複雑・ファジー小説

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あなたを失う理由。 完結
日時: 2013/03/09 15:09
名前: 朝倉疾風 (ID: kWFjr3rQ)
参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/

どうも 朝倉疾風です。





性描写などが出てきます。

嫌悪感を覚える方はお控えになってください。



主要登場人物>>1

episode1 character>>4


episode2 character>>58


episode3 character>>100


episode4 character>>158



小説イメソン(仮) ☆⇒p


《episode1》
・まきちゃんぐ / 煙
   htt☆://www.youtube.com/watch?v=kOdsPrqt1f4


《episode2》
・RURUTIA / 玲々テノヒラ
   htt☆://www.youtube.com/watch?v=wpu9oJHg2tg


《episode3》
・kokia / 大事なものは目蓋の裏
   htt☆://www.youtube.com/watch?v=LQrWe5_q6-A


《episode4》
・Lyu:Lyu / アノニマス
   htt☆://www.youtube.com/watch?v=lSFYtyxojsI


執筆開始◎ 6月8日〜



Re: あなたを失う理由。 ( No.27 )
日時: 2012/06/27 21:27
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)


お久しぶりですー
更新お疲れ様です!
紗夜ちゃんが殺されてしまってショックです……なんてこった……
というか、笑日ちゃん勝手に入ってよかったのか……?

毎回の更新楽しみにしています!がんばってくださいー!
どうか素敵な恋物語になりますように!!

Re: あなたを失う理由。 ( No.28 )
日時: 2012/06/29 11:49
名前: 朝倉疾風 (ID: FZws4pft)
参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/




◎ 揶揄菟唖 さま



 お久しぶりです 。
 絶賛テスト期間中の朝倉がここを通ります。
 暑いですね。 体調に気をつけてくださいませ。

 笑日の行為は不法侵入ですが、彼女はそれを自覚したうえで
 堂々と侵入しております。 なんてことでしょう。 警察 !!

 素敵な恋物語になるように たらたらと執筆すると思います。
 応援いつもありがとうございます ♪
 (o・・o)/

Re: あなたを失う理由。 ( No.29 )
日時: 2012/06/29 14:05
名前: 風猫(元:風  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

何でだろう。何で朝倉さんの小説はこんなにどきどきするのだろう?

ほかのカキコ作品には無いなにか独特なものがあるように感じるのですよね。
精通を母親の口の中で迎えた……ですか。近親相○というやつですね。先を越された(オイ

優勝候補の件、予想とかじゃなくて、そうだろうなぁというあきらめみたいなものですよ(苦笑

三好先輩が何気に好きです。適当なようでちゃんと部長やっているところが良いですね。
そしてそれが自分のためにつながる身勝手さが人間しているように感じました♪

紗夜さんに黙祷しておきましょう。まぁ、朝倉さんの作品では必ず誰かしら犠牲者が出るので(笑
そして、その犠牲者が実は物語りに相当大きなウェイトを締めているのが上手いところだと思います。
無駄が無く、しかし空虚じゃなくて想像の幅を持たせられる作り。それを考えずにできると言うのだから感嘆ですよ!

Re: あなたを失う理由。 ( No.30 )
日時: 2012/06/29 17:15
名前: 朝倉疾風 (ID: FZws4pft)
参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/



◎ 風猫 さま


 ドキドキ……そう言っていただけて朝倉もドキドキです。
 心拍数が本当に凄いです。
 もう光栄すぎてタイピングの速さがいつもの2倍です。

 先を越された、というのは近親相姦ネタを考えて
 いらっしゃいましたか?:(;゛゜'ω゜'):
 気にせずお使いくださいませ!
 ネタが同じになってしまうのは、本当によくあることなのです。

 どうなるかわからないですよね、小説大会……。

 朝倉の作品は本当によくご臨終される方が多くて……。
 誰か殺されないと始まらないのは、ミステリーの醍醐味ですが、
 これはミステリーではないので、いつか……人が亡くならない
 始まり方ができたらな、と……(遠い目

Re: あなたを失う理由。 ( No.31 )
日時: 2012/06/29 18:03
名前: 朝倉疾風 (ID: FZws4pft)
参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/

 それは、明らかに事後だった。

 上半身裸で首筋に赤い痕。 背中には爪で引っ掻かれたような傷。 気だるそうに床に吐瀉物を撒き散らしている大瀬良くんの手には、使用済みの避妊具が握り締められていた。
 独特の匂いに顔をしかめる。 嘔吐していた大瀬良くんが深く息を吐きながら顔を上げ、

「あ、えええええええええええええええええ?」

わたしに気づいて、硬直した。
 口から垂れ流しの唾液とか、胃液とかが、トロトロと糸をひく。
 ひどく扇情的ではあったけれど、わたしはこの状況を見て平然としていられるほど、人間ができていない。 中を見渡す。 相手は既に帰ったらしい。

「大瀬良くん……それ、なに」
「え、あ……え?」

 本来ならば、大瀬良くんから不法侵入だと言われて怒られるんだろうけれど、彼はどうやらわたしがここにいるという現状を理解できていないらしい。

「それ。 手に持っているやつ。 ……なに」
「これはバイトで……使ってて……」
「バイト。 バイトねぇ。 いかがわしいことしてるってことかな。 ああ、風船配りのバイトじゃ生活費が追いつかないもんね」
「関係ねえだろ……ッ、別に……。 ていうか何でお前がいるんだよ! ここ、俺ん家……ッ!」
「学校休んでるから心配になって来ただけだよ。 宝月先生から教えてもらったの」
「帰れ……ッ、帰れよ! 出て行けこの××××!」

 無視。

「汚い言葉使わない。 とりあえず立てる? ああ……こんなに床を汚して」

 腕を掴んで無理やり立ち上がらせる。 どこか頼りなさそうな、今にも大声で泣きそうな顔をしながら、大瀬良くんはわたしを見た。
 そんな大瀬良くんにかける声は、自分でもゾッとするほど冷たかった。

「洗面所、どこ?」
「っ、こっち……待て、もっかい吐きそう……」
「洗面所で吐けばいいから」

 それにしても、意外だ。
 大瀬良くんは母親から性的虐待を受けていたと聞いていたから、女性との性行為に少なからず嫌悪感というか、トラウマがあると思っていたのに。
 けれど吐いているところを見ると、少なくとも自分から進んでそういうバイトをしているわけじゃないってことか。
 大瀬良くんから、血管が浮き出ている手でしっかり握っている避妊具を捨てようと手を伸ばしたら、それを振り払われた。

「汚いからいい。 俺が捨てとくから」
「── それ大瀬良くんのじゃないの?」
「俺のだけど、汚いからいい」
「なら平気。 わたしは大瀬良くんを好きだから」

 我ながらどうしようもない答えだと思う。 潔癖症ではなくても、顔をしかめるだろう。 現に大瀬良くんも理解しがたいようにわたしを見ている。

「ほら、貸して」
「やめろって!」

 取り上げようと再び伸ばした手を、思いっきり叩かれ、突き飛ばされた。
 壁に背中をぶつけ、一瞬痛みで息ができなくなる。 目をあけると、必死な形相で大瀬良くんがわたしを睨みつけていた。 肩が弱々しく震えていた。

「汚ねぇんだってば! 俺のは汚れてるんだって……だから、俺のはダメなんだよ、汚いから、それに妊娠したらガキができたらダメだから、だから俺のは糞以下なんだよ! 糞、糞糞糞糞糞糞糞糞クソったれな遺伝子だから! 俺で終わりにするんだよ!」

 何を言っているのか、理解できなかった。
 それに触れるだけで妊娠するわけないのに。
 髪の毛を掻きむしりながら、こちらを拒絶する大瀬良くん。 発汗がひどく、顔も青ざめている。
 うわごとのように 「汚い、汚い」 を繰り返しながら、涙を流す。

「精子が蛆虫の形に見える、汚い、俺のは本当に汚い! 糞以下だ、だから、触ったらダメなんだよ……ッ、手ぇ洗えよ! 早くしねえと俺みたいなのが産まれるだろ! しょうどく……そうだ、しょーどくしなきゃ……」

 それまで開かれていた瞳孔が一気に虚ろになり、ふらりと大瀬良くんが手を伸ばす。 蛇口をひねって、水を出し、避妊具を持っていない方の手でわたしの手首をそっと、そっと、握った。

「しょーどくしなきゃ……しょーどく」
「大瀬良くん」

 その手を握り返す。 今度は振り払われなかった。

「大瀬良くん、バカだね。 本当に貴方ってバカだよね」

 純粋なわけじゃないのに、きちんと理解をしていないこの人が愛しい。
 していることは底に落ちているのに、心はまだかろうじて幼い子どものままの彼が、本当に好きだ。
 不思議そうにキョトンとしている大瀬良くんの頬に触れ、わたしは必死で涙をこらえて笑った。

「わたし、赤ちゃんできない体だから。 別にいーんだよ」

 ひくっと息を止める音。
 きっと、妊娠の過程をきちんと理解していない大瀬良くんにとって、『妊娠不可能』 な女性の体は未知の領域なのだろう。

「女の人は……子どもができるって……あいつが……」
「うん。 それはまた、ゆっくり話そうね」

 大瀬良くんがどんな幼少時代を過ごしてきたかなんて知らない。
 けれど、わかる。
 彼が本当に何も知らないまま、悪い大人たちに壊されているってことだけは。


 守らなきゃ、ねえ。 わたしが彼を。


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