ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係
作者/ゆぅ

Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-15
「!?」
二人は同時に悲鳴がきこえた方を見る。
その瞬間、千尋は部屋を飛び出した。
置いていかれた腹筋マシーンに横たわったままの真山は「えっ?」と呟いてから立ち上がる。
が、腹筋をすしぎて「いててて・・・・」と呟く。
「・・・おい!有明!・・・・・ちょっと起こしてくれな―――」
悲鳴のきこえた方へ走って行くと、廊下にたたずんでいる女の姿があった。
黒いスーツをきているので美冬かと思ったが髪型が違った。
茶髪のロングヘアーの女だ。
「どうしたんですか?」
千尋はそう言って女を見た。
女は部屋の中を指さして言った。
「あ・・・、そこに・・・・。マツモトさんが・・・・・。マツモトさんが・・・・」
女がそう言うと千尋と後から来た真山は部屋の中を見た。
そこには一人、腹部から血を流し、倒れている男の姿があった。
恐らく彼の名がマツモトと言うのであろう。
そうこうしていると続々人が集まってきて、走ってきた男が言った。
「何があった!ニシノの声がきこえたが」
男は相当息が切れている。
ニシノとは誰か知らないがまあいい。
そして美冬が来て言った。
「どうしました?」
そう言いながら美冬は部屋の中をのぞいた。
その瞬間、美冬の表情が驚きの表情に変わった。
そりゃあそうだ。
目の前で人が血を流して倒れているのだから。
「た、大変・・・・・。どなたか、警察を呼んで下さい!」
二人は、美冬に警察だと言ったはずだと言うのに忘れられているようだ。
そこで、真山が千尋の左手を持ちあげて言った。
「ここに警察がいますー。その必要はありません」
「は?」
千尋は真山を見て言った。
お前もだろう、と言うような目だ。
だが発見した女がいた。
「その子だけじゃ頼りないわ。とにかく誰か警察を呼んで!」
どういう意味だ、それは。
が、そう思っていると真山が小さな声で言った。
「良かったじゃないか、君の頼りなさが救われた」
「お前もだろ!」
千尋はそんな真山に小さな声で怒鳴る。
野次馬の中の一人が携帯を出し、警察に連絡をした。

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