リストカット中毒
作者/ 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

伝えたい,短い話
思いはいつ届く?(もう届いた,届かない)
子供の恋なんて,って馬鹿にされるかもしれないけれど。
僕は確かにあの子に恋してた。遠すぎて霞んで,消え入りそうなあの子に。
僕はすごくちっぽけであの子の視界にすら入ってないとは思うのだけれど。
「どうすればいいと思う?」
「良いからさっさと告白して来い馬鹿」
女の子の幼馴染に相談したら即答・罵倒された。でも僕にはそれで十分で,そっか告白かと勝手に納得。
そんな僕の気持ちはお見通しの様で,「そんなんだから馬鹿なんだよばーあか」と言ってきた。この際スルーする。
「よし,分かった! 告白してくる! ありがとー!」
「行って砕けて一生戻ってくんな」
最後の一言は気にしない事にする。
幼馴染が呟いたかどうかなんて,知らないけど。
「砕けるわけないじゃん,だってあの子とお前相思相愛だもん,…私の事見てくれない」
+
後日僕の恋は見事に実る。もはや奇跡である。
だけど僕にとって初の彼女は僕にこう言った。
「貴方の幼馴染に,一回謝っといて,私も一緒に行くから」
そういったあの子の笑みは,切なそうだった。
卒業間近,冬の屋上
例えば,そう例えばだけどさ,あたしが死んだとする。そんときあんたはどうするの。
疑問形でもなんでもない疑問を投げかけられた。愚問,あ愚問系だやばい俺寒い。
話を戻す。答えは「何もしない」だ。
お前が死んだところで俺の世界は何一つ変わりはしねーよと言ったらだろうねえと笑われた。同じように俺が,俺が死んだらお前は何かすんのかって訊いたらあんたと答えは一緒だと。
大体何で午後の授業すっぽかして立ち入り禁止の屋上いんだよ,って訊いた。もっとも俺もすっぽかして立ち入り禁止の屋上にいるんだが。
まあ訊いたら,その言葉まんま返すわとやる気のない返事が返ってきた。
気の抜けたコーラほど甘い甘いものはない,と暑さで炭酸が抜けてしまったコーラを喉に流し込みながら思った。
一応初の卒業を迎える俺らだが学校一の問題児だから卒業式なんざどうでもいいのだ。今頃この下では卒業式の練習とやらが行われてるはずだ。
成績もどうでもいい。親がどうでもいいと思ってる事はどうでもいいんだ。
つーか私ら小学生でこんなんなってて良いのかと訊いてきたからぶっちゃけどうでもいいと答えた。笑ってた。
その笑顔が見られれば,死のうが生きようがどうでもいいと思った。

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