ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-13



「愚問だねぇ。当たり前の事を言うんじゃないよ。本当ならば君のような大バカ野郎に構いたくはないが君に手柄を渡したくはないからねぇハハッ」


真山はそう言って千尋の肩に左手を置いた。

先程からノータッチでいたが【ハハッ】と言うのが鼻につく。

千尋は真山の手を取って彼に腕を投げつけるようにしてから言った。


「あたしの手柄になります事でしょうけどねぇ」


「そんな粗末な言葉を二度と吐けないようにしてやろう」


「そのバカげた頭に犬の尻尾でも詰め込んでやりますよ」


千尋はそう言って真山の口を指さした。

真山はハハハと笑いながらその手をどけると、今度は千尋の口を指さして言った。


「君のその粗末な口にカメレオンの舌を突っ込んでやろうハハハッ」


「できるもんならやってみて下さいよ。あたしは真山さん如きに遅れは取りませんが」


千尋は余裕の笑みを浮かべながら言った。

また、真山は余裕の笑みで言う。


「やってやろう森のバカ少女さんよ」


「口先だけのアホメガネがよく言いますねぇ」


「僕はたまにしか眼鏡はかけない」


「かけてたんですかっ」


「僕は例え死者が出ようとも君に遅れは取らんよ」


真山がそう言うと、美冬が言った。


「死者って!」


美冬が驚いた表情を見せる。

同時に真山が言った。


「失礼。出しませんよう頑張ります」


「無責任ですなあ」


千尋が言う。


「ふざけるな。僕は河山の引退だの原稿の後継者だの興味ない。悪いがふざけた殺人予告とやらに付き合っている暇などラーメンに乗っているネギの数程もない。犯罪を防ぎたいのなら秘書の貴方も何か自分にできる事を考えて下さい」


「・・・・そんなっ」と美冬。


真山はそう言って部屋を出て行った。

美冬は「あ・・・」と声を漏らす。

千尋と二人きりになってしまい気まずいのだろう。

それを察した千尋は自分もドアに向かいながら言った。


「宝生さん。あたしたちは犯罪を罰するつもりで来ています。隠している事があるのならさっさと言った方が身のためかと思いますけど。それとも、コピー機に珈琲でも零しましたか」


そう言われた美冬は、「え・・・?」と呟いたが、その声をきく間もなく千尋は部屋を出て行った。


美冬が言われた通り、コピー機に目をやると、コピー機にセットしてある紙には、黒いインクがついていた。