ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-22



「せ、先生は悪くありません。元々、私がこのパーティを企画したんです。先生は用事があって屋敷を出られたんです」


美冬は必死に言った。

その時、ポケットから何か転げ落ちた。真山はそれを見て拾うが


男が笑い飛ばして言うので渡すタイミング見逃した。


「だからってこの一大事を知らなくていいってのか?大体、何でつれてこないんだ」


「それは・・・・。先生の居場所なんて、私には・・・・」


「無責任な秘書だ」


「申し訳ありません・・・・」


「・・・ははぁん。あんた、あの男を逃がしたんだろ?」


「そんな!まさか。そんな事をする訳ないじゃないですか。どうして私が先生を逃がさなければならないんですか」


「あいつが松本を殺したんだ。それを知ったあんたは今後の出世のためにあいつを逃がした。どうだ、辻褄は合ってるだろ?」


そう言って男は彼女をあざ笑うような目で見た。

真山はそれを見て言った。


「宝生さんを責めないで下さい!この中の全員が疑いの目を向けられてるんです!あなたもですよ」


そう言うと男はカンに触ったらしく怒りながら言った。


「なんだと!俺が松本を殺したってのか!」


ケンカがはじまろうとしていた所で千尋が割って入った。


「まあまあ。あの男が殺したんだとしても、宝生さんが逃がしたんだとしても、パイナップルだったとしても別にいーじゃないですか。貴方に被害が及びましたか?及んでないでしょう?」


「いや、被害及んでるんだけど。パイナップルに至っては全然良くないんだけど」


「争いからは何も生まれないんです。ほら、これ食べて元気出して下さいー」


そう言って千尋は懐からキウイを一個だして男に差し出した。


「いらねーよ!二ページに渡ってこんだけ話してりゃ十分元気なのわかんだろ?つーかそこパイナップル出さないの?」


男はそう言うと落ち着いて椅子に座った。



千尋はキウイを再び懐にしまった。


「とにかくだ!こんな事が起きた以上、あんたらはもう売れなくなるな。ハッハッハッハッ!」


男はそう言って高笑いをした。

よく笑う奴だなあと思いながら千尋は美冬の方を見て言った。


「宝生さん、本当に何も知らないんですね?」


千尋がそう言うと美冬は「はい」と答えた。


「僕たちは貴方を信じて行動します。信じていいんですね」


千尋がそう言うと美冬は強くうなずいた。



 全員がホールを出たあと、真山が美冬に言った。


「これ、さっき落としたものです。大事なものなんでしょう?これ」


言いながら、真山は先程美冬が落としたものを渡した。

美冬は「あっ」と言って受け取ると「すみません、ありがとうございます」と言う。


「なんすか、それ」


千尋がそう言って美冬の手の中を見る。


美冬はポケットにしまいながら答える。


「匂い袋です。お守りのようなもので・・・」


美冬がそう言うと、真山がなぜか得意気に言った。


「K・Mと刺繍してある所を見ると恋人か何かですか?ハハハッ」


バカにしてうようにしか見えない。

千尋は「そうなんすか?」と美冬を見た。

美冬は「え、えぇまあ・・・」と答える。

いつまでもこんなくだらない話をしていてもアレなので千尋が話題を変えて言った。


「さっきの人は?」


美冬は「はい」と言ってから答えた。