ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-19



「はい、あんた名前は」


陣内がそう言い、男は焦りながらも「や、ヤマグチ・・・」と呟いた。


「漢字は」


「普通に山に口だが・・・」


「山口さん、みなさん」


陣内はそう言って辺りを見た。


「今のやりとりで、ワシはすべてわかりました」


周りの人間が騒然となる。

ただ一人、千尋だけが冷静な顔をしている。


「陣内さん、嘘はいけませんよ。今の訳のわからないやりとりだけで何がわかったって言うんですか」


千尋は微笑みながら言った。

陣内は「うっさい寝ぐせ!」と怒鳴る。

千尋は一度目をつぶり、微笑みを消す。


「犯人は・・・」


全員が陣内を見る。


「犯人は山口さん、あんたや」


やはりそうか、千尋は一人そう思い、呆れたような表情を浮かべる。


が、周りの人間と山口は気が気でないのは当たり前だ。

そして真山も冷静ではない。

まったく、バカな連中だ。


「な、何を言ってるんだ!何の証拠があって俺を疑ってやがる!」


山口は陣内を見て怒鳴る。

そりゃ、そうだ。バカな話だからだ。


「証拠てあんたね、そのナイフー!そういう言葉は何でもない人が言うセリフや。そのセリフ言いたいんやったらナイフ隠してから言えボケェ」


陣内がそう言うと、山口は怒りを爆発させ、ナイフを手に持ち、陣内に提示しながら言う。


「だからナイフが俺のものだって証拠だよ!俺の指紋でもついてんのかァァ!?」


そう言われた陣内は先程までの強気な感じを捨てたかのようにひるみ、言葉を詰まらせながら言った。

「そんなん・・・・。今、調べてるとこや・・・・。素人は黙って自白せえや!」


「どこが調べてるんだ!ナイフはここにあるんだぞ!」


「・・・だから・・・それはやな・・・」


陣内はそう呟きながら真山の背中を押し、「真山さん・・・。何とかして下さい・・・?」と呟く。


「はあ?」真山は焦った顔を浮かべる。

と、その時。千尋が冷静な口調で言った。


「彼は犯人じゃありませんよ陣内さん」


千尋がそう言うと、その場の全員が千尋の方を向き、陣内が言った。


「何や、えらい自信やな」


「彼・・・お名前は」


千尋はそう言ってナイフが入っていた男を見た。

山口は「や、山口だ」と答える。

千尋はうなずき、再び陣内の方を見て言った。


「あたしと真山さんがここに駆け付けた時は第一発見者の・・・人しかいませんでした。山口さんを含めた方々はあたしたちより後から来たんです」


千尋がそう言うと、陣内は不思議そうに言う。


「だからって・・・、何でや?」


「山口さんはあたしたちと同じ方向が来ました。これは真山さんも見ていたはずです」


「あ、そういえば、そうだったような・・・?」


真山はそう言って陣内を見る。真山は気が気ではないのでこの証言はないのと一緒だが。