二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
- 日時: 2013/04/14 15:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394
今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。
参照をクリックすれば前作に飛びます。
では、英雄達の新しい冒険が始まります……
皆様にお知らせです。
以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
となっています。
皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。
登場人物紹介等
味方side>>28
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624
目次
プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695
第十六幕 錯綜
一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756
第十七幕 決戦
零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕
>>774 >>812 >>818
最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851
2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825
あとがき
>>852
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171
- Re: 297章 天道虫 ( No.344 )
- 日時: 2011/10/19 16:18
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
テッコンボの拳とメタゲラスの角が激突し、お互い激しく競り合う。
だがそこは、やはり攻撃力の高いメタゲラスの方が優勢で、じきにテッコンボは吹っ飛ばされる。
「止めだ!グラビティコア!」
メタゲラスは宙を舞うテッコンボに、超重力の黒い球体をぶつけ、押し潰す。
「テッコンボ!」
地面にクレーターができ、その中央でテッコンボは倒れていた。
戦闘不能だ。
「……よくやったテッコンボ。戻れ」
シバはテッコンボをボールに戻す。
これでシバの残りの手持ちポケモンは、あと一体。
「俺のポケモンを四体も倒すとは、相当な腕前だな。しかし最後の一体は、今までとは違うぞ。今までの力は俺一人の力。しかし、この一体は、俺の友の力でもある」
そう前置きし、シバはボールを構える。
「見るがいい、俺の最後のポケモン。ウー!ハーッ!行け、レディバル!」
シバの最後のポケモンは、五つ星ポケモンのレディバル。
天道虫を擬人化したような姿で、足が宙に浮いている、虫・格闘タイプのポケモンだ。
「虫タイプ……? ……なんか意外だな……」
イリスはシバと出会ってまだ一時間程度だが、それでもシバの今までのポケモンを見るに、もっとゴツイ感じのポケモンが出てくると思ったが、存外そうでもなかった。
むしろ愛嬌のある顔をしている。
「このポケモンは、格闘タイプだけでなく、虫タイプも含むポケモンだ。俺と同じ四天王に、毒タイプを使う、変幻自在の忍者がいた」
シバは思い出を語るように、そう言い出す。
「俺は任期中、その者から力だけでなく、相手を惑わす術を教わった。虫タイプは毒タイプとは違うが、それでも通ずるところはある。我が友から借り受けた力、とくと感じるがいい」
そしてシバは、レディバルに指示を出す。
「レディバル、攻撃指令!」
レディバルはどこからか無数の天道虫を呼び出し、メタゲラスを襲わせる。
メタゲラスは確かに硬いが、それは装甲が硬いという意味であって、決してその中身は硬いとは言えない。
なので小さな天道虫はメタゲラスの装甲の間を縫うように蠢き、急所を的確に攻撃してくる。
「くっ……メタゲラス、虫なんかに構うな!アイアンヘッド!」
メタゲラスは天道虫を弾き飛ばすような勢いで、レディバルに突進するが
「かわせ、レディバル」
レディバルは跳躍し、メタゲラスの攻撃を回避。さらに宙に浮かぶ足を足場にし、その場で停止する。
「攻撃指令」
そして無数の天道虫を呼び出し、メタゲラスを攻撃。
一体一体の攻撃は弱いし、効果もいまひとつなのだが、如何せん急所をほぼ確実に突いてくるため、メタゲラスには思った以上にダメージが蓄積されていく。
「くぅ、鬱陶しいな……天道虫はさっさと冬眠でもしてろ。メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは地面から土砂を噴射して多くの天道虫を地面に埋め、さらにレディバルにも攻撃するが、案の定レディバルは簡単にその攻撃をかわした。
「ならこれでどうだ!グラビティコア!」
メタゲラスは超重力の黒い球体を作り出してレディバルに叩きつけようとするが、レディバルは足場を巧みに使い、グラビティコアを回避。そしてメタゲラスから距離を取る。
「メタゲラス、ストーンエッジ!」
メタゲラスは鋭く尖った岩を無数に浮かべ、それらを一斉に放つ。
「問題ない。レディバル、全て叩き落せ。雷パンチ!」
レディバルは電撃を纏った拳を連続で繰り出し、襲い来る岩を全て粉砕する。
「攻撃指令!」
そしてまたも無数の天道虫を呼び出してメタゲラスを攻撃。いくら効果いまひとつとはいえ、何度も喰らえばダメージが蓄積し、いずれは力尽きる。
「くぅ、メタゲラス、アイアンヘッド!」
メタゲラスは鋼鉄の頭を突き出し、レディバルに突進するが
「レディバル、防御指令」
レディバルは攻撃指令と同じように無数の天道虫を呼び出すが、その天道虫はメタゲラスを攻撃せず、レディバルの正面に集まり、レディバルの盾となる。
その天道虫達はメタゲラスのアイアンヘッドを受け止め、しかも動きまで止める。今のメタゲラスは、隙だらけだ。
そして
「決めるぞレディバル、インファイト!」
レディバルはパンチ、キックなどを残像が見えるほど高速で繰り出し、メタゲラスを攻撃。
最後のストレートパンチでメタゲラスをふっ飛ばし、地面に叩きつける。
「メタゲラス!」
見ればメタゲラスは目を回しており、戦闘不能だった。
「くっ……戻れ、メタゲラス」
これでイリスの残り手持ちも、あと一体。
「ディザソルじゃタイプ的に不利過ぎるな……だとすれば、最後はお前だ。頼んだぞ、エルレイド!」
イリスの最後のポケモンは、エスパーにレディバルと同じ格闘タイプを有するエルレイドだ。
「エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドは刃に纏わせた念動力を飛ばす。
「レディバル、防御指令」
レディバルは呼び出した無数の天道虫で盾を作り、サイコカッターを防御。
「攻撃指令!」
そして攻撃用の天道虫を呼び出し、エルレイドを襲わせ、さらにレディバル自身も突っ込む。
「来るぞエルレイド。アイスブレードで迎え撃て!」
エルレイドは氷結させた二つの刃を構え、天道虫と、レディバルを見据える。
ふぅ……今回もすっきりしない終わりですね。さてシバの切り札ですが、レディバルです。厳ついシバには似合わないレディバルです。ちなみにこの章内で出て来る友とは、ムロタウンの彼ではありません。同じ四天王の彼です。確かポケスペでは、この二人は結構親しい間柄だった気がするんですよね……まあいいです。レディバルは指令系統の技と自らの拳を巧みに使い、エルレイドと戦います。対するエルレイドは二つの刃でレディバルにどう対抗するのか。次回もお楽しみに。
- Re: 298章 使役 ( No.345 )
- 日時: 2011/11/02 23:39
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「レディバル、雷パンチ!」
「エルレイド、アイスブレード!」
レディバルは攻撃指令で呼び出した天道虫とともに、拳に電撃を纏わせてエルレイドに飛び掛かる。
エルレイドも氷結させた刃を振るい、襲い来る天道虫を切り裂いていく。
しかしレディバルの拳を受け止めたところで天道虫が後ろから攻撃。体勢を大きく崩してしまう。
「そこだ!雷パンチ!」
レディバルは再度拳に電撃を纏わせ、エルレイドを殴り飛ばす。
「追撃だ、攻撃指令!」
レディバルはさらに天道虫を呼び出し、吹っ飛ばされているエルレイドを襲わせる。
「ぐぅ、エルレイド、リーフブレード!」
エルレイドは草木の力を刃に宿し、体に纏わりつく天道虫を切り裂く。
「サイコカッター!」
そして地面に着地。念動力の刃を飛ばすが
「防御指令だ」
レディバルは防御用の天道虫を呼び出し、その刃を防御する。
「……確かにこれは、変幻自在だな。まるで付け入る隙がない」
攻撃時は天道虫とともに攻撃し、天道虫を払おうとすれば拳が飛び、拳を受けようともすれば天道虫が襲い掛かる。
防御時も天道虫を使役して上手くダメージを避けている。これは虫と格闘の混合タイプだからこそできる芸当だろう。
「休ませんぞ。レディバル、雷パンチ!」
レディバルは拳に電撃を纏わせ、エルレイドに突っ込む。
「エルレイド、アイスブレード!」
エルレイドも刃を氷結させて迎撃の態勢を取るが
「攻撃指令!」
レディバルはすぐさま無数の天道虫を呼び出し、エルレイドへと向かわせる。
「可能な限り切り裂け!でも、レディバルの攻撃だけは喰らうな!」
エルレイドは襲い来る天道虫を片っ端から切り落としていき、レディバルの拳も避けきったが、しかし天道虫の攻撃は四方八方どこからでも来るので、全てかわし切るのは不可能だった。
「エルレイド、ドレインパンチ!」
エルレイドは天道虫を掻き分けるように淡く光る拳を突き出し、レディバルを殴り飛ばす。
初めて、レディバルに攻撃が通った。
「むぅ、想定通りならば一撃も喰らわず勝利を収めるはずなのだが……しかし、あくまでも推測だな。レディバル、攻撃指令!」
レディバルは呼び出した無数の天道虫に、エルレイドを襲わせる。
「エルレイド、アイスブレードだ!」
エルレイドも氷結した刃を振るうが、天道虫はやられどやられど湧いてきて、とにかくエルレイドを攻撃しまくる。
「雷パンチ!」
そして、レディバルの拳が飛んでくる。
エルレイドは丁度刃を振り切った状態だったのでその拳を避ける事ができず、結果として体を折り曲げ、体勢を大きく崩してしまった。
それにより天道虫達も一気に畳み掛けてきたが、それ以上にレディバルの猛攻が凄い。
「レディバル、インファイト!」
レディバルは残像が見えるほど高速でパンチやキックを繰り出し、エルレイドを攻撃。エルレイドはただただやられるばかりで、最後のストレートパンチを喰らって吹っ飛んだ。
「エルレイド!」
効果いまひとつとはいえ、インファイトは格闘タイプの技の中ではトップクラスの威力を誇る。レディバルの攻撃力も高いので、まともに喰らえば戦闘不能になることもあるだろう。
しかしエルレイドは運がよく、全身ズタボロではあるがまだ戦闘不能ではない。
エルレイドはゆらゆらと立ち上がり、瞳に戦意の炎を灯す。
「エルレイド……」
だがこの時揺れていたのは、エルレイドよりイリスの方だった。
何故かエルレイドがやられる姿と、ミキを重ねてしまったのだ。
「くっ……」
イリスの脳裏には後悔の念がよぎる。今はそんな状況でもないのは百も承知だが、しかし頭から離れない。
「……悩みは、まだ解決しないか」
唐突に、シバは言った。これはシバの特訓に無理矢理イリスがつき合わされているようなものだが、シバは一応、イリスの悩みを解決しようとする気はあるらしい。
それを悟ったのか、もしくは無意識にか、イリスは実名を伏せて、ミキがさらわれた経緯を話す。
「……あの時僕が引き止めたから、その娘は囚われてしまった。あそこは、彼女の意思を汲んであげるべきだったというのに……」
勿論それは結果が分かっての対応ではあるが、しかしイリスはそう思ってしまうほどに追い詰められていた。
「……それは試練だ」
唐突に、またもシバは言った。
「し、試練……?」
「そう、試練」
あまりにも意外なシバの言葉に、イリスは面食らう。だがシバはそれに構わず、話を続ける。
「それは二つの試練だ。お前と、お前の弟子。二人に対する試練。お前は弟子を救うために奮起し、敵を倒す。弟子は師の力を借りずに、鍛えた自らの力を持って生還する。それが、試練の内容だ」
「え……」
イリスは困惑している。
その二つには多少の食い違いがある上、シバはほとんど何も知らないに等しい。そんな状態でこんな事を言われれば、誰だって困惑する。
「……まあ、そう思えという話だ」
ズルッと、イリスはその場でズッコケそうになる。
「どんなものであれ、考える視点を変えれば、楽になるものだ。最終的にやることが同じならば、無理して苦の道を歩む必要もあるまい」
言ってシバは、目付きを変える。これは、戦いの時の目付きだ。
「さあ、あとはおまえ自身で考えろ。それも、師匠の務めだ」
「え、あ……はい」
イリスは困惑気味なまま、そう返す。
(考える視点を変える、か……)
ああ、またも終わりが微妙に……でも、これ以上伸ばすと文字数が……まあ、いいですか。さて今回はエルレイドが見事にフルボッコにされています。レディバルの天道虫、半端ないですね。次回はイリス対シバ、そろそろ終結となります。というわけで、次回もお楽しみに。
- Re: 299章 視点 ( No.346 )
- 日時: 2011/10/19 23:16
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「レディバル、攻撃指令!」
レディバルは無数の天道虫を呼び出し、エルレイドを襲わせ、さらに自分も前へと出る。
「またか……!」
正直この攻撃、かなり厄介だ。威力が高いだけでなく、こちらの急所を狙ってきたり、さらに避け難い。そんな多角的に襲い掛かる攻撃は、エルレイドからしたら非常に厄介なのだ。
「にしても、この天道虫はどこから——」
とそこで、イリスはふと思い至った。
もしかしたら、攻撃指令を破れるかもしれない、秘策を。
「……でもそれにはまず、こっちをどうにかしないとな」
イリスは向かい来る天道虫とレディバルを見て、エルレイドに指示を出す。
「エルレイド、とにかくサイコカッターを撃ちまくれ!」
エルレイドは両肘の刃に念動力を込め、目にも止まらぬスピードでその刃を連続で飛ばす。
放たれた刃は天道虫を切り裂くのは勿論、レディバルにも飛んでいく。
「効かん!雷パンチ!」
レディバルは拳に電撃を纏わせ、飛来する念動力の刃を相殺する。
「エルレイド、アイスブレード!」
エルレイドは刃を氷結させ——さらに通常よりも強力な冷気を纏わせ、群がる天道虫を切り裂く。
いや、天道虫だけではない。周りの地面や岩肌ごと切り裂き、凍結させている。
「エルレイド、逃げ回りながらアイスブレード!」
エルレイドは一箇所に留まらず、動き回って刃を振るい、襲い来る天道虫を切り裂いていく。
「そんなことで、レディバルの攻撃指令から逃れられると思うな。レディバル、攻撃指令!」
レディバルは攻撃用の天道虫を追加し、エルレイドへと向かわせる。
「エルレイド、とにかくアイスブレードだ!」
エルレイドは頑なに技を変更せず、天道虫達を氷結した刃で切り裂き、凍結させていく。さらにその影響か、周りもどんどん凍っている。
「攻撃指令!」
天道虫の数が減ってきたら、攻撃指令でどんどん追加していくレディバル。
しかしエルレイドはどんなに追加しようとも、片っ端から次々と切り裂いていく。
そして
「レディバル、攻撃指令!」
「エルレイド、アイスブレード!」
レディバルが使役する天道虫達を、刃の一振りで一掃し終えたエルレイドは、レディバルを見据える。
「サイコカッター!」
そして念動力を刃に纏わせ、高速で飛ばす。
だがレディバルは
「防御指令!」
防御用の天道虫を呼び出して盾を作り、サイコカッターを防御する……はずだった。
しかし、天道虫はほとんど現れなかった。
「何ッ……!?」
集まったのは指で数えられるほどの数で、その程度ではエルレイドのサイコカッターは防げない。なのでレディバルは、サイコカッターの直撃で切り裂かれた。
「くっ……一体、何が——」
「簡単なことです」
イリスが言う。
「天道虫は近くの岩場から這い出して、レディバルの下に集まる。だったら当たり一帯を凍らせてしまえば、指令技を防ぐことは可能です」
今まで攻撃一辺倒になっていたため気付かなかったが、フィールドはエルレイドのアイスブレードにより、見事に氷漬けにされていた。
「天道虫はどこから出てきてるのか、と視点を変えて考えた結果です。……では、そろそろ仕上げ、行きますよ」
エルレイドは、刃を構える。
「エルレイド、リーフブレード!」
「レディバル、雷パンチ!」
エルレイドは刃に草木の力を宿して斬り掛かり、レディバルは拳に電撃を纏わせて殴りかかる。
しかし天道虫による援護がないレディバルの拳は大した事がなく、エルレイドは素早く懐に潜り込んで腹部を切り裂く。
「追加だ、ドレインパンチ!」
さらにエルレイドは拳を淡く発光させ、レディバルに強烈なアッパーカットを叩き込む。
レディバルは大きく吹っ飛ばされて宙を舞うが、浮遊する足場に乗り、体勢を立て直す。
「むぅ……まさか俺のレディバルがここまで追い詰められるとはな。あまり時間を掛けては、逆にやられるだけか……そのエルレイドも、かなり疲弊しているだろうし、ここは最大の力で決めに掛かる」
シバは拳を地面に打ちつけ、気合を出す。
「行け、レディバル!インファイト!」
「エルレイド、迎え撃て!サイコカッター!」
レディバルは上空から拳を構えて急降下し、エルレイドは両肘の刃に念動力を込めて構える。
レディバルは残像が見えるほどの超高速で拳や蹴りを繰り出すが、エルレイドも負けず劣らずのスピードで二つの刃を振るい、レディバルの攻撃を相殺する。
「レディバル!」
「エルレイド!」
そしてレディバルとエルレイドの最後の一撃がぶつかり合い、互いの体が流れる。
「そこだ、エルレイド!」
その決定的な好機をイリスは見逃さず、エルレイドは返す刀で刃を振るい、レディバルの背中を切り裂く。
そしてレディバルは、その場に崩れ落ちた。
「視点を変える。それだけで人の行く道も変わる。悪い事があれば、悪い事を解決する事でより良くなると考える。それが大事なのだ……か」
イリスはシバとのバトルを終えると、ネジ山を出てセッカシティに来ていた。
「それなら試練とは言わずとも、そしてミキちゃんには悪いけど、彼女が攫われた事で奴らを倒す明確な理由ができた、とでも考えようか」
ピリリリリ
と、イリスのライブキャスターが鳴った。イリスは慣れた手つきで通話ボタンを押すと、画面が表示され、キリハの顔が見える。
『イリス君、あまり時間がないから手短に伝えるよ。プラズマ団の拠点だが、本当にあった。ガセじゃない。今日はとりあえず休んで、明日、カノコタウンの側にある海に集合してくれ。僕とリオは、P2ラボ周辺で待機しているから、なるべく早く来てくれ。頼んだよ』
「了解です」
と言って、イリスは通話を切る。
「……アジトは本物。ってことは、誘ってるのか……いや、別に何でもいいか」
イリスは今日はもう休もうと、ポケモンセンターの宿舎に向かう。
「罠でも何でも、一度嵌まるのも一興だ」
さて、遂にイリス対シバ、決着しました。エルレイドはフィールドを凍らせる事でレディバルの指令技を封じたのです。え?外から出て来ないのかって?……まあそこは気にせず。次回は待ちに待った(?)十一幕。ミキ奪還のためにプラズマ団の拠点、P2ラボへと乗り込みます。ではでは、次回もお楽しみに。
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ( No.347 )
- 日時: 2011/10/20 20:46
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
シバ・男
容姿:諸肌を脱いだような道着に、長めの黒髪を後ろで一つに縛っている。格闘家のためか、体は筋骨隆々。
性格:やや古風な言葉遣いで、男前。しかしながら柔軟な思考の持ち主でもあり、友の力を流用している。カントー地方の四天王を務める。
手持ちポケモン
エビワラー・♂
技:バレットパンチ、サイコパンチ、冷凍パンチ、気合パンチ
特性:鉄の拳
サワムラー・♂
技:跳び膝蹴り、ブレイズキック、ビルドアップ、心の眼
特性:捨て身
カポエラー・♂
技:高速スピン、トリプルキック、炎のパンチ、燕返し
特性:テクニシャン
テッコンボ・♂
技:ロックカット、マッハパンチ、シャドーパンチ、氷柱パンチ
特性:力持ち
レディバル・♂
技:インファイト、雷パンチ、攻撃指令、防御指令
特性:虫の報せ
- Re: 300章 宣戦 ( No.348 )
- 日時: 2011/10/20 22:39
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
プラズマ団の根城、P2ラボ。
イリス達は囚われのミキを救うべく、そのプラズマ団の拠点を目指す。
集まった精鋭はイリス、イリゼ、ザキ、チェレン、ベル、トネール、ルース、アキラとここにはいないがリオとキリハ、そして
「シルラでーす。よろしくね」
ザキが連れてきた戦力の一端、シルラ。
その計11名のうち9名が、今からP2ラボへと殴り込む。
「……そんじゃ、簡単な自己紹介も終わったことだ。サッサとボートに乗り込め」
ザキは、カノコタウンの側の海に浮かべているボートに皆を乗せる。
ボートの数は全部で三つだが、使用するのはそのうちの二つ。そこに四、五人ずつ……イリス、イリゼ、ザキ、シルラのパーティと、チェレン、ベル、トネール、ルース、アキラのパーティの二つに分け、時間差で向かう事となった。
最初に出発したのはチェレン達が乗っているボート。そして一時間後に、イリス達が乗っているボートも出発した。
一番道路には(イリス達も知らなかった)陸地があるのだが、今回そこはスルー。岩が密集している所をやや無理矢理突っ切ってショートカットする。
そして17番水道に出て、海流の流れに乗って離島のようになっている18番道路の近くまで来た。ここまでの所要時間、約一時間。
「さてと、チェレン達は今頃P2ラボに着いてるか……僕達も、浜辺に沿って進んで、海流がある所まで行きましょうか。そうすれば流れに乗って、奴らの拠点まですぐです」
「うるせえよ。てめえに言われなくとも、そんくらい分かってる」
ザキは苛立っているのがよく分かる声で、イリスにそう返す。
まあ、無理もないだろう。実の妹であるミキが攫われたのだ。兄として、後悔や報復心もあるだろう。
急くザキに合わせるわけではないが、イリスはエンジンを回して早く目的地に向かおうとする。
しかしそこで、問題が起きた。
バキィと、ボートが真っ二つに割れた。
「うわっ……!」
イリス達はあまりにもいきなりだったので、全く対応できず、17番水道の海流に飲まれていく。
「ぐ……出て来い、フローゼル!」
イリスは素早くボールを開き、フローゼルを出す。
フローゼルは人命救助を行うポケモンでもあり、以前イリスを助けたこともある。
「フローゼル、とりあえず皆を!」
フローゼルは少しだけ渋ったが、もがくイリスを置いて他の者の救助に向かう。
「くっ……うわっ!」
とそこで、イリスに大波が押し寄せ、思い切り流された。
そこで、イリスの意識は途絶える。
気がついた時には、イリスは浜辺で横たわっていた。
ガバリと起き上がり、周りを確認する。
見えるのは果てしなく続く海と、後方に生い茂る自然、それと人工の物と思われる橋。
「ここは、18番道路……ってことは、そんなに流されたわけでもないのか。……いやでも、あの海流に乗ったら間違いなくカノコタウン側に押し戻されていたはず……まさか大波一つでここまで流されたなんてことはないだろうし、じゃあ僕はどうして——」
「お姉さんが助けてあげたんだよ」
ふと、イリスに影が差す。
咄嗟にイリスは顔を上げると、そこには一人の女性……と言っても、まだ成人はしていないよう。
というか、凄い格好をしている。
もう冬真っ盛りだというのに水着、それもビキニ。一応パーカーとオーバーオールを羽織ってはいるようだが、どう考えてもこの季節ではありえない。
……寒稽古?
「……あなたは?」
「お姉さんはユキナっていうの☆よろしくね、坊や」
グサリと、イリスの体に何か見えないものが突き刺さった。
「坊や……」
イリスは思考的にも感情的にも、その歳にしてはやや大人びている。なので率直に坊やと言われて、少し傷ついているようだ。
「えっと……僕を助けてくれたそうで、ありがとうございます」
「いいって、気にしないで☆」
ユキナはグッと親指を立てて言う。
「それから……他に四人、僕より年上の男の人と、年下の女の子と、同じくらいの女の子を見ませんでした?」
年上の男の人=ザキ
年下の女の子=イリゼ
同じくらいの女の子=シルラ
念のため。
「んん? ……いやあ、見てないなぁ……お姉さんもたまたま遊泳してたら坊やが流れてきただけだし☆」
「はぁ……そうですか」
イリスは一瞬最悪の事態がよぎるが、フローゼルが向かったのだから大丈夫だと、自分に言い聞かせる。
「……でも困ったなぁ。どうやってP2ラボに行こうか……ボートはない、フローゼルもいない。それに、皆とも合流しなきゃいけないし——」
イリスが今後の事に思考を巡らせていると、不意に、また影が差した。
しかし今度の影は、味方ではない。
「ケヒャハハハ!こりゃあたまげた。まさかあの海流に流されて助かるなんて。流石英雄、運がいいな」
現れたのは、ジバコイルに乗った7Pアシド。
高らかに笑いながらの登場だ。
「大方お前達は、僕達の拠点を潰しに来たんだろうが、まさか本当に来るとは思わなかったぜ。普通は罠とかガセとか考えるだろ」
もっともな意見だが、イリス達はそれを承知の上で、そして下調べした上でここに来ているのだ。
「……もしかして、僕らのボートが真っ二つに割れたのって」
「おお? やっぱ気付いたか。そうさ、お前らを海に突き落としたのは他でもない、この僕さ。……ダンカンス!」
アシドが大声でポケモンの名を呼ぶと、そのポケモンは海中より現れた。
体に不釣合いなほど大きな頭を持つポケモン、ダンカンス。
以前イリスが溺れた時も、このダンカンスが水中からボートを叩き割っていた。
「ケヒャハハハ!いやあ、まさかこんなに上手く事が運ぶなんて思ってもみなかったよ。さあて、こっから先は、僕の独壇場。ここで骨の髄まで——」
「ねえねえ、何の話? お姉さんにも教えて☆」
アシドの台詞の最中、ユキナは空気を読まずに割り込んできた。
アシドは自分の台詞が中断されたためか、さっきまでの機嫌の良さは消し飛び、途端に不機嫌な顔になる。
「うるせえよ。この僕、アシド様が喋ってる時に割り込んでくるな。オバサン」
ブチィ!
と、何かが切れる音が聞こえた。
「誰がオバサンだって……このヘタレ!」
「なっ……!? この僕が……ヘタレだって……?」
アシドの顔が、みるみる赤く染まっていく。
「このグレイトデジーニアスなアシド様がヘタレだと……いいだろう、その言葉、この僕に対する宣戦布告だと受け取ってやる!すぐにお前を捕縛して、濃硫酸に浸してホルマリン漬けにしてやるからな!」
「やれるものなら!」
言ってユキナはボールを取り出す。
なにはともあれ、ユキナvsアシド、プラズマ団との初戦は、この二人である。
今回は本編が長いので、あとがきは短めに。えーとりあえず、パーセンターさんとプッツンプリンさんのオリキャラ、シルラとユキナの登場です。シルラはまだ一言ぐらいしか喋っていないですが、ユキナはアシドとのバトルフラグ。キャラ崩壊などの不備があればお申し付けください。では次回は二人のバトルということで、お楽しみに。
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