茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく
作者/ハネウマ ◆N.J./4eRbo

第十五話「それは根拠もなくあれこれと女性の同性愛を想像することである」2/2
【!】出血量 5% やや危険
「ぬふぅ……。あの子の髪型、DARKER THAN BLACKの銀ちゃんにそっくり……」あくるは恍惚の表情だ。てかなんだぬふぅって。
「お前DTBの銀ちゃん好きだなー。あの子のあだ名は銀な。髪型見て私が名づけた。本名は禅院静流……というか鼻血拭けよ」
あくるは再びティッシュを出して鼻血を拭き取る。「フフッ、これは鼻血ではない。愛のジュースよ」
「愛汁百パーセントってやつですか」私は腹式呼吸の合間にあくるの言葉に反応を示す。
イイねぇ……すごくイイよぉ……とか呟きながら涎を垂らすあくるから視線を移し音楽室の入り口を見つめていると、バスパートの二人が一緒にやってきた。
「ちょっ、優しくしてよ……」「だってー、強く握ってあげなきゃ逃げちゃうかもしれないじゃーん」
入ってきたのはエルしぃとアサヒの二人だ。手を繋いでいる。エルしぃがサボり魔のアサヒを無理矢理連れてきたのだろう。
【!】出血量 7% やや危険
「優しくしてよ……? 強くシてあげる……? 私の可愛い子猫ちゃんが逃げちゃう……?」「いや子猫ちゃんなんて言ってないぞあくるー目を覚ませー」
どうやらあくるの頭の中では女の子同士のラブラブな展開が繰り広げられているらしい。やめろ! 私のエルしぃを汚すのはやめろ!
アサヒとエルしぃが話すのが聞こえる。
「はぁー……ここから抜け出してロボのメンテしたい……」「なに言ってんのー、そんなこと言ってたらー、手離してあげないよー?」
【!】出血量 10% 危険
「バイブのメンテしたい!? ずっとこの手を離さない!?」「お前の脳って多分ピンク色」
ばたり、あくるが倒れる。私はため息をつき、貧血のあくるを介抱しようと近づくが、彼女から発せられるオーラを感じ足を止めた。
間違いない。これは執念のオーラ……。筋金入りの変態四天王の一人としてここで倒れるわけにはいかないという闘志に燃えた、限界を突破した確固たる意志の塊として今ここに十六夜百合は立ち上がった……ッ!
「アタシは倒れる訳にはいかない……何故なら、百合展開の妄想こそ唯一無二の快楽だからだ!」なんか一瞬カッコイイ気がしたけど限界突破の理由が不純すぎるー!
「あ、エルしぃやっほー! ちょっと来てくんない?」トランペット吹きの女子がエルしぃを呼ぶ。
「なぁにー?」とエルしぃ。
「管が奥までハマって抜けなくなっちゃったんだよねー」
【!】出血量 13% 危険
「奥までハメハメ! 奥までハメハメ!」あくるの鼻血は止まらない。
……もう突っ込むまい。
「よーし、エルしぃにお任せ!」エルしぃにトランペットが渡される。
抜けない管を引っ張る。「んぅぅ……硬……い……っ」
【!】出血量 16% 非常に危険
「ほぼおおおう!!!!」あくるの鼻血はナイアガラ。
……死ぬかもな、こいつ。
すぽん、と管が抜けて、中に溜まっていた水が飛沫を上げた。
そしてエルしぃはあくるにとどめの一撃を下した。
「あうぅ……お股がびしょ濡れだよぉ……」
【!】出血量 20% 失血性ショック 輸血してください

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