複雑・ファジー小説

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もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』
日時: 2014/01/03 18:25
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)

   作者の今叫びたい一言  『ツイッター、始めました。>>205』 (By 作者)


   序章、あとがき+読者様へ一言!! >>114

   土下座で頼む、簡単アンケート!! >>115
   ↑アンケート円滑化のために、登場人物のリストを作りました!! >>123

   オリキャラ大募集中!!!(こちらをお読みください。) >>140



 【第一回 アンケート回答者リスト!! スペシャルサンクス!!】

・月葵様 →>>117
・るるこ様 →>>125
・檜原武甲様 →>>133
・李々様 →>>134
・八重様 →>>138
・エストレア様 →>>145


 【オリキャラリスト!! スペシャルサンクス!!】

・李々様 →>>141 『明蓮寺 美夜』 >>151 『古屋 朱李衣』
・95様 →>>142 『葉隠 空冴』 >>146 『鳳凰院 龍雅』
・エストレア様 →>>145 『キル・フロート』
・檜原武甲様 →>>147 『知名崎 宇検』
・月葵様 →>>148 『結風 遥』 >>156 『矛燕』 『ゼヘト』
・グレイ様 →>>152 『周邊 蓮華』
・八重様 →>>155 『雛姫 容子』
・るるこ様 →>>166 『王 莉紅』 『鳳広炎』









   クリックどうもありがとうございます。


  おはようございます、こんにちは、そしてこんばんわ。

  どうも初めまして。ご存知の方はお久しぶりです。

  私の名前はヒトデナシと申します。



 “自己紹介が終わったところで、この小説の注意点です。”


  1、荒らしの方々は回れ右して去ってください。

  2、読んでいただけるとすごくありがたいです。

  3、コメントをもらうと、作者は歓喜に満ち溢れます。




 “では次に、この小説はどんなものなのかを紹介いたします。”
    

  1、この小説の中心の視点は基本、主人公である俺(作者ではありません。)が中心です。

  2、この小説は、主人公が『もしもの世界』を体験したとき、どのように思うのか、またはどのように動くのかを描いたものです。

  3、基本、自由である。



  ————と言った感じでございます。



  では早速書いていきたいと思います。

  楽しんでいただけると幸いです。



  ・登場人物・・・主要人物 >>119
          黒川陣営 >>120
          リバース陣営 >>121
          DDD教団陣営 >>122


  ・イラスト広場(心優しい絵師様、常時募集中)・・・>>62

  ・用語説明・・・>>63




   コメントを下さった優しい読者様


 ・月葵様 
 ・八重様
 ・秘密箱様
 ・エストレア様
 ・小枝様
 ・るるこ様
 ・春野花様
 ・陽様
 ・修道士。様
 ・檜原武甲様
 ・李々様
 ・ちぇりお様
 ・95様
 ・グレイ様
 ・H様
 ・007様



    ———— 『もしも俺が・・・・。』目次 ————


【序章、日常編】 

  表紙→>>12 (八重様)
  挿絵→ 第1幕 >>20 (るるこ様)
      第6幕 >>89 (るるこ様)
      第15幕 >>125 (るるこ様)


   第1幕 『もしも俺が自己紹介をしたのなら……。』 >>1 >>7 >>8
   第2幕 『もしも俺が自分の世界を紹介するなら……。』 >>14 >>16 >>19
   第3幕 『もしも俺が風紀委員会を紹介したなら……。』 >>23 >>24 >>25
   第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』 >>31 >>32 >>35
   第5幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……続編。』 >>36 >>37 >>43
   第6幕 『もしも俺(様)が華麗に参上したなら……。』 >>46 >>50 >>51
   第7幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……。』 >>56 >>60 >>61
   第8幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……続編。』 >>64 >>65 >>66
   第9幕 『もしも俺(様)が異次元を渡るなら……。』 >>69 >>70 >>71
   第10幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……。』 >>76 >>77 >>82
   第11幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……続編。』 >>83 >>84 >>85
   第12幕 『もしも俺が休日を過ごすのならば……。』 >>88 >>93 >>96
   第13幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……前編。』 >>101 >>102 >>103
   第14幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……後編。』 >>106 >>107 >>108
   第15幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……終編。』 >>111 >>112 >>113

   あとがき、そしてコメントを下さった方々に感謝の言葉を!! >>114


【第2章、闇人(やみびと)と天使編】

  プロローグ >>124


   第16幕 『もしも俺が日常を過ごしたのなら……。』 >>128 >>131 >>132

   第17幕 『もしも俺がこれまでの事をまとめたなら……。』 >>136 >>159 >>160

   第18幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……。』 >>163 >>164 >>165

   第19幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……2。』 >>170 >>171 >>176

   第20幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……3。』 >>181 >>185 >>186

   第21幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……4。』 >>189 >>190 >>194

   第22幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……5。』 >>198 >>201 >>204

   第23幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……。』 >>206 >>209 >>210

   第24幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……2。』 >>211 >>215 >>216

   第25幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……3。』 >>217




    ------------ サブストーリー -------------


  『交差する二人』・・・>>29 >>30 
  (300参照突破記念。黒川と水島の知られざる出会いの物語。)

  『彼ら彼女らのクリスマス』・・・>>54 >>55
  (600参照突破記念。元地山中学生の奇妙なクリスマスの物語。)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ。』・・・>>72 >>73
  (1000参照突破記念。あまりにもカオスすぎた。お祭り過ぎた。黒歴史とか言わないで。)

  『たった一つのバレンタインチョコ。』・・・>>86 >>87
  (1300参照突破記念。遅くなりましたがバレンタインネタ。元地山中学に甘い展開!?ww)

  『風紀委員会の日常日記。』・・・>>104 >>105
  (1500参照突破記念。風紀委員会で極秘に行われる秘密の日記が明らかに!?)

  『The Time Start Of ティアナ。』・・・>>109 >>110
  (1800参照突破記念。霧島とティアナ、そしてあのゼロの復活の物語……?)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ2。』・・・>>127
  (2000参照突破、日常編完結記念。もし俺メンバーのカオスな物語。
  注意、この物語は18歳未満には刺激の強いちょっとした深夜族成分が含まれています。
  お読みの際はにやけるお顔に気を付けて、一文一文丁寧にお読みください。By ヒトデナシ。)

  『黒水SS By 火矢 八重様』・・・>>158
  (トップレベルの作者様、火矢 八重様の執筆した黒水SS。
  よく読んでくださる彼女でこそ書くことが出来る、レベルの高いSSですw 
  黒水SSは全ての読者様のモノ。皆様適当に妄想しちゃってくださいw
  なお、もしも黒水SSを考えちゃった♪という神様がいるなら、
  ぜひともこちらに投稿してくださればなと思いますw 私も読みたいですしねwww)

  『花狩椿と銀色のいばら道』・・・>>168 >>169
  (2500参照突破記念。花狩先生の少年時代の過去。
  劣等感を胸に秘めた彼の前に現れた、ある人との出会いとは……?)




------------名誉、歴史--------------


・11月25日、『もしも俺が・・・・。』投稿。
・11月29日、100参照突破!! (ありがとうございます!!)
・12月02日、200参照突破!! (皆様の応援に感謝しております!!)
・12月06日、300参照突破!! (3は私の好きな数字です。とにかく感謝です!!)
・12月13日、400参照突破!! (嬉しい限りでございます。執筆ファイト!!)
・12月21日、500参照突破!! (500ですか!! 1000まで半分を切りました!!)
・12月24日、600参照突破!! (メリークリスマス!!)
・12月31日、700参照突破!! (2012年最後の日!!)
・01月05日、800参照突破!! (2013年、始まりました!!)
・02月12日、900参照突破!! (復活しました!! 皆様のためにも頑張ります!!)
・02月13日、1000参照突破!! (明日はバレンタインですか。皆様の応援に感謝!!)
・02月15日、1100参照突破!! (1000という大台を突破できてうれしいです!!)
・02月17日、1200参照突破!! (本編も10幕を突破。これからもバンバン書いていきますw)
・02月18日、1300参照突破!! (スリラーナーイト!! ……申し訳ない、深夜の悪乗りですw)
・02月21日、1400参照突破!! (もうすぐ1500!! 大感謝です!!)
・02月25日、1500参照突破!! (きたあああ!!! 1500参照ついに突破!!)
・02月27日、1600参照突破!! (おおぉぉ!! 応援に大変感謝です!!)
・03月01日、1700参照突破!! (ついに3月ですね!!)
・03月03日、1800参照突破!! (ありがとうございます!! ありがとうございます!!)
・03月06日、1900参照突破!! (もうすぐ2000ですね!! 頑張ります!!)
・03月09日、2000参照突破!! (2000参照突破しました!! 歓喜です!! 最高です!!)
・03月11日、2100参照突破!! (3000目指して頑張ります!!)
・03月11日、序章完結!! (始めの物語、無事に書き終えることが出来ました!! サンクス!!)

・03月18日、第2章、始まり!! (実はというと、サブタイトルに結構悩みましたwww)
・03月18日、2200参照突破!! (第2章も頑張ります!!)
・03月20日、2300参照突破!! (第2章、本格的にスタートです!!)
・03月26日、2400参照突破!! (もうすぐ2500ですね!! 頑張りますね!!)
・03月28日、2500参照突破!! (2500参照突破しました!! 3000目指して頑張ります!!)
・03月30日、2600参照突破!! (たくさんのオリキャラをありがとうございます!!)
・03月31日、2700参照突破!! (なんという快挙!! ありがとうございます!!)
・04月02日、2800参照突破!! (4月になりましたね!!)
・04月06日、2900参照突破!! (もうすぐ3000かぁ……。行けるといいなぁ。)
・04月14日、3000参照突破!! (うわぁぁああ!! 3000です!! 3000なんです!!!)
・05月01日、3100参照突破!! (長期休暇を頂きました!! 本日からまた執筆頑張ります!!)
・09月02日、4600参照突破!! (久々の執筆なので腕が鈍りまくりですねw)
・09月04日、4700参照突破!! (5000までもうすぐですね。頑張ります。)
・09月06日、4800参照突破!! (9月と言えば作者はもうすぐ誕生日とやらを迎えるわけですか。)
・09月09日、4900参照突破!! (もうすぐ5000ですね。頑張りますね。)
・09月12日、5000参照突破!! (5000です!! ありがとうございます。)
・09月14日、5100参照突破!! (私の誕生日です。ありがとうございます。)
・09月23日、5200参照突破!! (最近私の家族にPCを占拠される事が多くなりました。)
・11月18日、5300、5400参照突破!! (ここを建設して約一年になります。)

Re: もしも俺が・・・・。『ガロン、再び。』 ( No.163 )
日時: 2013/04/03 11:17
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode


    ————第18幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……。』————



           「パート1。」




  堕天使、魔法、聖なる力。

  放課後、人気のない公園に移動した黒川は、さっそくそのキーワードを元に扉を開いた。
  紫苑達も源次という少年と合流してから、自分達とほぼ同じタイミングで行くようだ。
  向こうはどんな世界に行くのか聞いてなかったが、まぁそれは帰ってきてからでもいいだろう。

  とにかく久々に揃った、黒川、霧島、水島の三人は、扉の向こうの光に向かって歩を進めた……。





  ————そして目の前に広がる景色は、私達の世界よりも幻想的であった。


  一言で言うなら、機械文明が発達している世界。

  辺りを照らすのは太陽ではなく、主に証明から照らされる人工的な光だった。
  所々に電光掲示板が設置され、ニュースの速報やらコメディ番組などが流れている。
  町全体からBGMが響き渡り、まるでゲームの中にいるようだ。

  マンションが周りに数えきれない程立ち並び、道はほとんどが平面のエスカレーター式。
  地下鉄の駅でしか見たことがないようなエスカレーターが、ここには道端に設置されている。
  これだけでも何十億という経費がかかっているはずだ。
  地上はそのエスカレーターで移動する人がほとんど、残りは上空であった。

  上空ではビュンビュンと『車』らしきものが飛び回っている。
  よく見るとタイヤもない。風力で浮いて走っているのだろうか。
  私達の世界では上空を飛ぶのは飛行機ぐらいしかない。
  この世界では車さえも上空に飛ぶのが当たり前なのだろうと、黒川は感心せざるを得ない。

  それによくよく辺りを見渡すと、人間以外もたくさんいる。
  ゴーレム、だろうか。人より二回りも大きい石像みたいなのが、ぎこちなくも動いている。
  どうやら商売をしているようで、お客様相手に品物を売っていた。無論、喋っている。
  挙句の果てには会釈さえもしている。あのガタイでどうやって身体を折り曲げているのか。

  電力で動いている……わけではなさそうだ。回線などが見られない。一体どうやって……、



   「うわぁ……なんだか近未来都市みたい……。」

   「おい、見ろよ!! なんか飛んでるぞ!! カメラを持った機械鳥みたいな奴がいるぞ!!」



  水島も霧島も感動している様だった。それはそうだ。ここはあまりにも現実とかけ離れている。
  かくいう私も、何から研究対象にすればいいのか悩んでいるのだ。実は。

  ……と、いう感情は抑え込み、とりあえず本来の目的を忘れてはいけない。

  この世界のどこかにいる、『異次元のゆがみ』を引き起こした張本人を見つけ出さなければ。
  そうしなければ、世界が危険に晒される。それだけは避けなければならない。
  幸い、まだ事件は何も起こってはいないようだ。とはいっても、どう探せばいいのか。
  紫苑がいればタロットで一発なのだが、私達ではそうはいかない。
  地道に探すしかないのか? いや、無理だ。人が多すぎる。



   「……どうしたものかな。」



  思わず声に出して言う黒川。これでは事件が起こるまで待つしかないのか?

  それはなんか嫌だなぁ、とため息をついた時だった————、




   「……?」




  黒川は何か辺りが騒々しい事に気が付いた。

  ちょうど黒川達のいる位置は大きな広場の隅っこなのだが、中央部分が騒がしい。
  かつ何やら人だかりが出来ているようで、そして何かが行われているらしい。
  観衆のテンションからして、何かライブや催しものだろうかと推測した。

  一足早く気が付いた黒川は、とりあえずと思い、観衆をかき分けて拝見することにした。



  ————そこには二人、向かい合って立っていた。


  一人は大きな身体つきをした男性で、頭にバンダナを付けている。
  片手に曲線を描いた鋭い曲刀が握られ、もう一方の手に小さな盾が握られている。

  対してもう一人は、ボロの薄汚い茶色のフード付きマントを羽織っていた。
  そのせいで身体は見えず、顔も見えないが、身長は160cmほどだろう。
  マントの人物の両手には何も握られておらず、ただ両手をブラブラとさせている。
  喧嘩、だろうか。とはいっても、これではただの一方的なイジメではないか。

  ……とはいっても、情報が少ないので何とも言えない。

  黒川は現状を把握するために、とりあえず近くにいた男性にこの状況について聞いてみた。

  男性の身長は170cmほど。黒色のショートヘアーで、灰色の瞳をしていた。
  上下長そで長ズボンの格好で、上は黒のコートを羽織り、下は茶色の長ズボン。
  身体つきはかなり良い。何かスポーツでもやっているのだろうか。



   「————ああ、あのル……、……マントマンがね、何やら催しモノをやってんだってよ。

    マントマンに勝ったら賞金が出るらしい。それも高額の、さ。
    ま、マントマンが勝った場合、『デュエル料金』を貰うらしいんだけどさ。」


   「『デュエル料金』……とはなんだ?」



  黒川は首を傾げて尋ねてみた。初めて聞く料金だった。
  とはいえ、目の前の男性がマントマンの前に何か言おうとしていたみたいだが、一体何だったのか。
  ル……と言っていた。まさか本名か? いや、それは無いか。気にしないでおこう。
  すると男性は、意外そうな顔をしたが、すぐに穏やかに話してくれた。



   「知らないのか? だったら教えてやるよ。

    この世界には『デュエル』っつう、いわば一対一の決闘が認められているのさ。
    そんでもって、お互いに何かしらの報酬を出し合って戦いあう。
    この場合はマントマンは高額の賞金。挑戦者はそれの一割にも満たない参加代、という事だ。
    その参加代の事を『デュエル料金』。ま、この場合はマントマンが圧倒的に損するな。」


   「それはそうだろうな。だが『負ければ』、だろう?」



  黒川の発言を聞いてか、おっ、という一瞬感心するように言葉を漏らす男性。



   「そ。その通りなんだ。あのマントマン、これが強くてだなぁ————」



  そう言って、男性はチラリと広場の中央で向かい合う二人に視線を移す。
  二人の頭上にはカチカチという音を鳴らして、タイマーが浮かび上がっている。
  モニター越しに数字が数秒ごとに数を減らし、すでに一桁にまで達していた。

  5秒を過ぎた辺りで、観衆がカウントダウンをし始めた。



   「あのタイマーが0になると同時に、デュエルは始まる。

    そしてデュエルの決着方法は、最初に相手に一発でも攻撃を加えれば勝ち。
    かすり傷でもオッケー。殺しはダメだけどな。……始まるぞ。」



  男性がそう言うと同時に、黒川も視線をそちらに向けた。
  二人が各々の戦闘態勢を取り、威嚇する……。




  ————そして0になると同時に、『ファイト』という文字がモニターに浮かび上がる!!


  それと同時に、まずはバンダナの男が動いた。
  片手に持った曲刀を滑らかな動きでマントマンの頭上に振り下ろす……!!

  マントマンはそれを最小の動きでステップで躱し、距離を取る。
  それを逃がすまいと、盾を突きだして男は距離を詰める。
  相手は何も持ってはいないが、デュエルでは体術でも一発として認識される。
  よってマントマンが体術使いであるかもしれないという思考が、男にはあった。
  ゆえに盾を前面にだし、相手の攻撃を防ぎつつ戦うというのが男の戦いのスタイルであった。



   「……。」



  無言でマントから覗く両目で、男の戦い方を見つめる……。
  冷静に分析し、冷静に判断する。それが私の戦い方。

  そう、これは訓練。『私』が強くなるための訓練に過ぎない。
  あの男よりも……強くなるための……————




   「————……!!」



  一瞬無駄な思考に集中していたせいか、マントマンはハッとした。
  気付けば男がかなり接近していた。今にも曲刀を右から左へと横に薙ぎ払おうとしている。
  とはいえ、百戦錬磨を越えてきた『私』には反応できない状況ではない。
  マントマンは横切りの薙ぎ払いが来るタイミングを見計らい、身体をスッと畳んだ。


  “盾をすり抜け、攻撃を入れるタイミングは攻撃の終わりの一瞬……!!”


  すでにマントマンは、攻撃の後のカウンターを狙っていた。
  攻撃直後であるなら、必ず盾を前面に出せない隙が出来るからだ。

  曲刀はマントマンの頭上すれすれを通り過ぎ、安全と判断した直後、
  マントマンは瞬時に攻撃に入る事を決め、右手に『力』を加えた……!!




   「……はッ!!」


  右手に宿った水色の『力』は光を放つと同時に、
  瞬時に水色の透き通る刃をした綺麗な細剣、『レイピア』へと姿を変えた……!!

  そのレイピアを右手に握り、短い掛け声と共に瞬時に突きだす!!
  一瞬の隙を狙って放った一撃は、当然盾で防御することは出来ず、そのまま肩を貫いた。


  それは一撃と認識され、勝負は決まった。
  勝ったのは水色のレイピアを片手に持った、マントマンであった……。



   「あー!! 畜生!! 今日も負けたかよッ。あんたつえぇな……。」



  負けた男は貫かれた肩にスプレーを振りかけつつ、苦笑して言った。
  このスプレーは治癒の力が凝縮されており、大概の傷は治せるという代物だ。
  現にスプレーを振りかけられた男の肩の傷は、今は何事もなかったように塞がっている。
  対してマントマンは、何事もなかったかのようにそっぽを向いていた。



   「……あれが、まさか……」

   「そうだ。あれがこの世界で一番の価値を持つ、『魔法』だ。」



  紫苑のキーワードの中に『魔法』が入っていた時点で、なんとなくそんな気がしていた。


  ————そう、ここは『魔法』が当たり前の世界なんだ。

  おそらく、あのマントマンが一瞬使った水色の光、あれが魔法だ。
  そしてあのスプレー、そして上空の車、ゴーレム、これも全て魔法だ。
  何かしらの錬金魔法だろうか。もしくは具現化魔法なのか。素人にはサッパリだ。

  そしてそんな事を聞けば、ワクワクせざるを得ないのが、黒川という科学者なのだ……!!



   「……面白い。直接聞くか。あのマントマンに。」

   「んあ? 何言ってんだ? ……っておい、アンタ!! どこ行くんだ!!」



  隣の男性の疑問に、黒川が答えることはなかった。
  なぜなら、すでに黒川はそのマントマンの眼前に立ちふさがっていたからだ……!!







   「————次は私が挑戦したいのだが……構わないかな?」



  黒川は大勢の観衆に見守られている中、マントマンに尋ねた。
  観衆がざわつき出す。「何者だ?」なんていう声がちらほらと聞こえてくる。
  なにせ、ここの観衆はほとんどがマントマンの相手をしたことのある、常連の奴らだ。
  マントマンに挑戦する奴は、大概は知られている猛者ばかり。

  目の前にいる学生など……知るわけもない————。








   「…………あいつ、何者なんだ?」


  先ほどまで黒川と共に隣でデュエルを見ていた男性、『キル・フロート』は口を開く。

  ともあれ、最初会った時は不思議な奴だな、と思った。
  なんというか、まるでこの世界の者ではないような雰囲気だった。

  キルはある程度、人間の『気配』を感じることが出来る。
  悪者の邪気であったり、人間そのものの生気であったり、などなど。
  つまり感知能力を身体に宿している。だからこそ感じ取れた不思議な感覚。


  ————キルは、マントマンの正体を知っている。

  ここではわざと観衆の振りをしているが、マントマンの安否を見守るのが彼の本当の役目だ。
  さらに、キルには目的があった。重大で、危険な目的が。
  ついさっき、感じた多大な邪気。間違いない。『あの男』がこの近くに来ている。


  “……どこだ? どこから『ルエ』を狙っている……!?”


  『ルエ』。それはあの目の前でデュエルをし続けるマントマンの名前。
  キルの友人であり、キルにとって大切な人でもある女性。
  そしてそのルエを守る為、キルは『あの男』を見つけなければならない。

  だが、肝心な気配が掴めない。つまり、この町にいるが近くにはいないという事だ。
  キルは今日の朝から、ずっと胸騒ぎをしっぱなしだ。心臓に悪い。
  とはいえ、今は近くにいない、そういう結論でいいのだろう。
  それに、今興味があるのはルエの目の前に立ちふさがるあの男。

  ただの馬鹿なのか、それとも————




   「————おぉぉいッ!! 黒川の奴、あんなとこにいやがったぞ!!」



  ふとキルの隣から大きな声が聞こえたので、視線を移した。
  そこにいたのは、これまた学生服を身にまとった二人。男性と女性が一人ずつ。
  元気な男性の後ろから控えめに出てきた女性は綺麗だった。そして、



   「わ、黒川君。あんなところで何してるんだろう……。」



  と、言ったところで、キルはハッとした。
  二人は間違いなく、ルエの前に立つあの男の事を見て言っている。
  ということは、二人はアイツの友人なのだろうか? そう思って、



   「……黒川君、というのはアイツの名前か?」


  二人の隣に立って、キルは男性の方に尋ねてみた。
  男性、霧島勇気はキルの方を見ると、一度頷いて、



   「ああ、そうだぜ。……ん? お前アイツの事知ってんの?」

   「おう。さっき知り合ってな。ちなみに俺は『キル・フロート』だ。よろしくな。」

   「俺は霧島勇気。ほんでもって————」

   「私は水島愛奈です。よろしくね。」



  お互いに軽い自己紹介をし、そして軽い挨拶を交わす。
  キルは自分の名を名乗るのは久しぶりだった。
  最近はルエぐらいしか話している奴がいないため、本当に久しぶりだ。



   「んで……だな、キル君よ。あのバカはなんであんなところにいるんだ?」



  霧島がチラリと観衆の目線が集まる舞台に視線を移す。
  そこにはマントマンであるルエと、さっきまで二人が探していた黒川の姿があった。



   「どうやら、あの黒川、って奴がデュエルを申し込むらしいぜ。」

   「デュエル、って何? キル君。」

   「一対一の決闘、さ。」

   「何ぃ!? 決闘!? 喧嘩かッ!!!」



  霧島は目をキラキラさせて過剰に反応する。喧嘩馬鹿にはうってつけのイベントなのかもしれない。
  水島も「へぇー……」と関心の声を漏らしていたが、目は何やら心配そうな瞳を浮かべていた。
  どうやらこの霧島と水島という奴もデュエルの事を知らない様だった。
  まぁあの黒川の友人ならば、それもあり得るのかもしれない。


  とはいえ、この世界の常識でもあるデュエルを知らないとは。ますます何者なのか謎である————。


Re: もしも俺が・・・・。『魔法の世界へ!! デュエル勃発!?』 ( No.164 )
日時: 2013/04/05 18:14
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode


        「パート2。」




   「————次は私が挑戦したいのだが……構わないかな?」



  目の前の学生服を着た男性がそう言ってきたとき、マントマンの『ルエ』は驚いた。
  初めて見る顔。どことなく不思議な雰囲気を持つ少年。
  だが只者ではないような雰囲気を感じる。決して侮ることは出来ない。


   「……デュエル料、払えるのなら構わない。」

   「あ、それなんだが……」


  ルエのデュエル料という言葉に反応した黒川は、申し訳なさげな顔をした。
  頭をボリボリと掻く黒川の姿をルエはマント越しから不思議そうな目で見ていた。


   「悪いが、私は一文無しなのだ。」

   「……ッ!?」



  黒川の言った言葉にルエも含め、観衆さえも驚いた。
  デュエルをする以上、デュエル料金がかかるのは世界の一般常識だ。
  にもかかわらず、デュエルを挑もうとする黒川を見て、大笑いする観衆もいた。



   「……だから賭け事の条件を変えたい。いいか?」


  笑いに変わった観衆達を無視し、黒川は話を進める。
  正直、ルエも驚いている。こんな一文無しとのデュエルは初めてだ。
  とりあえずルエは、何も言わずにコクリと頷いた。



   「私が勝てば、魔法の事について詳しく教えて頂きたい。無論、賞金はいらない。」



  それを聞いて、さらにルエは唖然とした。

  なにせ、魔法はこの世界の一般常識で、人から聞くような言葉ではない。
  聞かずとも学校で耳にタコが出来るほど学んでいるはずだ。
  もうかなりの上級生になりつつある学生なのに、一体どこまで勉強をおろそかにしたのだろうか。
  とはいえ、確かにそれなら一文無しでも受けてもいいかな、と思った。
  ルエにとって減るものはない。一般常識の魔法の情報なんて、なんの価値にもなりゃしない。

  だが、それ以上に気になる点があった。



   「……私が勝った場合は?」

   「……あ、考えてなかったな。そうだなぁ……」


  そう、ルエが勝った場合の報酬だ。
  まぁこの男は考えてなかったようで、うーんと唸って考えを絞り出している。
  そして数秒後、おっ、と閃いたような声をあげた。



   「……私の友達に、霧島勇気という優秀な働き者がいる。そいつを君に差し上げよう。
    使い方、パシらせ方、虐め方は君に任せよう。それでどうだ?」

   「だぁぁあれがぁパシりじゃあああ!!!!! おいこらぁあ黒川ぁぁ!!!!」



  一番に否定の声がしてきたのは、ルエではなく観衆の方からだった。
  しかも良く知っている声である。本人、霧島勇気である。
  やれやれ、見つかっていたか。せっかくいない事を理由に利用しようと思ったのだが。
  なにせ私達はどれだけの事があっても、30分でこの世界を去る。

  だからこの賭け事さえ通れば、私は何も盗られることはないと考えたが、



   「……いらない。」



  即、否定。
  まぁ予想していた事だが。とはいえ、ここでほんの少し心を揺さぶる事にした。



   「だよなぁ……私ならともかく。」

   「そういう問題じゃない!!」



  黒川の冗談に過剰にツッコむマントマンに、黒川はほんの少し親近感がわいた。
  なにせさっきまで暗かったからな。そんな奴が今私の冗談にツッコんだ。
  どうやら普通の人間であるらしい。そして声からして……女性か。
  まぁ心が氷そのものというわけではなさそうだ。それなりに優しい心を持ってそうだ。

  ただの優しい女性が、なぜこんな危険な事をやっているのだろうか……。




   「————特別にデュエルしてやったらいいんじゃないか? ルエ。」


  突如、黒川の隣から聞き覚えのある声が聞こえたので視線を移す。
  そこにいたのは、先ほど黒川に色々情報をくれた、キルと呼ばれる男性であった。


   「キル……。」

   「不本意だが、不思議な雰囲気をコイツは持ってる。戦って得られるモノもあんだろ。」


  キルがそう言うと、考え込むようにしてルエは俯いた。
  その会話を聞いていた黒川は、二人を交互に見た後、


   「ふむ、アンタがキル、そして君がルエというのか。覚えておこう。」

   「あ、わりいな。自己紹介してなかったな。」

   「構わない。ちなみに私は黒川だ。」



  キルにそう言うと、キルはチラリと視線を変えた。
  視線の先には、若干騒いでいる霧島と、こちらに手を振る水島と目が合った。


   「あの二人に聞いたわ。特にあの霧島って奴、かなり羨ましがってたぞ。」

   「ふっ、アイツは喧嘩馬鹿だからな。……それで? デュエルの件はどうなってる?」

   「あ、いけね。……で、ルエ。どうする?」



  キルが話を戻し、ルエに問いかける。
  ルエはすでに答えを決めていたようで、一度コクリと頷くと、



   「……分かった。黒川、だったな? デュエルを受けよう。」



  ルエの言葉に観衆が沸いた。まるで燃え上がるように観衆が声援を上げる。
  キルは一度黒川に微笑して見せると、すぐにまた観衆席に戻っていった。

  多分、キルはこのルエという子の友人か知り合いなのであろう。
  でなければ、あの場に安易に立ち入ることは出来ないし、ましてやこの子を説得することも出来まい。
  ルエという子がデュエルを受けてくれるようになったのは、紛れもなくキルのおかげだ。
  感謝しなければな、そう黒川は思って、フッと笑った。



   「ルールは分かるな? 武器は何でもアリ。体術もアリだ。」

   「ああ、だったら私は————」



  黒川はそう言うと、腰に着けていた小さな箱らしきものを手のひらに乗せた。
  大きさはキーホルダーサイズ。縦横5㎝程の正方形。
  観衆もルエも首を傾げて、その箱を見つめた。一体何をしようというのか。
  黒川はその箱にチョンと軽くタッチをする。すると、何やら箱の横から何やら文字列が出てきた。
  テキスト文の様だ。そこには9行ほど文字が並んでいた。

  一行目には、『空気破壊(エアクラッシャー)』と日本語表記で書かれている。
  次の文には、『フェロンフィールド』。アンドロイド編でも使用した発明品だ。


  ————そう、この箱には、黒川の発明品や日常で良く使うものが収納されているのだ。

  それがこの発明品、『四次元ボックス』だ。どこかで見たことがあるのではなかろうか。

  そう、ドラえもんはこれのポケット版を持っている。しかも高性能だ。
  その四次元ポケットを参考にして最近開発したのが、この箱というわけだ。
  持ち運びが大変なモノを、四次元の空間に保存して、自由に取り出せるという代物。
  限界は10個。それ以上は箱がパンクしてしまう。

  とはいえ、この箱を作るのにも相当苦労したものだった。
  試作段階では、幾度となく四次元の世界の波に流されて、
  試しに収納した、幾つもの竹刀が帰らぬモノとなっただろうか。

  なにせ四次元の世界に物体を隔離させるというのは、もはや現代科学では未知の領域だ。
  ちなみにこの箱は、第178代目の四次元ボックスだ。
  178回目にしてようやく完成をしたのがこの箱という事だ。

  そんな箱から、黒川はあるモノをタッチする。
  すると黒川の手からいきなりスッと現れたのは、何の変哲もない『竹刀』だった。
  これはちなみに、発明品ではない。市販のものだ。
  水島の弟と剣道をするとき用の、ただの竹刀だ。



   「じゃあ、私はこの竹刀で構わない。……ん?」



  そう黒川が言ってルエの方を見ると、ルエは意外そうな顔をしていた。
  そして観衆も何やら静かだった。黒川は首を傾げた。



   「……なんだ、妙に静かだな。」

   「……お前、魔術師だったのか。」

   「…………なぬ?」



  思わず黒川は情けない声を出してしまった。なぜそうなった、と頭を抱える。
  だがしかし、すぐに理解した。どうやら皆、私が魔法で竹刀を出したと思っているらしい。

  ……いや、だからなんだというのだろうか。なにせここでは、『魔法』が当たり前なのだろう?

  私達が別世界から来たなんて知らないはずだ。ゆえに私達が魔法を使えても当然と見るはず。
  何がそこまで皆を驚かせるというのか。その答えはすぐに分かった……。


   「……おい、アイツっ、この世界でも数十人しかいない魔術師だぞ!?」

   「おいおい……魔術師と魔術師のデュエルかよ……凄いぞこれは!?」

   「ツイッタ—!! ツイッター書くわ俺!!」



  何やら観衆は騒いでいる様だった。ツイッターぐらいなら、黒川にも分かったが。

  とはいえ、どうやら『魔法』は当たり前に存在する世界だが、
  『魔術師』と呼ばれる、魔法を行使できる人間はさほどいないようだ。
  なるほど、だから驚いていたのか。それはそうか。なにせ数十人の内の一人だからな。

  ……別に魔法を使った訳ではないのだけどなぁ、と内心黒川は申し訳なかったが。



   「……久々だ。魔術師とやるのは。楽しみだ。お前の実力。」



  ルエは右手に宿った水色の『力』を開放すると同時に、
  瞬時に水色の透き通る刃をした綺麗な細剣、『レイピア』へと姿を変えた……。



   「悪いが、君の期待には応えられないかもな。なぜなら————」



  黒川は箱から出した竹刀をヒュンヒュンとX字に払いながら……





   「————女性が相手だと、どうも手を抜いてしまうものでね……。」




  そんなセリフを吐いて、ニヤリと楽しそうに笑った……————。


Re: もしも俺が・・・・。『デュエル開始。』 ( No.165 )
日時: 2013/04/06 16:17
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode



         「パート3。」



  二人が向かい合うと同時に、カウントダウンがスタートした。
  二人の頭上には小さな電子モニターが現れており、試合までの時間を表記している。

  今で30秒が経った。残り30秒後、デュエルが始まる……。

  ルエは右手のレイピアを自身の肩付近まで引き上げ、地面と平行にしてピタリと止めた。
  対して黒川は、竹刀を両手にしっかりと持ち、自分の胸辺りでピタリと止める。剣道の構えだ。

  このカウントダウン中、やけに観衆は静かだった。
  それはそうだろう。仮にも、私は『魔術師』なんていうたいそうなモノに間違えられている。
  観衆にとっては、注目される一戦であることも間違いない。
  そして黒川自身も、勝ちに行きたいところである。魔法の事を詳しく知るためにも。

  カウントダウンは……10秒を切った。

  二人の間に真剣な空気が流れだす。ピリピリとした、戦いの威圧感。
  黒川は一度瞳を閉じた。精神を落ち着かせて、竹刀に自分の集中を乗せる。
  そしてゆっくりと開く……。目の前の景色が、ほんの少し違って見えた……。



  ————カウントダウンが0になった瞬間、二人は同時に思い切り踏み込んだ……!!


  正面からルエが風を切る様に近づいてくる。その姿をはっきり捉える。
  黒川は竹刀を自分の頭上に持っていき、力一杯振り下ろしたッ……!!

  剣道で言う『面打ち』にあたる技だったが、その攻撃を空を切る。
  否、ルエはすでにその場にいなかった。サイドステップして、黒川の右横へと移動していた。



   「————ッ!!」



  自分の右横から、何かが飛んでくると直感的に感じた黒川は、咄嗟に後ろにバックステップをした。
  その直後に、元々自分のいた位置に、閃光の如く放たれた剣先が空を切った。

  レイピアというのは突き技に特化した武器である。
  剣と違い重量が少なく、意外と軽い武器でもある為、スピードが良く出る。
  見切る、というのは簡単ではなさそうだ。彼女の突きは、素人目に見ても速い。



   「……はッ!!」


  バックステップして距離を取ったつもりが、いつの間にかルエによって詰められていた。
  速さは彼女が上だ。だったら距離を取るという方法は通用しそうにない。

  次々と突きを放ってくるルエの動きを注意深く見る。
  突きの一発目、黒川の右肩目掛けて放ってくるのが見えた。
  回避するのは至難の業だが、黒川はなんとか身体をねじって回避することに成功した。

  二発目、三発目は竹刀で防御しつつ躱し、黒川も反撃に出る。
  四発目の突きの瞬間、息を合わせる様にして黒川も攻撃に出る……!!

  黒川の狙いは、『カウンター』。剣道で言うならば、返し技。
  ルエの突きだされる右手に集中を注ぎ、その右手に竹刀を打つ事だけを狙う。

  相手の防御ががら空きになるのは、攻撃の瞬間。
  長丁場は不利と見た黒川は、もう勝負に出ることにした。
  とはいえ問題は、これはもろ刃の剣であるという事。
  自分も攻撃するという事は、相手の攻撃も食らうという事だ。
  自分の竹刀はそこまで痛くはないが、ルエのレイピアはかなり重症になりそうだ。

  とはいえ、勝つためには多少の怪我も仕方あるまい……!!



  “すまない愛奈……。最悪心臓貫かれても……魔法でどうにかなるだろうッ!!”


  我ながら都合の良い解釈だと笑いそうになるが、今はそう信じるしかない。
  黒川はルエの四発目の突きが放たれると同時に、咆哮と共に、




   「オオオオぉぉぉあああ!!!!」



  ルエのレイピアを掻い潜り、ルエの右手に渾身の『小手打ち』を打ち込んだッ……!!

  黒川が剣道で一番得意とする技で、弟にも絶賛されるほどのレベルの高い技であるとか。
  だが確かに小手打ちは決まったものの、ルエのレイピアの威力は落ちない。
  デュエルにはなんとか勝った……はず。だが予想していた事だが、閃光の突きは躱せない。


  そのまま黒川の右肩にレイピアの剣先が刺さる瞬間————





   「……ッ!? お……おお……。」



  と、情けない声を上げたのは、誰でもない黒川だった。

  てっきり貫かれると思っていた右肩の寸前で、ピタリとレイピアの剣先が止まっている。
  ある意味、凄い事だ。あそこまで攻撃モーションに入っていたのに、それを中断できるとは。
  おかげで怪我をせずにすんだが、黒川は予想だにしていなかったことだったので、



   「……想像以上だ。素晴らしい。」


  と、思わず口にしてしまった。するとマント越しから、少女の微笑みが見えた気がした。




   「……不思議な奴だ。————とはいえ、私の負けだ。」




  ルエがそう言った直後、観衆が大いに沸いた……————!!








  ————と、いう事で、黒川はなんとかデュエルに勝利することが出来た。

  とはいえ、運要素が強かったと見える。決して実力ではなかっただろう。
  ルエの剣筋は見事だった。実力的に見れば、彼女の方が上だろう。

  デュエル終了後、約束通り、ルエに魔法の事について教えてもらえることになった。
  観衆が去った後、黒川達はとりあえず場所を移そうという事になったのだが、その前に、



   「……もう!! 黒川君の馬鹿ッ!! なんであんなムチャするの!?」



  ……と、愛する彼女からの説教を受けていたのだった。

  お怒りの様子の愛奈を前にして、勝者の黒川は正座して謝るしかなかった。
  うーん、ここは「カッコよかったよ!!」の一言でもよかろうに。

  そんな思考をしていると、愛奈はプイとそっぽを向いて、



   「今日の晩御飯、抜きですからね!!」

   「ちょッ!! それは勘弁してくれないか!?」

   「ダメです。作るのも禁止です。今日一日、私の相手をしてくれないと許しません。」

   「それでやっと許してくれるのか……。」



  半ば呆れながらも天を仰ぐ黒川を横目に、霧島は苦笑してこんな事を呟く。




   「こりゃあアイツ、尻に敷かれるなぁ……。」



  対してルエとキルは二人とも唖然として、二人の様子をただ見守るだけだった。
  さっきまで自分を負かした男が、今は女性の前で子供の様に怒られている。
  ルエとしてはなんというか、自分が情けない気持ちになったのだった。



   「……私はこんな奴に負けたのか。」

   「はは、ははは……。」



  ルエの言う事にごもっともだと思いつつ、キルは苦笑するしかなかった————。



      ————————第18幕 完————————


Re: もしも俺が・・・・。『黒川VSルエ。』 ( No.166 )
日時: 2013/04/07 00:49
名前: るるこ (ID: DTH1JhWe)
参照: http://4628.mitemin.net/i72187/


魔法の世界…!そしてルエちゃんお久ぶり!霧島君を華麗に断るルエちゃんに笑っちゃいましたww
デュエルかっこよかったです。心配する天使水島ちゃんに全俺が萌えた。変わってくれ、黒川君!!<トラップカード発動!黒川君と私チェンジ!←!?>
続きがますます気になるお年頃ですw楽しみにしてます^0^ノ

許可を頂いたのでオリキャラ投稿させて頂きます!お色気キャラもってきましたよ!! (*゜ω゜)ノシΣバンバン!!
最近できた子で、設定とかとくに決めてなくてゴチャゴチャしてますが、焼くなりにくなりデュフフするなりして下さいましww
設定変更おkですのでw○┓一応参照に汚い容姿載せておきまする。(←いらねぇよww)でわ置き逃げします((どや

回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回

--------オリキャラのプロフィール用紙-------------
 
組織 『DDD教団かな?使いやすそうな所で大丈夫です\(^o^)/』
(味方 Or 特殊部隊 Or リバース Or DDD教団、の中からお選びください)

名前 『王莉紅』
名前の読み方 『ワンリーホン/おう りく(日本語読み)』 
年齢 『17歳』
性別 『女』
人種 『人間』
容姿 『身長175cm。金髪赤目。派手な化粧をしてる。ピンクメッシュが入っていて
センターわけのポニーテル。両サイド編みこみにしている。太ももに刺青が入っている。
踊り子のような服装をしており、露出がかなり多い。右足にレッグホルダーをつけている。
基本裸足。アクセサリーをたくさんつけており、ヘソと眉のピアスが特徴。』
性格 『精神年齢が低いく子供っぽい。かなりの攻撃的で荒々しく気が強い。おしゃれに敏感。
口が悪く独占力が無駄に高い。少々色っぽい。シルバーアクセサリーを作るのが趣味。』
能力あればどうぞ 『式神召喚・ふれた物の動きを制限させる』
武器あればどうぞ 『金属矢・式神』
一人称 『アタシ』
二人称 『坊や・お嬢ちゃん・チビ・若(広炎の事)』
三人称 『坊やたち・あんたたち・クソガキ共(怒る時)』
備考 『異世界からガロンに連れられてきた王帝国の第1皇女であり、小悪魔と呼ばれている。
広炎には絶対的な信頼を置いていて、初めて仲良くなった人物でもある。
実は大のさびしがりやで常に広炎をだしっぱにして自分の傍に置いている。
かなりのぼいんちゃん。脱ぎ癖があり実は裸族。服が邪魔らしい。
水風雷土などの他の式神も出せるが広炎しか出さない方針。』

サンプルボイス
『ガロンちゃ〜ん、アタシ達なにすればいいの〜?コスメ買いに行きたいんだけど』
『何人の事ジロジロみてんのよ。・・・はは〜ん、おこちゃまネェ〜♪』
『邪魔だっつてんだろ!!粉々にすっぞ!ゴルァ〜!』
『おい!クソガキ!!若の事とってんじゃねーぞ!若、悪い虫つけてくんな!』


--------オリキャラのプロフィール用紙-------------
 
組織 『上と同じで^0^』
(味方 Or 特殊部隊 Or リバース Or DDD教団、の中からお選びください)

名前 『鳳広炎』
名前の読み方 『フォン グゥァンイェン/ほうこうえん(日本語読み)』 
年齢 『不明。見た目16〜18歳』
性別 『男』
人種 『?』
容姿 『身長180cm/ツンツン頭。色は白金に赤メッシュが入ってる。青緑色の目。
小麦色した肌。山吹色とトマト色っぽいチャイナ服を着ている。
両肩から胸辺りまで鳳凰の刺青が入っている。腕にサポーター的なのをつけている。』
性格 『自由奔放でマイペース。物事を深くは考えない軽い性格。
ようするに馬鹿のオープンスケベ。色々と鈍感だが面倒見がよく兄貴肌。
戦闘になると冷静に分析しキリッとする。健啖家で桃饅頭が好物。』
能力あればどうぞ 『火炎・溶岩マグマ系全般操れたり・吸収できたりできる・剪紙成兵術(人型の紙を使って紙を本物の兵隊に変えてしまう)』
武器あればどうぞ 『中国拳法』
一人称 『オレ』
二人称 『小娘・小僧・小童・お嬢(莉紅の事)』
三人称 『小僧たち・こいつら』
備考 『実は天界人であり、天界生まれの天界育ち。炎帝と呼ばれる太陽神の息子。
莉紅が初めて召喚した一応式神。桃饅頭くれたら契約する!と言ったらしい。
天界に帰りたいらしいがなかなか帰してくれなくて困っている。
八卦鏡を持っていて魔界の魔物を観察している。密かにドラ○ンボールのかめ○め波を練習している。
中国拳法は父親に叩きこめられた。マグマ風呂が好きで探している模様。
高い所が好きでビルの上とかにいる。』

サンプルボイス
『わりぃけどオレ、お嬢だけにしか従わねぇから。一応主だし』
『忠告じゃ、小僧。このままじゃ死ぬぞ。』
『小娘、桃饅頭くれたら協力してやるよ。』
『オレ名前に炎って入ってるけど使わねーんだわ。炎より溶岩の方が強いじゃん?』

Re: もしも俺が・・・・。『黒川VSルエ。』 ( No.167 )
日時: 2013/04/10 11:29
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode


 “るるこ様”へ

どうもでございます!! ついにルエちゃんの登場ですw
ルエちゃんはクールなんでね、スルースキルもそれなりに高いのではないかと♪w
トラップカードww 遊戯王じゃないですかーw
ですがデュエルって聞くと、何か遊戯王を思い浮かべてしまうんですよねw

オリキャラキタぁあああああ!!! お色気キャラ!? 使うっきゃねぇ!!ww
なるほど、これはデュフフ一択ですね。はい。ww
しかも神イラストまで!! ありがとうございます!! 無論、永久保存ですねw

『かなりのぼいんちゃん。脱ぎ癖があり実は裸族。服が邪魔らしい。』
↑この時点ですでに神キャラだと思うんだ。男のロマンだと思うんだ。w

『馬鹿のオープンスケベ。』
↑この時点で私と同じ匂いを感じるんだ。同類だと思うんだ。w

コメント、オリキャラを二人、そしてイラストの方を本当にありがとうございました!! これからも執筆の方頑張ります!!


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