ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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【Veronica】 *人気投票中。参加頼みます!!
日時: 2012/01/15 17:20
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: ikU9JQfk)
参照: http://nishiwestgo.web.fc2.com/index.html/

投票有難うございました!銀賞感謝!!謝辞>>347
記念ということで人気投票やっています。>>350



Veronica(ウェロニカ)
*1世紀ごろエルサレムで活動したキリスト教の伝説上の聖女。ゴルゴタに向かうイエスの血と汗にまみれた顔を拭いたという伝説的聖女。

クリック有難うございます(*´∀`*)ノ
(※小説データベースから来た方はまずこちらへ→>>48
初めまして!
の人が殆どだと思います^^;
過去(といってももう四年くらい経つかも)に"燈(アカリ)"という別名で小説を書いていたものです(笑)

気を取りなおしまして、
初めまして!朔(モト)と申します。
某ゲームキャラじゃなくて、野村望東尼って人の名前が由来です。多分。もしかしたら、春風(←高杉晋作の名)に改名するorほかの場所に出没するかもしれません
期末テスト症候群…心理学的にいえば"逃避"に陥って、小説を書こうと思いやり始めました。ツッコミは心の中のみでお願いします^^
書くの久しぶりで、しかも元から文章力皆無人間なので、いっやー、ちゃんと書けるかなあとか不安ありつつ((オイ
頑張ってちまちま(←)書きたいと思います!

◆Attention
※注意※
・荒らし、悪口等厳禁。宣伝OKです^^いつ見に行くかは分かりませんが汗
・コメントへの返信、小説の更新不定期です。
・誤字・脱字、文章等いろいろおかし(←この場合の"おかし"は"趣深い"ではなく"変"という意味でつかわれています)。ツッコミ大歓迎ヽ(*´∀`*)ノ
・ジャンルはファタジー 一直線(笑)だと思いますけどねえ…(^^ゞ
・グロイのかなあ。怖い話苦手なんでそうでもないと思うけど一応流血表現あり(汗
◆Component
題名:Veronica(ウェロニカ)
作者:朔(もと)
ジャンル:ファンタジー・バトル、 "ツッコミ箇所満載"紀伝体ドラマ。
成分:ツッコミ箇所満載、多少流血表現あり、登場人物がKY、誤字・脱字・文章が基本オカシイ、Not神文
使用方法:ツッコミを入れながら読んでください。「お気に入りに登録しました」や「応援してます」などのコメントが入ると狂喜します。勿論、ツッコミ大歓迎。
2012年度冬の大会にてシリダク銀賞を受賞。本当に感謝感謝の大嵐。
製造日時:2010.11.30

◆Contents
*本編*
登場人物 >>4 (一覧編>>220※ネタバレ有)
まとめぺえじ>>219
歌 >>85(楓様に作っていただいた歌詞です)
Main↓
◇序:recitativo >>3
◇Oz.1: Blast-竜と少年の協奏曲コンチェルト- >>285
◇Oz.2: Norn-運命の女神と混乱の関係- >>286
◇Oz.3: GrandSlam-錫杖、両刃、骨牌の独り勝ち- >>287
◇Oz.4: Obsession-戦意喪失-
・Part1>>57 ・Part2>>58 ・Part3>>62 ・Part4>>64 ・Part5>>68
◇Oz.5: Potholing- 一樹の陰一河の流れも他生の縁-
・Part1>>73 ・Part2>>75 ・Part3>>77 ・Part4>>79 ・Patr5>>84
◇Oz.6: Hallelujah-神様っているのかなあ-
・Part1>>90 ・Part2>>93
◇Oz.7: Engulf-風に櫛(くしけず)り雨に沐(かみあら)う-
・Part1>>94 ・Part2>>104 ・Patr3>>105
◇Oz.8: Sign-夜想曲(ノクターン)に誘われて-
・Part1>>111 ・Part2>>114 ・Part3>>119 ・Part4>>120
◇Oz.9:Nighter-眠れない夜に-
・Part1>>128 ・Part2>>131
◇Oz.10:Howling-母と子(Frigg)、忘れ路-
・Part1>>133 ・Part2>>134 ・Part3>>136
◇Oz.11:Howling-母(Tiamat)と子、追憶-
・Paet1>>141 ・Part2>>145 ・Part3>>146 ・Part4>>148 ・Part5>>154 ・Part6>>161 ・Part7>>162
◇Oz.12:Tagesanbruch-黎明-
・Part1>>164 ・Part2>>165 ・Part3>>170 ・Part4>>174 ・Part5>>189
◇Oz.13・Part1>>198 ・Part2>>210 ・Part3>>218 ・Part4>>223 ・Part5>>226 
◇Oz.14・Part1>>228 ・Part2>>234 ・Part3>>237
◇Oz.15・Part1>>247 ・Part2>>248 ・Part3>>249 ・Part5>>250 ・Part6>>251 ・Part7>>252
◇Oz.16・Part1>>257 ・Part2>>270 ・Part3>>275 ・Part4>>282 ・Part5>>288
◇Oz.17 >>305
◇Oz.18 >>340
◇Oz.19 >>340
◇Oz.20 >>352
◆外伝>>235
作品を十字以内に簡潔に紹介しなさい。↓
『た た か う は な し』!どうだ!!
※参考
広辞苑、ジーニアス英和辞典、ブリタニカ、マイペディア、ウィキペディア等から抜粋。そして、相棒・電子辞書有難う、!!

◆お客様
*葵那 *Neon様 *夏目様 *ラーズグリーズ様 * 玖炉 *雪ん子様 *月夜の救世主様 *ささめ *緑紫様 *楓様 *舞阪 肇様 *ひふみん様 *千臥様 *ち せ(´・・).様 *風様 *X4様 *Vermilion様 *紅蓮の流星様 *Ghost様 *夢姫様

◆連絡
敵陣営 葵那>>96 Neon様>>99 月夜の救世主様>>107 玖炉>>112>>181 舞阪 肇様>>150 ひふみん様>>151 千臥様>>168
大切に使わせて頂きます^^

◆戯言
小説大会銀賞受賞…だ、と!?
放置プレイ上等小説に投票有難うございました!
本当に感謝感謝感謝感謝の嵐です!
おこがましいですが、これからも宜しく頂けると幸いです<(_ _)>
あと諸連絡(?)ですが、Ghost様に外伝小説を書いていただくことになりました!本当に有難うございます。
人とのつながりって本当大切なんだなあ…

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Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.14 )
日時: 2010/12/03 12:54
名前: 雅 ◆2WetyLTYZk (ID: S8b9wYSL)

こんばんは!
オリキャラ募集という事でキャラ投下させてもらいます^^
扱いづらそうなキャラ御免なさい;良ければ面倒を見てやってくだs((

名前【レイス・レイヴェント】*
由来【特に無かったりです^^;】
性別【男】(別になくても良いです/笑)
年齢【18歳】*(不詳の場合は見た目で)
種族【アンバー種】*(ハーフでも可。あまり多いと困るので出来れば普通にひとつでお願いします) ※種族について詳しくは下へ
出身【】 ※出身についても詳しくは下へ
一人称【俺】*
二人称【君】*
口癖【そうか…】
性格【落ち着いていて判断力に優れており、頼りになる性格。クールでポーカーフェイスだが、致命的な程隠し事が苦手で、嘘をつくと絶対人と眼を合わせない。案外恥しがり屋で根は優しい】* ※出来るだけ詳しく
見た目【琥珀色の瞳で、眼つきは鋭い。髪は鮮やかな青みがかっている黒色で、長め。黒く長いコートを羽織っている。背は高く、180センチ。なので実年齢より年上に見られる事が多い。】* ※出来るだけ詳しく
武器【クレイモヤ(長剣)】(無しor魔法でも可。何でも良しです)

サンプルボイス【「俺はレイス。旅人だ」「俺を雇うか?もしも雇うなら、君をオーナーとして命に代えてでも守ると約束しよう」「いや…ただ俺の意思で、君に付いて行きたいと思ったまでだ」】* 

その他【旅をしながら、フリーのボディガード(護衛)をしている。金さえ払えば、雇い主(オーナー)は命に代えても守る。剣術は大変優れている】 (技名とか、上記の項目にないことがあればお願いします)

 朔が書くに当たり、出番が少なかったり遅かったり、キャラが崩壊する可能性があります。それでもよろしいですか?

はい【○】 いいえ【】 (該当する方に○)

ありがとうございました

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.15 )
日時: 2010/12/03 04:23
名前: ラーズグリーズ (ID: gzQIXahG)

------(キリトリ)------
*は必須項目

名前【リーゼロッテ=ルーデンドルフ】*
由来【リーゼという名は共和国の古代語で“始まりに”という意味】
性別【♀】(別になくても良いです/笑)
年齢【21】*(不詳の場合は見た目で)
種族【スピネル種】*(ハーフでも可。あまり多いと困るので出来れば普通にひとつでお願いします) ※種族について詳しくは下へ
出身【アイゼン共和国】 ※出身についても詳しくは下へ
一人称【私】*
二人称【君】*
口癖【〜とそう思う】
性格【基本的には穏やかで冷静だが、種族特性上、一旦プチっと切れると火山の様に怒りが大爆発する】* ※出来るだけ詳しく
見た目【腰まである長い紅髪に女性にしては少し鋭い目付き。左目は髪で隠していて、目の色としては髪と同色。服装としては軽いフリルが付いた白いブラウスに黒いロングスカート。シックな服装を好む】* ※出来るだけ詳しく
武器【スタームルガー・ブラックホーク】(無しor魔法でも可。何でも良しです)

サンプルボイス【「うむ、君が成長できれば何よりだ」「良くそこまで多くの無駄遣いをできたなと、君には少々浪費癖があるんじゃないかとそう思うぞ?】* 

その他【父親は国の大物政治家、また軍人でもあるネルソン=ルーデンドルフ。祖父も巨大兵器会社の社長、テオドール・ルーデンドルフ。所謂リーゼロッテはお嬢様として育てられたが、軍人である父の影響で銃に興味を持つ様になり、今では国内の射撃コンテストでも15位以内には入るほどの腕前】 (技名とか、上記の項目にないことがあればお願いします)


*  *

【スピネル種について】

・西方に多く存在が確認できる種で、特に特徴と云ったものは紅色の髪だけ。基本的に気性は穏やかで、良く争いを仲裁したりするが、一度逆鱗に触れると、どちらかが滅びるまで激しく戦いを続け、最後には相手を道連れに自爆も辞さないという覚悟の一面も持っている。西方にある「アイゼン共和国」は彼らの国。

*  *

【アイゼン共和国】

・西方に存在する国の一つで、大国とは言えないが、歴史ある古い国である。経済が発達していて、特に重工業、兵器産業が盛ん。その為、多くの商人たちが訪れる。国としても武器を海外へ輸出し、資金を得ている。造られる武器は、その泥に付けようが水に付けようが壊れない頑強性と丁寧に仕上げられた結果としての性能で多くの評判を得ている。政治体制としては、王はいるが象徴的な存在で権力は無い。その下で投票によって選ばれる“首相”が国を動かしている。外交はエターナル帝国寄りだが、秘密裏にエターナル帝国の汚職貴族と協力して、ネージュ王国に武器を売っている。

ちなみにアイゼンとはドイツ語で「鉄」という意味。

*  *


 朔が書くに当たり、出番が少なかったり遅かったり、キャラが崩壊する可能性があります。それでもよろしいですか?

はい【○】 いいえ【】 (該当する方に○)

ありがとうございました

------(キリトリ)------

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.16 )
日時: 2010/12/03 22:09
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.

>>12Neon様
キャラありがとうございま〜す!
ジェームズ君(勝手に呼んですいません汗)
自己中キャラ良いですね((オイ 可愛いry
ありがたく使わせていただきます!

>>13 夏目様
はじめまして!
ぇ!?そんな!本格的だなんてッ((汗
才能ナッシングですよ!
応援有難うございます!!またのご来店をお待ちしてます((オイ

>>14 雅様
キャラありがとうございます!レイス君!考えている限り、アンバー種が少なかったんで((オイ すごくありがたいです 
寂しがり屋で優しいとは可愛((強制終了
話浮かんできました!ありがたく使わせてもらいます^^

>>15 ラーズグリーズ様
キャラ有難うございます〜!!
そして種族と国まで…!!!
よしっ、国の設定まで書いてもらっちゃったり父親が国の大物政治家だったり…と。今後登場するキャラと上手く絡ませれそうかも((オイ
スピネル種すごいっすね((゜д゜
ありがたく使わせていただきます^^

------
キャラ有難うございました^^
やっぱ自分で作るのとは違いますね(当り前)。使うに当たり、一体どのくらいしっかりその子を動かせるか不安なのですが…(汗)
登場いつになるか不明ですが、頑張って書きすすめます!てか早く書きたい!!
キャラクター欄・種族等のところにも更新させていただきます<(_ _)>ありがとうございました^^

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.17 )
日時: 2011/03/10 16:52
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 9nPJoUDa)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.

 ウェロニカが何を考えているか理解できなかった。

そもそも人間の思考を完全に理解するなど不可能な事だが、それでも少しぐらいは理解できるものだろう。召喚魔法は危険だ。


 魔法が発動される前に、なんとしてでも止めなくては!

フリッグは一旦立ち止まり、"音の違和感"を探る。僅かな空気の振動までも、精神を集中させれば少しだけだが聞き取れる。彼はそれに賭けた。
 

 一瞬、何か違うものを遠くで感じた。ベテルギウスの方からだ。しかし、恐らく発動前迄には着けそうに無い———嗚呼、こういう時に何故ポチを連れてこなかったのだ、と軽く後悔する。だがそんなことしている暇など無い!フリッグは走るのを再開した。



* * *



「———あれ、これ何かなあ」

ふとコレットは床に浮き出た蒼白い光の何かを見つけた。好奇心が先に走り、ついつい其れに近付いてしまう。よくよく見ると、魔法陣だ。何かなあ、と言って彼女は其れに指先を触れさせた。


 触れたと同時に今迄ぼんやりと光っていただけの魔法陣がはっきりとしたものになり、激しく光を発した。とてつもないほど眩しい、失明するのではないかというぐらいの光が放たれている。


「な、何、ナニコレッ!!ちんひゃッ———」

珍百景という言葉を言おうとしたが、言い終わる様な心の余裕がなかった。この状況下、ギャグを言おうとする彼女のサービス精神は拍手ものだろう。(というか、言って良いものなのか、ナニ●レ珍百景。)



 暫くして徐々に光は止んでいった。漸く目を開ける程度になったところでコレットは目の中に入った光景に、恐怖のあまり声も出せずただ立ち竦んでいた。


 頭に雄鶏の様な鶏冠とさかと角。翼が左右に一つずつていており、尻尾の先は槍の穂先のようになっている。まるで、蛇と鶏が合体したような、自分の背の高さよりも全長は遥かにでかい怪物がコレットの目と鼻の先に居た。

「あ………あ゛あ゛…………」

あまりの恐怖に足が凍りつき、逃げ出せない。怪物は天井を見つめていた。今、ここには誰も居ない。父母は食材等を買いに出掛けに行ったばかりなのだから。


 コレットの声か、それとも臭いか。怪物はコレットに反応したようで、彼女の方を、下方を見ようと首を動かし始めた。



 ———その時だ!

二階から、物凄いスピードで何かがコレットに向かってきた。それは彼女の襟首を素早く掴み、そのまま彼女を外へと連れ出した。

「ポチ!」

緑の子竜はこくりと頷いた。———怪物は民宿内を這いずり回っているようだ。まるで、餌を探しているかのように。見つかるのは時間の問題かもしれない。即急に帝国軍へと連絡しなければならないが、肝心の連絡する道具等は全て民宿内、しかも怪物が這う一階のロビーにある。走っていっても、どうだろう———かなりの時間がかかる。近所から電話を借りることに決定した。


「此処かっ!!」



 突然頭上から、聞き覚えのある声がした。


 キャウ、という甲高い鳴き声を発したポチはコレットから遠ざかり、上に飛んだ。暫くして何かが彼女の眼前に着地した。


「ドーモ」


それはフリッグだった。彼はコレットの前に歩きだし、怪物を見る。

「藤崎さぁん!!」
鼻水と涙で顔をぐしょりと濡らしたコレットはフリッグに抱き付いた。
「フリッグ、ね。———静かに。隠れて」
フリッグはそっとコレットの口に手を当てた。
「どうして…?」
「奴はバジリスクという怪物。体内に猛毒があるだけでなく、相手を見ただけで相手を殺せる能力を持ってるんだ」
「………どう、するの…?」
コレットのか細い声は不安だけで満たされているようだった。


「先ず、厄介な目を潰す。鼻が良いから、僕だけを追わせるようにして———この辺に、周囲から孤立したような、どんぱちやっても平気な場所は?」

フリッグの質問に、暫くコレットは周囲を見回してから答えた。

「チェヴラシカ大草原…ここから一キロぐらいの場所で、魔物出没地域だから立ち入り禁止になってるけど」

うつむきながら答えたコレットに、フリッグは叫びながら命令した。
「じゃあ、そこまで僕がコイツを誘導するから、君は軍の人を呼んできて。
———頼む!」
頼むと叫んだと同時に彼はバジリスクに向かって勢いよく走りだした。

「———は、はぃいッ!!!」

そしてコレットも返事をしたと同時に、彼とは逆方向に走り出した。


 * * *

 ウェスウィウスは不愉快極まりなかった。
 

 自分が"嫌いという"範疇にある、評議員の男と二人きりでいることに嫌で仕方なかった。


「今度、西方のアイゼン共和国との軍事訓練があるだろう?
そこの、これがかっわいい女性がねえ、凄い銃の腕前をしているそうなんだよ。まぁ、軍人じゃなくて、軍人ネルソン=ルーデンドルフの一人娘なんだけどね。美しい女性と、君の銃の腕前はどちらの方が優れているか…ってのを、一万プラッタ(一プラッタ=一円)で君の上官と賭けているんだけれどもどうかい?」

橙色の髪と眼をし、眼鏡をかけた青年フレイ=ヴァン=ヴァナヘイムは所々に嫌味を込めながらウェスウィウスに一方的に喋っていた。

「———お前はどっちに賭けた?」
「女性の方」

呆れ顔で訊ねたウェスウィウスに当然のごとくフレイは答えた。思わずウェスウィウスは銃をホルダーから取り出し、数発フレイを撃った。弾はそれほど彼の体を貫かなかったが。

「嗚呼、上官は君に賭けていたよ。君とS&W M10との相性は抜群だからってね」
「鬱陶しいわ!つか、お前みたいな奴が俺のS&Wの名前をやすやすと呼ぶんじゃねえ!!!」
怒鳴ったと同時にバキュンと一発、フレイのコートに鉛の塊を撃ちこむ。


 橙色の瞳と髪を持つアゲート種のフレイは種族の特有の"中立的立場を好む傾向"にあり、帝国内で政治を行う評議員の一人だ。評議員の殆どがカーネリア種の中で唯一と言っていいアゲート種の彼は、若いながらも国政に携わっている。女好きでナルシストな性格の彼は、必ず国を交えた会議等の際には女性が居るかどうか確認するそうだ。人を小馬鹿にしたような行動と言動が、ウェスウィウスは嫌っていた。しかし、フレイはしつこく彼にちょっかいを出し、付きまとう。


「そういえば、よくない男が出没しているそうなんだよねえ」


ウェスウィウスは突然話題を変えたフレイに、再度弾を撃ちこもうと構えた。


「まーまーまー」流石に命の危険を察知したのか、フレイは必死に彼を宥める。「ソイツは銀髪に紅い瞳をしているそうでね。トランプを使うらしい。兵士が何人かソレで死んでる。
恐らく、カーネリア種でありながら軍の方になにか恨みを持っている奴だ。そ、こ、で」

「俺が倒せってことだろ」

白けた眼で言うウェスウィウスにフレイは嘗めたように「当たり」と言った。


「蒼のイルーシヴと、緋のウェスウィウスで悩んだ結果、男性である君にお願いしようと思ってね」
「結局は女、かよ…」
ウェスウィウスはガックリとする。イルーシヴは女性だが、女性ではない。あれは生物学的に男とする方が正しい……と彼は思う。二十年という人生の中であれ程恐ろしい女を見たことは無かった。アイツを女性扱いするのは、間違っているとものすごく思う。

「それじゃあ、詳しくは上官から!君が死ねば、賭けにも勝つしね!!」

そう言ってフレイは明るい声で手を振りながら去っていた。




「世界の為にアイツ殺して俺も死ぬか…」


残されたウェスウィウスは何も持ってない左手でフレイに向かって引き金を引く素振りをして呟いていた。

Next>>18

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.18 )
日時: 2011/03/10 16:53
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 9nPJoUDa)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.

* * *


 ドォン!


 コンクリートの壁が、物凄い音をたてて崩れた。砂煙の中、フリッグは体勢を立て直す。バジリスクの眼を潰すべく、彼は手に持ったナイフを投げた。見事に命中し、奴の左眼に刺さったナイフからは赤黒い血が滴っている。


「もう一発、だ」

息を切らせながら少年はもう一本を投げた。怪物の叫び声は大気を揺らすほどだった。残されていた片眼も封じられる。鮮血は汚れたら白い壁や床に飛び散り、其れを染めていった。


「ほぅら、こっちだ」


バジリスクを挑発するように言い放ち、彼は走り出した。

両目を潰されたバジリスクは我を忘れただただフリッグを追い始める。視力を奪われた怪物は、視力を奪った少年を音と臭いで追い始めたようだ。幸いにも、民宿の周囲には建物があるものの人が住んでいるものは少ない。最低限被害を及ぼさないよう、フリッグはチェヴラシカ大草原を目指し走る。


 バジリスクは速い。だが、追い付かれそうになったところでチェヴラシカ大草原と思われる場所に着いた。

小型の魔物が数匹彷徨うろついていたが、バジリスクに気付きそれらは一目散に逃げていった。実質、その場に居るのはフリッグとバジリスク(とポチ)だけになった。



 問題は、この怪物をどう倒すかだ。


 暫く考え込んだ。取り合えずフリッグは息を整えた。長い間走り続けていたためか、流石に辛い。



「フリッグさん、連絡してきましたよ!!」
後ろからコレットの声がした。それに気付いたバジリスクは、攻撃対象を彼女に変えたようでそこ目掛けて進み始める。

「馬鹿!」素早くコレットを掴み、彼女を遠ざけるようにして投げた。「気付かれるだろ…!!」

「ごっ…、ごめんなさい。でも、一人じゃ危なくて……っ」
泣きじゃくるコレットにフリッグは背を向けながら言った。
「倒せる、かもしれない。でもこれは危険だ。巻き込まれないよう、僕の後ろに居て」
はい、とコレットは頷いた。そしてフリッグの少し離れたすぐ後ろに立ち、彼の背中を見つめた。

 バジリスクがフリッグを目掛けて槍の穂先のような尻尾で攻撃した。すると、空気の壁か何かにぶつかったようで怪物は仰け反った。


「な、何…?」コレットはフリッグに訊ねる。「何が……あったの?」

「音を使った」淡々とフリッグは答えた。「聞き取った音を使って、音波で奴を攻撃したんだよ。
僕は、自分の耳に入った音を三四〇メートル以内の範囲で自由に出来る能力も備えています。
だから、音を使って、攻撃だって出来る」

 つくづく不思議な少年だ。彼は何度も其れを使ってバジリスクにダメージを与えた。まるで、指揮棒を振るっているかのように体を動かしている。



"追走曲<Canon>"!!


音の振動を圧縮した、強力な攻撃力を秘めた弾丸が怪物に向かって飛ぶ。必死に其れを避けようと逃げるバジリスクを追尾し続けて、最終的には見事に命中した。まるでカノン(ある声部が歌いだした旋律を後続の声部が模倣しつつ進む曲、輪唱)のようである。


「ギャオ゛オ゛ォ゛ォォォ!!!!」


怪物の叫び、苦しむ声が周囲を轟かす。両目が激しく出血した。


「僕の攻撃は、外部にダメージを与えるんじゃなくて、内部に与えるんです。だから、外から攻撃し当たっているように見えてもそれは全て内部に打撃を与えてる」

悶え苦しむ姿を見ながらコレットは呟いた。

「なんか………可哀想」

その言葉にフリッグはうつむく。———分かっている。奴も生き物だ。ただ人へ危害を与えるからといって殺生するのは正しいわけではないのは分かっている。

だからといって野放しにしておくわけにもいかない。殺さない程度に苦しめ、逃がすことが出来れば一番良い。このまま奴が、魔物達の棲みかに帰ってくれるのを望んだ。



 突然、バジリスクの右眼に光が宿った。右眼はフリッグを鋭く睨み付ける。殺傷能力を持った猛毒の眼が復活するなど予想だにしていなかったフリッグの躰に、眼から放たれた毒が回り始めた。

———なっ…!?

眼は潰したはずだ。なのに、何故か右眼が復活したのか———。躰に回り始めた猛毒にフリッグは苦しんだ。

不幸中の幸いなのか、右眼だけに見られたお陰で直ぐ死に至るほどでは無かったが、それでも躰は毒に蝕まれる。このままで居れば、死に至るだろう。


「コ、レット、さんっ……———」


息も絶え絶えの彼は後ろのコレットに喋り始めた。


「藤崎さん、逃げましょうよ!!暫くすれば軍の人が来ます!!」
「———終らせ、ます。多分、軍の、人、が来るま…でに、は、時間が……かかり、ますから。
僕が…、なんとかし、ま…す。貴女、は…、逃げ、て」
彼の言葉に従い、コレットはその場から逃げ出した。

 フリッグは重く感じる躰をなんとか動かす。



「——————ポチ」



ぜえぜえとしながらポチの名を呼んだ。ポチは高い鳴き声で返事をし、フリッグの頭に乗った。

「行く、よ………!」
「キャウゥッ!!」
フリッグの掛け声に応答したポチの躰が激しく光り始めた。

 光を纏ったポチの躰が膨張する。躰は十倍近くに大きくなり、巨大な翼が、手足が、爪が———今までのポチとは比べ物にならないぐらい大きくなる。光が消えると、ポチは巨大な爬虫類の躰に蝙蝠の様な翼、鋭いカギ爪に長い尾を持ったドラゴンへと変化していた。


 そして、フリッグはヘッドフォンを外し、地面に叩き付けた。



 世界中の音が聞こえる感覚に陥る———。


———ここまでしないといけない、だなんてね。


そこまでの行為を要するまで自分を苦しめた相手を称賛すると同時に、この程度でここまでするしかない自分を嘲笑した。


 ヘッドフォンは、耳が取る音の数を減らすしきりにすぎない。それを外した今、彼の耳に膨大な音が入り込む。ヘッドフォン着用時は三四〇メートル以内の音しか聞き取れなかったが、それを取った今、より広い範囲の音を耳が吸収した。



「これで、終わらせてやる」


鋭い眼光を、彼はバジリスクに向けた。



* * *



———何をしているのだろうか。


自分は、フリッグを助けに行こうと思っていたのに。だから、軍人に「先に行ってます」と言って制止するのを振り払ってまで来たのではないのか。なのに、彼の言葉に従って逃げ出した。自分は何をしているのだろうか。


 自宅前まできて、彼女は立ち止まった。毒に蝕まれた彼は、放っておけば死んでしまう。自分は彼を見捨てた。


「逃げるなッ!!」自分に対し、コレットは叫んだ。「何逃げてるの弱虫!!」
自分は、きっと足手まといにしかならない。だから行っても意味は無いだろう。しかし、しかし———。

 
 ふと、破壊されかけた室内に割れた鏡の欠片を見つけた。



『奴はバジリスクという怪物。体内に猛毒があるだけでなく、相手を見ただけで相手を殺せる能力を持ってるんだ』


フリッグの言葉が脳内に再生された。


 馬鹿で愚かなのは百も承知。弱いくせに見栄はって助けに行って、逃げてきた大馬鹿者だ。だけども———。



 コレットは割れた鏡の一番大きい破片を手に取り、チェヴラシカ大草原へと再び向かった。

Next>>19


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