リストカット中毒
作者/ 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

伝えたい,短い話
ごったかえしな脳内を、そっとのぞいてみましょうか?
「あたし」はクラスの男子に,女子に,「変態女子」なんて言われてますが,実際はそんなことないのです。
そうなのかもしれませんが,しかし,彼らが思う様な人間ではないのです。
「あたし」は,自分を偽って過ごしています。幾重にも連ねた嘘を,破ってくれるひとはいません。ある種,イメージチェンジなのでしょうか。「あたし」を好いてくれる子すら,気付いていません。親友と呼んでも良い存在も,気付いていません。
表に闇を出す人間なんてただの馬鹿ですが,それも気付かず人をむやみに嫌う人間も馬鹿だと思うのです。
学校にいる「あたし」は本当の「私」ではないですが,本当をねりこんで作った嘘を,見破ってほしいなんて「あたし」も馬鹿ですが。
落ち着いて過ごしましょうか。きっと彼等は「何事か」と思う。だって「あたし」は騒がしく過ごしていますから。アニメや小説が大好きな,ちょっと変わった女の子。変態。
見破れる人はい……るでしょうが,きっと「そんなまさかね」と流してる。
それで良いのです。
「あたし」は「あたし」なんですから。
眠たくて文章がおかしくなってしまいます。精神的な疲れのせいでしょうか。いずれにしても,まだ眠れません。
そうだ。虐められっ子になったときは,ここを吐き出し場にしましょう。客観的に見れば,それはとても刺激的で悲しい映画。主人公は自分に似過ぎた人物。
でしょう? 自分を他人に置き換えれば,何の苦しみもなく笑ってられる。
「狂ってるわね」
「いつものことです」
「語り口が得意だね,「ぼく」は」
「ありがとうございます,「あたし」」
何人も何人も生み出して,なんのためになるのかね?
「あたし」は笑って,「私」は苦しそうにした。「わたし」は瞳を瞬かせ,「ぼく」は微笑んだ。
まだまだ,生まれそうです。整理整頓担当の「ぼく」は,表担当の「あたし」に笑いかけた。
ぐちゃぐちゃ
例えば,例えばだよ。
「あたし」は空を見上げ,口を開いた。物静かな声音だった。
「変人,で通ってるあたしが,「何言っても彼女は傷つかない」と思われてたとして,好き放題言われたら。ねえ,貴女はどう思うのかしら? 「わたし」は」
たまに顔を出す,素の姿。それを見せた「あたし」は,幼さをどこかへ置いてきてしまったようだった。
「わたし」は少しだけ悲しくなって,俯いた。凛とたたずむ「あたし」や,飄々とした「ぼく」とは大違い。同一人物なのに。「あたし」は,「わたし」の考えを読みとったみたいに,からりと笑った。
「わ,たしは」
「うん」
「悲しい,よ。すごく」
「うん」
「だって,だって「あたし」が好き放題言われて,傷つくのは」
「うん」
「わたしたちが,「わたし」たちを,否定されてるのとおんなじで」
「…うん」
「それは」
「うん」
「とっても,悲しくて悔しいことで」
もう良いよ。
「あたし」は,「わたし」の口に手をあてて,嬉しそうに,でもかなしそうな,泣きそうな顔で,笑った。
なんでそんなに笑ってられるの。なんでそんなに嘘を重ねていけるの。
混沌としたあなたの脳内で,わたしたちは。
+
きずつけられても良いから、否定だけはしないでほしいの。
「意味不明」とか、「わけわからん」とかさ。
あたしの絵見てそう思うのは構わんけど、「このくらい言っても大丈夫」とか。
思っても良いけど、さ。
なんか、やさしいとかえらいとかそれ以前に人間視されてない気がしてきたの。

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