Re:愛してる
作者/おかゆ

1
世界っていうのはさ、
実に不公平に出来ている。
たとえばとても裕福な家庭があったとする。
その家庭から毎日たくさんの食べ残しがあったとする。
でもその食べ残しはゴミになってすてられる。
たとえばとても貧しい家庭があったとする。
その家庭は毎日今日食べるのもやっとで、いつ自分の子供が死ぬかも分からない状態で今を生きているんだ。
ひどいよね。
つまり、
私が何を言いたいのかっていうと――・・・
「ほら、今日も学校きてるし」
「いつまでもつかな」
「平気そうな顔をして」
学校にきて一番最初にすること。
挨拶?違うね。
私を裏切った奴の意地悪を片付けることだよ。
「・・・はぁ」
よくも飽きずに。
机に小さく書かれていた『死ね』の文字を消しゴムで消す。
世の中高生達に言いたいこと。
たとえ貧しくてもいじめられても強い忍耐があれば何とかなるってことだ。
「・・・なんて」
そんな簡単に出来るわけないか。
私は席について読書をする。
今となっては別にやることもない。
前までは私を裏切った奴らとくだらない話をしたり、恋バナみたいなかったるい話をしたり、誰かの悪口を言ったり。
でも別にあそこは前々から窮屈だった。
私とそりが合わなかった。
だから、せいせいするよ。
そう、自分に言い聞かせる。
「(・・にしても)」
ひまだなぁ・・・・、
2
私は人と少し違うらしい。
「市川さん一人?ならうちらのグループおいでよ」
「え?」
体育の時、何かのグループ決めで一人だった私をあまりしゃべらない女子が入れてくれた。
「あー・・ありがとう」
「にしてもビックリしたよー!いつも市川さんって林さんたちのグループにいたじゃん?だから急にひとりになってて・・喧嘩でもした?」
「ちょっ、飛鳥やめなって・・」
あまりしゃべらない女子、高木飛鳥。
彼女はデリカシーのない子なのか、
「・・・・喧嘩、だったらいいんだけど」
私がポツリとつぶやく。
私、市川瑠璃は高校に入ってからすぐに林麗華といういかにも気が強そうな名前の女の子達のグループに入った。
『てかてかぁ。瑠璃ってなんか言いたいことってはっきりいえない感じだよねぇ。はっきり言っちゃいなよー』
『あたしたちが手伝ってあげよっか?』
私がつい気になる男子をいってしまったところ、そのことについて何度もからかわれた。
しょうがない。私は奥手なんだから。
そういっても何度も言われていたらさすがに腹が立つ。
自分が言われたら切れるくせに私はいいのか?
それに当たり前のように人の悪口をいっているのにもむかつく。
あいつがうざいだの、注意されただの、いちいちむかつく理由が低すぎる。
そして私が裏切られたきっかけが。
『瑠璃ってなんか絡み薄くない?』
『あー、わかる。それになんかいちいち突っかかってくるって感じ?』
『まぁもとから使えそうだから入れてあげただけだし?』
私のいないところでの私の悪口。
そんなの前から言われているから今更って感じなんだけど。
『瑠璃って―――――――――』
『―――――――!!』
『―――――――――――』
『―――――』
『―――!!』
ここら辺はまったく覚えていなかった。
気づいたら一人、あいつらがいた教室にただ突っ立っていた。
次の日普通の生活は一変し、麗華たちの見る目が変わり、いつのまにかはぶられていた。
本当に何があったのかは私も覚えていない。
――あぁ、でもただひとつあるとすれば。
『あっ・・あんたっ!!気持ち悪いっ!!!!!』
麗華の言ったこの言葉ぐらいだけかな。

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