Re:愛してる
作者/おかゆ

33
次の日も、またその次の日も何もなかった。
まるで・・
「・・・(資料室で会う前のような)」
あの日から資料室に伊藤は来なかった。
「ちょ、やめろって伊藤!」
「マジ意味わからんわー」
「お前らだってそうだろ?」
あぁ、そうか。
資料室に来なくても伊藤にはたくさん友達がいるから。
こんなひねくれた人間と一緒にいなくても・・・
ここまで考えてやめた。
そんなこと、最初から分かってたのに。
馬鹿だなぁ。
なるべく依存しないように。
そんなこと、ずっと前からやって来たことじゃないか。
「・・・・っ」
だから、
「(寂しいな)」
こんな気持ちは、
「(つまんないなぁ)」
あってはいけない感情なんだ。
* * *
「・・・・今日はいつもより疲れた気がする・・・」
考え事ばかりしていて何も出来なかった気がする。
皆がちらほらいる中、私は一人でいつもの場所に向かった。
「あ、もしもしー?久しぶりー!!元気だった?」
学校で堂々と電話をだした林麗華。
「あははっ!!変わってないねぇ。またアンタにお願いしても言いかなぁ?」
「そんな難しいことじゃないんだよ?」
「あんたとあたしの仲じゃない」
うるさいなぁ。
皆がそんなことを思っているだろう。
「あっ!!まじぃ?ありがとう!!」
どうやら電話が終わるらしい。
だけど次の瞬間、私は予想もしない出来事に耳を疑う。
「いやぁ、助かるよ―――・・・理紗」
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「―――――・・は?」
思わずカバンを落とす。
「・・、あっ、じゃぁねぇ。本当にありがとう!理紗」
それに気づいた麗華はもう一度、わざと私に言い聞かせるように『理紗』といった。
―――・・逃げろ。
私の頭の中で警報。本能的な何かが、脳全体が、体中のすべてが、『逃げろ』と叫んでいた。
「あれー?瑠璃じゃん。この間のこと、私全然気にしてないからね?」
わざと皆に聞えるように言った。
「私もビックリしたけど、多分瑠璃気が狂っちゃったのかな?色々あったもんね?」
作ったような声。
「・・・お前、今・・理紗、て・・言っ、」
あぁ、嫌な予感しかしない。
言葉が浮かばない。
「え?理紗?あぁ!!理紗ね。瑠璃も仲が良かったじゃん」
「・・・何で知ってるの?」
「えー?覚えてない?」
悲しいな。
なんていいながら笑う。今日の麗華違う。
「・・ま、無理もないか。あんた理紗にべったりって感じだったしぃ?」
急に声のトーンが低くなった。
誰にも聞えないように、私の耳元でささやく。
「・・・?」
逃げろ。危ない。
「あたしとあなたと理紗、実は同じ中学校だったって事、知ってる?」
危険だ。危ない。
「言いにくいんだけどね?」
逃げろ。
「私、理紗をいじめた主犯なの」
「――――・・!?」
危ナイカラ。

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