白雪姫はりんご嫌い はるた ◆On3a/2Di9o /作

【25】嫌われ者プリンセス!
「あたしは、あんたのことを好きすっごく」
そんな嘘をあたしは吐く。彼は馬鹿みたいに「俺もお前のこと好きだよ」とか間抜けな言葉を言うの。
……馬鹿みたい。あたしを誰だと思ってるのよ。あたしは親譲りの美人さんだし、成績だっていつも三位以内には入ってるわ。運動だってあたしは剣道部だけど、県大会で優勝したことだってあるのよ。スタイルだって抜群だし、足りないものなんて何も無いの。
あなたみたいな平凡な男のことなんて、好きになるはず無いじゃないの! あたしにお似合いな男なんて、限られた数しかいないわよ。
何であたしがそんな男と付き合ってるかって?
理由なんて簡単よ、彼は顔も成績も運動神経も全部平凡だけど、家が凄い大金持ちなの。性格悪いって? じゃあご飯は愛情と思いやりで食べれるのかしら。ファミレスとかで無銭飲食して「私にはお金が無いんです! 思いやりで見逃してください!」なんて言ったって、警察呼ばれるだけ。やっぱ世の中はお金で出来てるのよ。愛なんていうのは所詮綺麗事。
だからあたしは今日も嘘を吐くの、彼に。
――愛してるわすっごく。そう、囁くのよ。
彼はそれに気付かず、あたしに微笑みかけるの。馬鹿みたい、馬鹿みたいにお人好しな笑顔。
――ねぇ気付いてる? あんたはあたしに利用されてるのよ。そう言ってあげればきっと、彼はあたしを突き放して消えていくのだろう。こんな美人で素敵な彼女をふって!
(嫌われ者プリンセス!)

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