ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-32



美冬の部屋につくと、美冬ではなくなぜか白井がいた。


「何やってんすか」


千尋が呟いた。

白井はビクッとなったがすぐ態勢を直して言った。


「有明さんに、真山さん・・・・。宝生さんに用がありまして」


「そうっすか。何の用なんすか」


千尋がそう言うと、白井は「えっ」と呟いた。


「それは・・・。言わなくてはいけないですか」


「いや、そーゆー訳じゃないすけど」


「お二人は・・・・?」


なぜ来たのか、とききたいのだろう。

逆に、言わなくてはいけないですかと言いたいところだが普通に答える。


「実は――」


千尋が言おうとしたところで、真山が横取りするように言った。


「実はですね、我々と言うかコイツの上司で僕の部下みたいな人である陣内って人がですねぇ、凶器のナイフをなぜだか宝生さんに渡してしまったらしいんですよ。それでそれを取りに」


あたかも自分が調べたかのような口ぶりだ。千尋は気にせず言う。


「美冬さん、どこすか」


「・・・さあ。僕には。僕が来た時にはもういませんでしたから」


白井はそう言うとドアの方に向かいながら言った。


「では、わたくしはこれで」


そう言うと白井は部屋を出て行った。


「・・・白井さん。本当に美冬さんに用があったんすかね」


千尋はそう言いながらドアに目を向けた。


「どういう意味だ。なぜ嘘をつく必要がある」


「何か、調べにきたとか」


そう言って千尋は真山を見た。真山は考える仕草をした。

何か出てくるかもしれない。

いざと言う時には使える男だ、と信じている。


「全く見当もつかないなハハッ」


期待した自分がバカだった、そう思いながら千尋は真山を見て言った。


「結局デクノボーっすね」


「うるさい!」


真山は小さく怒鳴ると、千尋は無視して美冬の部屋を勝手にいじりはじめる。


「おい、やめといた方がいいんじゃないか?不法侵入みたいなアレで訴えられるぞ。大事件になるぞ」


そう言われても千尋は動きを止めずに答える。


「真山さんの汗臭さの方が大事件っすよ」


「僕は真面目に言ってるんだぞ有明」


「凶器を容疑者の一人に渡したって事の方が大事件だっつってんですよ」


「・・・・でもだな――」


「怖いならパルコにでも買い物行ってて下さい」


「僕だって行きたいよ!でも行けない状況だろ!吊り橋が切れたんだぞ!パルコアラに会いたいわ僕だって!」


真山の言葉をきかず、千尋は机をあさり始める。

真山はそれを見て苛立ちながら言う。


「大体な、そんな所に血のついたナイフを隠す訳ないだろ。どこに保管してるんだ気持ち悪い」


「ありました」と千尋。


「えェェェェェ!?」