リストカット中毒

作者/ 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

伝えたい,短い話

黒紅葉のこと


 まず初めに,知ってもらいたいことがある。

 私・黒紅葉は,大馬鹿者である。
 馬鹿につける薬はない,馬鹿は死ぬまで治らない,というが,私の場合薬をつけようとするところから間違ってる上,きっと死んでも治らないレベルの馬鹿である。
 成績云々の話ではない。人柄,性格の話だ。

 「レッツ,ポジティブシンキング!」さあ明るく,笑って進もうか!
 それが私だ。
 誰かが泣いていたら,私は自分が笑う為に,そして笑ってもらいたいが為に,身を投げる。
 誰かが苦しんでいたら,躊躇なく助ける。自分の損は考えられないのだ。
 誰かが悲しんでいたら,微笑みながら傍に寄り添う。何も言わない。背中をさする。
 私は基本的に笑顔だ。基本的に,だが。

 泣く時は泣く。笑う時は笑う。空気を読むべき時は周りに合わせる。
 そんな感じだ。


 しかし,初めに言ったが私は大馬鹿者である。
 周りが恐怖で泣いてる時など,私は泣けないのだ。慰める。寄り添う。突然説教を始める。そして共に笑う為に,渇を入れる。
 膿んだ傷を,知っている糞餓鬼,だから。


 私は,偉そうなことを言う割には,何も考えていない。
 ただ,「疑うのは疲れる」と,人を簡単に信じる。
 「あれ…私ある意味において勇者じゃね?」今すぐ誰か殴ってきて,と言われてそうな私である。


 言いたいのは,私は勇者カッコ笑,な救い様のない馬鹿で,疑うことを知らない真っ黒な餓鬼ということ。
 私は,決して大人ではない。
 精神的に大人に近くとも,結局は子供なのだ。

 それはどうか,忘れないでほしい。
 しかし,私は既に手遅れなところもあるし,どんな暗闇の中でも輝ける自信があるから,輝かせる手伝いくらい出来るとは思うから,信じてくれたら,嬉しく思う。



 人生の先輩,そして後輩に。




嫌いよりも好きのほうが


 こぼれる「大嫌い」よりも,あふれる「大好き」を拾い集めて贈りたい。

「ここに暗いどんよりとした色の宝石と,きらきらと明るく穏やかな色の天然石があります。この宝石を高級な憎悪,天然石を優しい愛情とします。さて,あなたはどちらを欲しいと思いますか? しかし,選んだ方を必ずしも貴方に与えられるわけではありません。私が与えられるのは,天然石に込められたものだけ」

 愛情を,どこまでも深い深い愛情を秘めた少女は優しく笑んだ。