ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-34



この間は誰も話しかけようとはしない。


そして何ページ分かアルファベットを打ち込んだところで、千尋は手を止め、Enterキーを二回、カチカチッと押した。


すると画面には小さなモニターが出てきて、そこにはナイフの柄の部分らしき画像が出てきた。


その上にメーターが出てくる。


一パーセントからぐんぐん上がっていっている。


「おぉっ!」


と真山は驚いた表情をした。


陣内は千尋を見て言う。


「お前、すごいなっ・・・・!」


そう言われ、千尋はニヤリと微笑む。


そして、ロードが終わるとピコンと音が鳴り、千尋をはじめ三人は画面に目を向けた。



「ありり」


千尋が呟いた。


同時に、陣内が口を開く。


「何もついてへんやないかい」


陣内が指さした先には、ナイフの柄が表示されているだけで、何もついていない。


「どういう事だ?」


と真山。

千尋も首を捻る。


だが、陣内はただただアホだったようだ。


「ほら見ろォ。ついてないやないかい。無駄や無駄」



瞬間、千尋と真山が陣内に目を向けた。


陣内は「何やっ」と声を漏らす。


「真山さん、説明してやって下さい」


千尋は上司である真山に指示を出すと、パソコンに目を戻した。


真山は素直に指示を受けて陣内に説明をはじめる。



「いいですか陣内さん。ナイフを発見した時、ナイフは何かで包装されていましたか」



真山がそう言うと、陣内はそう言われ考え込む仕草をしてから言った。


「されてへんかったですねェ」


「でしょう?そして山口さんはナイフを手にする時手袋をしましたか」


そう言われ、陣内はあの時の事を思い出した。


確か、していなかった。

そんな曖昧な記憶ではあるが、一般市民が手袋をしていたら余計怪しい。


あり得ない話だ。


「してへんかったですわ!」


陣内は閃いたかのように言った。

真山は続ける。


「とするとナイフには少なくとも山口さんの指紋はついていなければならないって訳です」


真山がそう言うと、陣内は「ああ・・・」と呟き、


「素晴らしい!さすが真山さんや!」と言い、パチパチと拍手をした。


「陣内さんがアホなだけじゃないで―――」


千尋が口を挟むと、陣内は千尋の頭をパチンと叩きながら言った。


「お前に言っとらんがな!ワシはアホなんとちゃう。頭が良すぎて単純な事に気づかれへんだけや」


「アホらしー」


千尋はそう呟くと画面に目を戻し、手をキーボードに置いた。


「だからあたし心配だったんすよ。陣内さん勝手に誰かの手に渡しちゃうんじゃないかとか。案の定の結果でしたけどね」


千尋はそう嫌味をたれながらまたアルファベットを打ち込みはじめる。


「せやからお前わしゃ上司やぞ!」


「上司でも使いモンにならなかったら大人しく部下に従えデクノボー!」


千尋はそう言って陣内を見る。


陣内は目をギョロッとして言う。


「ちょ、お前表出ろやお前!」


「あぁ?やんのか」


「やったろやないかい」


「まじっすか。死んでも知らないっすよ」


「やらへんわ」


「まじっすか」