ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-12



「いえ・・・。それより、どうして私の部屋を存知ておられるんですか?」


美冬はそう尋ねながら二人の元に詰め寄った。

千尋が答える。


「どこにもいなかったんで、自分の部屋にいるのかなーって思いまして」


答えになっていない。

真山が言う。


「僕にかかればこんな屋敷の中、あなた一人を探す事くらいたやすい事です。ネズミ一匹も逃がしやしません」


真山は得意気にそう言った。

しかし、彼と千尋の脳裏には二人で一生懸命探した挙句、その辺にいたウェイトレスに聞いた、という事実が蘇る。


「銀色のお盆持ってたウェイトレスさんにきいて――」


千尋がそう言おうとするのをさえぎり、真山が言った。

プライドが高いうえに、バカな男だ。


「宝生さん。例の『殺人予告』の手紙の件ですが」


そう言われた美冬は、「あ」と呟いた。

真山はそこにあったソファに座って言う。


「まさかお見せできないものなんですかー?頂けない内容でも?まあどうしても見せられないと言うのでしたらこちらも――」


真山がそう言うと、美冬は手紙を真山に差し出してきた。


机には引き出しを開けたあとがある。


「さっき見つけました。・・・これです」


美冬の耳に、先程の真山の言葉は届いていなかったのを願いながら、真山はそれを受け取った。

そこには、真黒な字で、ただただシンプルに書いてある。


「すっかり忘れてました。すみません」


美冬がそう言ってる間に真山は手紙の文に目を向ける。


「『河山の引退式・原稿後継式で、太陽は沈む。見ているがいい、この世界が日陰になる時を』・・・?どういう意味ですか。どうしてこれが『殺人予告』だと?」


千尋が読み上げ、不思議そうの美冬を見た。

美冬が答える前に、真山が立ち上がって言った。


「君は知らないのか愚か者。河山英寄は小説の神と呼ばれ他では『太陽』と呼ばれている。つまり、河山を殺すと言っているかどうかは別として、日陰がどうのこうのと言っていると言う事はとりあえず河山を消すと言う事を言いたいのだろうこの愚かな差出人は」


「そうなんですか?」


千尋はそう言って美冬を見た。

美冬は「ええ・・・」と頷いて言った。


「先生は、太陽と呼ばれ尊敬され続けています。太陽が沈むと言うのは、きっとこちらの・・・真山さんでしたっけ。真山さんが言った通りなんじゃないかって思いまして・・・。私も警戒していたところです」


「でも安心して下さい。僕はこんなチンケな愚か者などすぐに見つけてさしあげましょう」


真山が言った。

千尋は「できるんですか?」と聞く。