ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-4



真山は広い会場を歩く。

千尋は健次に歩きながら言った。


「あの、秘書がどの方だかどうしてわかるんですか?」


千尋がそう言うと、真山はまた目を合わせる事なく言った。


「大きな階段の下、一人スーツで立っている。パーティでああも動かない人間は主催者かあるいはその関係者と推測される。しかも彼女は首にスタッフのカードをさげているから秘書だと断定できる。観察力が足りないぞ、ハハッ」


「ほーォ」


「それにな」


「なんですか」


「秘書は大体美人だって決まってんだよハハッ。観察力が足りないぞ」


真山はそう言うと早歩きになった。

何で二回言ったんだ、そう思いながら千尋は彼女の元に到着した真山を見た。


「わかってったちゅーの」


千尋はそんな負け惜しみのような事を呟いてから、ちょっと小走りでついて行った。





「すいません。秘書のホウショウミフユさんですね?ちょっとお話いいですか」


真山がそう言うと、ホウショウと呼ばれる女は不思議そうな顔でこちらを向き、二人が胸につけている警察バッチを見ると二人の顔を見て言った。


「・・・警察に相談した覚えもありませんが」


「失礼。勝手に出席させて頂きました。警視庁の真山です」


真山はそう言ってポケットから警察手帳をを出し、彼女に見せた。


千尋は少々焦りながら手帳を出し、

「同じく有明です」

と言いながら手帳を見せた。


ホウショウは二人の手帳を見てから言った。


「秘書のホウショウと申します」


ホウショウはそう言って胸にかけているスタッフカードを二人に見せた。


【宝生美冬】とある。



「ここでは難ですから、どうぞ」


美冬はそう言って歩き出した。

真山は戸惑う事なく彼女に続いた。


千尋はのろのろとついてくる。







隣の小部屋に行った二人に、美冬が言った。



「・・・それで、何の御用でしょうか。私、何かやましい事でもしましたでしょうか」


美冬がそう言うと、真山は


「いえ、そういう訳では・・・・」


と言うが千尋は平然と言い返した。


「何か警察にバレたらマズい事でもあるんですか」


千尋がそう言い、美冬も表情を変える事なく答える。


「そう見えますか」


「見えないでもないですけどねぇ、その態度ですと」


「・・・私に喧嘩を売っていらっしゃるんでしょうか」


「そう見えますか」


「見えないでもないですけど」


そう言って二人は見つめあう。


真山の目には、俗に言う火花が見える。


「有明、黙れ」


真山が割って入った。千尋は真山を見て舌打ち。