リストカット中毒
作者/ 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

伝えたい,短い話
人って何だろう,酷く複雑な生物だって事は分かる
道化師は現実に呆れた。笑われ者の自分に傷ついた。
客観してる事に笑った。笑われ者は自分を笑った。
酷く繊細で脆い生き物だと思った。情けないほど弱い生き物だと思った。
それは自分も同じなのに,何故か他人事みたいで。(まるで観客席にいるみたいで)
現実に疲れ果てた。…確かにだけどまだ生きている。
変なところで丈夫な生き物。
気持ち悪い体のつくりしてるくせに心は気持ち悪いほど綺麗。奇麗。きれい。
この世の中で最も矛盾してる生き物。
この世の中で最も汚らしい生き物。
この世の中で最も美しい生き物。
この世の中で最も残酷な生き物。
この世の中で最も繊細な生き物。
この世の中で,
「最も心らしい心を持った生き物へんなの」
彼女は一つ,くすりと笑みをこぼした。
道行く「人」を見つめながら。
+
下らないほど,綺麗な生き物だ。
その時私は,確かに思った。
喜怒哀楽とはよく言ったものだと,
道化師は笑った。
笑った道化師を見た神様は幸せそうに笑った。
それを見てた向日葵も笑った。
ただ「笑った」だけかもしれないけれど。

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