるポケモン。これ程の波導の力を見せるルカリオは初めてだけど、裏を返せばそのルカリオも体力は残り少ないということ。ハガネール、貴方も全力を見せるのヨ!」
ハガネールもまだ起き上がる。力強い咆哮により自らを鼓舞し、周囲の金属片が激しく回転する。
「ハガネール、メタルブラスト!」
ハガネールの周囲の金属片が一斉に輝き出す。
そこから放たれる鋼エネルギーの光線は一転に集まってその規模を増し、巨大なレーザー砲のように発射される。
「ルカリオ、波導弾!」
ルカリオも体を覆う波導のオーラを全て一転に集め、巨大な波導の念弾を作り上げる。
掌を砲口とし、巨大な砲弾のように青い波導の念弾が撃ち出される。
巨大な波導の念弾と、強大な鋼エネルギーの砲撃が正面から激突。
激しい音を立てて両者が競り合い、その末に波導の念弾が鋼の砲撃を撃ち破る。
遮るものがなくなった波導の念弾はまっすぐハガネールへと突き進み、鋼の顔面に着弾して青い爆発を起こした。
「ハガネール……!」
ハガネールが大きく仰け反り、背中から地響きを立てて床に倒れる。
動かなくなったハガネールの体が七色の光に覆われ、その姿をメガシンカ前の元の姿に戻す。
すなわち、
『ハガネール、戦闘不能。ルカリオの勝ちです。よって勝者、チャレンジャー・ハル!』
審判を務める人工知能が、勝敗を告げる。
持てる力の全てを出し切ったハガネールは、戦闘不能となって倒れていた。



「お見事ネ、ハルサン。何者にも負けない貴方の絆の力、この身にひしひしと感じたワ」
ハガネールをボールに戻し、マキナはハルの元へ歩み寄る。
「ありがとうございます。マキナさんのハガネールも、とっても強かったですよ」
ハルの言葉にマキナはにっこりと微笑み、パチンと指を鳴らす。
するとバトルで穴や亀裂だらけになった床や壁、天井が、みるみるうちに自動で修復されていく。
「このフィールドを構成している物質も、私が作り出したものなのヨ。生物の細胞をイメージして作っているから、人が整備しなくてもひとりでに傷が直ってしまうノ」
でもそんなことより、とマキナは白衣のポケットから小さな箱を取り出す。
箱の中には、小さなバッジが入っていた。灰色の歯車の形の中に白くGの文字が刻まれた、シンプルな作りのバッジ。
「これはガウスバッジ、イザヨイシティジム制覇の証ヨ。さあ、受け取って」
「はい、ありがとうございます!」
ハルのバッジケースに填められたジムバッジは、これで七つ。
ポケモンリーグ出場まで、あと一つだ。



そしてその後。
「ただいま。二人に続いて、勝ってきたよっと」
ハルの後、すぐにジムへと挑戦しに行ったスグリが帰ってきた。
その手には歯車の形をしたバッジ、ガウスバッジが握られている。
「お疲れ、スグリ君。マキナさんのハガネール、かなり強かったよね」
「そう? 確かに硬いし火力あったけど、動き遅いから全然想像の範囲内だったよ。寧ろその前のアイアントに手こずったかな。なかなか隙を見せてこないから」
「……俺はほぼ全部きつかったけどな。ギリギリで勝ったようなもんだ」
同じ相手でも人によって違った意見が出てくるのも、また面白い。
とはいえ、あのメガハガネールを想像の範囲内と言い切るあたり、やはり流石はスグリというべきか。
「そう言えば、一週間くらい後だっけ、この街で大きなバトル大会があるよね」
ハルがそう口を開く。アルス・ターミナルで得た情報によれば、ポケモンリーグマデル大会の次に大きな規模となる大会だ。出場制限は特になし、ポケモントレーナーなら誰でも出場可能。さらに成績に応じて、ポケモンリーグ大会でのシード権も与えられる場合がある。
「そうだったな。確かちょうど一週間後だぜ」
ジゼも思い出したかのようにハルに続く。
しかし、
「ああ、あれね。ポケモンバトルイザヨイリーグ、だっけ」
それを聞いたスグリの反応は、ハルが全く予想していないものだった。

「オレ、その大会出場しないから」

「えっ……!?」
すなわち、不参加。
ポケモンリーグに次ぐ大きな規模となる大会に、スグリは出場しないというのだ。
「なんでだよ? そんなにでっかい大会なら、強いやつともたくさん戦えるんだろ? 自分の腕を上げるチャンスにもなるじゃねえか」
驚いた様子で、ジゼがスグリに訳を尋ねる。
「ま、確かにジゼ君が言ってることは間違いないよ。強者揃いの大会になることは間違いない、ポケモンリーグ前の腕試しには丁度いいかもしれない」
だけど、とスグリは続け、
「オレさぁ、マークされたくないんだよね。そろそろ、他のトレーナーたちに目を付けられたくないんだ」
「どういうこと……?」
「手の内を明かしたくないのさ。この大会はポケモンリーグの次に大規模な大会。だとすれば、ここで好成績を出したらポケモンリーグでは必ずマークされる。要注意トレーナーとして警戒されるよね。対策されたからって負けるつもりはないけど、面倒じゃん?」
「でも、成績によっては予選のシード権が貰えるんだよ? スグリ君の実力だったら——」
「それに」
ハルの言葉を遮り、さらにスグリは言葉を続ける。
「オレにはシード権なんて必要ない。ハル君、ポケモンリーグの試合形式知ってる? 二百を越える参加者の中から、予選トーナメントを五連勝して勝ち抜いた十二人、それに四人の四天王を加えた十六人だけが本戦に出られる。でも、オレが目標としてるのは頂点、つまり優勝だけなんだ。予選で苦戦してるレベルじゃ、ポケモンリーグ優勝なんて到底辿り着けない。逆に言えばオレは予選で苦戦するつもりなんかない。どのみち勝ち上がるんだから、シード権なんて必要ないよね」
スグリの話は、あくまでそれを成し遂げられる実力があることを前提とした話。
しかし、ハルには納得が出来てしまう。スグリならそれが出来るのかもしれない、そう思ってしまう。
「要は天秤にかけたのさ。予選のシード権と、自分の戦力の情報、どっちが大事かってね。そして戦力の情報の方が大事だと判断した。そんなとこだよ」
話し終わると、スグリは得意げに笑う。
「……お前、凄いな。この時点でそこまで考えてるトレーナーなんて、そうそういないぞ」
「スグリ君だからこそ、思い付く発想だね……」
「まぁね。オレって頭いいし」
悪戯っぽくスグリは笑うと、
「二人は大会出るんだよね? オレは観客席から応援してるよ。ジゼ君のポケモンとか戦い方にも興味あるし。あとはハル君ならけっこーいい成績狙えるんじゃないかな? 二人とも、しばらくこの街にいるの?」
「うん。ポケモンの特訓とか、街の観光とかするつもりだよ」
ハルはそう答えるが、
「俺は次の街にジム戦に行く。一週間あれば、もう一つジムバッジを貰うくらい出来そうだからな」
どうやらジゼはすぐに別の街へと向かうようだ。
「大会までには、帰ってくるぜ」
「うん。それじゃ、頑張ってね」
「おうよ」
その後、リザードンの背中に乗って飛び立って行くジゼを、ハルとスグリは二人で見送った。

http:// ( No.201 )
日時: 2017/07/01 12:53
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: z5Z4HjE0)

「呆れられたって笑われたっていいノ。大事なのは自分の信念を突き通すことヨ」

マキナ 女 40歳
容姿:黒い服の上から丈の長い白衣を着ており、灰色の髪は長いストレート。美しい顔立ち……なのだが、人体と機械を融合させて半永久的な寿命を得る実験の失敗によって、右目と首から下の右半身が見てわかるレベルで機械化してしまっている。機械化した右手の掌にキーストーンを埋め込んでいる。
性格:真面目で勤勉な性格だが、研究者としては目的のためにあらゆる手段を用い、実験に際しては一切のブレーキをかけず、失敗を持って実験を進めていくマッドサイエンティスト。体の機械化すらも目的達成のための第一歩と考えている。とはいえ研究者としての思考が常人と違うだけで、人としては自分の信念に従って目標を決して諦めず追い求める、至極真っ当な性格である。
異名:「機械仕掛けの女王(デウスエクスクイーン)」
備考:イザヨイシティのジムリーダー。科学技術の最先端を集めたイザヨイシティのシステム管理をたった一人で行っている。
戦術:守りの強い鋼タイプの特徴を生かして、相手に先に攻撃させてから反撃する、後手に回った戦い方を好む。先発のクレッフィが補助技で地盤を固め、二番手以降のポケモンで流れを引き寄せる。
ジムバッジ:ガウスバッジ

手持ちポケモン

クレッフィ(♀)
特性:悪戯心
技:電磁波、光の壁、リフレクター、雨乞い

ジバコイル
特性:アナライズ
技:磁力線、トライアタック、ハイドロポンプ、雷

ギギギアル
特性:クリアボディ
技:ギアソーサー、ギガスパーク、ぶち壊す、ギアチェンジ

アイアント(♀)
特性:張り切り
技:ストーンエッジ、シザークロス、アイアンヘッド、馬鹿力

ハガネール(♂)
特性:頑丈←→砂の力
技:ぶち壊す、グランボールダ、地震、メタルブラスト
備考:メガシンカ可能

第123話 武術 ( No.202 )
日時: 2017/07/02 12:04
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「あ、そうだハル君」
ジゼを見送った後、唐突にハルはスグリに声を掛けられる。
「どうしたの?」
「さっき手の内は明かしたくないって言った手前言いづらいんだけど、ハル君とは久々にまた戦いたいって思ってたんだ。どうせハル君にはオレの手持ちも知られてるし、この後一戦、どう?」
ハルとしては嬉しい申し出だ。今の話を聞いてスグリとはしばらく戦えないと少しがっかりしていたところだったので、このバトルは是非受けたい。
「いいよ。僕もスグリ君とはバトルしたいと思ってたところだから」
「よっしゃ。それじゃ、善は急げだ」
話は決まった。
二人はポケモンセンターの地下、簡易バトルフィールドへと向かう。



「そうだな……三対三ってとこでどうかな?」
「うん、いいよ」
ハルとスグリがフィールドに立ち、バトルが始まる。
両者同時にボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
「頼んだよ、オノンド!」
「出て来い、コジョフー!」
ハルの一番手は、不利タイプの少ないオノンド。
対するスグリのポケモンは、小型の獣人のようなポケモン。格闘家のように体勢を取り、気を高めているようにも見える。

『information
 コジョフー 武術ポケモン
 流れるような華麗な連続攻撃を
 得意とする。圧倒的な手数によって
 パワーの低さをカバーしながら戦う。』

見た目通り、格闘タイプのポケモンのようだ。
「それじゃ、始めよっか。コジョフー、燕返し!」
バトルが始まると同時、コジョフーは一気に真横へと大きく飛び、オノンドの視界から姿を消す。
「っ!」
コジョフーが飛んだ方向へ振り向くオノンドだが、その時には既にコジョフーは壁を蹴って方向転換し、オノンドへと飛び掛かり、鋭い爪を振るってオノンドを切り裂く。
「オノンド、ドラゴンクロー!」
図鑑の説明の通り、コジョフーの一撃にはそこまで火力はない。
素早くオノンドは爪に龍の力を纏わせ、反撃の龍爪を振るうが、
「遅い遅い、燕返し!」
爪が振り下ろされる前にコジョフーはオノンドの背後へと回り込み、さらに鋭い爪を振り抜く。
さらに右手を地につけてそのまま回転し、刀の刀身のように白く輝く足でオノンドに蹴りを叩き込む。
「サイコパンチ!」
そしてコジョフーの攻撃はまだ終わらない。よろめくオノンドへ念力を纏った拳を突き出し、オノンドを殴り飛ばした。
「っ、速い……! オノンド、大丈夫?」
この程度で倒れるほど、ハルのポケモンは弱くはない。
吹き飛ばされたオノンドはすぐに起き上がり、体勢を立て直す。
「オノンド、反撃するよ! 炎の牙!」
長く鋭い牙に炎を纏わせ、オノンドはコジョフーへと突撃する。
「コジョフー、躱して燕返し!」
隠した爪を白く光らせ、コジョフーもオノンドを迎え撃つべく飛び出す。
しかし直接激突はせず、コジョフーはふわりと軽く跳躍し、オノンドの頭部を足場にして背後に回り、鋭い爪を立て続けに振るう。
「ドラゴンクロー!」
コジョフーの連続攻撃を受けるが、オノンドは気にせず両手に龍の力を纏い、その場で周囲を薙ぎ払うように回転しながら両腕を振るう。
攻撃同士かぶつかるが、オノンドはパワーでは負けない。龍の爪による斬撃が命中し、コジョフーを吹き飛ばす。
「よし! オノンド、続けて瓦割り!」
さらにオノンドは吹き飛ぶコジョフーを追って飛び出し、手刀を振り下ろす。
「コジョフー、躱してサイコパンチ!」
龍の爪を受けたコジョフーだが、しっかりと受け身をとって立ち上がる。
最低限の動きでオノンドの手刀を躱すと、横から念力を込めた拳を叩きつける。
「っ、オノンド、立て直して! シザークロス!」
長い二本の牙を構え、再びオノンドはコジョフーへと向かう。
「コジョフー、燕返し!」
立て続けに牙を振るうオノンドだが、コジョフーはその牙を躱しながら、鋭い爪でオノンドを切り裂いていく。
「サイコパンチ!」
「シザークロス!」
着地すると同時に念力の拳を振るうコジョフーに対し、何とか一瞬の隙を突き、オノンドは牙を振るってコジョフーを吹き飛ばした。
「ハル君、やるじゃん。オレのコジョフーの動きに、もう対応してるよね」
「まぁね。そのコジョフー、燕返しに比べてサイコパンチは少しだけ前隙が大きいよね。燕返しは比較的威力が低いから、僕のオノンドなら構わず反撃に出られるよ」
「そこまで気づかれてるかー。いやぁ流石はハル君だ」
とはいえ、まだコジョフーの残り二つの技は見えていない。
「だけど、オレとしても負けられないんでね。前回のリベンジを、果たさせてもらうよ……!」
力強い笑みを浮かべたスグリに呼応し、コジョフーは再び動き出す。
「コジョフー、サイコパンチ!」
両手の拳に念力を纏わせ、コジョフーが地を蹴って飛び出す。
「オノンド、躱してドラゴンクロー!」
流れるように放たれるコジョフーの連続パンチを躱し、オノンドは両腕に龍の力を纏わせる。
対して。
「コジョフー、ドレインパンチ!」
コジョフーが拳を突き合わせると、右の拳が淡い緑色に輝き出す。
立て続けに振るわれるオノンドの爪を躱し、拳がオノンドの腹部へと突き刺さる。
「っ、オノンド!?」
拳を撃ち込まれたオノンドは吹き飛ばされなかった。
その代わり、体から一気に力が抜けたかのように、その場で膝をついてしまう。
そして対するコジョフーの体の傷が、少しずつ癒えていく。
「これって……体力が吸い取られてる……?」
「そーゆーこと。ギガドレインとか吸血と同じ、所謂エネルギードレインってやつね」
エネルギードレイン。
相手に与えたダメージの半分を吸い取って回復する、厄介な性質の技だ。
エネルギードレインの性質を持つ技はいくつがあるが、ドレインパンチもその一つ。
「オレのコジョフーは耐久力は低いからね。相手の体力を戴いて補う必要があるんだ。さ、続けて燕返し!」
隠した爪を伸ばし、コジョフーは体勢を崩したオノンドへ飛び掛かる。
オノンドの周囲を飛び回りながら、鋭い爪を振るって華麗な連続攻撃を浴びせる。
「っ、オノンド、振り払って! ドラゴンクロー!」
両手に龍の力を纏い、オノンドは周囲を薙ぎ払うが、
「遅い遅い、躱してサイコパンチ!」
やはりというべきか、コジョフーには躱され、一旦下がったコジョフーは拳に念力を纏わせ、地を蹴って飛び出す。
「オノンド、シザークロス!」
オノンドは長い斧のような牙を構え、コジョフーを迎え撃つ。
牙の一振り目は躱されるが、続けざまに放った二振り目がコジョフーの拳に打ち勝ち、コジョフーの体勢を崩すと、
「瓦割り!」
手刀を振り下ろし、今度こそコジョフーにまともに攻撃を叩き込んだ。
「よし! オノンド、ドラゴンクロー!」
オノンドが吼え、両手に龍の力を纏わせる。
龍の力を帯びて蒼く光る爪を構え、コジョフーとの距離を一気に詰める。
しかし。

「コジョフー、飛び膝蹴り!」

コジョフーが地を蹴って飛び出す。
激突の寸前、コジョフーは首を思い切り振ってオノンドの爪を躱すと、返す刀で跳躍の勢いを利用した膝蹴りを叩き込む。
オノンドの頬へと膝を食い込ませ、そのまま脚を振るって地面へオノンドを叩き落とした。
「サイコパンチ!」
拳を突き出し、コジョフーは急降下する。
地面に叩きつけられたオノンドへ拳を叩き込み、オノンドを一気に戦闘不能にまで追い込んだ。
「つ、強いね……オノンド、お疲れ様。ゆっくり休んで」
ハルはオノンドを戻し、スグリとコジョフーの方へ向き直る。
「流石、スグリ君のポケモンだね。隙が少ないし、戦闘能力も高い」
「まぁねー。コジョフーの群れに遭遇した時に、一番動きがよかったやつを捕まえたからさ。コジョフーだけじゃない、オレのポケモンは野生の中でも特に優秀そうな個体を選んでるよ」
そんなことより、とスグリは続け、
「さ、ハル君の次のポケモンは?」
「コジョフーが相手なら、次は君だ。出てきて、エーフィ!」
ハルの二番手は、格闘タイプに有利なエスパーポケモンのエーフィだ。
「エスパータイプかぁ。有効打があんまりないけど、コジョフー、もう少し頑張ってもらうよ」
スグリの言葉にコジョフーは頷き、戦闘の構えを取る。
「エーフィ、先手こそ取られたけど、まだまだここから。立て直すよ」
エーフィは一歩踏み出し、相手となるコジョフーをその瞳に捉え、じっと見据える。

第124話 鉤爪 ( No.203 )
日時: 2017/07/03 10:18
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「コジョフー、燕返し!」
隠した爪を伸ばし、コジョフーは勢いよく飛び出す。
「必中技には必中技だ! エーフィ、スピードスター!」
対するエーフィは後ろに飛び退きつつ、尻尾を振るって無数の星型弾を飛ばす。
極めて隙の少ない燕返しだが、必中の星型弾に足止めされ、その爪の一撃はエーフィには届かない。
「エーフィ、シャドーボール!」
エーフィの額の珠が黒く染まり、黒い影を集めた影の弾が発射される。
「躱してサイコパンチ!」
影の弾を躱しつつ一気にエーフィとの距離を詰め、コジョフーは念力を纏った拳を突き出そうとするが、
「させないよ! マジカルシャイン!」
今度はエーフィの額の珠が白く輝き、直後、周囲へと純白の光が放出される。
「ヤバっ……コジョフー、退避!」
スグリが指示を出すが間に合わず、コジョフーは白い光に飲まれ、吹き飛ばされる。
「サイコショット!」
宙を舞うコジョフーに対し、エーフィは額の珠から念力の弾を撃ち出す。
念弾がコジョフーに直撃。撃墜され、コジョフーは戦闘不能になってしまう。
「うーん、まだ耐久はあんまり鍛えてないし、仕方ないか。コジョフー、よくやった」
コジョフーをボールに戻すと、スグリは迷うこともなく、次のボールを手に取る。
「エーフィが相手なら……出て来い、ニューラ!」
スグリの二番手は、エスパータイプに有利な悪タイプのニューラ。フィールドに立つと薄ら笑いを浮かべて腕組みし、エーフィを睨みつける。
「だけどそのニューラ、まだ進化してないんだね」
「そーなんだよねー。かなり鍛えてきてるはずだから、普通の進化じゃないんだろうけど。持ってる進化の石も全部試したんだけど、進化の気配は一向に無し。ま、このままでも強いから、気楽に進化方法を探してるところだよ」
実際、スグリの言う通りだ。
このニューラと直接バトルをしたことはないが、魔神卿ロノウェのバクオングを下したのをハルは目の当たりにしている。
「それじゃ、始めよっか。ニューラ、冷凍パンチ!」
ニューラの両手の周囲を冷気が渦巻き、氷の力を爪に込めたニューラが地を蹴って飛び出す。
「エーフィ、スピードスター!」
対するエーフィは尻尾を振り抜き、無数の星型弾を飛ばす。
必中の星型弾はニューラを迎え撃つべく飛び、進路を塞ぐが、
「ニューラ、手を地面に!」
星型弾とぶつかる直前、ニューラは左手の爪を床へと突き刺す。
刹那、ニューラを中心としてその周囲に氷の柱が出現し、スピードスターを防いでしまう。
「エーフィ、シャドーボール!」
立て続けにエーフィは額の珠から黒い影の弾を放出する。
氷の柱群を破壊し、その背後に潜むニューラを狙うが、
「遅いっての。ニューラ、地獄突き!」
既にそこにニューラの姿はなく、直後、上空からニューラが落下の勢いもつけて襲い掛かり、鋭い爪を思い切り突き出し、エーフィの首を突き刺す。
「エーフィ!?」
吹き飛ばされて地面に落ちたエーフィは何とか起き上がるが、何回か咳き込み、その後も苦しそうな様子を見せる。
「エーフィ、どうしたの? 大丈夫?」
エーフィは苦しそうな表情を浮かべつつも頷くが、その口から声が出ない。
「地獄突きは首、つまり声帯に負荷をかける技。この技を受けるとしばらく声が出せなくなるよ。つまり音の技も出せなくなるけど、そのエーフィには関係なさそうだね」
そう言われてハルは思い出す。ロノウェのバクオングの大音量の雄叫びを封じたのは、確かこの技だった。
「エーフィ、ちょっと辛いだろうけど、頑張って。スピードスター!」
二股の尻尾を振るい、エーフィは再び無数の星型弾を飛ばす。
「必中技は苦手なんだよね……ニューラ、冷凍パンチ!」
冷気を纏った爪を地面に突き刺して周囲に氷の柱を立たせ、ニューラは星型弾を防ぐと、
「メタルクロー!」
自ら氷の柱を砕き、一直線にエーフィへ飛び出す。
「エーフィ、シャドーボール!」
エーフィは立て続けに黒い影の弾を発射していくが、すばしっこいニューラは容易くそれらを躱しつつエーフィに近づき、鋼の如く硬化させた爪を振るってエーフィを切り裂く。
「地獄突き!」
エーフィの体勢を崩し、さらにニューラは右手を突き出すが、
「マジカルシャイン!」
エーフィの額の珠が白く輝き、煌めく純白の光が周囲へと放出される。
腕を突き出すニューラを押し返し、逆に光に飲み込んで吹き飛ばした。
「やるじゃん……ニューラ、メタルクロー!」
ニューラは両手の爪を硬化させて起き上がると、一気に駆け出す。
エーフィとの距離を一気に詰めると、鋼の爪を振るう。
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
咄嗟にエーフィは飛び退いてニューラの鉤爪を躱し、額の珠を黒く染め、影の力を集める。
しかし、
「氷の礫!」
直後、ニューラの手が冷気を纏ったかと思うと、そこから無数の氷の礫が飛び出す。
影の弾がはなたれるよりも早く無数の礫がエーフィを捉え、その体勢を崩し、
「メタルクロー!」
鋼の如く硬化させた鉤爪を構えて切り込み、エーフィを切り裂く。
「エーフィ、スピードスター!」
鋼の鉤爪に切り裂かれて体勢を崩すエーフィだが、素早く尻尾を振り抜き、無数の星型弾を飛ばす。
ニューラが思っていたよりも反撃が速かったようで、咄嗟にニューラは躱そうとするがスピードスターは必中技。
正確にニューラを追尾し、直撃してダメージを与える。
「続けてシャドーボール!」
さらにエーフィは額の珠に黒い影を溜め込み、影の弾を放つ。
しかし、
「ニューラ、躱して接近!」
着地したニューラがすかさず地面を蹴り、エーフィとの距離を詰めていく。
素早い挙動で影の弾も躱し、
「冷凍パンチ!」
冷気を纏ったまま一気にエーフィの懐へと飛び込み、ニューラは氷の拳を叩き込む。
冷気の拳がエーフィを殴り飛ばし、さらにその身を凍りつかせる。
「っ、エーフィ!?」
冷凍パンチの追加効果、氷の状態異常だ。何とかエーフィは起き上がるものの、体の一部を氷漬けにされ、思うように動けない。
「地獄突き!」
不敵な笑みを浮かべて爪を構え、ニューラが思い切り右腕を突き出す。
鋭い鉤爪がエーフィの喉笛を捉え、エーフィはよろめき、その場に倒れ、力尽きて戦闘不能となってしまう。
「くっ、流石に悪タイプ相手じゃ無理があったか……エーフィ、お疲れ様。休んでてね」
ハルはエーフィを労い、ボールへと戻す。
「ね? 進化してなくても、このニューラは強いんだよ。最終進化系相手でも充分タメを張れる程度にはねー」
「そうみたいだね。スピードも攻撃力も高いし、何より動きに無駄がない。隙がかなり少ないよ」
実際、タイプ相性で不利だったとはいえ、エーフィはほんの数回しか攻撃を当てられずに倒されてしまった。
「だけど、次はこうはいかないよ。出てきて、ルカリオ!」
ハルの最後のポケモンはルカリオ。やはりこのポケモンでなければ、スグリには勝てない。
「そう来ると思ったよ。ニューラ、戻って」
ニューラはまだ戦う体力が残っているが、スグリは敢えてニューラをボールに戻す。
「確かそのルカリオ、波導弾覚えてるよね。悪と氷タイプのニューラがいくら頑張ったところで格闘の必中技持ってるルカリオにはさすがに勝てないからね、ここは交代だよ」
そして、スグリの手に最後のボールが握られる。

「出て来い、ジュカイン!」


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