ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-35



そう言って二人は目を離した。

真山は神妙な顔を浮かべて二人を見たあと、先程と同様に文字を打ち込んでいる千尋に目を向けた。


どこまでもアホな連中だ。


連中には、千尋も入っている。






 そして数分文字を打ち込んだ千尋は急に指を止め、「わぁー!」と声を上げて座っていた所の後ろにある茶色のソファに寄り掛かり、顔をソファに埋めて目をつぶった。


「無理です無理です無理です!こりゃ無理です!指紋がひとつもないなんて湖から松平定信が出てくるよりあり得ない!」


千尋がそう叫ぶと、真山が彼女をなだめるように言った。


「・・・まあそう言うな。まずはなぜ指紋が消えたのかより、誰が指紋を消したのかを考えるんだ」


真山がそう言うと、千尋は起き上がって真山の方に強く言い放つ。


「決まってるでしょう、指紋を消したのは河山英寄の秘書である宝生美冬に間違いありません。でも今我々が考えるべきところはそんなタマネギの細胞より薄っぺらい事ではなく指紋を宝生がなぜ消したかと言う点であり本当ならばお前たちのようなただの筋肉がない筋トレが趣味の筋肉堅物バカと関西弁が鼻につくスキ焼で最後まで鍋の端っこに忘れられた糸コンニャクよりも可哀想な存在で中途半端な上司ヅラをするバカなどに構っている場合ではないのです!」



千尋はかなりの早口でペラペラと言った。

もちろん、この言葉で真山と陣内のアホが黙っているはずがない。


「誰が筋肉がない筋トレが趣味の筋肉堅物バカだ!」


と真山。


「ただの悪口やないかい!長いわ!ワシだけ」


と陣内。三人とも、相当頭に血が昇っているらしい。


「うっさいっすねェ!腹立つ時に話しかけないで頂けますか真山さん陣内さんンンン!?」


千尋は『さん』の部分をあえて強調して言った。


「貴様!ナメているのかバカ女!」


真山はそう言って千尋を睨む。


千尋も睨み返して言う。


「あぁん?あたしがナメてんのは甘い甘いミルクケーキさんだけっすよ!誰がお前たちのような甘辛い汗をかいた無駄に身長がデカい男と、腹の立つ関西弁を使い見た目チンピラなのに心はカブト虫の命の尊さも知らないクソ生意気少年のような男をナメるもんすか!エラそーな事言うのはそのケーキのトッピングのようにただただ顔のトッピングになっている脳味噌を発達させてからにして下さい?原始人ですかー?原始人なのか?」


千尋は言いながら二人の頭を両手で指さした。


二人も黙っちゃいない。


「ハハハー、これはお笑いだなァ。スーツもロクに着たの事ないキティちゃんが、適当にあしらったリボンをボーイフレンドのダニエル君にもらって着ているような君に、そんなエラそーな事を言われたくないね!」


真山もそう言って千尋を指さした。


「寿司屋の回転マッシーンより何万倍も遅いスピードで回る真山さんの頭程イカれてはいませんのでどうかご安心をー!」



「地下千メートルから這い上がってきた生卵より汚れた君の頭程ではないがねぇ!」


そう言って真山は高笑い。


千尋は彼を見ながら堂々と舌打ちを連続する。



「さっきからお前ワシらはお前の上司や言うとるやないかい!」


陣内も怒鳴り散らす。


「うっさい糸コンニャクっすねェェ!糸コンニャクってこんなに水洗いしにくかったですかね!」