ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】-38



「あっさり認めるなや!ツッコんでるこっちがアホみたいやないか」


「アホじゃないすか」


「・・・・」


沈黙になると、千尋は急に真面目な顔で話しはじめた。


「松本さん、評判良くなったそうっすけど、そんなら会社の人間全員が殺す動機ありますよねぇー・・・」


千尋がそう言い、真山は肘をつき、両手を顔の前で組んで言った。


「急に何だ。・・・・しかし、そうとなるとなぜわざわざこんなパーティで殺しをする必要がある?」


「なぜって、決まってるじゃないすか。会社で殺しなんかしたら、会社の人間に犯人が絞られるでしょ。だったら大々的なパーティで殺してしまって、捜査を撹乱しちゃった方がいーじゃないすか」


千尋が答えた。真山が言う。


「でもそれが狙いだとすれば、やっぱり会社で殺すのが普通じゃないか?」


「何でですか」


「パーティともなれば余計松本と関係が深い人間が疑われる。つまり、疑われる人間は西野、滝沢なんかに絞られてしまう訳だ」


「・・・だったら、動機は滝沢さんが言っていた松本さんの卑怯なやり方とかの恨みじゃないんじゃないですか?他に動機があって、この状況が一番殺しやすい状況だったとすれば」



千尋がそう言うと、真山はハハハと笑いながら言った。


「だったら犯人は殺人をする時を間違えたなあハハハッ!なぜならこの僕がいるからには絶対に逃げ切れないからねぇハハッ!」


「それもそーですねぇハハハッ!ワシらは頭良いですからねぇ!」

と陣内。


どこまでバカなんだコイツらは。と、その時。


「きゃああああ!」


女の悲鳴がきこえた。


真山と陣内のバカな笑い声でどこから悲鳴がきこえたかまではよくわからなかった。



「何や、今の声!」


陣内は驚いた表情を見せた。


真山も同様の顔を浮かべる。


「・・・・西野さんの声ですよ、今の」


千尋はそう呟き、二人の顔を見た。


「まさか、西野さんまで・・・!?」


真山がそう呟き、三人は立ち上がり食堂を出た。





 三人が走り、辿りついた先は千尋と真山が行った、本がたくさん保管されている部屋だった。



「西野さんっ、どうしたんですか!」


真山がそう言った。


西野は意識ははっきりしているが腕を刺されているようだ。


真山は座りこんでいる西野の肩を抱きながら、西野に話しかける。


「・・・な、何があったんですか!」


真山がそう言うと、西野は取り乱しながら言う。


「い、いきなり・・・!いきなり黒い服を着た奴が襲いかかってきて・・・・!私の腹を刺そうとしてたらしいんだけど・・・・!私が腕でガードしたら貴方達が来てくれて・・・・それで・・・」


西野がそう言うと、千尋はしゃがみこみ、彼女を覗きこむようにして言った。


「・・・出血がひどいですね・・・・。陣内!止血!」


千尋はそう言い、陣内は驚いた表情を見せたが千尋がカバンから出し陣内に投げた止血用の紙と包帯を手に取り、西野の腕から出ている血を止血し始めた。


千尋は彼女に質問する。


「犯人は女じゃなかったですか?」


千尋は美冬の事をきいているようだ。


西野は少し落ち着きながら答える。


「・・・・よく、覚えてないけど・・・・。でも」


三人は彼女に目を向けた。

西野が続ける。