ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-11



白井がそう言うと、真山は至って余裕な表情で微笑みながら、両手を広げて言った。


「別に喧嘩じゃありません。これは音楽の授業と言うものですよ白井陽慈さん」


真山はそう言って先程床に落ちていた白井の名刺を差し出した。

白井は「あ」と呟き、「差し上げます」と言った。

真山は「それはどうも」と言って名刺をポケットに入れた。

千尋が白井に言った。


「コーンフレーク持ってたら目に詰めてやって下さい」


千尋がそう言うと、真山が白井に言った。


「それよりこの女、借りてもよろしいでしょうか」


真山がそう言い、白井は一度千尋を見て「え、えぇ・・・。僕は」と答えた。

千尋は、


「あたしは良くないです」と言ってミルクケーキをパリッとかじった。

真山は白井に微笑みを向けると廊下を歩きだした。

千尋は止まっている。


真山は壁の角から顔を出して言った。


「行くぞ有明」


それだけ言うと真山は再び足を進めた。

千尋は真山のあとをダルそうに追った。 






 「何ですか?一体」


千尋は廊下を歩きながら尋ねた。

真山は前を見て歩きながら答える。


「彼女、宝生さんが手紙を提出して来ない」


「手紙って、『殺人予告』の事ですか」


千尋はそう言って彼を見た。


真山は「ああ」とうなずく。


「やはり何かあるのかもしれない。手紙なんてもの、普通なくさないだろ」


「さあ。興味ナッシー君ですね。何なんでしょ」


千尋は軽く考え込む。

真山は表情を変える事なく言う。


「それを今から確かめに行くから君をわざわざ呼びにきたんだ」









 その頃、美冬は自分の部屋で資料をまとめていた。


「はあ・・・」


思わず溜息が漏れる。

美冬は前髪を右手でかきあげ、再び作業をはじめた。
コンコン、とドアのノック音がきこえた。

美冬は立ち上がり、「どうぞ」と呟く。

するとドアがガチャリと音をたてて開いた。

そこには、真山と有明がいた。


「失礼します。すみませんねぇ押しかけてしまって」


と真山。