二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケットモンスター 魔王と救世の絆
- 日時: 2018/04/30 21:14
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: OiWubliv)
こんにちはこんばんはおはようございます。パーセンターです。
今回は紙ほか板から映像板に進出して、また懲りずにポケモンの二次小説を執筆したいと思っております。
今回は前作との繋がりはほぼ断ち切った完全新作です。
カウントすれば5作目になりますね。まだ向こうの「星と旋風の使徒」は完結しておりませんので、同時進行となります。
※注意事項(?)
・いつものことですがノープランです。更新のペースも早かったり遅かったりします。
・上でも述べていますが、前作までとの繋がりはほぼありません。まだ「星と〜」が完結していませんしね。
・登場するポケモンは第七世代までです。執筆中に第八世代が出てきたらまたその時に考えます
・上に関連して、パーセンターがよく使っているベガポケモンですが、今作では『出ません』。設定上は存在している設定ですが今作には出ません。
・ベガの技は普通に出ます。ついでにオリジナル技も結構たくさん出ます。オリ技の説明は随時公開するのでご安心ください。
・オリキャラとかオリ技の募集も近いうちにすると思います。皆さん協力お願いします。
それでは、新しい主人公の新しい物語が始まります。よろしくお願いします。
登場人物紹介
>>34
オリ技紹介
>>45
プロローグ
>>1
ハツヒタウン編——旅立ち
>>6 >>7 >>8
シュンインシティ編——経験
>>15 >>20 >>28 >>32 >>35 >>36 >>37
カザハナシティ編——ライバル
>>38 >>40 >>43 >>44 >>46
ヒザカリタウン編——出会
>>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>65
サオヒメシティ編——Evolution
>>66 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86 >>91
ハダレタウン編——大会
>>92 >>94 >>97 >>98 >>99 >>102 >>103 >>104 >>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121
カタカゲシティ編——試練
>>122 >>123 >>124 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>134 >>135 >>136 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>151
ノワキタウン編——友情
>>152 >>153 >>156 >>159 >>160 >>162 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>175 >>176 >>177
イザヨイシティ編——実力
>>178 >>180 >>181 >>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>195 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>202 >>203 >>204
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- 第20話 ジムバトル! ヒザカリジムⅡ ( No.59 )
- 日時: 2016/11/07 22:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ポプラが繰り出す炎のポケモン達。ハルはどう立ち向かうのか——
光線を掻い潜り、ヒノヤコマは一気にメラルバとの距離を詰めていく。
「ここ! メラルバ、ワイルドボルト!」
ヒノヤコマが眼前にまで迫ったその瞬間、メラルバが電撃を纏う。
向かってきたヒノヤコマを仕留めるべく、前方へタックルを仕掛けるが、
「……っ! ヒノヤコマ、躱して!」
スピードの上がっているヒノヤコマは、ギリギリのところで急上昇、間一髪でメラルバの突進を躱した。
「エアカッター!」
すっ飛んでいくメラルバへヒノヤコマは翼を羽ばたかせ、無数の風の刃を飛ばす。
「やばっ……! メラルバ、シグナルビーム!」
メラルバは宙を飛んでいて回避ができない。瞳から光線を放とうとするが間に合わず、無数の風の刃に切り裂かれ地面に落ち、目を回して戦闘不能になってしまう。
「ダメだったかぁ。メラルバ、よく頑張った! 後は休んでて!」
ポプラはメラルバをボールに戻すと、すぐに次のボールを取り出す。
「なかなかやるね! それじゃあ次はこの子! 火の粉を巻き上げろ、ブーバー!」
ポプラの次なるポケモンは、燃える炎の体を持つ人型のポケモンだ。
『information
ブーバー 火吹きポケモン
火山の火口から生まれたポケモン。
炎を撒き散らして周りの環境を
住みやすいように変えてしまう。』
「ブーバー……持っているタイプは、炎だけか」
ヒノヤコマに対して、タイプの有利不利は無い。
「ヒノヤコマもまだまだ戦える。ここはもう少し、頑張って!」
ハルの言葉にヒノヤコマは頷き、相対するブーバーを見据える。
「よし! ヒノヤコマ、疾風突き!」
嘴を突き出し、ヒノヤコマは猛スピードで突っ込んでいく。
ニトロチャージの加速も合わさり、そのスピードはかなりのもので、瞬く間にブーバーに近づき、嘴で突き飛ばす。
「続けてニトロチャージ!」
そのスピードをさらに加速させるべく、ヒノヤコマは炎を纏って突撃するが、
「ブーバー、クリアスモッグ!」
ブーバーが口から白い煙を吹き出す。
煙はヒノヤコマにまとわりつき、ヒノヤコマを包む炎を消し去ってその動きを止めてしまう。
「ヒノヤコマ、振り払って! アクロバット!」
翼を羽ばたかせてヒノヤコマは煙を振り払うと、今度は軽やかに飛び回りながらブーバーへと接近していく。
しかし。
「……あれ?」
明らかにヒノヤコマのスピードが落ちている。
正確には、戻っている、と言った方が正しいか。上がったはずの素早さが、元に戻っているのだ。
「ブーバー、アクセルフレア!」
さらにブーバーが全身に炎を纏わせ、地を蹴って飛び出す。
ニトロチャージよりも炎の規模が小さいが、その代わりに速い。ヒノヤコマの横からブーバーが突撃し、ヒノヤコマを弾き飛ばした。
「雷パンチ!」
体勢を崩すヒノヤコマに、ブーバーが電撃を纏わせた拳を叩き込む。
「っ、ヒノヤコマ!」
効果抜群の一撃を受けたヒノヤコマが床へと叩きつけられ、そのまま戦闘不能になってしまう。
「ありがとう、ヒノヤコマ。戻って休んでて」
ヒノヤコマをボールに戻すと、ハルはポプラの方に向き直る。
「教えてあげよう。クリアスモッグは、相手の能力変化を元に戻す技! 必中技でもあるから、私のブーバーの前ではいくら能力を上げても意味が無い! 能力変化なんか使わないで、正々堂々ぶつかってこいってことよ!」
得意げな笑みを浮かべてポプラは説明する。
「さあ、次はどんなポケモンで来る? もっと私を楽しませてよ!」
「それじゃあ、次は君の出番だ。出てきて、イーブイ!」
ハルの二番手はイーブイ。地面技を持つため、炎タイプに対して有効打がある。
「なるほど、イーブイで来たか。それじゃあその力を見せて! ブーバー、火炎放射!」
ブーバーが大きく息を吸い込み、
「イーブイ、電光石火!」
炎を吹き出す前にイーブイの突撃を受け、口から吹き出た炎は明後日の方向に飛んでいく。
「ブーバー、雷パンチ!」
「イーブイ、潜る!」
すぐさま立て直したブーバーが電撃を纏わせた拳を突き出すが、イーブイは地面に潜って拳を躱すと、ブーバーの足元から飛び出してブーバーを突き飛ばす。
「イーブイ、スピードスター!」
素早くブーバーから距離を取り、イーブイは無数の星形弾を放とうとするが、
「好き勝手はさせない! ブーバー、アクセルフレア!」
炎を纏ったブーバーが高速で突撃、イーブイに激突して吹き飛ばす。
「火炎放射!」
「っ、躱して!」
ブーバーが灼熱の炎を勢いよく吹き出し、起き上がったイーブイは何とか炎を回避する。
尻尾の先を炎が掠め、毛先が黒く焦げる。
「まだ終わってないぜ! ブーバー、雷パンチ!」
拳に電撃を纏ったブーバーがフィールドを駆け、イーブイとの距離を詰めてくる。
「イーブイ、潜る!」
イーブイは地面を掘り、素早く床の下へと潜る。
雷の拳は空を切り、直後、ブーバーの足元が割れ、飛び出してきたイーブイがブーバーを突き上げる。
「イーブイ、スピードスター!」
「っ! ブーバー、連続で雷パンチ!」
イーブイが無数の星形弾を放ち、ブーバーは立ち上がると一旦距離を取る。
ブーバーを追尾してしつこく迫る星形弾を、電撃を纏った連続パンチで全て砕く。
「電光石火!」
しかしその星形弾の後ろから、イーブイが猛スピードで突っ込んでくる。
ブーバーの拳を纏う電撃が消えたところに、イーブイが突撃を仕掛けた。
しかし、
「ブーバー、火炎放射!」
イーブイの突進を受けたブーバーが、今度はしっかりと地に足をつけて踏み止まった。
返す刀でブーバーは灼熱の炎を口から吹き出し、イーブイを逆に炎に飲み込んで吹き飛ばす。
「まず……っ! イーブイ、大丈夫!?」
やはり主力の炎技の威力は侮れない。まだイーブイは何とか立ち上がるが、次はない。
そしてそれを分かっているポプラは、当然、
「もう一度火炎放射!」
確実に仕留めに来る。
「イーブイ、潜る!」
イーブイは床下に潜り、間一髪のところで炎を躱す。
そして地中を素早く移動、ブーバーの足元から飛び出し、ブーバーの顎に体当たりする。
「よし、これで……!」
だが、
「っ、ブーバー、耐え切って! 火炎放射でとどめだぁ!」
大きく仰け反りながらも、ブーバーは耐え切った。
目の前のイーブイを一点に見据え、大きく息を吸い込む。
「くっ……だったら一か八かだ! イーブイ、ブーバーの口に噛み付く攻撃!」
ブーバーが炎を吹き出す、その直前。
イーブイが口を大きく開き、平べったい嘴のようなブーバーの口に噛み付き、牙を食い込ませ、口を封じた。
「な……っ!?」
こうなってしまっては、ブーバーは炎を吹き出すことができない。
放たれるはずだった炎はブーバーの口の中にどんどん蓄積され、遂に限界を超えて爆発を起こした。
「ブーバー!?」
「っ……イーブイ!」
爆煙が晴れると、まずはブーバーが口から黒い煙を放ちながら仰向けに倒れていた。
そしてそのすぐ近くに、爆発に巻き込まれたイーブイが横たわっていた。両者共に戦闘不能だ。
「戻って、ブーバー。お疲れ様」
「イーブイ、ゆっくり休んでて」
お互いに、それぞれのポケモンをボールへと戻す。
「ブーバーの口内で炎エネルギーを爆発させるなんて、なかなかえげつないことするじゃないの」
「炎を放つブーバーを見て、何となく思いつきました。ブーバーの口は特徴的ですから、噛み付けば封じられると思ったんです」
「なるほどねえ。観察眼もなかなかってわけだ」
それじゃあ、とポプラは最後のボールを手に取る。
「これで最後だ! 私のエースポケモン、行くぜっ! 天まで燃やせ、カエンジシ!」
ポプラの最後のポケモンは、雌の獅子のようなポケモン。頭から背中にかけて長く伸びた炎の鬣を持つ。
『information
カエンジシ 王者ポケモン
何匹もの群れで生息し、鬣が一番
大きなオスが群れのリーダーを務める。
メスたちは協力して群れの子供を守る。』
「カエンジシ、タイプは炎とノーマル……ノーマルなら……!」
格闘タイプのリオルが、有利に立ち回れる。
「最後は頼んだよ、リオル!」
ハルの最後のポケモン、リオルが、バトルフィールドに立つ。
「それじゃあ、最終戦を始めるぜ! どこからでもかかってきな!」
「ええ。全力で行きます!」
カエンジシは吼えることもせず、ただじっとリオルを睨む。
対するリオルも身体中の波導を滾らせ、戦闘体勢に入る。
- 第21話 ジムバトル! ヒザカリジムⅢ ( No.60 )
- 日時: 2016/11/09 19:31
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: W8OCFArk)
- 参照: いよいよ最後のポケモン同士の対決。勝つのはどちらか——
「リオル、電光石火!」
先手を取ったリオルが動き出す。
地を蹴って目にも留まらぬスピードで飛び出し、カエンジシとの距離を一気に詰め、そのままカエンジシへ突き当たる。
「カエンジシ、火炎放射!」
だがカエンジシは押されこそするが踏み止まり、すぐさま炎を吹き出して反撃。
炎に押され、リオルが逆に吹き飛ばされてしまう。
「リオル、真空波!」
起き上がったリオルは腕を振り抜いて真空の波を飛ばすが、
「先制技ならカエンジシ、回避!」
素早く動き、カエンジシは真空の波を躱すと、
「今度はこっちの番! カエンジシ、ワイルドボルト!」
その身体に電撃を纏わせ、勢いよく地を駆ける。
「っ、リオル、発勁!」
咄嗟にリオルは右手に波導を纏わせ、向かってくるカエンジシへ右手を叩きつける。
電撃を纏ったカエンジシと互角に競り合い、その突進を食い止めた。
「サイコパンチ!」
ワイルドボルトは反動が強く、すぐに次の手に出ることができない。
念力を纏ったリオルの拳を躱すことができず、カエンジシが殴り飛ばされる。
「カエンジシ、火炎放射!」
体勢を立て直し、カエンジシが息を吸い込み、灼熱の炎を吹き出す。
「リオル、躱して真空波!」
素早く移動して炎を躱し、リオルは腕を振り抜いて真空の波を放つ。
真空の波は高速で飛び、カエンジシへと直撃する。電光石火と違って格闘技であるため効果は抜群、カエンジシが少し後ずさりする。
「サイコパンチだ!」
その隙を狙って、すかさずリオルが踏み出す。
拳に念力を纏わせ、カエンジシへと殴りかかっていく。
「カエンジシ、悪の波動!」
しかしカエンジシの放つ悪意に満ちた波動の力によって、拳を纏う念力は引き剥がされ、リオルも吹き飛ばされてしまう。
「エスパータイプの技は悪タイプには効かないのさ! カエンジシ、火炎放射!」
吹き飛ぶリオルへ、カエンジシの放つ灼熱の炎が襲い掛かる。
悪の衝撃波を受けたリオルは、さらに炎をまともに浴びてしまう。
「リオル! 大丈夫?」
炎を浴びたリオルは、体の煤を払いながらゆっくりと立ち上がる。決してダメージは小さくないが、まだまだ戦えるようだ。
「よし! リオル、発勁!」
右手に青い波導を纏わせ、リオルは地を蹴って駆け出す。
「カエンジシ、火炎放射!」
リオルを迎撃すべく、カエンジシは大きく息を吸い、灼熱の炎を吹き出すが、リオルは炎を飛び越え、掻い潜り、カエンジシの額に右手を叩き込んだ。
効果抜群の一撃をまともに受け、カエンジシがよろめく。
「いいぞリオル、続けてサイコパンチ!」
「させない! カエンジシ、悪の波動!」
さらにリオルは念力を纏わせた拳で殴りかかるが、やはりカエンジシの悪意の波動によって防がれてしまう。
「カエンジシ、一旦立て直すわよ! ワイルドボルト!」
リオルが素早くカエンジシから距離を取ったのを見て、カエンジシは首を大きく振って体勢を整えると、身体に電撃を纏って突撃を仕掛ける。
「リオル、躱して真空波!」
カエンジシの電撃を帯びた突進を、リオルは跳躍して躱すと、腕を振り抜き、駆け抜けていくカエンジシへと真空の波を飛ばす。
「カエンジシ、そのまま右に! そこからUターン!」
後ろは見えていないはずだが、ポプラの指示によりカエンジシは素早く右に曲がって真空の波を回避、さらにUターンして、着地しようとするリオルを再び狙う。
「リオル、発勁!」
空中に飛んだ以上、回避はできない。
右手に纏う波導を強め、リオルは突っ込んでくるカエンジシに合わせて右手を叩きつける。
しかし勢いがついている分、今度はカエンジシの方が強く、リオルは押し負け、突き飛ばされてしまう。
「火炎放射!」
「っ、リオル、躱して!」
カエンジシが灼熱の炎を放って追撃を仕掛け、リオルは横っ飛びして何とか炎の一撃を避け切った。
「危ない……リオル、電光石火!」
立ち上がったリオルが地を蹴り、目にも留まらぬスピードで飛び出し、カエンジシへと突撃する。
電光石火の一撃では、カエンジシを突き飛ばすことはできないので、
「続けて発勁!」
体勢の崩れたカエンジシへ、さらにリオルは波導の力を纏った右手を叩き込む。
しかし。
「カエンジシ、怒りの炎!」
カエンジシの瞳が、長い鬣が、燃えるように赤く染まる。
刹那、カエンジシが憤怒の感情の如く荒れ狂う灼熱の爆炎を吹き出した。
「っ!? リオル!」
先ほどの火炎放射よりもさらに高火力の炎。
リオルは咄嗟に波導を纏った右手を突き出して防御しようとするが、それだけで食い止めることなどできるはずもなく、なす術もなくリオルは炎に飲まれてしまう。
「決めろカエンジシ! 火炎放射!」
そしてポプラは手加減ひとつしない。
リオルがまだ倒れていないと踏んだようで、爆炎の中へと容赦なく炎を噴射する。
しかし、
(……まだ終わらない。絶対に負けない)
根拠はないが、しかしなぜかハルには分かった。
(リオルは、僕たちは、まだ戦える!)
灼熱の炎が、爆炎の中心へと放たれる。
直後。
リオルを覆う灼熱の爆炎が、烈風と共に消し飛んだ。
「な……何だっ!?」
驚きを隠せず、炎の中心に目をやるポプラ。
立ち上がったリオルの身体は波導に覆われ、その手には青い炎のような波導を纏っていた。
そして。
なぜか、ハルは感覚で分かっていた。
今、このタイミングで、リオルがこの能力を発動させるということを。
「……何だかよく分かんないけど、ハル! 君と君のポケモンの溢れんばかりの熱意、伝わってきた!」
だけど、とポプラは続け、
「バトルはまだまだここから! その力で、私のカエンジシを攻略してごらんよ!」
「ええ、望むところです! リオル、電光石火!」
波導を纏ったリオルが、地を蹴って飛び出す。
目にも留まらぬスピードで一気にカエンジシとの距離を詰め、カエンジシを突き飛ばした。
「やっぱり威力も上がってるねえ! カエンジシ、火炎放射!」
すぐさま体勢を立て直し、カエンジシは灼熱の炎を吹き出す。
「リオル、躱して発勁!」
大きく跳躍して炎を躱し、リオルは炎のような波導を纏った右手をカエンジシへと叩きつけた。
効果抜群の一撃を受け、カエンジシが吹き飛ばされる。
「サイコパンチ!」
さらにリオルは拳に念力を纏わせ、吹き飛ぶカエンジシを追って拳を振りかぶる。
「悪の波動!」
だがカエンジシもジムリーダーのエース、やられっぱなしなわけはない。
体から悪意に満ちた漆黒の波動を放出し、リオルの拳を纏う念力を打ち消し、弾き返す。
「今だ! カエンジシ、火炎放射!」
「っ、リオル、発勁!」
すかさずカエンジシが炎を噴射し、リオルは激しい波導を纏った右手を突き出し、炎を受け止める。
「ワイルドボルト!」
その直後、電撃を纏ったカエンジシが突撃を仕掛ける。
対応が遅れ、リオルは突撃を食らって吹き飛ばされる。
「カエンジシ、火炎放射!」
「リオル、立て直して! 真空波!」
カエンジシが息を吸い込んだその時、リオルは宙を舞いながらも腕を振り抜いて波導を乗せた真空の波を飛ばす。
カエンジシの額に波が命中し、カエンジシの動きが止められる。
「こうなったら……! カエンジシ、行くぜ!」
ポプラが叫び、カエンジシがそれに応えて雄叫びをあげる。
「カエンジシ、怒りの炎!」
カエンジシの瞳が激怒に染まり、口から憤怒の感情の如き灼熱の爆炎が放出される。今までのダメージを受けた怒りによって強化されているのか、先程よりもさらに炎の勢いが増している。
「これはとても躱せない……勝負を決めに来たんだ! だったらリオル、こっちも行くよ!」
ハルの言葉にリオルは頷き、拳を握りしめて波導をさらに強める。
「リオル、発勁!」
激しく燃えているかの如き青い波導を右手に纏わせ、リオルは炎の中へと自ら飛び込んでいく。
灼熱の炎がその身を焼いていく。ダメージが小さいわけがないが、それを気にも留めずにリオルはひたすら突き進む。
そのまま、カエンジシの下顎に右手を叩きつけ、天高く吹き飛ばした。
「カエンジシっ!?」
ポプラの叫びがフィールドに響く。
打ち上げられたカエンジシは重力に従ってそのまま落下し、床にドサリと落ちる。
「……ふぅ」
力なく、燃え尽きてしまったように、へたりとポプラはその場に座り込む。
目を回して倒れているカエンジシは、誰が見ても戦闘不能だった。
「……はぁ、負けちゃった」
座り込んだまま、力なくポプラは呟いた。
ポプラが動く気配がないので、ハルはポプラの元まで歩み寄る。
「私、バトルの後っていつもこうなっちゃうんだ。全力を出しすぎて、疲れちゃうんだよね」
ハルの顔を見上げて、ポプラは力のない笑みを浮かべる。
「さあ。それじゃあ、熱い気持ちを、炎のように燃える熱意を、私に見せてくれたお礼に、これを……」
そう言ってポプラは、小さな箱を取り出し、フタを開ける。
太陽を模したような形にアルファベットのCの文字を描いた、赤色とオレンジ色で作られたバッジが収められていた。
「私の熱意に打ち勝ち、ヒザカリジム制覇した証。コロナバッジを、君にあげよう」
「はいっ、ありがとうございます!」
燃える炎の戦いに勝利し、ハルのバッジケースに、三つ目となるバッジが収められた。
ポケモンセンターに戻り、ポケモンたちを回復させている間、ハルはロビーで考え事をしていた。
(今までリオルがあの能力を発動してきたのは、ジム戦の時だけだ)
大会の時やポケセンの地下で戦った時は、例の現象は起こらなかった。
(しかも今日やカザハナジムの時は、何だかリオルと感覚が一つになっているような感じだった。一体、あの力は何なんだろう……)
色々考えてみるが、残念ながらハルは人並みの知識しか持ち合わせていない。
そうこうしているうちに、
「お待たせしました! お預かりしたポケモンは、皆元気になりましたよ!」
ポケモンの回復が終わり、ジョーイさんが三匹を連れてきた。
「……うーん、ダメだ! 考えてても始まらない。旅を続けていれば、いずれ分かる時が来るさ」
とりあえず、今日はまたヒザカリタウンに滞在だ。
明日になれば、ポケモンバトル大会が開催される。
- 第22話 ヒザカリ大会 ( No.61 )
- 日時: 2016/11/10 17:23
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: F8Gg2X0Y)
ジム戦の翌日、ハルは大会が行われるスタジアムの前までやって来ていた。
ターミナルに送られてきた情報によれば、ヒザカリタウンで行われる大会は、ジムバッジの所有数が四個以下のトレーナーが出場できる大会のようだ。
ハルのバッジは現在三個。つまり、カザハナシティでの大会と違って、ハルよりも格上のトレーナーも多いということ。
「……だけど逆に考えれば、ここでいい成績を残せば自信にも繋がる。僕だってバッジを三つ持ってるんだ、やってやるぞ」
ジム戦後に参加登録は済ませておいた。自身を鼓舞し、ハルはそのまま会場内へ足を踏み入れる。
『さあ、いよいよヒザカリタウンバトル大会が開幕いたします! 今大会の出場選手はバッジを四個まで集めたトレーナーたち。果たしてどんなバトルを見せてくれるのでしょうか!』
スタジアム内の放送席では、二人の男女が一つのモニターに向かっていた。
やたらとテンションの高い実況の男性が、マイクを持って叫ぶ。今大会のために派遣されたアナウンサーだろう。
しかし。
『なお、今大会は、解説としてヒザカリタウンのジムリーダー、ポプラさんに来ていただきました! 皆さん、盛大な拍手を!』
女性の方は、もっとテンションが高かった。
『皆さぁぁぁん! こんにちはぁぁぁぁ! ジムリーダーのポプラです! 今日はよろしくねえぇぇぇぇ!』
湧き上がる歓声など一瞬で掻き消すかのように、ポプラの元気一杯の大声がマイク越しに響き渡る。
当然、マイクに向かってそんな大声を出せば、直後に来るのは耳をつんざくノイズ。
キィィィィィン! と嫌な音が会場に響き、皆が耳を覆った。
が、当のポプラは自分の声が観客の鼓膜を破壊しそうになったことに気づいていないらしく、
『あれぇ? 皆さっきまでの歓声はどうしたの? 今日は折角の大会なんだから、皆盛り上がっていくぜ!』
慌ててアナウンサーがポプラのマイクの音量を下げたため、今度は爆音が響かずにすんだ。
(ポプラさん、マイクいらないんじゃないかなぁ……)
ゆっくりと耳から手を離しながら、ハルは放送席を見上げる。おそらく、ハルだけでなく会場の誰もがそう思っているだろう。
『……それでは、気を取り直して! ヒザカリ大会の一回戦、第一試合を行います!』
すっかり静まり返っていた会場だが、アナウンサーの声によって再び会場は湧き上がり、いよいよ、大会が始まる。
『さあ、それでは続いての試合に参りましょう! 一回戦の第三試合、対戦するのは、現在バッジ三つ。昨日解説のポプラさんに勝利したばかりの、ハル選手!』
『おお、ハル君か! 昨日ジムでやったけど、強かったぜあの子!』
『そんなハル選手の相手は、同じくバッジ三つ、ダリ選手! 最近手に入れたのは、サオヒメシティのジムバッジのようです!』
『サオヒメのジムリーダーに勝ってるんだ! あそこの人は二重三重に戦術を組み合わせて戦ってくるから、そう簡単には勝てないはずだよ。私よりもずっとバトルが上手い人だし。だけどハル君もとっても強かったから、個人的には一回戦から注目の対戦カードって感じだねぇ!』
(そういえば、この間会ったアリスさん、サオヒメに向かうって言ってたな)
ハルはふと山道で戦った女性、アリスのことを思い出す。
『両者注目の名勝負の予感! それでは、両選手入場です!』
入場の合図を受けて、ハルは控え室からゆっくりと歩き出し、バトルフィールドに立つ。
対戦相手はハルよりも大柄で、筋肉質の少年だ。
「俺の一回戦の相手はお前か。ガキみてえだが、俺を楽しませる試合をしてくれよ」
「あ、えっと、はい……」
対戦相手のダリが自分よりもはるかにガタイが良く、目つきも悪いので、思わず後ずさりしそうになるハル。
しかしこれは公式のポケモンバトル。怯えることはない。すぐに威勢を取り戻す。
『それでは、ヒザカリ大会一回戦、第三試合、スタートです!』
アナウンサーの声と共に、両者は同時にポケモンを繰り出す。
「出てきて、ヒノヤコマ!」
「行きな、ヤミカラス!」
ハルのポケモンはヒノヤコマ。対して、ダリのポケモンは黒い帽子を被ったカラスのようなポケモン。
『information
ヤミカラス 暗闇ポケモン
森に生息するが食料を求めて街中に
姿を現わすこともある。夜にその姿を
見ると不幸になるという逸話がある。』
悪と飛行タイプのヤミカラスが相手。空を飛ぶポケモン同士の対戦となった。
「行くよ! ヒノヤコマ、疾風突き!」
先に動き出したのはヒノヤコマ。嘴を突き出し、目にも留まらぬスピードで突撃を仕掛ける。
ヤミカラスが反応するよりも早く、嘴でヤミカラスを突き飛ばした。
「続けてニトロチャージだ!」
ヒノヤコマが力強く鳴き、その体が炎に包まれる。
吹き飛ぶヤミカラスへ、さらに追撃を仕掛ける。
「ヤミカラス、守る!」
だがヤミカラスの周囲に、守りの結界が張られる。
ヒノヤコマが突撃するが、結界を前にして逆に弾き飛ばされてしまった。
「悪の波動!」
その隙を狙って、ヤミカラスは悪意に満ちた波動を放つ。
『おおっと! ダリ選手のヤミカラス、ヒノヤコマを弾き返しました!』
『防御の常套手段だねえ! 上手く使えば一気に流れを引き寄せられる技。ダリ君から見ればチャンスの場面だね!』
悪の波動の直撃を受け、ヒノヤコマが吹き飛ばされる。
「ヤミカラス、ドリル嘴!」
嘴を伸ばし、ヤミカラスはドリルのように高速回転しながら突撃を仕掛けていく。
「ヒノヤコマ、来るよ! 上昇して回避!」
体勢を崩されながら、ヒノヤコマは咄嗟に翼を羽ばたかせて急上昇。すんでのところでヤミカラスの嘴の攻撃を回避した。
「よし、エアカッターだ!」
回転を解いたヤミカラスに、ヒノヤコマが上空から翼を羽ばたかせ、風の刃を落とす。
ヤミカラスは風の刃を躱しきれずに、その身を切り裂かれる。
「ヒノヤコマ、アクロバット!」
「ヤミカラス、立て直せ! 悪の波動!」
ヒノヤコマが素早くヤミカラスへと近づいていく。
対して、空中で体勢を整えたヤミカラスが周囲へと悪意に満ちた衝撃波を放つ。
ヒノヤコマの攻撃は衝撃波に阻まれ、ヤミカラスには届かない。
「ヤミカラス、ドリル嘴!」
「ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
両者共に一旦距離を取り、ヤミカラスは嘴を伸ばして高速回転し、ヒノヤコマは全身に炎を纏い、一直線に突っ込んでいく。
お互いが正面から激突、威力は互角だが、この激突はヒノヤコマにとって互角では終わらない。
「ヒノヤコマ、アクロバット!」
両者がぶつかり合いの末に一旦離れた次の瞬間、ヒノヤコマは素早くヤミカラスの背後に回り込む。
『ヒノヤコマのスピードが上がっています! これは!?』
『ニトロチャージの追加効果だね! 炎の力で自らを加速させる! 炎タイプの攻めの常套手段! これはちょっとずつハル君に流れが向いてるかな!』
翼をヒノヤコマに叩きつけられ、ヤミカラスが突き飛ばされる。
「ぐっ、ヤミカラス、悪の波動!」
体勢を崩され、ヤミカラスは周囲へと悪意に満ちた闇の波動を放つ。
だがスピードの上がったヒノヤコマは悪の波動を素早く躱し、
「ニトロチャージ!」
力強く鳴いてその身を炎に纏い、ヤミカラスへと突撃を仕掛ける。
- 第23話 格上 ( No.62 )
- 日時: 2016/11/11 21:24
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
炎を纏ったヒノヤコマが、ヤミカラスへと突撃していく。
「っ、ヤミカラス、守る!」
ヤミカラスの周囲に、守りの結界が張られる。
この結界が相手ではどんな攻撃も通用しないが、
「ヒノヤコマ、急上昇!」
結界に激突する直前、ヒノヤコマはほぼ直角に急上昇し、結界への直撃を避けた。
「エアカッター!」
結界が消えたところに、ヒノヤコマは風の刃を放つ。
「っ、ヤミカラス!」
その身を刃に切り裂かれ、ヤミカラスはドサリとフィールドに落ち、戦闘不能になった。
『決まったぁぁぁ! ハル選手のヒノヤコマ、スピードを生かして攻め込み、ダリ選手のヤミカラスとの空中戦を制しました!』
アナウンサーの高らかな叫び声が会場内に響き渡り、場内に歓声が沸く。
『ヒノヤコマの持ち味を生かしたいい試合だったね! ニトロチャージからの猛攻、私も大好きな戦い方だったよ!』
いかにも炎タイプ使いらしいポプラの言葉を聞きながら、ハルは腕に留まったヒノヤコマの頭を撫でてボールに戻し、フィールドを後にする。
そして二回戦、参加者はそんなに多くないので準決勝。
フィールドに向かおうとするハルは、とても緊張していた。
『さあ、二回戦の二試合目、この試合に勝って決勝に進むのはどちらか? まず一人目はハル選手! 一回戦ではヒノヤコマのスピードを生かして、見事勝利を収めています!』
しかし緊張といっても、フィールドの盛り上がりに、ではない。
対戦相手にだ。
『そして、そのハル選手と対戦するのは、現在バッジ四つ、エストレ選手! 一回戦ではハッサムを使い、速攻で試合を決めてしまいました!』
『エストレちゃん、まだ戦ってないんだよねぇ。大会が終わったら、明日にでもジムに来てくれないかなぁ』
解説ではなくなっているポプラのコメントはさておき。
そう。二回戦の相手は、カザカリ山道でハルを助けてくれたあのエストレなのだ。
ダンタリオンのゾロアーク相手に互角に戦う力の持ち主。バッジも四つ。間違いなく格上だ。
前の試合の様子をターミナルで見ることが出来るのだが、アナウンサーの言った通り、ハッサムを使ってものの一分足らずで試合を終わらせていた。
(まぁ、格上と当たることは覚悟してた。こうなりゃ当たって砕けろだ。やれるところまで、やってやる!)
入場の合図を受け、二人のトレーナーがフィールドに立つ。
「あら、久しぶりね。二回戦に上がって来たのね」
「ええ。あの時はありがとうございました」
カザカリ山道では急いでいてちゃんとしたお礼ができなかったので、ハルはこの場で改めてお礼を言う。
とはいえ、それとバトルは別だ。審判の準備も整い、いよいよバトルが始まる。
『それでは、二回戦の第二試合、バトルスタートです!』
アナウンサーの声と共に、二人は同時にボールを取り出す。
「出てきて、イーブイ!」
「行ってきなさい、コモルー!」
ハルが選んだポケモンはイーブイ。
対するエストレのポケモンは、白い殻に全身を包んだポケモンだ。殻からわずかに四肢が突き出している。
『information
コモルー 忍耐ポケモン
エサも食べずに殻の中でひたすら
進化の時を待ち続ける。全身を覆う
殻は鉄のように硬いが動きは鈍い。』
見た目からはいまいち想像がつかないが、ドラゴンタイプのポケモンだ。
「あら? もしかしてそのイーブイって」
「はい、あの時のイーブイです。傷が治った後、仲間になってくれました」
イーブイもエストレのことを覚えているらしく、笑顔を見せた後、バトルの構えに入る。
「なるほどね。それじゃ行くわよ! コモルー、焼き尽くす!」
コモルーが先手を取り、勢いよく炎を吹き出す。
「イーブイ、潜る!」
それを見てイーブイは素早く床下に潜る。
炎を躱しつつ、コモルーに近づき、足元から飛び出す。
しかし、
「コモルー、噛み砕く!」
突き上げられたコモルーはその場に踏みとどまり、イーブイに噛み付いてその動きを止める。
『エストレ選手のコモルー、攻撃してきたイーブイを逆に捕らえました!』
『コモルーの殻は硬いからねぇ。真正面からぶつかっていっても、イーブイじゃ打ち負けちゃうよ!』
「っ、イーブイ!」
「コモルー、投げ飛ばして龍の息吹!」
牙を食い込ませてダメージを与え、上空に投げ飛ばし、龍の力を込めた風の塊のような息を放ってさらに追撃を仕掛ける。
「くっ、イーブイ、スピードスター!」
咄嗟にイーブイは無数の星型弾を放つ。
体勢が整っていないため相殺はできず、龍の息吹を受けてしまうが、息吹の威力は弱めた。
「イーブイ、大丈夫?」
着地したイーブイはぶるぶると体を震わせて体勢を整え、ハルの言葉に頷いて構え直す。
「よし! イーブイ、電光石火!」
イーブイが地を蹴って飛び出す。
目にも留まらぬ速さで一気に距離を詰め、コモルーへ突撃する。
「コモルー、もう一度噛み砕く!」
「イーブイ、躱してスピードスター!」
横から突っ込んでいったイーブイに対し、コモルーはそれに動じず口を開く。
しかしそれを予測していたイーブイは素早く離れ、無数の星型弾をコモルーへと放つ。
コモルーの牙は空気を噛み付くだけに終わり、直後、コモルーの額へと星型弾が命中した。
「コモルー、焼き尽くす!」
首を振って体勢を立て直し、コモルーは炎を噴射する。
「イーブイ、躱して足に噛み付く!」
イーブイはすばしっこく動き回って炎を躱すと、コモルーの足元に近づき、口を開く。
しかし。
「コモルー、鉄壁!」
コモルーが足を殻の中へ引っ込め、硬い殻をさらに硬化させる。
イーブイが歯を突き立てるが、あまりに硬い殻には食い込むどころか傷一つ付けられず、逆に弾き返されてしまう。
「なっ!?」
「今よコモルー、龍の息吹!」
イーブイの動きが止まったところに、コモルーは龍の力を込めた息吹を放ち、イーブイを吹き飛ばした。
「イーブイ!」
吹き飛ばされたイーブイがフィールドに落ちる。まだ戦闘不能にはされていないが、それでも直撃を受けている。ダメージはかなり大きい。
『エストレ選手のコモルー、またもイーブイの攻撃を弾いた!』
『あのコモルー、攻撃力は並程度だけど、防御力がかなり高いよ。しかもそれだけじゃなくて、エストレちゃんは技の使い所がよく分かってる。イーブイの攻撃に合わせてイーブイを捕まえたり、逆に鉄壁で弾いたり、相手の動きを見た上でコモルーの長所を生かして最善手を的確に選んでる。それと比べるとハル君はさっきのスピードスターはよかったけど、単調な攻め方が目立ってるかな。トレーナとしてのレベルはやっぱりエストレちゃんの方が上に見えるなぁ。物理攻撃が主体のイーブイは鉄壁を持ってるコモルーとの相性も悪いし、ハル君にとっては厳しいバトルだね』
トレーナーとしてのレベルはやはりエストレの方が上。それはハルも自覚していることだ。
二回戦に来て、やはり苦戦を強いられるハル。
「さあ、休ませないわよ。コモルー、龍の息吹!」
「っ、イーブイ、躱してスピードスター!」
コモルーが龍の力を込めた息吹を放ち、イーブイは跳躍してそれを躱し、無数の星型弾を放つ。
しかし、
「無闇に飛ぶのは危ないわよ。コモルー、焼き尽くす!」
宙に飛ぶイーブイを狙って、コモルーは星型弾に重ならない角度で炎を吹き出した。
コモルーならスピードスターを耐えると踏んで、確実に仕留めるための手段だろう。
「しまった……! イーブイ、もう一度スピードスター!」
だが間に合わない。
コモルーにスピードスターが命中するのとほぼ同じタイミングで、イーブイへと炎が迫る。
空中にいるイーブイには、炎を躱す術はない。
「イーブイ!」
灼熱の炎が、イーブイを飲み込む。
その直前。
イーブイの体が、青白い光を放つ。
眼前まで迫っていた炎が、薙ぎ払われた。
『おおっと!? この光は!?』
『進化の光だねえ! さあ、進化先は何かな!?』
アナウンサーと解説のポプラの声に合わせ、観客席にもどよめきが走る。
「イーブイ……!」
「ここで、進化ですって……?」
イーブイといえば、実に八種類の進化先を持つポケモン。会場がどよめくのも当然だ。
そうこうしているうちにも、光に包まれたイーブイの姿は変化していく。
ようやく光が収まった時、そこに立っていたのは——
- Re: ポケットモンスター 魔王と救世の絆 ( No.63 )
- 日時: 2016/11/11 21:54
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 2bMKvkP1)
- 参照: SM予約入れました
更新お疲れ様でした
感想の前にお礼を言わせておきます。許諾ありがとうございます。以前から考えていましたが、登場させたのはそちらの方が早いですし、仮に許可なく登場させたらパーセンターさんに不快な思いをさせてしまうかな、と考慮した上で質問させて頂きました。まぁあくまでも予定ですので、海外をフラゲ動画やプレイしてみて登場させるか否か検討させます
二人目のジムリーダーを倒し、次の街に進んだ後には、イーブイと二人目のゴエティア、ダンタリオンの登場ですか
ダンタリオンは容姿といい口調といい、癖のある魔神卿の一人ですね。パイモンもですが、敵に回したくはないですね……生身の人間にも攻撃するとかやばい……
その後助けて貰って何とか状況を切り抜けて、イーブイも治療出来たので良かったです
イーブイといえば、こちらのイーブイとも特性と技が似ているなぁと思いました。性別や色は異なりますが
トレーナー、アリスと戦った後、三人目のジムリーダー、ポプラとのポケモンバトル。ポプラは元気いっぱいなキャラですね、彼女のテンションに付いていくのは難しそう……
イーブイは進化前ですがポプラ戦でも頑張っていますね。ブーバーの口にかみついて、かえんほうしゃを防ぐ(?)のはえげつない
ジムのエース戦。此処でもリオルはあの力を発動させていますね
格闘使いのヒサギでもわからないこの能力は一体何なのか……今後も注目ですね
その後はヒザカリシティの大会に出場し、第1回戦を突破し、第二回戦に突入ですね
イーブイの進化……特性からして何となく、あのポケモンなんじゃないかなと予想していますが、彼女はどのブイズになるのか、楽しみです
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