茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく

作者/ハネウマ ◆N.J./4eRbo

第二話「それは言葉遊びの定番と呼ばれている」その2


「まずケンタウロスから!」「うむ。『石がストーンと落ちてきた』」

 くだらねー!

 外さんがケンタウロスを指差す。「イイねぇ! 英語を交えたあたりがイイ! 次、忠弘!」

「僕か? うーん……。『馬が旨い』」我ながらくだらねー!

「つまんねぇな……」「うむ……」なんか皆テンション下がったー!

「ホラ、次、ケンタウロス」外さんに再び布団がふっとんだと叫ばれたら殴ってしまいかねないので再びケンタウロスに振る。

「『雪が降ってまスノウ』」ケンタウロスはキリッと言い放った。

 何でこいつはいつも英語を交えたがるんだろう。

「イイなぁ! 流石『英語の試験だけは高得点とるんだけど授業態度はあんまりよくないよね』の異名をもつケンだ!」「おいそれは異名というのか」

「次! あんまり期待してないけど忠弘!」

 あーもう適当でいいや。「『イカれたイカ』」

「すげぇつまんねぇな……」「うんむ……」あれ? また酷評!? てかお前らその反応わざとじゃないのか!?

「次、思いついた」ケンタウロスが小さく挙手する。「『砂をここに、はサンドこう』」

 普通に日常会話の中で言われても気づかなさそうだな。

「イイんじゃねぇ!? 流石は以下略! 次、お前のセンスに一抹の希望も持ててないが忠弘」サラッと酷いこと言いやがって。

 じゃあこれなら。「『小回りするコマ』」

「お前……それユーモア欠乏症だから病院行って治してもらってこいよ……」「ううむ……」そんな病名聞いた事ねぇよ!

「じゃあ外さん! お前の頭ん中には何か面白いダジャレあんのかよ!」「うむ。聞きたいな」

 外さんはニヤリと頬を緩ませ、「聞きたいか?」ともったいぶる。

「聞きたい」「教えろ」

「それはな……」

 気づけば教室内には生徒たちは次の体育に行ったためか僕たちしかいなかった。静寂が教室を支配しそこは数秒間沈黙に満たされた空間となったことを僕らは知る。数秒間でしかないはずのその時間はやがて体内時計の針を鈍らせる事に成功する。その特別な時間に、僕とケンタウロスは息をのんだ。

「……布団がふっとんだ!」

 殴打された音が教室内でわずかにその存在を示した。

 それは、ある種の友情の証。