ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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【Veronica】 *人気投票中。参加頼みます!!
日時: 2012/01/15 17:20
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: ikU9JQfk)
参照: http://nishiwestgo.web.fc2.com/index.html/

投票有難うございました!銀賞感謝!!謝辞>>347
記念ということで人気投票やっています。>>350



Veronica(ウェロニカ)
*1世紀ごろエルサレムで活動したキリスト教の伝説上の聖女。ゴルゴタに向かうイエスの血と汗にまみれた顔を拭いたという伝説的聖女。

クリック有難うございます(*´∀`*)ノ
(※小説データベースから来た方はまずこちらへ→>>48
初めまして!
の人が殆どだと思います^^;
過去(といってももう四年くらい経つかも)に"燈(アカリ)"という別名で小説を書いていたものです(笑)

気を取りなおしまして、
初めまして!朔(モト)と申します。
某ゲームキャラじゃなくて、野村望東尼って人の名前が由来です。多分。もしかしたら、春風(←高杉晋作の名)に改名するorほかの場所に出没するかもしれません
期末テスト症候群…心理学的にいえば"逃避"に陥って、小説を書こうと思いやり始めました。ツッコミは心の中のみでお願いします^^
書くの久しぶりで、しかも元から文章力皆無人間なので、いっやー、ちゃんと書けるかなあとか不安ありつつ((オイ
頑張ってちまちま(←)書きたいと思います!

◆Attention
※注意※
・荒らし、悪口等厳禁。宣伝OKです^^いつ見に行くかは分かりませんが汗
・コメントへの返信、小説の更新不定期です。
・誤字・脱字、文章等いろいろおかし(←この場合の"おかし"は"趣深い"ではなく"変"という意味でつかわれています)。ツッコミ大歓迎ヽ(*´∀`*)ノ
・ジャンルはファタジー 一直線(笑)だと思いますけどねえ…(^^ゞ
・グロイのかなあ。怖い話苦手なんでそうでもないと思うけど一応流血表現あり(汗
◆Component
題名:Veronica(ウェロニカ)
作者:朔(もと)
ジャンル:ファンタジー・バトル、 "ツッコミ箇所満載"紀伝体ドラマ。
成分:ツッコミ箇所満載、多少流血表現あり、登場人物がKY、誤字・脱字・文章が基本オカシイ、Not神文
使用方法:ツッコミを入れながら読んでください。「お気に入りに登録しました」や「応援してます」などのコメントが入ると狂喜します。勿論、ツッコミ大歓迎。
2012年度冬の大会にてシリダク銀賞を受賞。本当に感謝感謝の大嵐。
製造日時:2010.11.30

◆Contents
*本編*
登場人物 >>4 (一覧編>>220※ネタバレ有)
まとめぺえじ>>219
歌 >>85(楓様に作っていただいた歌詞です)
Main↓
◇序:recitativo >>3
◇Oz.1: Blast-竜と少年の協奏曲コンチェルト- >>285
◇Oz.2: Norn-運命の女神と混乱の関係- >>286
◇Oz.3: GrandSlam-錫杖、両刃、骨牌の独り勝ち- >>287
◇Oz.4: Obsession-戦意喪失-
・Part1>>57 ・Part2>>58 ・Part3>>62 ・Part4>>64 ・Part5>>68
◇Oz.5: Potholing- 一樹の陰一河の流れも他生の縁-
・Part1>>73 ・Part2>>75 ・Part3>>77 ・Part4>>79 ・Patr5>>84
◇Oz.6: Hallelujah-神様っているのかなあ-
・Part1>>90 ・Part2>>93
◇Oz.7: Engulf-風に櫛(くしけず)り雨に沐(かみあら)う-
・Part1>>94 ・Part2>>104 ・Patr3>>105
◇Oz.8: Sign-夜想曲(ノクターン)に誘われて-
・Part1>>111 ・Part2>>114 ・Part3>>119 ・Part4>>120
◇Oz.9:Nighter-眠れない夜に-
・Part1>>128 ・Part2>>131
◇Oz.10:Howling-母と子(Frigg)、忘れ路-
・Part1>>133 ・Part2>>134 ・Part3>>136
◇Oz.11:Howling-母(Tiamat)と子、追憶-
・Paet1>>141 ・Part2>>145 ・Part3>>146 ・Part4>>148 ・Part5>>154 ・Part6>>161 ・Part7>>162
◇Oz.12:Tagesanbruch-黎明-
・Part1>>164 ・Part2>>165 ・Part3>>170 ・Part4>>174 ・Part5>>189
◇Oz.13・Part1>>198 ・Part2>>210 ・Part3>>218 ・Part4>>223 ・Part5>>226 
◇Oz.14・Part1>>228 ・Part2>>234 ・Part3>>237
◇Oz.15・Part1>>247 ・Part2>>248 ・Part3>>249 ・Part5>>250 ・Part6>>251 ・Part7>>252
◇Oz.16・Part1>>257 ・Part2>>270 ・Part3>>275 ・Part4>>282 ・Part5>>288
◇Oz.17 >>305
◇Oz.18 >>340
◇Oz.19 >>340
◇Oz.20 >>352
◆外伝>>235
作品を十字以内に簡潔に紹介しなさい。↓
『た た か う は な し』!どうだ!!
※参考
広辞苑、ジーニアス英和辞典、ブリタニカ、マイペディア、ウィキペディア等から抜粋。そして、相棒・電子辞書有難う、!!

◆お客様
*葵那 *Neon様 *夏目様 *ラーズグリーズ様 * 玖炉 *雪ん子様 *月夜の救世主様 *ささめ *緑紫様 *楓様 *舞阪 肇様 *ひふみん様 *千臥様 *ち せ(´・・).様 *風様 *X4様 *Vermilion様 *紅蓮の流星様 *Ghost様 *夢姫様

◆連絡
敵陣営 葵那>>96 Neon様>>99 月夜の救世主様>>107 玖炉>>112>>181 舞阪 肇様>>150 ひふみん様>>151 千臥様>>168
大切に使わせて頂きます^^

◆戯言
小説大会銀賞受賞…だ、と!?
放置プレイ上等小説に投票有難うございました!
本当に感謝感謝感謝感謝の嵐です!
おこがましいですが、これからも宜しく頂けると幸いです<(_ _)>
あと諸連絡(?)ですが、Ghost様に外伝小説を書いていただくことになりました!本当に有難うございます。
人とのつながりって本当大切なんだなあ…

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Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.29 )
日時: 2010/12/05 13:50
名前: 雪ん子 (ID: O9GTNW/u)

------(キリトリ)------
*は必須項目

名前【ユールヒェン・エトワール】*
由来【エトワールはフランス語で『星』という意味です】
性別【女】
年齢【19歳】*
種族【アンバー種】*
出身【】
一人称【私】*
二人称【君】*
口癖【いつだって世界に振り回されてるの】

性格【表向きは誰にでも優しく接するが、かなりの皮肉屋でとっつきにくい。アンバー種という国家を持たない社会的少数派だった為に、どこの国でも腫れ物扱いされてきた経験があるのが原因。その為、無意識に寂しがりや。あまり喋らないが、唐突に饒舌になる事がある】*

見た目【癖のある灰色の若干長めの髪に、琥珀色の瞳。くすんだ白色の軍服の様なロングコートと、防寒帽子を身に着けている。背中には大きめな狙撃銃を背負い、肩からは散弾銃を提げている。軍人のような外見。かなりの色白。身長は165前後】*

武器【狙撃銃・散弾銃・高度な回復系魔法】

サンプルボイス【「私はアンバー族、呪われた血筋」「特定の国を持たないアンバーはスパイ容疑をかけられやすいの、戦時中は特にね」「ここは君の国じゃないはずだよ、出てって」】* 

その他【アンバー族だが世界最北端の極寒の地から出たことがなく、普段はネージュ近くの雪山や雪里をウロウロしている。頼まれれば傭兵なども引き受け、極寒の白い死神と呼ばれ、恐れられている。暖かい土地が苦手。両親はまだ赤子の頃に無実の罪を着せられ、処刑されている】

 朔が書くに当たり、出番が少なかったり遅かったり、キャラが崩壊する可能性があります。それでもよろしいですか?

はい【○】 いいえ【】

ありがとうございました

------(キリトリ)------

凄く設定が凝っていますね…
感心してしまいます!!
こんなキャラでよければ使って下さい。
続き、楽しみにしています。

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.30 )
日時: 2010/12/05 14:39
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.

>>29 雪ん子様
コメ&キャラ案有難うございます!
アンバー種はあんまりちゃんとした設定を考えておらず((オイ スパイ容疑を掛けられやすい…等とアイデア貰うべきですな〜と思います。反省(^^ゞ
寂しがり屋なキャラだと、ウェス君メルちゃん、特にフレイ氏がからかいに来そうだな〜…
結構悲惨な運命を辿っているとは…!早くだして絡ませたいものです…

設定は結構アバウトに決めてあるんです((オイ
小学校の頃に書いていた話を、種族と国だけ引っ張ってきて人物と設定をいろいろ変えたものがこれなんです、実は(笑)
いやあ、魅力的な娘さんです!ぜひとも使わせていただきます!!
応援有難うございます!

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.31 )
日時: 2011/01/10 14:30
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.



「いやー、いやいやいやいや」


人に見つからない、狭い路地に入りこんだ二人と一匹。少女は漸くフリッグから手を離した。


「一体、何なのさ」
眉間に思いっきり皺をよせ、睨みつけるようにしてフリッグは訊ねる。

「ホラ、『旅は道ずれ、世は情け』っていうでしょー?あの場に居合わせたんだから、一緒に行くってのが普通じゃん?」
ふふん、と得意げに少女は鼻を鳴らした。身長一六〇センチのフリッグに対し、彼女は五センチほど背が高いようで、妙に彼を見下したように見ている。———実に不愉快だ。


「アタシ、メリッサ。メリッサ=ラヴァードゥーレ!
名前長いからさ。<Melssa>を略して、<Mel>———メルでいいよ」
宙にスペルを書いた後(のち、)メリッサはウインクし、一回くるりと回った。しかし、依然としてフリッグは眉間に深く皺を掘ったままである。

「……マイクロウィルス?」
「何でそうなるのさ」
メリッサは舌打ちした。


「By the way…ところで、何で僕を巻き込んだわけ?」
眼の前で子竜と戯れる少女に、ぶっきらぼうな言い方で訊いた。少女は軽く無視したので、怒ったフリッグは少女の腕を思いっきりつねる。

「痛いっ!ったく、乙女の体に触るとか失礼極まりないなぁ」

失礼極まりないなど、此方の台詞(セリフ)だ。一体奴の行動に何度苛々させられているのか。


「少し黙れ!ポチも遊ぶんじゃない!」

まるで怒り狂う子供のように、顔を真っ赤にした。フリッグはポチの尻尾を掴むとそれを思いっきり引いた。

ポチが悲鳴を上げる。そんなことなどお構いなくフリッグは尻尾を掴んだまま自分の方に引き寄せたポチを睨みつけた。

流石にポチも怒ったらしく、フリッグ目掛けて一筋の紅い炎を吐いてやった。それは彼の髪の毛の先を焦がした。フリッグの負けず劣らず、掴んだポチを、鞄を振り回すかのように振り回してやった。 暫くして、眼を回したポチはぐったりと首を垂らした。



「こっぇえー…。イヤァ、大人しい奴ほど怒らしちゃイケナイってのはこういうコトかあ」

その光景を見ながらメリッサは勝手に感心していた。が、流石にフリッグに睨まれると黙りこみ、姿勢を正した。

「何で僕を巻き込んだのさ。君は……泥棒?」

「うーんっとねぇ…」少女は急いでフリッグから眼を逸らす。「巻き込んだのは、ホラ…近くにいたからで〜……。泥棒じゃなくて、そこにお金があったから…」

痛い言い訳である。


「ホラ!『我思う、故に我あり』って言うじゃん?だから、アタシは『我盗む、故に我あり』ってのをモットーとしていて…』


———それは泥棒だということを認めているんじゃないのか。

外見では見下されているフリッグだが、心の中では思いっきり彼女を見下してやっていた。



 そういえば、先程逃げる際に彼女が出していた<運命聖杖ノルネン>というものは彼女の手から消えている。逃げている最中に、ふっと消えていた。それも、もしかたら盗品なのだろうか。そう思い、フリッグは訊ねた。


「さっきの杖———運命聖杖ノルネンって言うのは?」
「ああ、コレ?」
メリッサは右手に杖を出してみた。

「………それも盗品か」
ふっ、と見下したかのようにフリッグは嘲笑する。メリッサは顔を真っ赤にし、

「違う、それは……多分違う」
と叫んだ。その反応を見る限り———恐らく盗品だろう。

「普通に市場で売買出来るような物じゃないようだね」
「んー。そうだねえ。こーやって自由に出したりしまったり出来るってのは市場に売ってるものじゃあり得ないし。ちょっとしたところで手に入れた、アタシの相棒、かな」

手から杖を消すと、メリッサは再度フリッグにウインクした。どうやらこの少女はそのような行為を非常に好むらしい。


「———見る限りさ、アンタも唯の少年って訳じゃなさそうだよね」
急にメリッサはフリッグの姿をじろじろと見始めた。


「何さ」

「よし、決めた!」


フリッグなどにお構いなく、彼女は自分のペースで進めているようだった。腕をポンと鳴らし、フリッグの顔を改めて見て、言った。



「アンタ、暫くアタシに付き合ってよ」





 * * *



———まただ。

隠れるように寝転がっていた大樹の根から、男は起き上がった。額には汗が滲んでいる。銀髪を掻きあげ、ぜえぜえと荒い呼吸を整えた。

———またあの夢だ…。

鬱蒼とした森林の中、周囲に響き渡る魔物や鳥、動物の鳴き声を耳にしながら男は眼をあける。カーネリア種独特の深紅の瞳が鋭く光った。



「———我輩はどうしてあの夢ばかり見る。関係など無いのに…な」

低い声で男は呟いた。毛布代わりに体に掛けていた皮ジャケットを着て、森の奥深くへと歩き出す。




「——————やぁーっと、見つけたわ」

軽快だが、何か不安のある青年の声が森に響いた。男はその声に瞬時に反応し、振り向く。


「ジェームズ・ノットマン。カーネリア種、二十二歳、えぇーっと…」

ウェスウィウスだった。くしゃくしゃのメモ用紙を見ながら頭を掻き、男をちらちらと見ながら独り言のように喋っている。



「やっぱりお前がそうだよな、ウチんとこの兵士殺って回ってる奴ってのは」

ウェスウィウスは銃を、ジェームズと呼んだ男に向けた。銀の銃口がジェームズを捉えている。



「ああ、俺も名前名乗った方が良いか…?俺は———」

ウェスウィウスが名を言いかけた瞬間にジェームズから一枚のトランプが投げられた。それはウェスウィウスすれすれの、顔のすぐ隣の樹の幹に刺さっていた。



「———帝国の奴に興味などない。取り敢えず死ね」
「マジかよ」
殺意むき出しの男にウェスウィウスは焦りを隠せないでいた。出来れば奴は殺したくないものである。


「止め、だ!」怒鳴るように声を上げ、青年は銃をホルダーにしまった。「お前とは戦えない!」

「貴様は…何だ。言ってることやっていることがコロコロと変わって不愉快だ」
ジェームズはトランプを持ち、投げようと構える。


「———どうせ、お前みたいな奴を説得する奴が現れると思うからさ。ソイツに無理矢理まかせてみようかと思って」

ウェスウィウスはジェームズに二コリと笑って、もと来た道の方を向いた。背中を向けながら言う。


「じゃ、また会えれば良いけどな…今度は出来れば味方同士、で。
—————————殺さないでくれよな」
「意味不明な奴だ」

仕方なくジェームズはトランプをしまう。別に自分に敵意を向け、攻撃してこなければ殺す必要もない。自分だけ良ければいい、というのが彼のポリシーなのだから。


 ウェスウィウスが立ち去ったのを確認すると、ジェームズは森の奥深くへと入って行った。







「あ"ーっ…死ぬかと思った」
ジェームズと別れた直後にウェスウィウスから漏れた第一声は、これだった。


Next>>32

Re: Veronica  -オリジナル募集中- ( No.32 )
日時: 2011/01/10 14:35
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.

* * *

『どうしてあんたなんかに付き合わなくちゃいけないのさ』


不服そうにし、去ろうとするフリッグをメリッサは彼の服を掴んで止めた。

『アタシの本職に付き合ってよ〜!追われてるしさぁ…。困った人を助けるのは、ホラ…道理じゃん?』
 


 数十分前、突然メリッサは遠出する支度をして来いとフリッグに命じた。

訳も分からないまま、ベテルギウスに戻り自分のリュックサックを持ってきた。コレットには取り敢えず出かけておくとだけ伝えておいた。

ウェスウィウスが来ようが来なかろうがもうどうだっていい。ウェロニカと接触したのだから。



 彼女のことなどどうだって良かったのだが、どうも断る気にはならない。何か、彼女は知っている気がしtならなかった。少しぐらいなら付き合ってもいい気がする。



 そして少年と子竜は、メリッサに自分の名前を名乗ったのち、強引に駅へと連れられ、列車に乗せられた。




 * * *



 永雪戦争。帝国エターナルとネージュ王国による二次にわたる戦争の事だ。

国境にあるネージュのスノウィンという集落に帝国が攻撃を仕掛けたことにより勃発し、十五年前に漸く終結した。その戦争が人々に残した爪痕は大きい。ウェスウィウスが受けている傷もその一つだった。


「一般的には、産業革命で飛躍したネージュに危険を感じてたたきつぶしに行ったとか、スノウィンの領土が欲しかった———って言うでしょ?
でもねえ、ほんとは違うらしいんだよねぇ」
にやにやと黄褐色の瞳を光らせながら、メリッサは喋っていた。

「スノウィンには、古代に繁栄していたジェイド種の残した強力な武器があって、それを使って世界征服を企んでたってワケ。だから、二度にまで渡って侵攻したんじゃないかって一部では考えられてるらしい」
「ジェイド種?」

眼の前の席に座り、饒舌に喋るメリッサにフリッグが訊いた。


「翡翠の種とも言うんだって。翡翠の様な瞳に暖色の髪を持っていて、最大の特徴は"絶対音感"っていう、聞き取った音を武器化する特殊な能力を種族全員が持っているってことらしいの。

その能力のおかげで古代では世界の覇者として君臨してたんだけど、流石に不満を募らせたジェイド種以外の種族が一致団結して、戦争、弾圧———最終的には種族根絶やしにされたらしいんだよねえ。滅びたのは———今からえっと、大体千年くらい前かな?」




 "何故なら我ら翡翠の種が再び繁栄する時代が来るのだから"



 "我ら翡翠の種が再び世界に君臨するのだ!"



あの日の"オジサン"の言葉が、フリッグの中で何度も繰り返して再生された。リピートを切ろうとしても流れ続ける。



「アレ?そういえば、フリッグってエメラルド種?
今、ジェイド種について話してたらどうも特徴が似てるような気がして…」

メリッサの言葉に、はっと現実に戻された。頭の中の声が止む。


「メル………。実は、分からないんだ」

俯きながら、低く小さな声でフリッグは答えた。

「———は?」
「今、メルの言ってたジェイド種の特徴全部に僕は当てはまる…。エメラルド種とは違う、深い緑の眼だし、橙色のかかった金髪だし———聞いた音を操る能力がある」


「なっ、何いってんのさ!生き残りなんて確認されてないし、滅びたのは千年前!!そんな訳無いじゃん、気の所為だよ、気 の せ い!!!」

声を荒げながらも、メリッサは優しくフリッグの肩を叩いていた。

「———強力な武器って…何?」ふとフリッグは訊ねた。「メルはそれを探しに行くのに、僕を連れていくの?」


「先ず第一の問いの答え。強力な武器ってのは、アタシの持ってる運命聖杖ノルネンもそう」
メリッサはノルネンと呼んだ杖をまた出した。


「ジェイド種の"絶対音感"で作りだした、人の常識を軽く超える武器———"神器"の一つ。
コレは、帝国の南方にあるアースガルドっていう国のとある遺跡から入手したヤツ。全部で三つの形態があるらしくてさっき逃げる時使ったのは過去の状態に戻す<ウルズ>って形態。気付いてなかったと思うんだけど、動けなくなった人たちは動けなくなる直前の行動に戻って止まってたんだよねぇ」


思い返してみれば、あの者たちは止まった時に一歩程度下がっていたような気がする。
「それじゃあ、アンタはその"神器"っての探しに行くんだ」
「いーや、違うよ」
琥珀の瞳が怪しげな光を纏った。




「アタシの正体は賞金稼ぎ。とある賞金首を追ってる。
一人じゃ倒せそうにないから、偶然会ったアンタを連れてくのさ!」

 つくづく、とんでもない女であると思う。


* * *


———『来るなっ!忌み子(いみご)が!!!』

投げられた石礫(いしつぶて)が頬を掠めた。妙にそこがすーすーするのは血が出ているからだろう。

『お前みたいな奴が此処にいるんじゃねえ!!!』
力強い拳(こぶし)で強く躰を殴られた。宙に飛んだ小さな躰は雪の中に埋もれる。

『帝国人が此処に居る場所なねえんだよ。早く消えろ!!!』

そう罵った後、辺りは静かになった。子供の躰は雪の中に埋もれていたため、音しか聞き取る術は無かった。



———なんで?



起き上がった子供は、灰色の雪空を見上げた。

『なんで、みんな僕をなぐるの———…』
———ああ、コレの所為だ。

子供は右目に血のにじんだ両手をやった。


『この紅い眼の所為なんでしょ!!!!!!』

あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!獣のように咆哮した子供は右目を抉(えぐ)ろうとした。


———こんなもの、要らない!


同じような紅い眼をしていた人が、自分の周囲の者たちを殺していた———。同じなんだ、自分はそいつらと同じなんだ!!!

父さん、父さんそうなんでしょ!?僕も同じなんでしょ!!!!






『ウェス!!!止めなさいッッ!!!!』



 女性の叫び声がした。その声に気付き、子供は先程までの行動をぴたりと止めた。

 子供に近づいた女性は、子供の小さな両手を持ち、その後そっと躰を抱きかかえた。

『だめでしょ…ウェス。そんなことしちゃ……』
『母さん——————』

子供の両目から、涙が流れた。抉ろうとした右目は無事だった。


『ごめんね、ごめんね———』

母と呼んだ女性は、抱きしめながら泣いていた。


 "ごめんね、ごめんね、ごめんね——————"





———右目が、痛い。

ふと右目に痛みを感じたウェスウィウスは起き上がった。ジェームズ・ノットマンを逃がした(逃げたとも言う)後、彼は自分の家に戻って寝ていた。痛みを感じる右目を右手で抑える。


 昔の夢を見たようだった。自分を嘲笑するように、笑みを浮かべた。嗚呼、あれから一体何年経つんだろうか。


「———くそったれ」

 思わずそんな言葉が零れた。

 多分、それは自分の"故郷"に向けて放った言葉だった。


———ウェル、お前今どこに居る…?お前今何してる…?


 父母を同時に亡くしたあの日、強く握りしめた妹の小さな手のぬくもりは忘れない。これから自分は、この小さな妹を守ってやらなくてはならないのだ。


 そして、何も言わず、泣きもせず、ただ真っ直ぐと現実を見ていた"弟"の躰を引き寄せ、頭を撫でた事も忘れない。———お前は、迷惑をかけないようにとこらえていたよな。

 フリッグには、話さなければならないのだろう。ウェロニカが如何なっているのか、そして彼女と自分たちとの関係を。
 

 いつまでも、逃げているわけにはいかなかった。

 明日、また明日と自分はフリッグに会うのを先延ばしにしている———早く言ってやらねば。

 彼(か)の賢者、アルヴェルド=ケイロンはこう残している。


 "真実は、時に残酷である。
  
 しかし、それを受け止めるものと受け止めないものによって大きく運命は変わるものなのだ"、と。


Next>>38

Contents ( No.33 )
日時: 2011/01/24 18:55
名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.

各話詳しく説明な目次です。


◇Cast. >>4 (※随時更新予定)
◇World. >>5 (※随時更新予定)
◇Pict >>45(←朔の描いた絵とか漫画)

*本編*
○"Oz"は、"オズの魔法使い"のオズから取りました。特に意味なしです((

◇序:recitativo >>3
*recitativo:レスタティーヴォ【イタリア】
 話し言葉の抑揚を模倣し、または強調して、語るように歌う声楽様式。叙唱。

◇Oz.1: Blast-竜と少年の協奏曲コンチェルト-
・Part1 >>6 ・Part2 >>7 ・Part3>>8 ・Part4>>17 ・Part5>>18 ・Part6>>19 
・第一話ぐだぐだ語録(読み終わった方推奨)>>25
○第一話のつもりなのに、長い!まぁ、漫画とかでも第一話が長い時あるじゃんねとか言い訳してみる((オイ
えっと、1パート約3000字で打ってるんで、全部でアバウト1,8000字です(((汗

◇Oz.2: Norn-運命の女神と混乱の関係-
・Part1 >>26 ・Part2 >>31 ・Part3 >>32 ・Part4 >>38
・第二話ぐだぐだ語録(読み終わった方推奨)>>42
○やっと第二話((おせーよ
第二話から漸く参戦!な子たちも見えたり隠れたりしてます。バトル場面全く無いってね…(汗
全部でアバウト12,000字。これから何話かに分けて人間関係がぐちゃぐちゃーっとしてきそうです。

◇Oz.3: GrandSlam-錫杖、両刃、骨牌の独り勝ち-
・Part1 >>44 ・Part2 >>46 ・Part3 >>47 ・Part4 >>49
・第三話ぐだぐだ語録(読み終わった方推奨) >>59
○オリジナル参戦しまくり!かな?
この話の考案中、ラストの大まかな流れが決定。
しっかし、バトル、バトル、バトル———ってバトルな描写嫌い〜な私にはとにかく苦戦しまくった回。読み直してみればギャグ少ないしorz
これもアバウト12,000字っていい加減にしようぜ☆自分v

◇Oz.4: Obsession-戦意喪失-
・Part1 >>57 ・Part2 >>58 ・Part3 >>62 ・Part4 >>64 ・Part5 >>68
○この回は、あれですね。うん、いろいろ大変でした。何が大変かって登場人物の数が大幅に増えた事(笑)
謎の男(通称吉岡君)の正体やらなんやら早く書きたいとか思いつつ((
この回、レイス君が勝手に動いたのを覚えてます。
これは前回から増えてアバウト15,000字だと思います(おま
本当毎回3,000字投稿するな!って話ですね(汗

◇Oz.5: Potholing- 一樹の陰一河の流れも他生の縁-
・Part1 >>73 ・Part2 >>75 ・Part3 >>77 ・Part4 >>79 ・Patr5 >>84

○私は"罪男"・"罪女"が好きだということを自覚した(意味不明)
セティ君がやっと参加、次の布石になるような話にしたいです!!
バトル描写を指摘され、増やしてみた結果大変なことに…orzジャンルがファンタジーなだけに厳しいッ(;´Д`)
あれ、今回長いなあ。アバウト15,000字だと思います。毎度申し訳ない

◇Oz.6: Hallelujah-神様っているのかなあ-
・Paet1 >>90 ・Part2 >>93
○正直リュミちゃんごめんなさいぃいぃぃ!!!!
ウザいヘルのおばs…お嬢さんも登場だわ、意味不明だわ、本当訳わからんわ!な回。
そしてやっとクラウドとユーが僅かに出始めるという…本当申し訳ないです。
今回は減って、アバウト6,000字です。

◇Oz.7: Engulf-風に櫛(くしけず)り雨に沐(かみあら)う-
・Part1 >>94 ・Part2 >>104 ・Patr3 >>105
○糞餓鬼二号(=フォルセティ)登場wフレイ氏の誘拐発覚ですね、マジ。まぜこぜ昔話が一番気に入っているかもしれん(^^ゞ
今回も少なくっていうか、これくらいが丁度いい?って感じのアバウト9,000字。

◇Oz.8: Sign-夜想曲(ノクターン)に誘われて-
・Part1 >>111 ・Part2 >>114 ・Part3 >>119
○ついに明らかになったフリッグの正体!?いやでもまだ明らかではないんです。ごめんなさい。
敵も出てくるわ、なんかもういろいろ鬱陶しいわとどんな回なんだか。
しかも今現在でアバウト9,000字……馬鹿野郎w

*外伝*
○Biographyとは"本伝以外の伝記"=外伝という意味合いで付けました。番外編っつー事です。

◇Oz.Biography1: OtherEyes-とある竜のとある日常-(雅様キリリク) ・Part1 >>69 ・Part2 >>72
○「ポチ目線の日常」というコトでほぼ空気のペットポチが主人公(笑)。ネタバレを含まぬようにポチには頑張ってもらいましたぁ。
本来こういうお馬鹿な話の方が得意なので愉しかったです^^
ちなみに本編より先にリュミちゃんが変貌してしまった…(笑)

◇Oz.Biography2: Noel-聖夜-(玖炉様キリリク) >>82
○くろからのリク。クリスマスに間に合わなくて本当申し訳なかった<m(__)m>
世界観的にクリスマスとかっていうイベントは無い感じだからどうしようかと思った結果凄くぐだぐだになってしまった気が…汗
取り敢えずこの四人はこの四人で最高だと思う。うん!


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