ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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【Veronica】 *人気投票中。参加頼みます!!
日時: 2012/01/15 17:20
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: ikU9JQfk)
参照: http://nishiwestgo.web.fc2.com/index.html/

投票有難うございました!銀賞感謝!!謝辞>>347
記念ということで人気投票やっています。>>350



Veronica(ウェロニカ)
*1世紀ごろエルサレムで活動したキリスト教の伝説上の聖女。ゴルゴタに向かうイエスの血と汗にまみれた顔を拭いたという伝説的聖女。

クリック有難うございます(*´∀`*)ノ
(※小説データベースから来た方はまずこちらへ→>>48
初めまして!
の人が殆どだと思います^^;
過去(といってももう四年くらい経つかも)に"燈(アカリ)"という別名で小説を書いていたものです(笑)

気を取りなおしまして、
初めまして!朔(モト)と申します。
某ゲームキャラじゃなくて、野村望東尼って人の名前が由来です。多分。もしかしたら、春風(←高杉晋作の名)に改名するorほかの場所に出没するかもしれません
期末テスト症候群…心理学的にいえば"逃避"に陥って、小説を書こうと思いやり始めました。ツッコミは心の中のみでお願いします^^
書くの久しぶりで、しかも元から文章力皆無人間なので、いっやー、ちゃんと書けるかなあとか不安ありつつ((オイ
頑張ってちまちま(←)書きたいと思います!

◆Attention
※注意※
・荒らし、悪口等厳禁。宣伝OKです^^いつ見に行くかは分かりませんが汗
・コメントへの返信、小説の更新不定期です。
・誤字・脱字、文章等いろいろおかし(←この場合の"おかし"は"趣深い"ではなく"変"という意味でつかわれています)。ツッコミ大歓迎ヽ(*´∀`*)ノ
・ジャンルはファタジー 一直線(笑)だと思いますけどねえ…(^^ゞ
・グロイのかなあ。怖い話苦手なんでそうでもないと思うけど一応流血表現あり(汗
◆Component
題名:Veronica(ウェロニカ)
作者:朔(もと)
ジャンル:ファンタジー・バトル、 "ツッコミ箇所満載"紀伝体ドラマ。
成分:ツッコミ箇所満載、多少流血表現あり、登場人物がKY、誤字・脱字・文章が基本オカシイ、Not神文
使用方法:ツッコミを入れながら読んでください。「お気に入りに登録しました」や「応援してます」などのコメントが入ると狂喜します。勿論、ツッコミ大歓迎。
2012年度冬の大会にてシリダク銀賞を受賞。本当に感謝感謝の大嵐。
製造日時:2010.11.30

◆Contents
*本編*
登場人物 >>4 (一覧編>>220※ネタバレ有)
まとめぺえじ>>219
歌 >>85(楓様に作っていただいた歌詞です)
Main↓
◇序:recitativo >>3
◇Oz.1: Blast-竜と少年の協奏曲コンチェルト- >>285
◇Oz.2: Norn-運命の女神と混乱の関係- >>286
◇Oz.3: GrandSlam-錫杖、両刃、骨牌の独り勝ち- >>287
◇Oz.4: Obsession-戦意喪失-
・Part1>>57 ・Part2>>58 ・Part3>>62 ・Part4>>64 ・Part5>>68
◇Oz.5: Potholing- 一樹の陰一河の流れも他生の縁-
・Part1>>73 ・Part2>>75 ・Part3>>77 ・Part4>>79 ・Patr5>>84
◇Oz.6: Hallelujah-神様っているのかなあ-
・Part1>>90 ・Part2>>93
◇Oz.7: Engulf-風に櫛(くしけず)り雨に沐(かみあら)う-
・Part1>>94 ・Part2>>104 ・Patr3>>105
◇Oz.8: Sign-夜想曲(ノクターン)に誘われて-
・Part1>>111 ・Part2>>114 ・Part3>>119 ・Part4>>120
◇Oz.9:Nighter-眠れない夜に-
・Part1>>128 ・Part2>>131
◇Oz.10:Howling-母と子(Frigg)、忘れ路-
・Part1>>133 ・Part2>>134 ・Part3>>136
◇Oz.11:Howling-母(Tiamat)と子、追憶-
・Paet1>>141 ・Part2>>145 ・Part3>>146 ・Part4>>148 ・Part5>>154 ・Part6>>161 ・Part7>>162
◇Oz.12:Tagesanbruch-黎明-
・Part1>>164 ・Part2>>165 ・Part3>>170 ・Part4>>174 ・Part5>>189
◇Oz.13・Part1>>198 ・Part2>>210 ・Part3>>218 ・Part4>>223 ・Part5>>226 
◇Oz.14・Part1>>228 ・Part2>>234 ・Part3>>237
◇Oz.15・Part1>>247 ・Part2>>248 ・Part3>>249 ・Part5>>250 ・Part6>>251 ・Part7>>252
◇Oz.16・Part1>>257 ・Part2>>270 ・Part3>>275 ・Part4>>282 ・Part5>>288
◇Oz.17 >>305
◇Oz.18 >>340
◇Oz.19 >>340
◇Oz.20 >>352
◆外伝>>235
作品を十字以内に簡潔に紹介しなさい。↓
『た た か う は な し』!どうだ!!
※参考
広辞苑、ジーニアス英和辞典、ブリタニカ、マイペディア、ウィキペディア等から抜粋。そして、相棒・電子辞書有難う、!!

◆お客様
*葵那 *Neon様 *夏目様 *ラーズグリーズ様 * 玖炉 *雪ん子様 *月夜の救世主様 *ささめ *緑紫様 *楓様 *舞阪 肇様 *ひふみん様 *千臥様 *ち せ(´・・).様 *風様 *X4様 *Vermilion様 *紅蓮の流星様 *Ghost様 *夢姫様

◆連絡
敵陣営 葵那>>96 Neon様>>99 月夜の救世主様>>107 玖炉>>112>>181 舞阪 肇様>>150 ひふみん様>>151 千臥様>>168
大切に使わせて頂きます^^

◆戯言
小説大会銀賞受賞…だ、と!?
放置プレイ上等小説に投票有難うございました!
本当に感謝感謝感謝感謝の嵐です!
おこがましいですが、これからも宜しく頂けると幸いです<(_ _)>
あと諸連絡(?)ですが、Ghost様に外伝小説を書いていただくことになりました!本当に有難うございます。
人とのつながりって本当大切なんだなあ…

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Re: Veronica -参照500突破!Thanks!- ( No.69 )
日時: 2010/12/18 15:43
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: 20XX年、長野県は日本から独立し、信濃国を建国する!

私は竜である。名は———まだ名乗れない。作者がネタバレになるから名乗るなと五月蝿いのだ。え?誰だと?それはな……

「あ、何してんのポチ」

私の主(とは認めていないが)フリッグが私の名を呼んだ。勿論、私の名は"ポチ"では無い!ちゃんとした名前ものがあるのだ!!勝手に"ポチ"と呼んでいるだけである。

喋り方が予想と違った?黙れ!私は普段喋らないだけなのだ!!誇り高き竜族の私の喋り方はこれだ。不自然でも気にしないで欲しい。———全く……。
先日、"ジェームズ・ノットマン"という男に敗北———ではなく、そいつとの戦闘で負傷した我々………あ、私は負傷など殆どしていないのだが、その他の者が負傷した為、付近の村の人間に助けられた。取り合えず、一番怪我の酷かったフリッグはかなりの時間昏睡状態に陥っていたのだが(まあ、私は普段の行動に対する罰だと思っている)メリッサというこそ泥擬もどきのアンバー種と、用心棒?のレイスという名のこれまたアンバー種の男はそれほど怪我の加減が酷くなかったようでぴんぴんしている。私?私は少し右翼に怪我を———いや、何ともない。全く怪我など無いぞ。


今回、リクエストということで、私からみた日常を語るとしよう。うむ、いい加減飼い主———じゃなくて主を変えたいと思ったのだから人間観察をし直すいい機会だろう。


<Oz.Biography1: OtherEyes-とある竜のとある日常->

地球の皆様おはこんばんちは!じゃなくて、そうそう人間観察だ、人間観察。今、私はマックールという村に居る。その辺りは本編を読んでいる方々は既知だろうから割愛しよう。今回は、"私視点"="主人公"なのだから、無駄な説明で内容を削るわけにはいかないのだからな。
それでは、行ってみようか。Here we go!

* * *
今、世話になっているマックールの民家———リュミエール・オプスキュリテの家だそうなのだ———のリビングルームでソファーに寝転がっていた私の躰を誰かがつついている。

「シャルル六世っ、キャスリーン?あれ、なんだっけお前の名前———………吉岡君?」
ポチだ!!!
自称賞金稼ぎのアンバー種、メリッサ=ラヴァードゥーレ。作者曰く"自称賞金稼ぎ事実盗人"の十七歳の女だ。性格は絶対私と合わないに決まっている!
 なので私は起き上がり、飛んで行こうとしたが右翼がけがをしていて飛べなかった。不覚、忘れていたとは。飛べない私の尻尾を掴んだメリッサは卑しい笑みを浮かべて私を見て居た。

「捕まえたぞー」
この女に関わると碌(ろく)なことがない!必死に四肢をもがいて逃げようとするのだが、ううむ……奴の方が力が強い。

「あ、竜さんだ!」
見えないところから聞こえた声に嫌な感じがした。子供の声である。———いや、まさか。

「お、リュミ。これはね、ポチって名前の竜なんだよ」
ぶらぶらと私の体を宙にぶら下げながらメリッサがリュミエールという小娘に答えた。私の名前は、××××———嗚呼、作者の規制が入ってしまったではないか!ううむ、だがポチという名前を思い出した事は称美してやる。
「———何か上から目線ぽいな、お前」
「きゅ……?」
——————ぎくっ……!声も何も発していないのに、この女は何故分かったのだ!まさか貴様霊能力者!?見えました、見えましたなのかっ!!??取り敢えず可愛らしい声を発して誤魔化しておこう。

「ポチって言うんだ〜。可愛いね」
メリッサが、そう言ったリュミのもとに私の躰を渡した。エンジェルオーラ族の小娘の腕の中に私は埋められる。———う、しょ……正直息苦しい、のだが。

「キュ———っ!!!」
漸く私のもがき苦しむ様子に気付いたリュミエールはハッとして私を解放した。OH!FREEDOM!!ベルリンの壁、崩壊!違うっ、私のキャラが崩壊しているではないかっ!!!おい、作者!
 そっと優しく抱きかかえるように変わり、小娘の腕の中も居心地が良くなってきた。ついついウトウトしてしまい、嗚呼———なんだか視界がかすんでく——————。
 欠伸して開いた口が、何故か何かを挟んだ。ウィンナーか?何かだ。細い肉。細い肉———。
 少し意識が戻ったようで視界に明るみが射してきた。ん……何だか私を包み込む腕が震えているような———。
 私を抱えてる、リュミエールの髪の毛が漆黒に染まっている。瞳が光の様に白く———はて。この小娘は雪の様な白髪と黒曜石の様な漆黒の瞳を持っていなかったか?種族はエンジェルオーラ族。確か———

「貴様!!!いい度胸だな!このまま肉片(ミンチ)にして、ハンバーグとして夕食にだしてやろうか!!!??」
穏やかでおどおどした子供は、殺意むき出しの羅刹へと変貌していた。メタモルフォーゼか。変貌したリュミエールは、私を宙に放り投げた直後、黒白のリボンを服から抜き出し、先ず白のリボンを振った。すると振ったリボンから凍てつくような波動が吹き出て床を凍らした。幸いにも避けれた私だったのだが続けて振われた黒のリボンからでた黒炎は避けれず直撃。体中焼けるような感覚に襲われた!メリッサは知らんふりをして何故か出て行ったようだ。オイ!!

「雑魚が!逃げるな!!!」
地に這いつくばって逃げる私を追うように、二本のリボンが振われる。

 エンジェルオーラ族は、戦闘を好む者と平穏を好む者の両極端が存在する。だが、齢十歳まではそのどちらも兼ね備えており、環境によってどちらかに属すか決まるという。
 正直、一瞬新しい主はリュミエール・オプスキュリテでも良いかと思ったが———あと三年ほど待ってから決めることにしよう。

Re: Veronica -参照500突破!Thanks!- ( No.70 )
日時: 2010/12/18 16:01
名前: 雅 ◆2WetyLTYZk (ID: 7hV223vQ)

テスト終わりました〜!キャッホーイ((黙
ようやくこれでPCが存分に…え?何、お父さん?PCにログイン時間の制限?

(゜Д゜` )

という訳で無事テストも終りやってきましたw
ポ、ポチってそんな話し方だったんだ!何か以外…でも余計に好きになったよ、ポチ(笑)
あーあ…あの後どうなったんでしょう、無事なのか否か(笑)
本当の名前が分かるまで名前は楽しみにしてますw
そしてレイスありがとうございます!本当嬉しいです^^

更新頑張ってくださいノ

Re: Veronica -参照500突破!Thanks!- ( No.71 )
日時: 2010/12/18 16:29
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: 20XX年、長野県は日本から独立し、信濃国を建国する!

>>70 雅様
テストお疲れさまです^^
本当大変ですもんね!受験生が一番大変だと思います

ポチは実は×××でーという設定がありまして(笑)なんだかんだ言って結構隠れてる設定があったりして今回これ、ネタバレにならないよなぁ…と不安になりながら書かせてもらっちゃいました^^;
本当はそんなに可愛いマスコットキャラじゃないんですよw
3000字以内に収まらなかったので、申し訳ない話、いくつかのパートに分けさせて頂きますっ>< ほんと、すみません汗汗

あの瞬間、レイス君が勝手に動きました(笑)

応援有難うございます!雅様も頑張って!!

Re: Veronica -参照500突破!Thanks!- ( No.72 )
日時: 2010/12/18 17:06
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: 20XX年、長野県は日本から独立し、信濃国を建国する!

* * *
「キャッ……キュキュキッキュ———!!!」
「はいはい、染みるね痛いね我慢しろ」
火傷した私の躰にメリッサが消毒液を塗る。消毒液の過酸化水素水(オキシドール)の臭いが眼、鼻、肉体に染みわたる。鼻の良い私には強烈だ。火傷だらけの小さな体躯を見つめるのは、白髪の状態に戻ったリュミエールだった。

「ポチ、どうしたの?」
———この餓鬼は変貌した時の記憶が戻らないみたいである。呆れたものだ。私は軽くリュミエールを睨みつけてやっていた。
「うぅうっ……!」泣きじゃくりそうな顔をして、メリッサにしがみ付いた。泣きたいのは、こっちの方である。
「ハイ、消毒終わり。暫くじっとしてろー。あと、リュミお茶でも飲むか」
長らく続いた消毒が終わり、メリッサは私をそっと寝ているフリッグの枕元へ置いた。この少年、昼寝中なのだ。

「リュミ、お茶入れるね」
「おっ。それは助かるわ」
ニコニコと笑みを浮かべているリュミエールと共に、メリッサは部屋から出て行った。能天気な奴ら、である。


 暫くして、硬いブーツの足音が聞こえ始めてきた。レイス・レイヴェントが近づいてきたようだ。ポーカーフェイスで、この男はクールな印象が強いそうなのだが意外にも天然でお茶目な性格の様だ。私個人の意見だが。———この男なら、私の主に向いているかもしれない!

「きゅ———……」
私は首をあげ、レイスに向けた。レイスはそっと私の体を持ち上げ、抱えた。
「丁度、俺も一人で寂しかったんだ。少し、一緒に居ないか?」
「きゅ!」
私の体を抱えたこの青年は、外へ向かった。フリッグは完全に眠っていて気付いてすら居ない。よし、これならば!

 かくして、私とレイスは外に行くことになったのだが———。


* * *
 外に出て、暫く村周辺の森の散策を始めた我々はそのまま二時間ほどずっと森の中に居た。魔物が襲ってくることは、今のところなかった正直、ホッとしている。

「———俺、寂しがり屋なんだ」
唐突にレイスはそんな告白をした。竜だから言えるのか、そんなこと!ああ、竜で良かった!!人間だったら、こんなこと聞けないものな!

「俺の、相棒になってくれ———何ていうのは、失礼だな。忘れてくれ」
残念そうな顔をし、謝罪したレイスだったが……。
 オッケー!私は大歓迎だ!!いや、むしろ待っていました、その言葉!!!甲高い鳴き声をあげながらレイスにすり寄った私だったのだが、次の瞬間!


 レイスが背中に背負っている大剣クレイモヤを突然振り上げた。そんなもの予測していなかった私は、衝撃で吹き飛ばされる。そして近くの樹に辺り、体中に衝撃が走った。全く、とんだ厄日だ!

「竜族、か———!」
レイスの眼前には涎(よだれ)を垂らし、何処にも焦点の合っていない眼をした巨大な紅い竜が居た。どうも様子が変である。誇り高き我ら竜族には(以下、略)という誇りがあるのだから、よほどのイカレタ奴でなければ無作為に人を襲うことなどない。自分の圏内に入られた場合は確かに襲うこともあるのだが、私の鼻が臭いを察知する限りこの辺りには竜の住む巣や集落など無いはずだ。
 竜が、紅蓮の咆哮をレイスに向けて放った!すれすれでレイスは避ける。私も勿論逃げ———じゃなくて、避けたが。
 どうやら、何者かに操られているらしい。私の右翼を撃ちぬいた竜では無いことは確かだ。彼奴(あやつ)はトランプによってジェームズ・ノットマンの傀儡(くぐつ)になっていたのだから。この竜にはトランプなど刺さっていない。恐らく、他のものが操っているのだろう。何故なら、此奴は標的を定めずにただただ暴れるように攻撃をしているのだから。仕方ない。

 私も、メタモルフォーゼしてやろうではないか!(レイス・レイヴェントへのアピールだ)

 だが、巨大化しようとした結果傷口が開き、出来なくなってしまった。糞が……。

 走ってきたレイスがそっと私の体を拾い上げた。そして竜の方を向き、何故か竜の方へと向かったのだ!

 大剣を振りあげ———!!!猛スピードで突き進む。風を切り、颯爽と走り!そして竜の眼の前までやってきた瞬間、彼は跳んだ!その瞬間、私の躰がレイスから離れ、私は地へと———……。

 アンバー種の振りあげた剣に光が宿り、輝く!そのまま、彼は真一文字に竜を斬った。光の一直線が残像として残る。

「グギャァア"ア"アァア"アアアアアアアア!!!!!!!」
傷口に痛み、苦しみ、もがき———。竜は叫び声を上げながら、ドスンドスンという音を立てながら去って行った。様子からして、恐らく正気に戻ったのだろう。痛みで正気に戻る、か。

 突然、私の尻尾に衝撃が走った。

 着地したレイスの足が、なんと私の尻尾を踏んでいたのだ。奴は気付いていない———ってオイ!尻尾にも痛覚があるのだぞ、多分……。

「危険な森なんだな、やっぱり。さて、帰るかポチ」
踏んだことにすら気付いていないようである。私を持ち上げ、彼は森の出口に向かった。先程竜を撃退した様子からも、やはり前言撤回。

 この人、恐いです。


* * *

 家に着いた私は、レイスの手でフリッグの枕元へとおかれた。うむ、女性にもてるタイプであるな。ん?私の性別、だと?想像に任せよう。

「———ん?」
どうやら主の起床の様だ。もう夕刻、随分遅いお目覚めである。

「何だ、ポチか」
私の尻尾(←踏まれたとこ!)が頬に当たっていたようで起きたらしい。ふん、そんなこと絶対謝らないからな。
「キュ」
取り敢えず、一日ドタバタしていてどっと疲れた。体も、心も。———心神喪失に陥って犯行に及んだ場合って罰されないんだっけなあ……。よし、犯行に及んでも恨むな、よ。

 フリッグが、急に私の体を撫でた。
「怪我して、お前どうした?」
これから天変地異でも起きるのではないのか?此奴が私のことなど心配するとは———物凄く感激である。
「キュー……!」
私はフリッグのもとに体を摺り寄せた。うむ、やはり主はフリッグが一番なのかもしれない。こんなに恵まれているのに、我儘を言った自分にきっとばちがあたったからこんな一日になったのだろう。きっとそうである。

 求めているものよりも、きっとそこにある物の方が自分にとって大切なものかも知れないのだろう。
 大切な物は、失ってから気付くものだ。何が大切かなど、失って初めて気づくのだ。

 愚かな自分を恥じた。私はなんて愚か者なのだろうか。これからも、私はこの少年に忠誠を尽くして生きていくべきなのだな———それが、誇りだ。


「何、ひっついてんだよ、馬鹿」

 何、ひっついてんだよ、馬鹿———


   何、ひっついてんだよ、馬鹿———



     何 、 ひ っ つ い て ん だ よ 、 馬 鹿 


 私の躰が、つまみあげられ床へと投げられた。べしゃり、という音がし、激痛が走る。先程まで温かい感触の布団の上という状況から一気に冷たく硬い床の上という最悪の状態に———。

「寝難(ねにく)い。どっか行ってろよ、全く」
そう言ってフリッグは再び眠りについた。私に背中を向けて!オイ、オイ!!!



 やはり、主人は変えるべきなのかもしれない。

 この物語の裏では、私が新たな主を探しているというコトで———駄目か?


<Oz.Biography1: OtherEyes-とある竜のとある日常- Fin.>

Re: Veronica -参照500突破!Thanks!- ( No.73 )
日時: 2010/12/18 21:17
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: 20XX年、長野県は日本から独立し、信濃国を建国する!

"もし、私の身に何かあったら、ナンナを———、
いや、ナンナの身にも何かがあれば、この子をお願いしますね"


———ええ、分かっているわ。そんなこと。

 腕の中で寝息を立てる赤ん坊を抱え上げ、立ち上がった。蒼の長髪が静かに揺れる。

"私の、一番信頼できる方が、貴女なんです。
多分、私は死ぬでしょう。私は死んでも構わない。だけれども、この子だけは。この子だけは生きていなくちゃいけないんです。
すみませんね。こんな私情貴女に押しつけて。でも、信頼できる方が貴女しかいないんです"

———謝る必要なんて無いわ。恐らく私が生涯唯一愛し、慕った男の"頼み事"だもの。命をかけて、やってやるわよ。



———この身が朽ち果てようが。

 片づけを怠った子供たちの去った後の遊び場に散乱している人形のように、動かなくなった者たちがそこら中にあった。人形遊び直後の場と違うのは、赤黒い液体が何処にでも流れているところだろうか。そんな死屍累々とした場所で、女は太刀を握り直した。

 抱えている赤ん坊の顔をそっと確認した。———良かった、生きている!


『生き残りが居たぞッ!!!』
剣を、銃を、斧を———武器を構え、鎧をまとった兵士たちが溢れ出てきた。

『全く、孵化直後の蟷螂(かまきり)なのかしらね』
如何やら、自分の出血が激しい。このままでは、まずい。いざとなれば"アレ"を使うしかないと思いながらも、その様な事をさせてくれそうにない様子だ。仕方なく、女性は太刀を構えて突き進んだ!



『ッらあ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッ———————————!!!!!!!』

錯乱としているような。狂戦士(バーサーカー)の様に。視界が赤く染まっていこうが、何だろうか関係ない。蒼い長髪を徐々に鮮血で染めながら、女性は一直線に走りぬく!


———この子だけはッ!!!


* * *

「セティ、———セティ」
自分の名を呼ぶ声に気付いた少年は、梯子から降りた。広い室内。天井も見えないほどの棚は隙間なく本で埋められている。地上十数メートルから梯子をつたりながら、栗毛の少年は返事をした。

「ちょっと、待ってて———!」

 かれこれ十年近く自分は此処で仕事をしている。師匠から聞いた自分の年齢が十歳だったので、本当生まれながらいして働いているという感じだった。
 魔導書という、魔法を使う際に使用者の魔力を増幅させる、またはそれほど魔法の道に進んでいる者でなくても本を読みながらであれば魔法が使えるようになるという優れ物の書物のうち、あまりにも強大な力を持ち、危険だと判断された魔導書———禁書を世界で唯一扱ってるこの禁書図書館で働く少年フォルセティ。
 アメジスト種特有の紫紺の瞳と、茶色の毛を持つこの少年は先程まで本の整理をしていた。自分の愛称である"セティ"と呼ぶ声を聞き、彼は"あの人"という確証を持って直ぐにおり始めたのだ。
 途中、踏み外して落ちそうになるが、意地でどうにかした。漸く地上に降り立った彼は、胸の開いた露出の高い改造した帝国の軍服を纏った蒼髪のアメジスト種の女性へ一直線に走りだした。

「イルーシヴッッ!!!」
女性の名を大声で呼び、飛びついた。太刀を腰に下げた女性———イルーシヴはフォルセティの柔らかい栗毛を撫でた。
「久しぶりね、セティ」
帝国エターナルで、兵士の中で"蒼のイルーシヴ"という異名を持ち恐れられている女性とは思えないくらい優しい笑みを浮かべていた。
 イルーシヴは、ウェスウィウスと共によくこの禁書図書館に来ることが多かった。ウェスウィウスは数年前に任務で来た際、フォルセティに懐かれたので来るようになったのだが、彼女は違う。その前からずっとこの図書館に出入りしていた。そのため、フォルセティは母の様に慕っている。

「さっき、館長とも話してきたけど、暫く良いかしら?
久しぶりに、外———とか」
「本当!?」
紫の眼を煌々(きらきら)とさせた少年は嬉しそうに飛び回った。その様子を見て、イルーシヴはほっとする。———元気で良かった、と。



「じゃあ、館長のとこもっかい行くんだよね?ボク、先行ってるね!!」
フォルセティは陽気なステップを踏みながら、室内から出て行った。



<Oz.5: Potholing- 一樹の陰一河の流れも他生の縁->


 フリッグら四人は、マックールの近くにあるカルデラ洞窟へと向かっていた。リュミエールの育て親、マックールの村長の話によればこの周辺で遊んでいた子供が相次いで行方不明になっているそうだ。リュミエールも一週間ほど前に友人とそこで遊んでいたらしいのだが、彼女は途中で荷物を取りに一旦家に戻ったため、友人だけが行方不明になったそうだ。戻ってきたときには誰もいなかった、と。

「マックールから、カルデラまで大体歩いて十分なの。あまり魔物も居ないし、あんまり危ない場所じゃないからリュミとか結構遊びに行くんだけど……」
フリッグに手を握られながら歩くリュミエールが言った。
「最近、なのか?」
レイスの問いに彼女はこくりと頷き、付け足した。
「二週間くらい前から」
「結構最近じゃん」
一旦伸びをした後でメリッサが言った。マックールにきてからまだ一週間経っていなかった。その一週間前から失踪事件が起きていたとは知らなかった。聞けば、丁度フリッグらが発見される前日にリュミの親友が行方不明になったらしい。

「恩を返すには、丁度いいけどさ」
フリッグはちらとリュミエールを見た。七歳の女児が自ら行きたいと志願したものの足手まといでしかない。村長も連れて行ってほしいと願い出ていたのだが、どうも理解し難かった。明らかに戦闘能力が無い様に見えるのだ。何故かメリッサとレイスは反対しなかったので同行したのだが———。

 洞窟の冷えた空気で身を冷やしながら進む。足場がだんだん危なくなってきた。凸凹(でこぼこ)としている所為で歩きにくいし、危険だ。
 ふと、フリッグの頬に何か滑(ぬめ)ったものが当たった。咄嗟に構える。レイスの大剣が貫いたのは、大きな蛙だった。一メートル程の躰———洞窟や沼地で多くみられるトードという魔物だった。麻痺毒を持っているものが居るため、それ程安全な魔物ではない。

「居るじゃんか」
吐き捨てるように、フリッグは童女に言ってやった。リュミエールは必死に少年へと抗議する。
「ふっ、普段は居ないもん!」
「あ、そ!」
圧縮された"音"の球を蛙にぶつけ、弾く。トードは飛ばされ、岩に激突した。そしてそのままピクリとも動かなくなった。
 だが、トードは洞窟の奥から溢れ出てくる。
「いつもはほんとにほんとに居ないんだよ!」
リュミエールは叫びながらメリッサの後ろにひっついた。メリッサのノルネンが、五匹ほどのトードを一気に吹き飛ばす。が、数は徐々に増すばかりだ。一匹が、リュミエールに触れた。

「リュミッ!?」
メリッサは咄嗟に武器を向けたが、すぐに止める。恐らくこの後リュミエールの行う行動が予測できたからである。

「何で助けないのさ!」
リュミエールを助けようとしないアンバー種の二人に、フリッグは怒鳴った。そしてトードを退かし、リュミエールに近づいたが
「止めておけ」
とレイスが制止した。とうとう、リュミエールの姿が見えないくらいにまでなってしまった。

———やっぱ足手まといか。

フリッグが呆れた瞬間だった。

 空気が急に、物凄く冷たくなったのだ!そして、何処からか焔が吹き出始め、肉の焼けた臭いが充満する。



「退け!!!雑魚共がッ!!貴様らなどに構っている暇は無い!!!」
白と黒のリボンを操る、黒髪の少女が暴れていた。まるでリュミエールの色を反転したように、彼女の白髪は黒髪に、漆黒の瞳は真っ白の瞳に変わっていた。表情も、完全に変貌している。おどおどしていた童女は、争いを好む殺戮者(ジェノサオダー)へと化していた。あまりの変貌ぶりに、フリッグは唖然とする。
 間もなくして、襲いかかって来ていた蛙は全て倒された。殆どがリュミエールに、だ。


「ほへっ———?リュミ、なんかしてた?」

数々の焼けた蛙の肉、凍てついた蛙の中心でポカンとしていたリュミエールの色は、あのおどおどしていた時のものに戻っていた。

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