白雪姫はりんご嫌い  はるた ◆On3a/2Di9o /作



【75】それは酷く難しいこと



 書きかけたラブレター、送信しようとして削除したメール。言いかけて喉につまってしまった言葉。
そんなものが蓄積して、あたしを苦しめる。“好き”の二文字が言えずにただただ困るの。顔を見るたび体中が熱くなって、声を聴けば馬鹿みたいにドキドキと胸の鼓動がうるさくなって。
そんなに好きなのに、あたしは想いを伝えることが出来ない。

 ねぇ誰が想いを伝えることは恥ずかしいことだって言ったの? どうしてあたしは好きと伝えるのが怖いの。彼があたしを好きじゃなかったときが、怖いから?

「ねぇ、好き。大好き……」
 あたしは一人でそう呟いて、そして一人で泣くの。伝わらない、伝わるわけがないこの想いの苦しさに。

(それは酷く難しいこと)