ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 【Veronica】 *人気投票中。参加頼みます!!
- 日時: 2012/01/15 17:20
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: ikU9JQfk)
- 参照: http://nishiwestgo.web.fc2.com/index.html/
投票有難うございました!銀賞感謝!!謝辞>>347
記念ということで人気投票やっています。>>350
Veronica(ウェロニカ)
*1世紀ごろエルサレムで活動したキリスト教の伝説上の聖女。ゴルゴタに向かうイエスの血と汗にまみれた顔を拭いたという伝説的聖女。
クリック有難うございます(*´∀`*)ノ
(※小説データベースから来た方はまずこちらへ→>>48)
初めまして!
の人が殆どだと思います^^;
過去(といってももう四年くらい経つかも)に"燈(アカリ)"という別名で小説を書いていたものです(笑)
気を取りなおしまして、
初めまして!朔(モト)と申します。
某ゲームキャラじゃなくて、野村望東尼って人の名前が由来です。多分。もしかしたら、春風(←高杉晋作の名)に改名するorほかの場所に出没するかもしれません
期末テスト症候群…心理学的にいえば"逃避"に陥って、小説を書こうと思いやり始めました。ツッコミは心の中のみでお願いします^^
書くの久しぶりで、しかも元から文章力皆無人間なので、いっやー、ちゃんと書けるかなあとか不安ありつつ((オイ
頑張ってちまちま(←)書きたいと思います!
◆Attention
※注意※
・荒らし、悪口等厳禁。宣伝OKです^^いつ見に行くかは分かりませんが汗
・コメントへの返信、小説の更新不定期です。
・誤字・脱字、文章等いろいろおかし(←この場合の"おかし"は"趣深い"ではなく"変"という意味でつかわれています)。ツッコミ大歓迎ヽ(*´∀`*)ノ
・ジャンルはファタジー 一直線(笑)だと思いますけどねえ…(^^ゞ
・グロイのかなあ。怖い話苦手なんでそうでもないと思うけど一応流血表現あり(汗
◆Component
題名:Veronica(ウェロニカ)
作者:朔(もと)
ジャンル:ファンタジー・バトル、 "ツッコミ箇所満載"紀伝体ドラマ。
成分:ツッコミ箇所満載、多少流血表現あり、登場人物がKY、誤字・脱字・文章が基本オカシイ、Not神文
使用方法:ツッコミを入れながら読んでください。「お気に入りに登録しました」や「応援してます」などのコメントが入ると狂喜します。勿論、ツッコミ大歓迎。
2012年度冬の大会にてシリダク銀賞を受賞。本当に感謝感謝の大嵐。
製造日時:2010.11.30
◆Contents
*本編*
登場人物 >>4 (一覧編>>220※ネタバレ有)
まとめぺえじ>>219
歌 >>85(楓様に作っていただいた歌詞です)
Main↓
◇序:recitativo >>3
◇Oz.1: Blast-竜と少年の協奏曲- >>285
◇Oz.2: Norn-運命の女神と混乱の関係- >>286
◇Oz.3: GrandSlam-錫杖、両刃、骨牌の独り勝ち- >>287
◇Oz.4: Obsession-戦意喪失-
・Part1>>57 ・Part2>>58 ・Part3>>62 ・Part4>>64 ・Part5>>68
◇Oz.5: Potholing- 一樹の陰一河の流れも他生の縁-
・Part1>>73 ・Part2>>75 ・Part3>>77 ・Part4>>79 ・Patr5>>84
◇Oz.6: Hallelujah-神様っているのかなあ-
・Part1>>90 ・Part2>>93
◇Oz.7: Engulf-風に櫛(くしけず)り雨に沐(かみあら)う-
・Part1>>94 ・Part2>>104 ・Patr3>>105
◇Oz.8: Sign-夜想曲(ノクターン)に誘われて-
・Part1>>111 ・Part2>>114 ・Part3>>119 ・Part4>>120
◇Oz.9:Nighter-眠れない夜に-
・Part1>>128 ・Part2>>131
◇Oz.10:Howling-母と子(Frigg)、忘れ路-
・Part1>>133 ・Part2>>134 ・Part3>>136
◇Oz.11:Howling-母(Tiamat)と子、追憶-
・Paet1>>141 ・Part2>>145 ・Part3>>146 ・Part4>>148 ・Part5>>154 ・Part6>>161 ・Part7>>162
◇Oz.12:Tagesanbruch-黎明-
・Part1>>164 ・Part2>>165 ・Part3>>170 ・Part4>>174 ・Part5>>189
◇Oz.13・Part1>>198 ・Part2>>210 ・Part3>>218 ・Part4>>223 ・Part5>>226
◇Oz.14・Part1>>228 ・Part2>>234 ・Part3>>237
◇Oz.15・Part1>>247 ・Part2>>248 ・Part3>>249 ・Part5>>250 ・Part6>>251 ・Part7>>252
◇Oz.16・Part1>>257 ・Part2>>270 ・Part3>>275 ・Part4>>282 ・Part5>>288
◇Oz.17 >>305
◇Oz.18 >>340
◇Oz.19 >>340
◇Oz.20 >>352
◆外伝>>235
作品を十字以内に簡潔に紹介しなさい。↓
『た た か う は な し』!どうだ!!
※参考
広辞苑、ジーニアス英和辞典、ブリタニカ、マイペディア、ウィキペディア等から抜粋。そして、相棒・電子辞書有難う、!!
◆お客様
*葵那 *Neon様 *夏目様 *ラーズグリーズ様 * 玖炉 *雪ん子様 *月夜の救世主様 *ささめ *緑紫様 *楓様 *舞阪 肇様 *ひふみん様 *千臥様 *ち せ(´・・).様 *風様 *X4様 *Vermilion様 *紅蓮の流星様 *Ghost様 *夢姫様
◆連絡
敵陣営 葵那>>96 Neon様>>99 月夜の救世主様>>107 玖炉>>112・>>181 舞阪 肇様>>150 ひふみん様>>151 千臥様>>168
大切に使わせて頂きます^^
◆戯言
小説大会銀賞受賞…だ、と!?
放置プレイ上等小説に投票有難うございました!
本当に感謝感謝感謝感謝の嵐です!
おこがましいですが、これからも宜しく頂けると幸いです<(_ _)>
あと諸連絡(?)ですが、Ghost様に外伝小説を書いていただくことになりました!本当に有難うございます。
人とのつながりって本当大切なんだなあ…
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- Re: Veronica -オリジナル募集中- ( No.44 )
- 日時: 2011/02/16 20:56
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 9nPJoUDa)
- 参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.
アイゼン共和国。西方に存在する———大国とは言えないが———歴史ある古いこの国は、経済、特に重工業・兵器産業が発達しており、アンバー種の商人等が行き来する国である。
穏やかな気性である紅の髪の種、スピネル種が主であるこの国は、エターナル帝国との関わりがある一方で裏では帝国汚職貴族と関わりネージュ王国に武器を密売している。
主に外交を担当している、アゲート種のフレイ=ヴァン=ヴァナヘイムは先程アイゼン共和国の大物政治家と話を着けてきたばかりである。
今、彼はアイゼン共和国に居た。会談の直後でまだ共和国の政治の中心であるヴァイマァル宮殿———この国には形式上の"国王"がいる———の客室でお茶を飲んでいた。
「———うむ…。ビスマルク、君は少し浪費癖を押さえた方が良い、そう思うぞ」
廊下から若い女性の声がし、フレイの"女性センサー"が素早く反応した!
———スピネル種、二十一歳独身女性!!キタコレ!!
フレイの橙の髪が一本、アンテナのようにピンと立つ。女誑し、女好きのこの男は目を輝かせ、座っていたソファーから物凄い勢いで立ち上がった。
「そうですか、お嬢…?己れはお嬢に似合うと思い、特注の"ゴシックロリータ"と呼ばれる服を五着ほど購入しただけですが」
女性の声とは対極的な、野太く低い男の声が響いた。よく通る声である。
「着なければ意味ないと思うが…」
呆れるような言い方で女性は返した。男の唸り声が聞こえる。
———男アリか……
フレイは眼鏡をくいと押し上げた。眼鏡がキラリと光る。
———しかし、そんなこと私には関係無い!! この美しき肉体!整った顔!女性をエスコートする…素晴らしきこの精神!!全ての女性は私に魅了される運命なのだ!!!
クックック…とフレイは低い笑い声をあげた。———馬鹿である。
本能に身を任せたフレイは 何 故 かその場から跳躍した。
* * *
リーゼロッテ=ルーデンドルクは溜め息を吐く。銀狼の顔をし、二メートルを優に超す従者ビスマルクの浪費癖についてだ。
自分の、最も信頼できる従者であるが、少々浪費癖があるのがたまに傷である。人間離れした彼の外見だが、リーゼロッテは見た目などに惑わされない。男の本質を見極め、彼を信じている。
「———怒ってます?」
ビスマルクは、三十センチほど背の低いリーゼロッテの表情を窺うように銀色の頭が女性の顔と同じ高さになるよう、身を低くした。左目を紅の髪で隠し、現れている右目は鋭い。
髪と同じ色の目は鋭い眼光をビスマルクに向けている。
「良くそこまで多くの無駄遣いをできたなと———君には少々浪費癖があるんじゃないかとそう思うぞ?」そんなこと分かりきっていたのだが、とリーゼロッテは言い終わってから付け足した。「服飾品だけでも軽く百万プラッタは超えているのではないか?」
「己れは、美しいお嬢をより美しくするために…っ」
銀狼は拳を強く握りしめる。筋肉質の体は、アイゼンの軍服に包まれている。
「———ビスマルク…君は少し自覚した方が良いと思う」
呆れるような瞳をビスマルクに向け、呟くように小さな声で言った。
その時、突如人影のようなものが現れ、リーゼロッテの細い腕を掴み、両手を握った。
「おお———麗しのマドモワゼル…。紅花の髪と瞳を煌々とさせ——、嗚呼ッ!その美しさに私の目は潰れてしまうっっ!!!白のブラウスと黒のロングスカート!!そして紅の髪と瞳…。素晴らしき色のコントルルァァァ————ストッッッ(※巻き舌風)!!!!
オオオオオッ!美しい、美しい女性だ、貴女は!!
その腰まで伸びる紅い流れに私は溺れたい………———。さぁ、どうでしょう?今からこのフレイ=ヴァン=ヴァナヘイムと共に酒を交えた甘い一時を過ごしませんか?」
眼鏡を掛けたアゲート種の男はリーゼロッテに言う間も与えず長々と鬱陶しく一方的に喋り終わると、彼女のを自分に引き寄せた。
——————ぷち。
リーゼロッテの中で何かが弾けた。
まるで、竜の逆鱗にでも触れてしまったかのように、今までの表情とは全く逆の表情のリーゼロッテはフレイの右腕を掴んだ。優しさの残っている鋭い目つきの整った顔は、今はまるで鬼の様な形相へと変化を遂げていた。
これぞメタモルフォーゼ(違うと思う)。
———やってしまったな、この男…。
呆れた顔でビスマルクは心の中で呟いた。
スピネル種は基本的に穏やかな気性で争いを仲裁することが多いのだが、一度逆鱗に触れるとどちらかが滅びるまで激しく戦いを続け、最終的には相手を道連れに自爆も辞さないという恐るべき覚悟を持っている種族なのだ。
つまり、このフレイ=ヴァン=ヴァナヘイムという男はリーゼロッテの逆鱗に触れてしまったということ。
「おや、強引な女性だね☆」この男はいまだに変化にも気付かず、こんな悠長な言動を残してる。「さぁ!カム・オン!!!」
「———何が『カム・オン』だ!!!!」
リーゼロッテはフレイを軽々と持ち上げる。華奢な女性とは思えない行動だった。
「え?」
次の瞬間、この世のものとは思えない叫び声が周囲に響き渡った。
———種族定義の父と呼ばれている、ロベルト・ジュエルは次のような言葉を残している。
『恐らく、この世に存在する種族の中で最も危険なのはスピネル種だろう。
普段おとなしいものほど怒らせてはいけないという言葉を具現化した、恐ろしい種族である』
その言葉に異論を持つものは、———居ないのだろう。
<Oz.3: Grand Slam-錫杖、両刃、骨牌一人勝ち->
森を進み始めて数時間、一向に景色の変わらない様子に彼らはすっかり疲れ切っていた。
「———だめだぁ!全っ然だめだこりゃぁ」
先ず最初にメリッサがその場にしゃがみ込んだ。
「君がそれでどうするのさ。メルがソレで」
その滑稽な姿をフリッグは見下ろした。
確かに森に入り始めてから何時間経ったのか、鬱蒼とした風景は同じものが繰り返されているようなものだった。狐か何かに化かされたのかもしれない。本当に景色が全く変わらない。
「一回休もう。取り敢えず、アレだ。暗くなってきたし」はぁ、と吐いた息は白かった。森自体薄暗いのだが、徐々に気温が下がってきているので夜に近づいていることは間違いではなさそうだ。「どっかで野宿———もどきの事をした方がいいかもしれない」
「やっぱそう来ちゃう?」
「そう来ちゃう」
まじかよーと叫びながら、メリッサはその場に寝転がった。女という性別だと思うと恥ずかしくなるような、だらしない体勢でごろりと寝転び、足をばたつかせる。
その光景に多々唖然としながら
「メル疲れたんなら休んでなよ。まだかかりそうなんでしょ?」
と優しく声をかけ、リュックから取り出した毛布をそっと彼女にかけた。
「うん」メリッサは大きく頷く。「アタシの追ってるヤツは、情報に寄ればこの森の奥にある廃村に居るらしいから」
フリッグは詳しい話を聞いていない。ただ聞いているのは、多額の賞金首であるカーネリア種の男を探している事と、その男は自分の出身地に戻る可能性が高いといことだけである。
だから、メリッサは森の奥にある村を目指していた。
「メルは休んでて。僕は、食糧とか探してくる」
周囲を見回し、優しく言った少年を心配そうに少女は見て言った。
「迷うでしょ」
「迷わない」メリッサの言葉を優しく否定するように、首を横に振った。「ポチは鼻が良いから、メルのにおいをかぎつければ戻ってこれるよ。それじゃ」
竜を引き連れたフリッグはメリッサと別れ、進んでいった。草木を掻きわけ、奥へ、奥へと。
Next>>46
- 戯言 ( No.45 )
- 日時: 2010/12/10 16:06
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
- 参照: http://west7496.blog25.fc2.com/blog-entry-26.html
◆どうでもいい話。◆
上記URLにて、Veronicaの絵やら漫画やら描いてます。
オリジナルの方も、勝手に私のイメージで描かせて頂いてます(汗 すみませんッ…
キャラ崩壊・絵下手&雑・面白くないです。閲覧は自己責任でお願いします。
(名前が「春風」ですが、朔と同一人物です^^)
- Re: Veronica -オリジナル募集中- ( No.46 )
- 日時: 2010/12/10 15:57
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
- 参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.
* * *
メリッサと別れ、森の奥へと進んでいったフリッグは、少しだけ開けた場所に着いた。相当長い間歩いていたが、食べ物らしいもの等無い。樹の根を食べるなどと言う行為も可能なのだろうが、流石に厳しい。不思議なことに、この森には動物が見当たらない。どこかに潜んでいるのかもしれないのだが、動物どころか魔物すら見かけないので少し不思議に感じた。
辺りは完全に夜である。
「———集落?」
見るからに廃村といった場所に到着した。煉瓦の建物らしい物体は大きく破壊され、それが幾つもある。焼け焦げた跡、銃弾———残された形跡からみると、恐らく戦場になった村だろう。
人一人見当たらない、閑散とした廃村をフリッグはふらふらと歩きまわった。取り敢えず、食料は無くとも寝る場所は確保できる。地面の上で寝るよりも安心に思えたので、取り敢えずメリッサを呼びに戻ろうとフリッグはしゃがんでいた体勢から立ち上がった。
「——————貴様、此処で何をしている?」
低い男の声が、フリッグに向けられ周囲に反響した。咄嗟にフリッグは振り向く。彼と同時に、肩に居たポチも後ろを見た。そこに、銀髪の男が立っていた。
「何をしてるって…。ちょっと森の中を散策してたら迷っちゃって出れそうにないから———食べ物探しに」
男の深紅の瞳を真っ直ぐと見て、フリッグは言った。皮ジャケットを羽織りジーンズを履いた細身のカーネリア種のこの男は、フリッグを観察するかのように見ている。
———コイツは…ッ!?
男の脳裏に何かが鮮やかに蘇った。紅い鮮血、燃え盛る己の故郷。中央に立っているのは、緑の瞳に橙色混じりの金髪の男。冷酷な瞳を此方に向け、卑しく唇を歪めている。
———まさか、な。明らかに等身が違うではないか。
しかし、男にとってその映像に居る男の姿はフリッグに酷似しているものに違いは無かった。
「貴様、生まれは!?種族は!?年齢はッッ!!?」
突然、銀髪の男は声を荒げてフリッグに訊ねた。びりびりと周囲の空気が振動する。耳の良いフリッグは音の騒がしさにヘッドフォンを押さえながらかすれるような声で答えた。
「知らない…ッ。た、多分ジェイド種って奴かもしれない…。拾われっ子だからっ……詳しく知らない!」
そのフリッグの言葉に男はハッとした。
幼いが、声のベースは"あの男"と一緒である。
———そうか。
やっと、見つけたのか。
「も、もしかしてこの付近の人———ですか?」嘲るような笑みを浮かべた男に恐る恐るフリッグは訊いた。「違うのなら、一緒に行動しません?少し離れた場所に、仲間が居るし……もう夜だし。あ、僕はえっと———」
弱腰のフリッグに、男はトランプを一枚、指にはさみながら言い放った。
「我輩に貴様など必要ない。
———名前も言わなくていい、取りあえず死んでおけ」
一枚のトランプが男の指からフリッグを目掛けて放たれた!突然の出来事に反応できずフリッグは避けきれなかったが、トランプは彼のリュックサックに刺さっていた。
「運の良い奴だ。だが、それもどこまで続くだろうかな」
殺意むき出しの男がフリッグを見下しながら彼に歩み寄ってくる。深紅の瞳が闇の中で光り輝いている。
フリッグは首筋に居るポチに囁いた。
「———メルを呼んできて」
ポチは首をかしげたが、彼を一人此処に残すということを理解すると離れたくないという気持ちはむき出しにしながら必死にフリッグにしがみ付いた。
「大丈夫。死にはしないから。敵は恐らく一人だ。だから、メルと二人———お前を入れてなら倒せる。メルが来るまで時間は稼ぐ。
森の中より多少開けてる此処の方が断然戦闘向きだ」
フリッグはポチの頭をそっと撫で、優しく己の体から引き離した。
「——————頼む」
彼の真っ直ぐな瞳を見て、恐らく先程の意志は本物だと悟ったポチは、スピードを出してメリッサの方角へと飛んで行った。
「主を見捨てる竜とはな。やはり竜族は傲慢か」
銀髪の男は、その光景を見た後、フリッグに鼻で笑いかけた。
「そうだね、アイツは拾った僕に恩なんて微塵も感じてないんだろうね」リュックサックから刺さっていたトランプを抜き、男にフリッグは投げ返した。「アンタのだろ?返すよ」
男は何も言わずにトランプを受け取った。そして殺意むき出しの顔でフリッグを見詰めた。
———あのトランプは、何だ?
先程から気になって仕方ない。殺傷能力に長けているとは、フリッグにはとても思えなかった。何か仕掛けがあるのかもしれない。
男が、無差別に四方八方へトランプを投げた。其れはフリッグに当たることなく森の中へと入って行った。
「下手糞(ヘタクソ)だね」
フリッグの頬を汗が一筋流れた。不安と恐怖が自分の中にこみあげてきている。トランプが自分に当たらなかったことに第六感が何かを敏感に感じ取っているようだ。
「さあ、如何だろうな」
男が笑った。唇が斜めに吊り上げられ、狂気に満ちた表情を向けている。
突然、フリッグの躰が吹き飛んだ!
「ぐぅう!!!!!??」
身長一六〇センチの少年は地面すれすれで吹き飛ばされ、廃墟の瓦礫(がれき)に勢いよくぶつかった。瓦礫のとがった部分が右のわき腹に刺さり、フリッグはその痛みに叫び声をあげた。
———何だ!?
先程まで自分の居た場所を見ると、石灰の様な色をした体躯の、鋭く長い牙を剥き出しにしたフリッグよりふた回りほど大きい鬼の様な醜い怪物———オーガが石で出来た巨大なハンマーを持ち、そこに居た。森で一切見かけなかった魔物である。
———何で居るんだ…!?隠れてた、のか…?
わき腹を瓦礫から抜き、立ち上がったフリッグは両手を構えた。
「夜なんだから、寝てろよ———なッッ!!!」
"夜想曲<Nocturne>"!!
振われたフリッグの右手から甘い匂いが発した。刹那、青白い光が周囲の闇を切り裂くようにオーガへと進み、魔物を包みこんだ。対象を眠らせるこの技でオーガはその場にバタリと倒れ、深い眠りについた。オーガの頭には、男の持っていたトランプが刺さっている。
「———役に立たなかったな」
カーネリア種の男はオーガに歩み寄り、そっと頭からトランプを抜いた。すると、抜かれた瞬間にオーガの躰は砂と化し、塵のように風に吹かれて消えた。
「まあいい。まだ居るのだからな———!」
笑い声をあげた男の背後から、怪しく光る物体が幾つも現れた。月明かりにさらされ、それらは姿を現す。———何十匹もの魔物が居た。
* * *
メリッサの臭いを追ってきたポチは、鼾(いびき)を思いっきりかいて眠っているメリッサを発見した。鼻を突いても起きる気配は皆無だ。髪を引っ張っても、肌をつねっても起きない。
「———うひゃひゃひゃひゃっ」
ケタケタと笑い声をあげたメリッサにポチは驚き、思わず彼女から離れた。———寝言である。
「お金、お金、Oh!money!!!」
ポチは、メリッサの頭めがけて炎を吐いてやった。流石に熱かったらしく彼女は飛び起きた。
「あ、アッツ!何すんのさ、グレート=ヴィクトリア三世!!!」
ポチを指差し、メリッサは怒鳴り散らした。だが、ポチはそんなことをしている暇などない。フリッグの身を案じ、ポチはメリッサの服を掴んで引っ張った。
「な、何?何———!?」
混乱する彼女に構わず、ポチは巨大化した。周囲の大木が二、三本ほど倒れた。
「はぁ!!!??」
そして、そのままメリッサを口に咥えて飛び去った。
Next>>
- Re: Veronica-ウェロニカ- ( No.47 )
- 日時: 2010/12/11 12:55
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
- 参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.
* * *
"遁走曲<Fuga>"!
自分の速度を急激に上昇させ、魔物の攻撃をフリッグは避けた。足元に砂煙を立てながら、続けて指揮をする。
"円舞曲<Waltz>"!!
続けて、右手を突き出し、そこから何発も光の弾を連続で撃ちだした。弾は魔物たちを貫く。貫かれた魔物はその場に倒れこんでいった。
"輪舞曲<Rondo>"!!!!
最後に両手を地面に付け、そこを中心に広い範囲に渡って衝撃波が放たれた。竜巻のようにそれは徐々に渦を巻き、魔物を空へと吹き飛ばした後急に消滅し、吹き飛ばしたものを全て地面に落した。
「——————はぁッ…、はッ……!」
胸が苦しくなり、押さえてフリッグはその場に倒れこんだ。ぜえぜえと荒い呼吸をしていた。口の中に血が滲んでいるようで、鉄の味がした。流石に連続で使うのは、フリッグにきつ過ぎたようだ。
「貴様は見かけほど弱くは無いのだな」
銀髪のカーネリア種は至って余裕である。操った魔物を向けているのだから。
「———ッセっっコイなァ!」
咄嗟に起き上がり、男に向かって走った。トランプが放たれ、それを避ける。が、男はフリッグの後ろに居た魔物たちを操りフリッグに攻撃を命令する。攻撃に応戦し、無駄に体力を削る———先程からずっとこの繰り返しである。
「なかなかだ」
男は賞賛しているようだったが、それはフリッグにしてみれば不愉快な物以外なんでもない。何も答えず、フリッグは戦う。
「ケッコー、余裕———じゃん?」
頭上から発された少女の声にハッとし、男は瞬時に空を見上げた。ものすごいスピードで降下してきた人間は、男の眼前に綺麗に着地した。
「誰だ、貴様は」
「ジェームズ・ノットマン—————っしょ?」
現れたのはメリッサだった。メリッサは男を指差し、言った。その言葉に男の顔つきが豹変する。
「貴様も帝国の人間か——————!」
ジェームズと呼ばれた男は眼をぎらつかせ、操った魔物でメリッサを吹き飛ばした!が、彼女は咄嗟にノルネンを手に持ち、地面に突き刺したためそれほど飛ばされずにいた。そのままノルネンから光が発される。それを中心に巨大な魔法陣が描かれた!
「帝国ゥ?アンバー種のアタシがそんなとこに縛られてるワケ無いじゃん?!」魔法陣を底面に、光のドームが現れ一面を覆った。「ジェームズ君、アンタこそ帝国の人間じゃないの?カーネリア種でさぁ!」
「黙れェェェェェッッッ!!!!!」
無数のトランプがジェームズから放たれた。新たに操られた無数の魔物がジェームズを囲う。
「貴様は黙っていろ!我輩の邪魔などして——————死ねッッ!!!」
ジェームズの指示で魔物は一斉にメリッサへと向かった。
「運命聖杖ノルネン・発動ォォッ!!!
"スクルド"!!!」
メリッサの叫びと共にドームが激しく瞬いた。光を浴びた魔物は全て一瞬で消滅した。だが、男は無傷だ。
「我輩の用事があるのはあの男だけだ。邪魔をするな、琥珀の者が!」
一瞬油断したメリッサの胸にトランプが突き刺さった。
———そんな!?
ある程度の魔物を倒したフリッグは、メリッサの方を振り向いた。焦げ茶の髪で顔を隠し、少女はバタリと倒れている。
だが、
「残念、アタシのお財布が挟まってたんで大丈夫でした!」
跳びあがるように起き上がったメリッサは財布を取り出し、見せびらかした。そのまま跳躍し、ノルネンをジェームズの頭上へと振り下ろした。
「ゴキブリのようだ!」
ハッ、と大きな笑い声をあげてノルネンを掴み、少女ごと振った。飛ばされたメリッサは森の中へと勢いよく飛んでいく。
「邪魔者は消えた。あの餓鬼の行った場所には我輩の放った魔物が居る。助けには———来ないぞ」
疲れ果て、しゃがみ込んだフリッグを見下しながらジェームズは淡々と言い放った。
「—————— 一つ、訊いていい?」
「良いだろう」
少年は翡翠の瞳を真っ直ぐと男に向けた。
「アンタの目的は、———僕な訳?」
フリッグの問いかけに、ジェームズは唖然とした。この少年は、何も覚えていないのか———そう、何も。
「貴様は何も覚えていないのか?」
その言葉には、八割のフリッグの質問に対する失望と二割の憎悪が込められていた。顔つきも!声も!等身が違うだけで、"あの男"本人と間違いのないこの少年はこんなことを言っている———。都合のいいことは、全て忘れたのか。
「フッ——————フッハッハハハハハハ!!!!
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
狂った笑い声をジェームズは上げた。それは周囲にこだまし、闇夜を恐怖に染め上げていく。
咳き込むフリッグの首筋に、懐から取り出したナイフをピタリとジェームズはあてた。ナイフの冷たい感触と死への恐怖が、フリッグの首筋を伝って彼の中へと張り込んでいく。
「忘れたのか。なら、それはそれでいい。何も知らずに————————
死ね」
ナイフを首に減り込ませようとしたが、まだあきらめていないフリッグの手によってそれは阻止された。まだ、まだあきらめてなどいない。そのまま力強く、ナイフを押しのけた。
「アンタと僕は、初対面だろ……。知らない奴に殺(や)られたくないし」
音を使ってジェームズを吹き飛ばす。細身の男の肉体に、初めて傷がついた。
「大器晩成……じゃ、なくて。えっとコレは何ていうんだっけなぁ」
フリッグはふう、と息を吐き出しゆっくりと立ち上がった。同じく立ち上がったジェームズは服に付着した砂を払う。
「あ、"起死回生"———————だっけ?」
フリッグの頭から、ヘッドフォンが地面に落とされた。
* * *
「うっさ、い、なぁっ!!!」
杖を巨大化させ、一気に薙ぎ払う"ベルザンディ"の形態になったノルネンを振ったメリッサは叫びながら走る。
この魔物たちはすべてジェームズ・ノットマンのトランプで操れている。彼女は、五十二枚の特定のトランプのみでしか操れないと踏んでいたが、その予想を凌(しの)ぐほどの数をあの男は操っている。恐らく、奴は"トランプ"という物体自体を武器としているということだ。
「多すぎんだよ!」
前方から来たものを全て払う。ノルネンを駆使し、必死に応戦した。———が。
「!?」
メリッサの頭は背後まで回らなかったようだ。突然べたりと何かが貼りつく感覚に彼女の皮膚に鳥肌が立つ。大樹が彼女の背中に当たっていた。———追い詰められてしまった。
「ウソでしょォ!!?」
泣き叫びながら、流れてくる無数の魔物を見ていた。そのうちに、メリッサの周囲すべて囲まれてしまった。
———あの竜はアタシ落とした直後に飛んでっちゃうし!
ポチは、メリッサを落とした直後にどこかへ飛び去って行った。正しく言えば、その前からジェームズの傀儡と化した魔物に追われていたため、自分も下に降り立つ余裕などなかったのだ。
追い詰められ、囲まれ———逃げ道も無い。息が上がり、体力もつきかけている。無駄に高いテンションで文章を盛り上げようとした自分に腹が立った(メリッサがしたというよりは作者が強制的に書いたという)。右手でノルネンを握り直す。ウルズを使用しようと思い、地面に突き刺そうとした刹那、手から杖が滑り落ちてしまった!あまりの出来ごとにメリッサは唖然としてしまった。
———あ、こりゃだめだわ。
死を悟った。まだ死んでもられないのだが、仕方ないのかもしれない。
閉じかけたメリッサの眼は、一筋の閃光を捉えた。
閃光が走った跡に居た魔物は全て一刀両断されている。人の足音を、メリッサの耳が捉えた。
「大丈夫か」
黒いコートを羽織り、一八〇センチほどのアンバー種の青年がそっと右手を差し伸べた。左手には大剣が握られている。青みのかかった艶やかな長めの黒髪に顔を隠しながら、手を握ったメリッサを優しく受け止める。
「———おぅ」
同族に救われた少女は、青年にそっとお辞儀をした。青年もそれをお辞儀で返す。
「アタシは、メリッサ=ラヴァードゥーレ。十七歳で、賞金稼ぎ。アンタは?」
アンバー種には、種族同士の場合、会ったものには必ず自分のフルネームと年齢、簡単な職業の説明をしなければいけないという礼儀作法がある。他種族から迫害されてきた長い歴史の中で、同種族同士はある程度団結しておこうという心構えから出来たものである。その作法に則り、メリッサは青年に自己紹介をした。
「そうか…」メリッサの名を口で声に出さずに繰り返して見てから自分を指して青年は言った。「俺は、レイス。レイス=レイヴェント。旅人だ。年齢は———十八」
「じゅうはちぃ?!」無駄に大げさなリアクションでメリッサはレイスの顔を覗き込んだ。十五センチほど身長が違うため、背伸びとジャンプを繰り返して…だが。
「十八歳」
「ウソだァ…絶対二十歳(ハタチ)超えだよ二十歳」
同じ言葉を何度も繰り返すメリッサの姿に少しレイスは悲しみを感じる。今まで年齢を告げてきた相手は皆同じ反応をしていた。確かに自分は年上に見られる傾向があるが———流石に少しばかり、年齢が近いものくらいには分かってほしいものである。
「一緒に居た、エメラルド種の少年はどうしたんだ…?」
レイスはポーカーフェイスのようで、先程から全く表情を変えていない。同じような表情のまま、メリッサに訊ねた。
「ああ、フリッグね…。って、何で知ってんねん!」何処から出したか不明なハリセンで、軽くレイスを叩きツッコミをした。「なんか襲われてッから、助けに行かなきゃなんだけど数多いは相手強いわ——————」
腰痛ぇー!と最後にメリッサは雄たけびを上げ、腰を摩(さす)った。
「———そうか…」レイスは俯き、握った左手を唇にあてた。どうしようか考えているらしい。
少しばかり考えると、メリッサの眼をしっかりと見て、僅かな笑みを浮かべて言った。
「俺を雇うか?もしも雇うなら、メリッサ———君をオーナーとして、命に代えてでも守ると約束しよう」
「マジか」
メリッサは眼をぱちくりさせた。先程一瞬で魔物を倒した腕前。確かに今まで会ってきた者たちの剣技をはるかに凌駕(りょうが)するものである。———彼となら、ジェームズ・ノットマンを倒せる可能性は低いわけではなさそうだ。
しかし、一つだけ心配事があった。金である。財布の中身は切なく思えるぐらいの金銭しか入っていない———が、いざとなればとんずらすれば良いや!という邪(よこし)な考えがメリッサの頭に浮かび、それを結論としてしまった。
「よっしゃ!頼むわ!!」
メリッサの言葉に、レイスは大きく頷いた。
フリッグの居場所———あの廃墟へは、今までメリッサを追ってきた魔物たちが倒していった樹木などを辿って行けば分かる。
二人のアンバー種は駆けだした———!
Next>>49
- Re: Veronica-ウェロニカ- ( No.48 )
- 日時: 2010/12/11 10:49
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
- 参照: Veronica,Where are you now?
小説データベースに登録致しました!(今更かい
文章を短くするのが と っ て も 苦手な朔なので、かなり苦労した挙句全然説明になってない粗筋(あらすじ)で申し訳ありません<m(__)m>
データベースから見ていただいた方々の中に、
「"紀伝体"って、何だよ!」って方が絶対いると思うので、ちょっと詳しくした粗筋と共に説明したいと思います。
【紀伝体(きでんたい)】
歴史を記述する方法のひとつ。年代を追って述べられる編年体(へんねんたい)に対して、帝紀(帝王の伝記)・列伝(有力政治家の伝記)を中心として、年表などを付け加えた形をとり、人物中心の歴史書の形であるといえる。中国の『史記』によって創始された。日本では『大鏡(おおかがみ)』がこの形をとっている。
*つまり、その時の人々を中心に歴史を描いているというものなのです。古典の授業で司馬遷の史記をやった際にこの紀伝体の説明があり、Veronicaの話の流れに似ているので説明に使わせていただきました。
【Veronica 粗筋】
様々な種族が存在し、生活している世界。
三年前、幼馴染のウェロニカは"オジサン"に殺され、連れ攫(さら)われた。
少年フリッグは、ウェロニカの兄ウェスウィウスから彼女を見かけたという知らせを受け取り、愛竜ポチと共に帝国エターナルに降り立つ。
だが、そこで会ったウェロニカとの再会を機に、フリッグの運命は大きく動き出し、やがて種族や国を交えた問題に首を突っ込んでいく。
そして少年は自分の正体を、"真実"を知ることになるのだった———。
"笑いあり、涙あり、バトルあり、馬鹿さ加減ありまくり(だと良いよね)"の冒険活劇(仮)紀伝体ドラマ、始動。
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