二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケットモンスター 魔王と救世の絆
日時: 2018/04/30 21:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)

こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。

※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。

それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。

登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45

プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204

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第58話 決着 ( No.114 )
日時: 2017/01/11 11:22
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: 激突するルカリオとジュプトル。果たして、勝負の行方は——

爆発的な波導を纏ったメガルカリオの右手と、鋭く伸びたジュプトルの葉の刃が、正面からぶつかり合う。
両者一歩も引かずにせめぎ合い、ぶつかり合う力は行きどころをなくし、そして。
遂には、大爆発を起こす。
「ルカリオ!」
「ジュプトル!」
爆発と爆煙に巻き込まれ、二匹の姿は見えなくなる。
やがて少しずつ煙が晴れ、少しずつ視界が開けていく。
激闘を制したのは、どちらか。その答えは、すぐに明らかとなった。
「……負けかぁ」
やり切った、それでいてどこか悔しげな声で、スグリは呟く。
片膝をつき、何とかまだ意識を保つルカリオの目の前で、ジュプトルは全ての力を使い果たし、戦闘不能となっていた。
そしてバトルが終わり、それを見届けたルカリオのメガシンカが解けると、ハルとルカリオも、全身から力が抜けたように床へ座り込んでしまう。
「……勝った……の……?」
ぼーっとしたままのハルには、まだ状況が掴めていないようだったが、
「ハル、すっごーい! スグリ君に勝つなんて!」
駆け寄ってきたサヤナの言葉で、ようやく状況を理解する。
「勝った……勝ったんだ! 凄いや、ルカリオ! 僕たち、スグリ君に勝ったんだよ!」
駆け寄る気力が残っていないので、ハルは座り込んだままルカリオに言葉を掛ける。
何とか立ち上がったルカリオは振り向いて笑みを浮かべ、嬉しそうに吠え、ハルの元へ歩み寄る。
「お疲れ、ジュプトル。いつの間にか追い抜かれちゃったな。でもまた、すぐに抜き返そう」
スグリがそう言ってジュプトルの頭を撫でると、ジュプトルは悔しそうに唸る。
「いやぁ、やっぱメガシンカって凄いんだね。てゆーか、オレに勝ってそんなに嬉しい?」
「そりゃあそうだよ。スグリ君の強さは僕もサヤナもよく知ってる。そんな強いトレーナーに勝てたんだもの」
「ま、それもそうか。オレ強いし……今日は負けちゃったけどね」
スグリも負けた手前どこか調子が出ないようだが、
「だけど、次は勝つよ。正直ハル君に負けたのはめちゃくちゃ悔しいから、これをバネにしてここから先、オレはさらに強くなる。ハル君、その時にはまたバトルしようよ。今日のリベンジを果たすからね」
「うん。僕だって今日の結果だけに満足はしないよ。スグリ君が強くなるなら、僕だってもっと強くなる。こっちからもお願いするよ、またバトルしようね」
再戦を誓う、ハルとスグリ——
「ちょっと! 今回私だけ仲間はずれにされちゃったんだから、私とも約束だよ! 私ともまたバトルするの!」
「も、もちろんだよ。だから、そんなに怒んないで……」
——とサヤナ。
ハルは一日に二回もメガシンカを使いもうクタクタなので、今日ハダレタウンを出るサヤナとスグリと再会を約束し、今日はポケモンセンターに宿泊することにした。
明日になったら、次のジムリーダーが待つ街へと出発だ。



「……お願い、教えて。貴方の言葉以外に、場所を特定できる手段はないの」
サオヒメシティの警察署、取り調べ室。
数人の警察官が部屋の隅に立ち、取り調べを受けている男の前には、ジムリーダー、アリスと、その父親、リデルが座る。
「……」
そしてその目の前で無言を貫いているのは、元ディントス教教皇、ディントス。
今まで素直に取り調べに応じてきたディントスだが、ここに来て状況が一転。
ゴエティアのアジトを知っていると口走り、それ以降その場所を聞き出そうとするも、口を固く閉じてしまったのだ。
そのため、警察官に加え、急遽ジムリーダーであるアリスと、ディントスの友人であったリデルが呼ばれたわけだが、
「……手詰まりね。ねえ、なぜ奴らのアジトを教えてくれないの。言い方は悪いかもしれないけど、言ってしまえば貴方はもうゴエティアから捨てられた身。今さら奴らを庇う意味なんてないでしょう」
「……」
この有様である。頑なに口を開こうとしない。
「……もしかして」
ここで、アリスの隣に座るリデルが口を開く。
「ディントス、君はもしかして報復を恐れているのかい? アジトを教える、つまり奴らの情報を明け渡すことによって、奴らから報復を受けることを」
そこで初めて、ディントスの表情が変化する。
「……図星だね。君は昔から隠し事が下手だからね、顔を見ればすぐ分かるよ。ゴエティアの報復を恐れているんだろう」
「……貴様らは」
ようやく。
リデルの言葉を受けてか、ようやく、ディントスの口から言葉が出た。
「貴様らは、ゴエティアの真の恐ろしさを知らんのだ。奴らはまさに絶対王政。反逆者に対してはもちろん、過失によるミスを犯しただけの部下でも処分する冷酷な人間もいる。奴らからは逃げられない。一度奴らの傘下に入った以上、奴らを裏切ったが最後、例えどこまで逃げても必ず殺される。ジムリーダー、貴様なら分かるだろう。あの時私がヴィネーを攻撃すれば、奴は何のためらいもなく私を殺した。現に、そうしようとしていたのだからな」
そう言われてアリスは思い出す。教会に現れたヴィネーは、鋭い刃物を持つポケモン、キリキザンの入ったボールを隠し持っていた。
刃向かおうとした瞬間に、その首を切り落とそうとしていたのだろう。
しかし、
「……私たちの方こそ、甘く見ないでほしいわね」
そんなディントスの言葉を受けてなお、アリスはそう言い返す。
「私はメガシンカの正統なる継承者、そしてこの街のジムリーダーなのよ。それにこの街には父さんもいる。警察の方と全面的に協力して、ゴエティアが潰れるその瞬間まで、全力であんたを守ってあげるわ。ゴエティアなんぞに、屈指はしない」
「しかし……」
「ディントス、君の友人だった私のよしみで、一つ頼まれてくれないか」
まだ躊躇うディントスに、リデルがさらに言葉を掛ける。
「君が本当は真っ直ぐな人間だったということは、僕がよく知っている。どうか、あの頃の君に再び戻ってはくれないか。そして、奴らのことを教えてくれないか。そうすれば、僕とアリス、そして警察の人たちで、全力で君を守ろう。思い出すんだ、若かりし頃を。僕が今まで、一度でも君に嘘をついたことがあるかい?」
リデルの言葉を受け、ディントスは俯向く。
そして。
「分かった。貴様らを信じ、全てを話そう」
顔を上げ、ようやく、その固く閉ざした口が開かれる。
「私もちらと聞いただけだ。間違っていても保証はせんぞ。奴ら、ゴエティアのアジト。その場所は——」

http:// ( No.115 )
日時: 2018/05/02 12:45
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: vJF2azik)

「性格上、あんたらみたいな人間は放っておけないんだよね」

スグリ 男 14歳
容姿:男にしては少し長めの緑色の髪を整え、赤いTシャツの上に黒いパーカーを着ている。時々つば付きの帽子を被っていることもある。ズボンの丈は短く、活発で動きやすそうな印象。
性格:クールで誰とでも親しみやすいが、自信家であり気取ったような態度を見せることも多い。面倒事は嫌いなのだが悪人を放っておくことはできないまっすぐな性格。
備考:ハルの一週間前に旅に出た新米トレーナー。なのだが類い稀なるポケモンバトルのセンスを持っており、その実力は極めて高い。

手持ちポケモン

(キモリ)→ジュプトル→ジュカイン(♂)
特性:新緑
技:リーフブレード、龍の波動、アサシンソード、リーフストーム

ブイゼル→フローゼル(♂)
特性:水々
技:アクアジェット、冷凍パンチ、噛み砕く、リキッドブレード

ニューラ(♀)
特性:悪い手癖
技:地獄突き、メタルクロー、冷凍パンチ、氷の礫

コジョフー(♀)
特性:精神力
技:ドレインパンチ、燕返し、サイコパンチ、飛び膝蹴り

オンバット(♂)
特性:すり抜け
技:アクロバット、鋼の翼、龍の息吹、パルスビーム

(エリキテル)→エレザード(♂)
特性:乾燥肌
技:十万ボルト、炎のパンチ、悪の波動、ドラゴンテール

Re: ポケットモンスター 魔王と救世の絆 ( No.116 )
日時: 2017/01/11 20:19
名前: 霧風赤司 ◆.k1XJsDMDk (ID: zGyV0OIp)  

・いろいろほうし 草タイプ PP5 威力- 命中50
・様々な効果を持つ胞子を相手に振りかける。相手はねむり・まひ・こおり・やけど・どく状態のどれかになる。(確率はどく・まひが一番多い。こおりが一番低い。)
・キノコ系のポケモン



・ヒートバーン 炎タイプ PP5 命中- 威力- 
・闘志を爆発させ、自分の攻撃・素早さ・特攻をぐぐーんとあげるが、自分のHPは10になってしまう。
・四足歩行の格闘タイプポケモン



・アクアスライド 水タイプ PP10 威力30 命中90 
・水流に乗り、相手に突撃する。自分の素早さが1段階上がる。
・四足歩行の水タイプポケモン

応募します!




第59話 遺跡 ( No.117 )
日時: 2017/01/12 11:44
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

明くる日の朝。
ポケモンセンターの宿舎で目覚めたハルは、朝食を食べた後、ロビーで次の行き先を確認していた。
「ジムがある次の街は……カタカゲシティか」
少しだけ遠いが、道自体は平坦な道路だ。
ハルはアルス・ターミナルの地図を開き、次の目的地をカタカゲシティに設定する。
準備を整え、ポケモンセンターを出ようとしたところで、
「ハル君おはよぉ。昨日はお疲れ様ぁ」
同じくポケモンセンターを出ようとした、ミオに出会った。
「おはよう、ミオ。ミオはこれからどこに?」
「とりあえず通ったことのない道を通って、着いた街にねぇ。行き先は特に考えてないよぅ」
ミオの旅は、ハルとは違う気ままな旅のようだ。
「そっか。僕はこの後カタカゲシティに行くんだ——」
と、ハルがそこまで言ったところで。
唐突に、ハルのターミナルから着信音が鳴り響く。
「ん、ちょっと待ってね。誰からだろう……」
画面を確認する。発信元は、サオヒメシティジムリーダー、アリスだ。
「アリスさん……? はい、もしもし。ハルですけど」
『あ、ハル君? 朝早くごめんね、今どこにいる? まだハダレタウンにいる?』
「ええ、今はポケモンセンターにいますけど」
『ちょうどよかった。そこで待ってて、頼み事があるの。もうすぐそっちに着くわ』
通話越しのアリスの声は、どことなく慌てているように聞こえる。
「はい……アリスさん、何かあったんですか?」
アリスの様子が気になり、ハルは聞いてみる。
対して。

『ディントスが口を割ったの。ハダレタウンに、ゴエティアのアジトがあるってね』

「なんですって!?」
思わず、ハルは大声で叫んでいた。
ポケモンセンターにいた人たちが、ハルの方を振り向く。
「あ……失礼しました……それで、一体どこに?」
『それはそっちに着いてから教えるわ。とにかく、ちょっと待ってて』
「あ、はい、分かりました」
ハルがそう返すと、向こうから通話が切られる。
「ごめん、ミオ。ちょっと急用が入っちゃって……」
「みたいだねぇ。僕も力になるよぅ」
「……え?」
思わずハルは聞き返す。
ミオはハルの耳に顔を近づけ、
「ゴエティアのアジトが分かったんでしょお。周りには気づかれてないけど、近くにいたから聞こえたよぅ。昨日の大会のこともあるしぃ、僕も協力させてもらうよぅ」
「……分かった。だけど、それを決めるのはアリスさんだから、アリスさんが来るのを待ってて」
(とは言っても、あの人なら普通にオッケーしそうだけど)
朝から急な展開になってしまったが、ひとまずハルとミオはアリスが到着するのを待つ。



「お待たせ、ハル君。この子は?」
「お久しぶりです、アリスさん。彼はミオ、ハダレ大会の準決勝で僕と戦ったトレーナーです。アジトの件、協力したいと」
「ミオです。よろしくお願いしますぅ」
アリスがハダレシティに到着した。
ハルはミオを紹介し、ミオも挨拶する。
「よろしくね。私はサオヒメシティジムリーダー、アリスよ。この間の大会の準決勝進出者なら、力になってくれそうね」
ハルの予想通り、アリスは二つ返事でミオの参加を了承した。
「ハダレ大会といえば、君たち大変だったわね。ゴエティアの魔神卿が乱入したって、ニュースになってるわよ。スグリ君が何とかしてくれたんだって?」
「ええ……一時はどうなるかと思いました」
「名前は確か……ロノウェとアスタロト、でしたよぅ」
アスタロトは直接手出しはしてこなかったが、それでもあのアーケオスの龍の息吹は強力だった。
「そう……最近、ゴエティアの事件も増えてるわね。それに」
アリスは苦い顔で続け、
「ディントスが奪ったポケモンは大方取り返したんだけど、そのうちの何匹かが目を覚まさないの。昏睡状態っていうのかしら、何をしても意識を戻さないのよ」
これまた何とも不思議な話だ。アリスがそれを放り出してこっちに来たということは、考えても仕方のないことなのだろうか。
「さて、話を戻すわよ。ハダレタウンは昔の遺跡が多く残る街。その遺跡の一つをゴエティアが改造して、アジトとして使用しているらしいわ。場所も既に特定済みよ」
確かに、この街の遺跡は観光スポットとなっているが、中に入ることは許されていない。アジトとするには絶好の場所だろう。
「軽く探りを入れてみたけど、規模はそんなに大きくないわ。いくつかあるアジトの一つ、って言ったところかしら。だからこの人数でも問題ない。力尽くで潰すわよ」
「……もし、大人数いたら?」
「大丈夫、すぐにジムトレーナーや父さんに連絡する準備もできてる。いざとなればそれを使うわ」
一応、あらゆる場合を想定して対策はしているらしい。
とはいえ、ゴエティアの本拠地の一つである場所に殴り込みに行くのだ。魔神卿たちからの手厚い歓迎を受けてもおかしくはない。
「二人とも、ポケモンの調子は万全ね」
「はい。昨日休ませたので、バッチリです」
「僕も大丈夫ですよぅ。存分に戦えますねぇ」
「それじゃあ、行くわよ」
アリスに連れられ、ハルとミオはゴエティアのアジトがあるという場所へと向かう。



ハダレタウン外れ、旧遺跡群地帯。
「……ここね」
遺跡の前で、アリスが立ち止まる。
三人が辿り着いたのは、巨大な遺跡に隠れた地下へと続く遺跡への入り口だ。
確かにここなら、なかなか外からも気づかれないだろう。
「ポケモンセンターで父さんとジムトレーナーが待機してる。バラけるのは危険、三人で固まって行動するわよ。いいわね」
「了解です」
「よし。それじゃあ、突入よ」
アリスとハル、そしてミオ。
少数の精鋭部隊が、ゴエティアの本拠地と思われる場所へと潜入する。

第60話 大男 ( No.118 )
日時: 2017/01/15 14:55
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: ゴエティアのアジトに忍び込む三人。そこで彼らを待ち受けるのは——

アリスがポケモンセンターに到着する、その少し前。

「ヴィネーんとこのあの教皇気取り、結局捕まったんだってな」
薄暗い部屋の中に、男の声が響く。
「そそ。事前にぼくが前もって忠告しておいたのにね。まぁヴィ姐はまだいくつもプランを持ってるらしいし、王への供物も手に入れたみたいだし、別にいいんだけど」
「ヴィネーに関してなら心配ねえよ。あいつはなかなかの切れ者だ。教皇の失敗なんて想定内だろ」
少年の言葉に、男はそう吐き捨てる。
「そうだ、ぼくはそろそろここを出るけど、一つ言っておくことがあるんだ」
「あぁ?」
「ヴィ姐の話によると、あの教皇にここの拠点の存在を知られちゃったかもしれないって。多分ヴィ姐を恐れて口は割らないと思うけど、万が一のことがあるかもしれないから、早めに撤退した方がいいかもね」
「……チッ、マジかよ。前の拠点が気に入らなくて作り直してようやく完成した拠点だぞ。ついてねえな、つかヴィネーはなんであの教皇を処分してねえんだ」
「そのことに関してはぼくも聞いたんだけどねえ、タイミングを逃したんだって。教皇からキーストーンを受け取ったら処分する予定だったって。まぁその前にとっ捕まったから、仕方ないね」
ニヤニヤしながら少年はそう語る。
男は顔に浮かぶ苛立ちを隠そうともせず、
「ってことは、サオヒメのジムリーダー、それからお前のお気に入りにも知られてるかもってことか。チッ、面倒くせえ。外敵をぶっ殺して解決ってわけにいかねえのは最高に面倒くせえよ」
「おぉこっわ。流石、ゴエティアの中でも直接戦闘を専門とするだけあるねぇ」
「悪いが手加減はできねえぞ。救世主も大事だが、最優先は王の目的よりも組織の維持だ。組織の危機を感じればお前のお気に入りだろうと容赦なくぶっ殺す。いいな」
「……そういう言い方は気に食わないね。救世主より魔神卿の方が代わりを探すのは楽だってことは分かってるよね、ダンみたいなバカじゃないんなら」
「どのみち組織がなくなれば王の目的は達成できねえ。それよりは危険な芽を潰し、何年かかってもゆっくりと王の目的を達成させるのが合理的ってもんじゃねえのか。それとも何か? お前が俺を殺すのか?」
「王はそれを待ってくれるほど気の長いお方じゃないよ。つーかそこまでいうならやってやろうか? 例え戦闘専門だからって、ぼくに勝てるの?」
「魔神卿の代わりはいくらでもいるんだよな? ハッ、俺とお前、内輪喧嘩で死体が二つだ! 何とも面白えじゃねえか——」

「やめなされ」

闇の奥から声が響く。
2メートルを超えるほどの大きな影が、部屋に現れた。
「二人ともゴエティアの貴重な戦力です。私からすれば、二人のうち片方でも失うのは惜しい」
大男は少年を片手で掴み、男を制し、喧嘩を仲裁する。
「私に任せていただこう。二人は先に撤退の準備を。この私なら、この組織の危機を最低限に抑え、かつ御主のお気に入りを傷つけずに問題を解決できる。それで、よろしいですかな」
「……っ、わかった」
「そこまで言うならここはお前に任せる。俺は先に撤退するぜ」
大男に制されて頭を冷やし、二人は撤退の準備を始める。
そこで、
「ああ、そうだ。お詫びに一人護衛をつけておくよ。最近雇った用心棒をね。それと」
少年がニヤリと笑い、男を呼び止める。
「なんだ」
「逃走用のポケモンを貸してあげるよ。空飛べるポケモン持ってないでしょ」
そう言って、少年は男に一つのモンスターボールを手渡す。
「罠じゃねえだろうな。お前ならやりかねん」
「ついさっき怒られた手前そんなことするわけないっしょ。用心棒と合わせて喧嘩したお詫びだよ」
「ほう。んじゃ、ありがたく使わせてもらうぜ」
「いいっていいって。そんじゃ、ぼくは先に帰るよ。ばいばーい」
少年がボールを取り出し、その中からは骨で着飾った鷲のようなポケモンが現れる。
少年はそのポケモンに飛び乗ると、先に拠点を出て行った。
「それじゃあ、頼んだぜ。俺は先に撤退の準備をしておく」
「ええ。ここは私に任せておきなされ」
大男に言葉をかけ、残った男もまた、部屋を去っていく。



「それじゃ、突入よ」
アリスとハル、ミオの三人が、ゴエティアのアジトへと潜入する。
入り口は薄暗いが、少し進むとすぐに明るい広間に辿り着く。
通路は一つ。進むべき道はそこだけだ。
常に周囲を警戒しながら、三人は通路を進んでいく。
だが、
「侵入者だ!」
「怪しいやつめ!」
通路を塞ぐような、挟み撃ちの形で、無数の黒装束の集団が姿を現す。
「早速来たわね。怪しいのはどっちって話よ。ハル君、ミオ君。後ろをやって。前は私一人で片付ける」
そう言って、アリスはライボルトを繰り出す。
「了解です!」
「任せてください」
ハルとミオもそれぞれルカリオ、カビゴンを繰り出し、下っ端たちを相手取る。
それを見た下っ端たちもボールを取り出し、それぞれのポケモンを繰り出すが、
「ライボルト、サンダーブラスト!」
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
「カビゴン、シャドーボール」
ライボルトが電撃の衝撃波を解き放ち、ルカリオが骨の形のロッドを振り回し、カビゴンがいくつもの影の弾を撃ち出し。
下っ端のポケモンたちは、瞬く間に薙ぎ払われた。
下っ端の中には、ポケモンすら出す暇もなく吹き飛ばされた者もいた。
「造作もない。下っ端なんてこんなもんよ。さっさと魔神卿クラスを出してちょうだい」
倒れた下っ端たちの山を乗り越え、アリスたちはさらに奥へと進んでいく。



「……おかしい」
通路を進んでいくうちに、ふとアリスが呟く。
「え?」
「一本道すぎる……まるで誘われてるみたい」
そう言われて、ハルは通路を見渡す。
よく見ると、通路の中には固く閉ざされた扉があり、確かにハルたちを誘導しているようにも見える。
「とはいえ、進むしかないですよねぇ」
「……そうね」
閉ざされている扉をどうこうしても仕方がないため、とにかく進むしかない。
時々数人の下っ端と遭遇するも軽く蹴散らしつつ、アリスたち三人はやがて大きな部屋へと辿り着く。
ここでも何人かの下っ端が現れるが、速攻で撃破。
「さあ、次に進むわよ」
「はい!」
そして、アリスたち三人が部屋の扉に向かおうとしたところで。

「よくぞ参られた。我らゴエティア、総力を持って歓迎致しましょうぞ」

その扉が開き、一人の男が姿を現わす。
「……!」
「なんだ、こいつ……」
まずハルたちが圧倒されたのは、何よりその男の容姿。
ものすごく大きい。2メートルを軽く超えている。
そしてその巨体に違わず、筋骨隆々とした体を持つ。白衣を着ているが、上半身はその下に何も着ていないようで、頑強な筋肉が剥き出しだ。
またその顔も随分と特徴的だ。丸い目が大きく、青い髪の毛はオールバックにしており、口もそこまで大きくなく、例えるならばフクロウのような顔をしている。
「誰。名を名乗りなさい」
「そう慌てなさるな。私から声をかけたのだ、自分から名乗るくらいの礼儀は持ち合わせておりますぞ」
かなり野太い声で、ゆっくりとその大男は口を開く。
「私は御察しの通りゴエティア七魔卿の一人、魔神卿アモン。ゴエティア内では後方支援、研究や電脳戦を担当させていただいております」
その男は丁寧に自らの名をアモンと名乗った。やはり、この大男も魔神卿のようだ。
しかし、それにしても。
「……そのガタイで、研究員とはね」
「てっきりガチガチの戦闘員が来たかと思いましたよ」
「この人がパソコンを使ってるところ、想像できないね」
三人の思考は完全に一致していた。
「ほほほ、失礼な。私はこう見えても研究者長。ゴエティアでは参謀を務めさせていただいておりますぞ。パイモンからは頭が固いと言われますがな」
三人の言葉に、アモンは冗談めかしく笑う。
「さて、ここで私が三人まとめて相手取ってもよろしいのですが、生憎我がゴエティアにもう一人、あなた方との戦闘を望む者がおります。さあ、おいでなさい」
アモンがそう呼ぶと、扉の奥からもう一つ、人影が現れる。
人影の正体は少年だった。黒い髪は肩くらいまで伸ばしており、男にしては長め。身長もそこそこ高く、白いシャツの上から真っ黒な丈の長いコートを羽織っている。
不機嫌そうな表情を浮かべており、その目つきも悪く鋭い。
「さて、自己紹介を」
アモンに促され、その少年は口を開く。

「俺の名はパラレル。強さだけを求めて生きる者だ。今は魔神卿パイモンに雇われた用心棒だがな」

ぶっきらぼうに少年は自身の名を名乗り、
「……お前がハルだな」
いきなりハルを睨み、そう呟く。
「え? あ、そうだけど……」
突然指名され、目つきの悪い目で睨まれ、少し後ずさりするハル。
「そうか。それなら話が早い」
パラレルはさらにそう呟き、突然、ハルを指差した。
「ハル! お前に、一対一のバトルを申し込む!」


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