ラバソウ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係

作者/ゆぅ



Mystery2 【血祭りバカ騒ぎ】-4



「まあいいじゃない。とにかくサトコの話をきいてやろうじゃないの」


エラそーな女(たぶんミエコ)が頬杖をつきながら言った。


するとみんな黙って態勢を直した。


「ありがとう、ミエコおばさん」


サトコはそう言うと三人の方を見て言った。


「・・・私が、貴方がたをお呼びしました。金井里子です」



里子はそう言うと部屋の奥にいる二人を見て言った。


「左にいるのが私の一個下の妹、涼子です。その隣にいるのがその妹の春子です。その脇にいるのが美江子おばさん、その隣が父の明伸、隣が父の義理の兄弟の康大おじさん、妻の由子さん、息子の和夫さん、直人さん、智広さんです」



里子がざっと説明した。




「・・・けっ、くっだらねぇ。俺は葬儀に来ただけだってのに何でこんな刑事さんたちと顔見知りにならにゃいけねーんだ。くそっ」



和夫が呟いた。

こっちだって来たくて来た訳じゃねーよ、と言いたい所だが千尋は黙って里子を見た。


里子は気まずそうに目を逸らす。察したのか、真山が言った。



「まあまあ智広さん、落ち着いて下さい」


ヘマをしたようだ。


当然、智広は不審がって真山を見て。


和夫は怒る。




「俺は和夫だ。・・・・覚えてねーなら話しかけんじゃねーよ。クソ虫が」





「クソ虫?」と真山。




その脇で千尋はフフッと笑った。


真山は千尋を見る。千尋は真顔になって真山を見る。


睨んでいるようだ。


いいだろう、こちらも睨んでやろうじゃないかなどとくだらない事をしている間に、由子が言った。




「和夫も直人も、里子も」



そこで一度里子を見て言った。



「ただ金が欲しいだけじゃないの。家を出てったくせに・・・図々しいものだわ」




由子はそう言ってそっぽを向いた。


どうやらこの家には良い子はいないらしい。


と、千尋がそうにらんだのだが一人、由子や和夫を見て言った。


「里子姉ちゃんは金のために帰ってきたと違うよ・・・。だってそうでしょ、里子姉ちゃんが帰ってきたんは総二郎おじいさまが亡くなる四日前よ。・・・和夫兄ちゃんと美江子おばさんはわからんけど・・・・」



そう言ったのは里子姉妹の末っ子の春子だ。


彼女は他の者のように強気ではなく少々内気っぽく、控えめに呟くように言った。


それをきいた美江子と和夫が黙っているはずがなかった。



「ちょっと春子!それどういう意味よ!」と美江子。



「そうだ、俺が金目当てで帰ってきたとでも言いてえのか!」


と和夫。


春子は目をつぶって一歩引く。


そこに姉の涼子が入ってきた。





「美江子おばさんも和夫兄ちゃんも帰ってきたのは総二郎おじいさまが亡くなってからじゃない!しかも、遺産相続の話するまでは来ない言うてた!」




涼子が強気でそう言うと美江子も和夫も苛立ってはいるようだが言い返さない。


どうやら事実のようだ。


となると、元からこの家に住んでいたのは里子、和夫、美江子、直人をのぞく他全員らしい。


本当に図々しい奴らだなと千尋が思っていると今まで黙っていた陣内が言った。




「まあまあまあ皆さん!今まで何があったのかは知りませんが、我々・・・いえ!私が来たからにはもう何のご心配もありませんよォ。ええですか皆さん、とにかく今は喧嘩せず!ワシらの質問に答えて頂けませんか」



後半の事は千尋の言いたい事と合っているが前半のバカみたいな事は全くのフィクションで実際の団体や個人名と一切関係ありませんと言う事なのだ。


どちらかと言えば千尋以外の二人はただただバカなデクノボーと言う事実しかないのだ。



そして、そんな陣内の言葉に美江子おばさんだとか言う人が言った。





「・・・・そうや。ぜーんぶ刑事さんたちに任せとったらええねん。あたしらが喧嘩してる場合とちゃう。任せときなんし」




喋り方がおかしいが、美江子の言う通りにしてもらえると一番良い。


この屋敷にいる人々は気の強い女とずる賢い男と控えめな女と言う面倒な奴らしかいないらしい。



ここはチャッチャと済ませてしまおう。


そう思った千尋は微笑みながら手を二回パチンパチンと叩いた。



「急に何よっ」



美江子がそう言った。


美江子以外の人間も千尋を見る。


千尋は手をもう一度二回叩いた。




「何で二回したんだ」と真山。


無視して千尋は言った。



「あたしは有明と言います」




「何で名乗ったんだ」と真山。




無視して千尋は咳払いする。



「えぇっとですね皆さん、ぜーんぶ任されはしませんが、是非とも!あたしたちにご協力を」




千尋はエラそーに言った。

ぜーんぶは任されてくれないらしい。