二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケモンストーリー ハートゴールド編
- 日時: 2016/10/23 17:00
- 名前: たくと七星 (ID: QGavJw1Z)
また、お会いします。たくと七星です。これまでスマブラの小説を書いてきましたが、今回から、再びポケモンの小説を書いていこうと思います。今回は「ポケットモンスター 金銀」のリメイク版、「ハートゴールド、ソウルシルバー」を題材とした作品です。
<今作の概要>
・初の男の子主人公に挑戦
前作、ブラック編、ダイヤモンド編と女の子を主人公として来ましたが、今回は初となる男の子の主人公に挑戦しようと思います。
・憎めないキャラにして行きたいと思います
主人公の性格は昔の昭和のアニメの主人公をイメージして書いていこうと思っています。やんちゃでおバカでお調子者だけれども芯はしっかりしていて決めるときは決める、そんなキャラにしていこうと思います。
・ジムリーダーが旅のお供に
今作ではジムリーダーを旅のお供として登場させます。これはアニメの設定でジムリーダーの一人を仲間にして出してみたいと思っていたので今作で書いてみたいと思っていました。もちろん、ただいるだけの存在にはさせず、先輩としてサポートしたり、アドバイスをしたりフォローをしてあげたり、共闘したりしていくのでそれらを見ていただけたらと思います。
・今作でのポケモンの新能力
今作ではバトルにちょっとした工夫を入れてみました。登場するポケモンがちょっとした芸当を持っていたり変わった戦術をしてきたりするのでよろしく見ていただけたらと思っています。
・後半からオリジナル要素を展開
前半、中盤は普通に原作沿いになりますが後半からは実際のゲームではなかった要素を追加していこうと思っています。それは何かはまだ伏せておきます。
以上が本作の概要です。明るい主人公とジムリーダーの二人旅、色んな人たちとの出会い、脅威となるライバルの出現など、時にシリアス、時にはギャグも、そしてクスリとさせられたりするそんな話に出来ればと思いつつ連載していきますのでよろしくお願いします。
<主要人物紹介>
・ヒビキ
本作の主人公、ワカバタウン出身の少年。デザインは原作「ハートゴールド、ソウルシルバー」と同じ。研究所に届いた自分あての差出人不明のタマゴからワニノコが孵ったことで冒険の旅にでる。おバカでお調子者だが、決して諦めない強い心を持った熱血漢。意外としっかりした所もあり、義理堅い一方、激昂したり感情が高ぶると江戸っ子口調になってしまうことがある。
・ツクシ
ヒビキが出会うことになるむし使いの少年。偶然ヒビキと出会い、彼と仲良しになって一緒に行動することになる。しっかり者でヒビキのボケに鋭いツッコミを浴びせたり、先輩としてトレーナーとしてのあり方をサポートしたりする。研究家を目指しており、ウツギ博士には尊敬の念を抱いている。
・レイ
ヒビキ達の前に現れた、赤髪に切れ長の目をした少年。冷徹な性格でポケモンは強ければいいと考えている。至るところでヒビキ達と出会うが弱者とみなして相手にしない態度をとることが多いが・・・本作でのヒビキの生涯の壁。
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- Re: ポケモンストーリー ハートゴールド編 ( No.206 )
- 日時: 2019/08/20 21:07
- 名前: たくと七星 (ID: ZMNBWJT7)
第32話「尖った性格のジムリーダー、VSフスベジム」パート7
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、アローラロコン、コンパン、ルージュラ、アクジキング、ホウオウ(戦闘中)
周囲を虹色のオーロラが漂い始める、その中を降下しながら羽ばたき、ホウオウが降り立った。
「伝説のポケモン?」
エンジュの塔に伝わるポケモンだとすぐに察した。
「伝説のポケモンが相手であろうと勝利する、それがジムリーダーよ。貴方に思い知らせてあげる、格の違いと言うものを、ジャラランガ!」
「ジャーン!」
ジャラランガが咆哮を上げる。頭や背中に生えている鱗が光り出した。エネルギーを溜めるとそれを一斉に発射してホウオウに放って来た。
「ギャシヤーオオ!」
ホウオウは虹色のバリヤーを張ってこれを防いだ。
「ヒビキ君、あのジャラランガは鱗を連射して来る、うかつには近寄れないよ!」
「確かにな、けど、かわしちまえば問題ないぜ、なあ!」
ヒビキが言うとホウオウが頷いて羽ばたいた。
「かわせるものですか、ジャラランガ撃墜なさい!」
「ジャラーン!」
イブキの指示でジャラランガは無数の鱗をミサイルの様に連射して発射して来た。羽ばたいているホウオウ目掛けて向かって来る。
「ヒョロロロ!」
これにホウオウは素早く動いてかわしていった。鱗が当たったかと思えば残像で中々当たらない程の素早さでジャラランガの鱗をかわしていく、ジャラランガはそのまま連射し続けたがホウオウは忍者の様な目にも止まらぬ速さでかわしながら火炎弾をジャラランガに放って攻撃していく。
中々命中しない事に苛立って来たジャラランガが体内放射でりゅうのはどうを放ち、更に両手の爪を鋭利な刃に伸ばして来た。伸ばした爪を地面に突き刺して岩を飛ばすがホウオウはこれをかわしていく。
「ギャシャオオオオ!」
ホウオウが光を纏って一直線に急降下してジャラランガに体当たりをした。その衝撃でジャラランガが崩れ落ちる、刃の様に伸びた爪が割れてしまっていた。
旋回して空中に舞い戻るホウオウ。ジャラランガが起き上がって炎を纏った尻尾を振るって叩き付けに出ようとしたがホウオウはこれをかわして尻尾を掴み、空中に上げて落下させる、ジャラランガがりゅうのはどうを飛ばしたがこれを急降下で打ち消してドリルくちばしで地面に叩き付けた。
「く、おかしいわ、何故、何故私が押されているの、こんなのないわ!」
劣勢に立たされている状況にイブキは否定する、ジャラランガがグロッキーになりながらも何とか起き上がって戦いに出ようとする。
「ホウオウ、せいなるほのおだ!」
ヒビキの指示でホウオウがせいなるほのおをジャラランガに放った。すさまじい炎の力に遂にジャラランガが力尽きた。
「いやったーっ!」
イブキに勝利してヒビキがツクシ達の元へ戻って行く。
「やったぜツクシ君、これで全ジム制覇だ!」
「良かったよ、後はポケモンリーグだけだね」
勝った事でようやくリーグに挑む事が出来るとこの時は思っていた。
「この私が、あり得ない、何かの間違いだわ、おかしいわよ・・・」
敗けたイブキが不満そうに納得していない顔をしていた。
「何?」
ヒビキが手を差し伸べる、握手をしようと言うのだ。
「バトルが終わればノーサイドだろ?いい勝負だったぜ」
「く、認めないわ、こんな勝負、こんなのまぐれよ、私が勝つはずなのに・・・」
「え、敗けは敗けだろ、潔く認めた方がいいぜ」
「ふざけないで、子供の遊びみたいな戦い方をして、伝説のポケモンを使う何て正々堂々としていないわ、これでポケモンリーグに行けると思ってる頭が恐ろしいわ」
「あ、あんだってえ・・・!」
ヒビキの顔に青筋が立って来た、勝ったはずなのに認められず馬鹿にされた様な気持ちだった。
「けど、結果と実力だろう!」
「あれで実力ですって、あんな真似しておいて、何と言おうと私は決して認めないわ」
「イブキさん!」
見かねたツクシがヒビキのフォローに出た。
「ヒビキ君は僕を始めとしたジムリーダーに勝利しました、それは全てヒビキ君の独力によるものです、ビーストもヒビキ君の力で勝って来た、ヒビキ君の強さが本物です!」
「だから何?言いたい事はそれだけなの、勝ったとは言うけれど、それは貴方がジムリーダーとして弱かったからじゃないの?」
「・・・・・」
「無理もないわね、むしポケモンなんて弱点の多いタイプじゃ大して強くもない相手に敗けるのも当然ね。いっそのこと科学者にでもなればよかったんじゃないの?」
イブキの言葉に全否定されたツクシ、彼の瞳から涙が溢れて来た。
「取り消せよ・・・今の言葉、取り消せよ!」
親友を馬鹿にされた事にヒビキが怒りを爆発させた。
「ツクシ君だって充分強いんだぞ、一緒に旅してかなりの腕を上げたんだ、それを弱いって何だ、もうバッジはどうでもいい!謝れ、ツクシ君に謝れ!」
激しい怒りの表情でイブキに詰め寄る。明らかに相手の言葉に怒りを露わにしていた。
「あらあらムキに怒って、まだまだ子供ね。こんな子供のために旅のお供をするなんて物好きなジムリーダーがいたものだわ」
「手前、べらぼうが!」
「待ってヒビキくん、これ以上は・・・!」
今にも殴りかかろうとするヒビキを止める。
「ツクシ君、悔しくねえのか!」
「悔しいよ、けどここで事を荒立てても何もならないよ・・・」
「ぐぐ・・・」
ツクシの言葉にヒビキは握り拳を降ろした。
「仕方ないわね、そこまで認めて欲しいのなら条件を出すわ」
「条件だ?」
「この街の奥にりゅうのあながある、そこにいるちょうろうに強さを認められたのなら、渡すのを考えてあげるわ・・・」
りゅうのあなにいるちょうろう、そこでの試練に合格すればバッジを渡すとイブキは言った。
「ヒビキ君、ここはイブキさんの言う事に従おう、それが最善だよ、悔しいけれど・・・」
「ああ、べらぼうに腹は立つけど、そうした方がいいな。取り敢えず、味噌汁で顔を洗いやがれ!」
イブキの言う事に癪を覚えつつもヒビキ達はジムを出てりゅうのあなへと向かうのだった・・・。
- Re: ポケモンストーリー ハートゴールド編 ( No.207 )
- 日時: 2019/08/27 20:56
- 名前: たくと七星 (ID: ZMNBWJT7)
第33話「りゅうのあな、ちょうろうの試練」パート1
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、アローラロコン、コンパン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
・今回の注目ポイント
・ちょうろうのしれんにヒビキは・・・。
「べらんめえ、本当に素直じゃねえ野郎だ!」
外に出てヒビキが空に向かって鬱憤を飛ばしていた。
「ヒビキさん、怒ってるなあ」
「まあ、勝ったのに認められなかったからね・・・」
アカネとツクシが叫んでいるヒビキを心配して見ていた。けれど気持ちの切り替わりが早い子である事を二人は知っていた。
「で、りゅうのあなに行けばいいんだよな?」
向きを変えてはにかんだ顔で二人に言う。
「そうだね、ジムの裏側にある穴がそのりゅうのあなみたいだよ」
「おし、じゃあ行くか」
堂々と歩いて行くヒビキ。彼のプラス思考と明るさにツクシとアカネは胸につかえていたものが無くなった様な気になれた。
「ここだな」
「どなたですか?」
穴の前では見張りの老人が立っていた。
「イブキからこの穴に入って長老の試練を受けて来いって言われたんだ」
「イブキ様が言われたなら・・・通ってよろしい」
ヒビキに続いて二人も入ろうとしたが足止めされた。
「ここから先はちょうろう様及びイブキ様、ワタル様に認められた者だけが入れる場所です」
「僕達はここまでだね」
「ヒビキさん、頑張って」
「おう、行って来るぜ」
二人に告げてヒビキは穴へと入って行った。下の階へと続く長い梯子を伝って降りていく。
「ふう、ここか・・・」
洞窟内が広い地下の一階に到着した、洞窟の水辺の先にちょうろうがいると思われるほこらがあった。
「あのほこらにいるんだな、ようし」
ポケモンを使って波に乗ろうとしたその時、
「おわ!」
突然、何かの光線が飛んで来た。咄嗟にかわすヒビキ、目の前にはドラゴンポケモンのハクリューが立ちはだかっていた。
「何者だ貴様!」
ハクリューのトレーナーと思われる男が仁王立ちして立っていた。
「この神聖なりゅうのあなに勝手に入って来るな!」
「誰だよあんた」
「俺はエリートトレーナーのリュウ!ドラゴンタイプを使えば最強のトレーナーだ、ここは貴様の様な余所者が土足で上がり込んでいい場所ではない、大人しく立ち去れ!」
プライドが高く高圧的な主張でヒビキに言う。
「そう言う訳にはいかねえよ、ちょうろうに会って試練を受けないといけねえんだ」
「ちょうろう様が、バカが!ちょうろう様とあろう方が貴様の様などこのポニータの骨とも知れない様な輩など相手になどするものか!身分違いも甚だしい!」
「そうは言ってもイブキからも許可は得てるんだ」
「イブキ様に?ではイブキ様に勝ったのか?」
「勝ったぜ、バッジはもらえなかったけど・・・」
「バッジを、ふふん、イブキ様に認められなかったと言いたいのだろう、それでは尚更ちょうろう様の元へ行かせる訳にはいかんな!忠告だ、イブキ様に認められない様な弱者の貴様がここにいる意味は無い、さっさとここを出て行くがいい、それでも出て行かぬなら、実力を持って思い知らせるまでだ!」
「俺だってここを黙って退く訳にはいかねえんだ。ここは力づくでも行くぜ!」
ヒビキはボールを投げてオーダイルを出した。バトルに挑む準備は出来ている様だ。
「ほう、この俺にバトルを挑もうと言うのか、愚か者め!自分の力を過信しての事だな、身の程知らずな奴だ、今に各の違いを知らしめてくれる、行けえハクリュー!」
リュウの指示でハクリューが突進して来た。オーダイルも走り出して頭を抑えた。れいとうパンチを振るってのけ反らせるがハクリューが巻き付いて来た。
「でんじはだ!」
でんじはを流してオーダイルを苦しめる。素早く動いてオーダイルに尻尾による叩き付けで攻撃する。
「れいとうビームだ!」
ヒビキの指示でれいとうビームを飛ばすがかわされてしまう。角によるつつき攻撃とドラゴンダイブを直撃してしまう。後退するオーダイルにハクリューはジャンプしてからのドラゴンダイブで連続攻撃を繰り返していく。
「どうだ、解っただろう、これが貴様と俺の各の違いだ。最後のチャンスを上げてやってもいいぞ、ここで大人しく降参して立ち去るか、それとも・・・」
「俺はよお、諦めが悪い奴だからよ、ここは絶対に負けないぜ!」
「そうかならば己の愚かさを悔やみながら果てるがいい!」
ハクリューが角を突きだして急降下して来た。突き刺さるかと思われたが、
「何?!」
オーダイルはすんでの所でハクリューの角を受け止めていた。腕かられいとうビームを放ってハクリューを吹っ飛ばした。尻尾を掴んでジャイアントスイングをして投げ飛ばした。起き上がった所でヒビキがアクZを発動、両腕に力を込めて黒い稲光を発行させると腕をクロスさせてブラックホールイクリプスを放った。黒い波動を光線を食らったハクリューは力尽きた。
「バ、バカな、この俺がこんなポニータの骨の様な奴に、嘘だ、嘘だ、何かの間違いだ、あり得ない、あり得ない!」
「悪いな、先を急いでいるんだ」
リュウを倒すとヒビキはオーダイルに乗って水辺を進んでいった・・・。
続く・・・。
- Re: ポケモンストーリー ハートゴールド編 ( No.208 )
- 日時: 2019/09/10 20:40
- 名前: たくと七星 (ID: ZMNBWJT7)
第33話「りゅうのあな、ちょうろうの試練」パート2
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、コンパン、アローラロコン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
「着いたぜ・・・」
目の前にそびえ立つ厳かな祠をヒビキは見上げていた。中は一体どうなっているのか。
「たのもーっ!」
扉を開けて中に入る。
「何者だ貴様!」
「聖なる祠に土足で上がり込んで来るとは!」
ちょうろうを守っているだろうトレーナー達がボールを構えて群がって来る。
「これこれ、そう身構えるでない、折角来た客人なのじゃから」
いきり立つトレーナー達を宥める老人の声が聞こえて来た。
「お、あんたは?」
トレーナーの中をかいくぐり見てみるとジジーロンが現れた時に登場したあの老人が髭を撫でて立っていた。
「あの時の爺さんじゃねえか!」
「じ、爺さん?!」
「無礼者!」
遠慮ない台詞にトレーナー達が一斉にヒビキを睨んだ。
「ほう、お主はジジーロンに助けてもらったあのトレーナーか。ほっほ、まさかここに来るとは・・・イブキに何か言われたのであろう」
「ああ、そうなんだよ、俺が勝ったって言うのに負けを認めねえんだからさ」
「やれやれ、あ奴にも困ったものじゃ、まあ、ここに来たと言うからには、わしの試練を受けに来たのであろう?」
座布団から起き上がってヒビキの前に歩み寄る。
「お、おう、そうだった、爺さん、俺はあんたの試練を受けに来たんだ」
「ほっほ、そう身構える出ない、何も勝負をしようと言うのではない、わしの試練は、わしが今から言う質問にお主の正直な気持ちを伝えてくれればいい、さあさ、こちらに」
ちょうろうに薦められて座布団に座る。
「では、始めるぞ、まずは一つ、お主にとってポケモンとはどんな存在か?」
トレーナーにとってのポケモンとは何か、ヒビキは正直に答えた。
「決まってるだろ、ポケモンは大事な仲間だ、俺のオーダオイルなんかタマゴにかえった時からの付き合いだぜ、色んな奴等と出会って来て皆、俺に懐いてくれてる、俺にとっては皆は大事な仲間だ」
「ふむふむ、では二つ、バトルに当たっては何が大事だと思う?」
「そりゃあ、作戦だろ、相手の動きや技を見てどう出るのかが大事だもんな」
「ふむふむ、ではポケモンを育てるにあたっては何が必要だと思う?」
「そいつは簡単、愛情に決まってるだろ、ポケモン皆に俺は愛情を注いでいる、捨てたりなんかは絶対しないぜ!」
「ほうほう、ではお主は強いトレーナーと弱いトレーナー、どちらと戦いたい?」
「どっちもだ、来るものは拒まずって言うだろ、俺はどんな奴でも大歓迎さ!」
「ふむ、では最後に、お主は強いポケモンがいいか、それとも弱いポケモンがいいか?」
「どっちもさ、街で出会った姉さんが強いポケモンも弱いポケモンも人の勝手だって言ってたから、それに俺はどんなポケモンだって大歓迎さ!」
「ふんふん・・・」
質問が終わりしばしの沈黙が流れる。互いの目を見つめ合う、ちょうろうの顔が険しくなったり沈んだ顔になったりする。ヒビキは緊張して唾を飲んだ。
「ふむ、お主は・・・・合格じゃな、ほっほっほ!」
「合格?」
「ふむ、実に小気味よい、実に清々しい若者じゃ、そうじゃ、その気持ちが大事なのじゃ、お主はトレーナーとポケモンの何たるかをよく解っておる、それを認めてこれを渡そう」
ちょうろうの指図でトレーナーがある物を運んで渡した。それをヒビキに手渡す。
「これは?」
「フスベシティに伝わる秘法、ドラゴンZじゃ、幸いお主はZリングを持っておる。これを使えばいかなるZ技も強化出来るであろう」
「いいのか、こんな大事な物?」
「ふむ、お主は正しい心を持ったトレーナー、必ずや使いこなせるであろう、ふむ・・・」
「どうした、爺さん?」
「そろそろイブキが来る頃じゃな・・・」
扉が開き、イブキがやって来た。
「どうだったかしら?」
「おう、今終わった所だぜ」
口を尖らせて口笛を吹いた。
「無理だったでしょう、貴方なんかがちょうろうに認められる訳が無いもの、解ったでしょう、実力の違いと言うものが・・・」
「こりゃ、イブキ!己の基準で判断するでない!」
「え、え?」
ちょうろうの喝にイブキは戸惑ってしまう。
「この者は見事にわしの試練を合格したぞ!」
「そんな、まさかそんなはずが!」
「ほーら、ちゃんとその証もらったぜ」
そう言ってリングに装着しているドラゴンZをイブキに見せた。
「ド、ドラゴンZ!そんな、私はまだ認めてもらえてないのに?!」
「え、おいおい、ちょうろうさんに認めてもらえてないだって?!それでよく俺に・・・」
「お前は自分の才に慢心してこの者を過小評価しておったな。だがこの者はわしの言う質問に完璧に答えた、さあ、観念してバッジを渡さぬか!さもなくばこの事をワタルに申し渡すぞ!」
「ワタルさんの事知ってるのか、じいさん?」
イブキは拳を振るわせて歯ぎしりをしている、歯を食いしばらせながらヒビキに歩み寄る。
「これがライジングバッジよ、さっさと受け取りなさいよ!」
「お、おう、たく素直に渡せばいいのによお、全く根性ねじ曲がってるよなあ、あんた」
「うるさい!余計なお世話よ、そんなにバッジをもらえて嬉しい訳、調子に乗っていきがって!何よ何よ、何でなのよ!こんな奴なんかに!」
わめき散らしながら祠を去って行った。
「何なんだ、あいつ?」
「はあ、まだ本当の強さの意味が掴めぬとは・・・」
ちょうろうは溜息を吐いて頭の汗をぬぐった。
「どうした爺さん?」
「ヒビキとやら、ポケモンリーグに行くのに時間があるのなら、どうかイブキの事を見て頂けぬであろうか?」
「ええ、あいつを?」
「ふむ、あの者は確かに腕はある、トレーナーとしての強さはある、じゃが、何かに欠けている様な所があるのじゃ。どうか、イブキを正しく導いてくれぬか・・・」
「う〜ん・・・」
- Re: ポケモンストーリー ハートゴールド編 ( No.209 )
- 日時: 2019/09/17 21:04
- 名前: たくと七星 (ID: ZMNBWJT7)
第34話「届け、ジジーロンの思い イブキが掴むクリスタル」パート1
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、コンパン、アローラロコン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
・今回の注目ポケモン
・ジジーロン
・ジャラランガ
・クロバット
・オーダイル
・今回の注目ポイント
・イブキの過去
・ジジーロンとの関係
・ジジーロンを狙う存在
・イブキに向き合うヒビキ
小さい頃の事、あの時の出会いを今も覚えている。
『返してーっ、あたしの首飾り返してーっ!』
いつも自分はいじめられていた。子供のトレーナーから意地悪をされる日々を送り、今も大事な物を取られて遊ばされる。
『ギャオーーーーーっ!!!』
その時、荘厳な竜の声が聞こえて来た。いじめっ子達は首飾りを捨てて逃げていく、飾りを拾い、涙で頬を濡らしていると、のっしと近付いている気配がして来る。振り返ると髭を生やした穏やかな顔をしている首長のドラゴンポケモンがいた。顔で頬ずりをして自分の顔を撫でて来る。それがこのポケモンとの出会いだった、でも今は・・・。
「・・・・・・」
イブキはピリピリしていた。ジャラランガ達と共に修行していたのだ。彼女にとってはこの日は屈辱的とも言える出来事が多かった。トレーナーとしての実力は申し分なくワタルとも互角に渡り合えると思っていたが・・・。
「・・・・・・」
切り株に座って頬杖を付いている少年に敗けたのだ。イブキにとっては偶然にも敗けたと思っていて本当なら自分が勝っていたのだと、それでいてちょうろうに認められたのが余計に苛立ちを覚えていたのだ。
「どういう風の吹き回しなのかしら?何で貴方がここにいるの?」
「好きで来たって訳じゃねえよ、ちょうろうさんに頼まれたからな」
「全く、ちょうろう様もどうしてこいつを・・・私は誰の助けなんかいらないのに・・・」
「おいおい、眉間に皺が入ってるぜ」
「乙女に皺は余計よ」
相変わらずの素っ気なさにヒビキは溜息を吐いた。
「なあ、ジムリーダーだからってそんなに気負わなくてもいいんじゃねえの?」
「気負う?私が?」
「何かさ、ちょっとでも自分を強く見せようとしてる気がしてさ・・・何があったかは知らねえけど、もう少し余裕ってもんを持った方がいいんじゃねえの?」
「そんな事無いわよ!余計なお世話だわ!」
「ま、そうだよね。心配してんのは俺の勝手だし・・・」
ちょうろうから言われた事、イブキは確かに強くトレーナーとしての実力も責任感も使命感もある、しかしその強さ故に弱さを見せる事が出来ず意地を張ってしまう、全てを背負い込もうとしている、一人で戦っていると言う危うさもある、彼女のために力を貸してほしいと言われた。
「あんた本当にかりかりしてんな、だったらもうひと勝負するか?」
腕を回してイブキに言う。
「勝負?」
「そうそう、少しくらいは肩慣らしにはなるだろう?」
「ふん、まぐれで勝った奴との勝負何て見えているからしないわ」
「へえそう、そうだもんな、俺と戦うなんておっかなくてしょうがないもんなあ・・・」
イブキの性格を踏まえてあえて煽る様な台詞を言ってみる。
「何ですって・・・?」
「だって俺あんたに勝ったし、俺と戦う何て怖くて無理って奴だよな」
「今の取り消しなさい、見せてやるわよ、貴方なんて私の足元にも及ばない事を」
イブキがボールを構えるとヒビキはニカッとした。
しばらくして・・・。
「全く・・・」
バトルが終わり隣同士で切り株に座っている。イブキはプンスカと怒って不貞腐れている、と言うのもまたもヒビキとのバトルに敗けてしまったのだ。ジャラランガの時はホウオウの素早い旋回に翻弄されて隙を作れず、クリムガンの時はルージュラに手も足も出なかった。
「またまぐれで敗けたわ」
「相変わらずだなあ、あんた・・・」
「そうじゃない、大体伝説のポケモンを使う何てセコイんじゃないかしら」
「べらんめえ、結果が全てだよ」
「じゃあホウオウ無しだったらどうだったの?」
「ホウオウに頼らなくても勝てていたさ」
「さあ、どうかしらね、今度は私が勝つかもよ」
「てやんでい、こっちだって敗けちゃいねえよ」
「じゃあ、もうひと勝負でもするかしら?」
「お、いいな、じゃあやってみるか」
そして数時間後・・・。
「・・・・・・」
イブキは冷や汗をかいて苦い顔をしていた。勝負の結果は言うまでもない訳である。
「はい、俺の勝ち!」
「ぐ、ぐぐぐ、ふ、ふん、私はもう大人よ、ムキに怒って取り乱すなんて事はしないのよ」
怒りを堪えて汗をかきながら作り笑顔を作る、ヒビキも別の意味で苦笑いをしていた。自分の気持ちを隠すのが下手だと。
「でも、一体どうしてよ、私だって努力しているつもりなのに・・・どうして貴方に・・・」
「まだ言ってんなあ。う〜ん・・・ちょっと待ってろ」
そう言って街の方角へ向かう。
「ちょっとどこへ行くのよ?」
「ちょいとな、いいもんを取りに行って来るから待ってな」
イブキに手を振ってイブキシティへと向かって行った。再び切り株に座って溜息を吐くイブキ。そんな時。
「何?」
何かの気配に気付いた、振り返るとそこにはあのポケモンがいた・・・。
続く・・・。
- Re: ポケモンストーリー ハートゴールド編 ( No.210 )
- 日時: 2019/09/24 20:50
- 名前: たくと七星 (ID: ZMNBWJT7)
第34話「届け、ジジーロンの思い イブキが掴むクリスタル」パート2
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、アローラロコン、コンパン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
ジジーロンは穏やかな瞳でイブキを見つめていた。険しい表情に変わるイブキだったが、このポケモンはイブキを宥める様に頭を下げて来る。
「何で、何で来るのよ!私はもう貴方の慰めはいらないと言っているでしょう!」
ジジーロンに対してイブキは突き放す様に強く厳しい口調で言う。しかし頭の中では色んな思い出が浮かんでいた。始めて出会った日、仲良く遊んでいた幼かった頃が浮かぶが首を振って割り切った。
「ヌウ〜・・・」
イブキの気持ちを案じているジジーロンは頭で撫でようとする
「やめて、来ないで!私はもう弱虫だったあの頃とは違うのよ、貴方の気休めなんか必要ない!慰めもいらない!私は強くなるの、誰の助けもいらない、早く行って!」
拒絶されたジジーロンは切ない顔をした、悲しげに鈍い声を上げて去って行った。そのジジーロンの姿を岩陰から覗いている存在がいた。
「ワーオ、コレハメズラシイポケモンデスネーっ、アノポケモンヲツカマエレバ、ボスモヨロコブハズデース!」
黒服のRのマークの付いた帽子を被っている男は一足先にジジーロンの住処に向かって行った。
「・・・・・・・」
イブキは険しい顔をしたまま立ち尽くしていた。仲の良かったポケモンを冷たく突き放してしまったのではないか、これでいいのかと言う気持ちがよぎるがすぐに振り切ってしまった。
「ふ、ふん、いいのよ、これで・・・。私は誰にも負けないトレーナーになる、甘えとか慰めなんてかえって迷惑よ・・・そうよ、これがいいやり方なのよ・・・」
ジジーロンの寂しそうな顔が浮かぶも、首を振って割り切ろうとした。
「きゃ!」
突然、頬に冷たい感触がする。振り向くとサイコソーダを手に持ったヒビキがいた。後ろにはツクシとアカネがいる。
「あ、貴方達?!」
「あんた、何かあったのか?まあ、取り敢えず休憩しようぜ、飲み物とか食い物とか持って来たからよ」
「ほい饅頭」
切り株に座るとヒビキはイブキにいかりまんじゅうを差し出した。
「甘い物は太るから結構よ」
「屁理屈言ってんなあ、頭を活性化させるには糖分がいいんだぜ、なあ、ツクシくん?」
「え、僕に振るの?まあ、疲れた時なんかは食べたくはなるよね、僕もそうする方だし・・・」
「ジムリーダーになってもお菓子を食べるなんてお子様ね」
「べらんめえ、いいじゃねえかまだ食いたい盛りなんだよ俺もツクシくんもアカネちゃんも。文句ばっかいってねえで一つまみしろい」
ぶっきらぼうな台詞を言ってイブキに饅頭を置いた。
「強引ね、一つだけよ・・・」
拗ねた顔をして饅頭を頬張った。
「見てたぜ、さっきの」
「な、何がよ・・・」
「あのポケモン、ジジーロンだっけ、あんたの事、心配してる感じだったぜ」
「それは貴方が勝手に思い込んでいるだけでしょう?」
「まあ、思い込んで勝手に心配してるんだけどな。けどよお、あんたの事をかなり気遣ってくれてた様に感じたぜ、それをあんなきつく言って冷たく突き放す事はねえんじゃないの?」
「貴方には関係ないでしょう・・・」
小さくか細い声で言い、そっぽを向いてしまう。
「べらんめえ、あんた本当にひねくれてんな。ちったあ素直になったらどうだ。そんな風だとつまらないだろ?」
「う、うるさい!貴方に何が解るって言うのよ、私は他の誰よりも人一倍努力している、貴方とは背負っている物も違うのに、何で貴方なんかに!」
「なあ、あんた、一人のつもりでいるのかい?」
「え?」
「自分一人で戦ってると思ってんのか。あんたには仲間のポケモンがいるじゃねえか。ポケモンってさ、何のためにトレーナーの言う事を聞くと思う。トレーナーが只言うこと聞かせて指示出して動くから?そうじゃねえ、ハートだよ」
胸を叩いて話を続ける。
「ポケモンってのはトレーナーのハートの熱さを感じてそれに共感してさ、気持ちが通じ合った時にトレーナーの力になってくれるもんじゃねえの?」
「・・・・・・・」
「俺、そんなに完璧じゃねえんだぜ。ツクシくんに間違いを指摘されたり、ついついポケモンを頼りにしちゃったり、俺、一人じゃ何にも出来ねえんだ。だから皆に力を貸してもらって自分なりに努力して何とか頑張ってるのさ」
「ふん、楽観主義ね。困った幸せ者だわ・・・」
「あ、笑ったな今・・・!」
「む、違うわよ!」
「でも笑ってたでさっき!」
ヒビキとアカネが茶化すとイブキがムキになって来る。そんな中、ジジーロンのいる住処では・・・。
続く・・・。
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