ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-25



「怖いとか思うんですか」


真山がそうきくと、西野はふっと笑ってから答えた。


「まさか。怖いと言うより何か、ドン引きって感じ。私、自分以外の人間は信じない事にしてるから。だって裏切られた時傷つくのは他でもない、私でしう?」


西野の腕にあった傷が少し気になったが千尋はその辺で話を終えた。


話を聞き終えた千尋は再び考えを頭に浮かべた。


松本恵介が出版社の人間なら、原稿を狙うライバルを消すための殺人かもしれない。

だとすれば―――。



「もういい?私カバン取りに行きたいんだけど」


「ああ、どうぞ。長い話、失礼しました」


真山がそういうと、西野は溜息をつくと部屋を出て行った。


「何か、パーティって雰囲気じゃなくなっちゃったなハハハッ」


真山が千尋に言った。


笑いごとじゃねーよ、と思いながら千尋が言った。


「また誰か死ぬかもしれませんなあ」


千尋はそう言いながら歩いていく人々に続いて歩き出した。


真山は不思議そうな表情を浮かべながら千尋のあとに続く。


「・・・物騒な事言うんじゃない」


「真山さんの頭には濡れた飛行機でも乗ってるんすか。


良いことばかり考えていたってしょうがないでしょ」


「・・・・大丈夫だと思うがな。そんな警戒しなくても」


「真山さんって本当アホですね。原稿狙ってる人がこんなにいるんすよ。原稿が欲しくてどんどん殺して行ってるんだとしたら、あたしたちが殺されてもおかしくないっすよ。出版社の人間じゃないんで可能性は低いですけど」


千尋は立ち止まって言った。


「それだと、ライバルを消していったら最後に残った人が犯人だってバレちゃうじゃないか。おかしいだろ」


真山は疑問を千尋にぶつけた。


「そんなバカな奴いる訳ないでしょ。おかしいのは真山さんの頭です」


千尋がそう言うと、しばしの沈黙のあと真山が言った。


「・・・さっきからスルーしてたがもう我慢ならん。君は上司に対しての態度がなってない」


「本当の事じゃないすか。真山さんがアホなのも、バカなのも、マヌケなのも、長身過ぎてキモいっつー事も、ビビりだって事も、汗臭いっつー事も、プライドが高い割には使い物にならないっつー事も、アホだって事も」


「言いすぎだろ!アホって二回も言うな!ちょっと傷つくだろ・・・!」


「油がノッたチャーシューを爪の中に詰められたくなかったらこれからはあたしの指示に従えアホマヤマ!」


千尋はそう言い、真山を指さした。


真山が使いものにならないと言う事は事実なので後ろめたい事など何もない。


「ふざけるな!僕は上司だぞ君の!」


「冗談はそのふざけた頭だけにして下さいよ」