白雪姫はりんご嫌い  はるた ◆On3a/2Di9o /作



【18】あなたとの距離



 好きと伝えたら何かが変わると思いました。
何が、と聞かれるかもしれませんがそれは私にも分かりません。“何か”が変わると思ったのです。だって、だって。今のあなたは私のことを恋愛対象として見てくれていないから。
私の世界はあなたがいるだけで、素晴らしい世界に変わります。モノクロ一色の世界が、色鮮やかに染まる。大袈裟って笑う? 本当です。でも私に勇気なんてこれっぽっちも無いから、あなたにたった二文字の愛の言葉を言うことすら出来ないのです。何かが変わるのを望むくせに、実際変わってしまうのが怖い。矛盾だらけなんですよ、私は。

 だけどつい口から零れ落ちてしまった“好き”に、あなたは酷く驚いた顔をしていましたね。分かってます、知ってます。あなたは私をそういう目で見ていなかったことなんて。だから謝らないで、泣きそうになるから。

 好き、それで何かが変わると思ったのです。
だけど変わったのはあなたとの距離感。遠く引き離された、この距離が埋まることはきっともう二度とないのです。

(あなたとの距離)