Re:愛してる
作者/おかゆ

11
「んじゃ、今日はありがとう。また明日もここへ来ていいか?」
「勝手にどーぞ。でも教えたら殺す」
「おぉ、怖い怖い」
そして彼はカバンを持って廊下に出ていった。
「・・・・・・はぁ」
今日はどっと疲れた。情けない。自分に腹が立った。
油断をした。『秘密の場所』をクラスメイトに知られた。
麗華たちに何も言い返せなかった。
全部、腹が立つ。
「・・・・・うざい」
近くにあった漫画を読み返してみる。あぁ、こんなシーンあったっけ。なんて思いながらぱらぱらとめくる。
「・・・・どこから間違えたんだ?」
間違えた所がわかったら過去へ戻ってやり直せるのかな。
「・・・・・(重症だ)」
もうダメだ。頭が回らない。よくわかんないことを考える。
「・・・・伊藤翔・・だっけ?」
たしか麗華もそいつのことがどうとか言ってたな・・・
「・・・・・・もう・・・ぃぃゃ・・」
だんだん意識が途切れる。
眠いな。
「・・・・・・・・、」
そして私はここで意識が途切れた。
***
夢を見た。
まだ私が小学生・・いや、中学生の頃。
あぁ、あの頃の夢か。
懐かしい、愛しい夢。
私には親友がいて、
そのこのことが大好きで。
ちょっと気が弱い所もあったけど私はそれすらも大好きだった。
高校で離れてなぜか麗華たちがそのこのことを知っていてそれで――・・
『――――――・・!!』
***
「・・・あ、もうこんな時間」
気づけば6時を回っていた。
「・・・・お母さんからメールきてる」
そして自分がいつの間にか寝ていたことを思い出し、急いで家に帰った。
「・・・・・・何事もなければいいけどな・・」
12
次の日。
いつものように学校に行った。
いつものようにいつものグループと――・・
「・・・・・、」
そういえば、この間からはぶられてたんだっけ。
机の上に花壇の土らしき物で汚されていた。よくもまぁ懲りずに。
「マジウケルし」
「いつまで来るんだろうねぇ」
「ちょーしこくなって感じ」
「笑えるーw」
いや、君たちのいじめのやり方に私は笑えるよ。
―・・なんていうとまた何か言われるからやめておこう。
私はティッシュで丁寧に土をとり、ゴミ箱に入れた。
「・・・・今日は何もなしか」
机の中、異常なし。
いつもは画鋲やらゴミやら。ひどいときには誰かの牛乳パックなんかも入っている。
土といいゴミといい、私のためによくここまでやってくれるねぇ。
そして何事もなく机に座る私を見て、麗華たちは舌打ちをした。
「市川さんおはよー」
「・・・?・・・・あぁ、高木さん・・おはよう」
高木さんが挨拶をする。別に嬉しいともなんとも思わなかった。
別にいつもと変わらない。いつものように麗華たちから分かりやすいいじめを受ける。
・・・・あぁ、でも。
「・・・・」
「・・・・」
伊藤とよく目が合うようになった。
目が合う。と言うことは私もそれなりに意識しているということになるけど。
・・・あいつ、あのこと言ってないよね・・?
なんていう不安からだと思う。
「・・・・もっと注意しとけばよかった」
今更言っても遅いのは分かってる。
*****
<ひまわりさんが入室しました>
ひまわり>>こんにちわー。
ひまわり>>やっぱだれもいませんかねぇ
<心さんが入室しました>
心>>こんにちわー。
心>>あ、ひまわりさんがいる。
ひまわり>>いちゃいけないんですかw
心>>いや、以外だったんでww
ひまわり>>あー。たしかに私この時間帯にいるのってあんまないですよ
ね・・
心>>この時間帯だとゆーしさんあたりがいますよー
ひまわり>>心さんはどうしてここに?
心>>んー、
心>>特に意味はないんですけど。
心>>ここに来ると落ち着くってのが多分理由ですかね・・
ひまわり>>わかります(笑
ここにいる人たちは皆どことなく私と似ていた。
でももちろん、友達は沢山いるという点では似ていないが。
「・・・・ふふっ」
自然と笑みがこぼれる。
彼ら(彼女ら?)は同じ学年らしい。
そんなこともあってかずっとなかよくやってる。
ひまわり>>じゃぁ私はそろそろ落ちますね。
心>>あ、はい。じゃぁ。
・・・
「・・・・・・、」
そして私は携帯をとじ、静かに机にふせるのだ。

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