ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-24



「滝沢?あぁ、最初の方で出てきた奴か」


真山がそう言うと美冬が口を開いた。


「それって、滝沢博隆様でしょうか?」


美冬の問いに、千尋が答えた。


「そうすよ。あ、名刺あります」


そう言って千尋はポケットから滝沢の名刺をだし、それを美冬に渡した。

美冬はそれを見て言った。


「滝沢博隆様は、松本様と同じ出版社に勤めていた方です。きっとご存知だと思いますよ」







「何よ、話って」


西野の態度は相変わらず・・・?悪い。

二人は滝沢の前に西野に話をききにいった。


松本が腹部を刺され、床に倒れていると言う事はやはり西野の言った通り殺人である可能性が高い。

いや、確実にそうだ。


最初から部屋の中を知っていた訳じゃないのでどこがどうなったとかいう異変はわからない。

だが争った形跡がない。

となると、犯人は被害者である松本恵介の知り合いである可能性が高いと言う事がわかる。

友達か、あるいは恋人か。

だがこの日、松本恵介は一人で来ていた。

友達や恋人がいたとは考えにくい。

この事から、あまり親しくはないが顔見知りだった人間と言う線が濃くなってくる。

西野友海が倒れている松本を見て名前を言ったと言うことは西野は確実に松本の知り合いだ。

だが西野が犯人だとすれば第一発見者にはならないはずだ。

まず一番最初に疑われる役どころに、わざわざなる必要がない。

そうなるとなぜ松本恵介は殺されたのか。




「西野さん、松本さんとはどういう関係だったんですか」


千尋は考えを巡らせたあとに言った。

脇では真山もきいている。

西野は「あぁ」と言ってから答えた。

「松本さんは何と言うか・・・・。会社の元同僚で。出版社で松本さんと知り合ったの。けど最近、松本さんは違う出版社に引きぬかれていわばライバル同士になって。それで今日も原稿をもらえるんじゃないかって思って来たの」


「知り合ったのはいつですか」


「二年くらい前だと思うけど・・・。でも―――」


「でも?」


「彼、松本さん・・・・。あまり評判が良くなくて・・・・。恨みをかってた人は多かったと思うわ。今日のパーティにも松本さんを恨んでいる方はいるんじゃないかしら」


「あなたは恨んでないんですか」


「・・・・えぇ。でもやっぱり多少は恨んでいたところもあるわ。けど、一度恋人関係にあった以上、そんな恨みはもう消えたわよ」


「・・・・そうだったんですか。別れを告げたのはどっちです?」


「松本さんの方です」


そう言われた千尋は西野をジッーと見た。

すると西野は察したらしく、あわてて言った。


「だ、だからって疑わないでよ?そんなんで人を殺したりしないわよ!」


「わかってますよ・・・・。それで、とりあえず松本さんの知り合いは貴方だけじゃないんですね?」


「えぇ。私以外にもたくさんいる。何せ、二社と方々と知り合いなんだから。さっきも言ったけど多少はいると思う。・・・・それにしても、誰かを殺す人間が近くにいるんだなんて、物騒ね」