リストカット中毒

作者/ 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

伝えたい,短い話

同じ事を何度も言われ続けて苦しんでる人もいる


 美早希は小さな頃から「大人っぽい」と言われ続けてきた。
 保育園の頃から,ずっとずっと。五年生が終わる頃になっても,ずっと「大人っぽい」「落ち着いてる」と。

 少しでも年相応な性格になりたいと努力して,結局子供っぽすぎたかな,という性格が入って。
 それでも,周りは彼女を「子供っぽい」とは言わなくて。


「お姉さんみたいだよね」
「リーダーシップある!」
「頼れる子だよ」
「落ち着いて大人っぽい」
「小さい頃から大人びてたね」
「独特の雰囲気がある」
「適応力がある,大人みたい」
「暴れ馬って感じも少しするけど,大人っぽいよ」
「大人っぽい」
「大人っぽい」
「大人っぽい」
「大人っぽい」
「大人っぽい」


 自分の評価を周りに訊けば似たような答えばっか。如何して私はこんなにこのクラスに似合わないの?


 クラスの子が大好きで,常に笑っていてほしくて,道化の仮面を被ったつもりだった。
 だけど笑われると傷つき,笑ってくれると安心するなんて面倒臭い道化師になって,仮面は「偽る」ものなのに,自分を客に見せてしまって。

 孤独では頭が真っ白,視界が真っ暗,自分が誰かもわからない状態で,心が圧し潰されそうになる。
 


「此処から亡くなれば苦しみから解放されるの?」



 純粋な疑問の筈だったのに。





「目が淀んで,目線が高くなって,大人びた」
「子供扱いされたくて,甘えたかったのに周りはそれを許さない」
「どうして? 私もまだ子供だよ?」
「どうして誰も本当の私を見ないの! 道化師だからなんて言わないでよ!」



+


息が出来なくなるほど、甘えられないのは苦しく辛い。
周りに大人っぽい子が居る時は、たまには「甘えても良いよ」なんて,声かけてあげて。

もしかしたらその子は,辛さで悲鳴を上げてるかもしれないから。