白雪姫はりんご嫌い  はるた ◆On3a/2Di9o /作



【32】弱虫シンデレラ



 あなたの言葉はあたしをいつも不安にさせました。好きと言われても、一体何人の女性にそんな愛の言葉を囁いてきたのだろうとか考えてしまうのです。
私は弱虫、そんなこと言われなくても知ってます。自覚してます。だからこそ私は強がってしまうのです。傷ついてないふり、自分の心の声にも気付かないふり。こんな面倒くさい女、きっとあなたはいつか私のこと捨てていってしまうのだと思います。

 だけど今は、あなたが私を好きって言ってくれるから。
夢を見させてくれるから、優しいあなたは。少しだけ甘えていたいの。だって夢はいつか覚めてしまうから。
魔法にかかったシンデレラの綺麗なドレスが、元のボロボロの洋服に戻ってしまった時、ガラスの靴だけは魔法が解けませんでした。それは、シンデレラに現実と夢の境目を見せるためだったのです。

 魔法に掛からない私は、ガラスの靴なんかであなたを誘惑出来ません。だから、だから。午前零時の鐘がなる前まで、一緒に居て。

(弱虫シンデレラ)