Re:愛してる
作者/おかゆ

21
「えっ!?ちょ、なんで・・」
「市川・・?お前、どうし・・」
涙が次から次へと出てくる。別に悲しい事があったとかそういうのじゃない。いたって私は正常だ。
「・・・・、ごめん」
「なんであんたが謝るのさ」
「いや、でも・・」
私は軽く笑って見せた。でも涙が止まらなかった。
「―・・とにかく、敬語とかは多分・・・あれだよ、先生の前や先輩の前だと敬語使うでしょ?そういうけじめみたいなもんだったんだよ」
私はずっと思ってたことを口にした。
「・・・・あ、・・あぁ・・そう、だな・・」
伊藤はまだなにか言いたげだった。
「・・今日はもう先かえっていいよ。あとは私が何とかする」
「そういうわけにはいかないだろ」
「・・・なんか、ごめん」
いつの間にか止まっていた涙。
「あのさ、」
「んー?」
「聞かないの・・?」
「なにが?」
「・・・その・・理紗、について・・とか・・なんで私がああなったのかは、私も知らないけど・・一応・・伊藤にも迷惑かけたし・・」
「・・」
伊藤は静かに私の話を一通り聞いたあとにゆっくりと口を開いた。
「・・・・確かに・・聞きたい、けど・・・お前が嫌だというなら俺は無理には聞かない・・つもり」
そういったあとに伊藤は綺麗に笑った。
「・・・・・・、」
なぜか涙が出てきそうになってそれをぐっとこらえる。
「んー・・まぁ、言ってすっきりするなら俺は聞くけど?」
今日の伊藤は優しい。
「・・・・・ありがとう」
そして私はポツリ、ポツリと伊藤に話したのだ。
22
それは私が中学生の頃の話。
「―瑠璃!!」
「・・理紗」
山田理紗は中学のときに知り合った親友だった。
理紗は私と正反対な性格だけど仲良くなるのに時間はかからなかった。
人付き合いが面倒だといった私をいつも理紗は気遣ってくれた。
理紗は可愛かった。そのうえ優しくて私はそんな理紗が大好きだった。
でも理紗は少し消極的で言いたいことがはっきり言えない。
そのためよく女子達にきつく言われたりもした。
そのたびに心配する私を理紗は『大丈夫』と綺麗な顔で笑う。
―・・でも日に日に理紗を悪く思う奴らがするいじめがエスカレートしていった。
体操服が捨てられ、カバンの中はチョークの粉で汚され、少し油断をしているとノートは使えないくらいの落書き。
そのたびに理紗は悲しそうな顔をするが私が聞くと『大丈夫』と笑顔で返す。
その繰り返し。
でもそんなある日。
『瑠璃、』
『理紗が呼んでたよ』
名前も知らない女子からそういわれた。
「・・・どこ?」
本当は、
『―・・音楽室だったような』
なんとなくわかっていたんだ。
「・・わかった」
これが嘘だって事。
「音楽室ね、」
理紗は音楽室にいない。
「・・・すぐいくよ」
怖くて仕方なかった。
「・・・・・・・ありがとう、」
・・笑えるでしょ?

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