ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係
作者/ゆぅ

Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-3
千尋はそう言いながらくわえていたミルクケーキをパリッとかじり、手でそれを持った。
「・・・・いつ、誰が、どこで、どのようにしてその『殺人予告』とやらを見たのかがわからないとそれを出した人物が特定しにくい。お前はどっか違うとこで情報収集して来い」
「じゃあカフェにでも――」
千尋はそう言って引き返そうとするが止められ、一緒の方向へと足を進める。
「あの、真山さーん」
千尋が言った。
真山は「何だ」と言ってふり変える。
「あたし、一つ考えついた事がありまして。あの、『殺人予告』の話をきいたあと、一応パソコンで調べてみたんです。そしたら、この屋敷に住んでるのは家主である河山英寄先生とその秘書のホウショウミフユさんと言う方だけなんだそうです」
千尋がそう言うと、真山はこちらを向いて言った。
「いつ調べたんだ」
そう言って彼女を見ると、彼女のカバンにはノートパソコンが入っているらしい。
パステルピンク色で、かなり軽い高画質ないい奴だ。
「河山先生は現在車椅子生活。その生活を支えているのは秘書のホウショウさんです。ポストがあるのは四階あるうちの一階玄関。ポストは、中から蓋を開けて取り出せるタイプになっていますが、先程私が見た限りですと、蓋は下と上に二つあり、下のポストは壊れていて、恐らく開かない状態になっていました。一方、上の蓋は私の胸あたりにありました。となりますと、立たなければ届かない場所である事が想定されます。この位置ですと、車椅子で生活している先生がその蓋が開ける事はほぼ不可能に等しいと考えられます。つまり、その蓋に手が届くのは秘書のホウショウさんただ一人かと」
千尋がそう言うと、真山はうんうんと頷き、
「それを先に言え」
真山はそう言うと先程から階段の下にいる女の所に歩いて行った。
真山がバカだと言う事が改めてわかる。などと千尋は見下しながら呟いた。
「あたし頭良(よ)ー」
千尋は驚くほどアホみたいな事を呟き、バカみたいに自画自賛をしてから真山の元へ行った。

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