白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【60】ミステイク
恋の駆け引きが上手い女が勝ちだってお姉ちゃんは言ってたから、メールの返信をわざと遅らせてみたり彼の前でわざと他の男の子と仲良くしてみたりして、少し嫉妬させようとした。何せ初めてのことだったのだ、付き合うとかそういうことは。あたしは必死だったのだ。
――思い描いていたのと違った、ごめん。別れよう。
だからそんな彼の言葉にあたしは首を傾げることしか出来なかった。どうして? 何で?
「俺から見たお前は」
彼はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「素直で自分に正直で、何でも行動に表れるタイプで凄く良いなと思ってた。だけど違った」
彼はあたしに背を向けて、去っていってしまう。どうして? あたしは好きだったの、大好きだったの。だから好かれたいから駆け引きを頑張ってみただけ、全部彼が好きだっただけなの。そう言い訳したいのに、その相手はもういない。
そのままのあたしで良かったの? 何も考えず、好きなだけのあたしなんかで。涙も零れて来ない、ただただ疑問だけが出ては消えていく。
(ミステイク)
お題提供:tapiさん「恋の駆け引き+募る思いに反比例する」

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