白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【4】赤く染まる世界
手首を切ってみた。
赤い線が、腕を伝う。それは床にも滴り落ち、模様を作り出す。
カッターナイフを手に食い込ませると、痛みというより痒みに近いような感じがした。別に癖になるようなものじゃない。
生きていることを確認したかった。
自分の存在を、確かめたかった。手首を切れば、それが分かると思ってたけど残ったのは赤く汚れたナイフと腕と床。
僕はここにいる、誰かに叫びたかったんだ!
そう一人で決め付けて、ベットに倒れこんだ。白いシーツが赤く染まる。僕の世界も、視界も何もかも。
だって僕は生きてるんだから!
(赤く染まる世界)

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