複雑・ファジー小説

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もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』
日時: 2014/01/03 18:25
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)

   作者の今叫びたい一言  『ツイッター、始めました。>>205』 (By 作者)


   序章、あとがき+読者様へ一言!! >>114

   土下座で頼む、簡単アンケート!! >>115
   ↑アンケート円滑化のために、登場人物のリストを作りました!! >>123

   オリキャラ大募集中!!!(こちらをお読みください。) >>140



 【第一回 アンケート回答者リスト!! スペシャルサンクス!!】

・月葵様 →>>117
・るるこ様 →>>125
・檜原武甲様 →>>133
・李々様 →>>134
・八重様 →>>138
・エストレア様 →>>145


 【オリキャラリスト!! スペシャルサンクス!!】

・李々様 →>>141 『明蓮寺 美夜』 >>151 『古屋 朱李衣』
・95様 →>>142 『葉隠 空冴』 >>146 『鳳凰院 龍雅』
・エストレア様 →>>145 『キル・フロート』
・檜原武甲様 →>>147 『知名崎 宇検』
・月葵様 →>>148 『結風 遥』 >>156 『矛燕』 『ゼヘト』
・グレイ様 →>>152 『周邊 蓮華』
・八重様 →>>155 『雛姫 容子』
・るるこ様 →>>166 『王 莉紅』 『鳳広炎』









   クリックどうもありがとうございます。


  おはようございます、こんにちは、そしてこんばんわ。

  どうも初めまして。ご存知の方はお久しぶりです。

  私の名前はヒトデナシと申します。



 “自己紹介が終わったところで、この小説の注意点です。”


  1、荒らしの方々は回れ右して去ってください。

  2、読んでいただけるとすごくありがたいです。

  3、コメントをもらうと、作者は歓喜に満ち溢れます。




 “では次に、この小説はどんなものなのかを紹介いたします。”
    

  1、この小説の中心の視点は基本、主人公である俺(作者ではありません。)が中心です。

  2、この小説は、主人公が『もしもの世界』を体験したとき、どのように思うのか、またはどのように動くのかを描いたものです。

  3、基本、自由である。



  ————と言った感じでございます。



  では早速書いていきたいと思います。

  楽しんでいただけると幸いです。



  ・登場人物・・・主要人物 >>119
          黒川陣営 >>120
          リバース陣営 >>121
          DDD教団陣営 >>122


  ・イラスト広場(心優しい絵師様、常時募集中)・・・>>62

  ・用語説明・・・>>63




   コメントを下さった優しい読者様


 ・月葵様 
 ・八重様
 ・秘密箱様
 ・エストレア様
 ・小枝様
 ・るるこ様
 ・春野花様
 ・陽様
 ・修道士。様
 ・檜原武甲様
 ・李々様
 ・ちぇりお様
 ・95様
 ・グレイ様
 ・H様
 ・007様



    ———— 『もしも俺が・・・・。』目次 ————


【序章、日常編】 

  表紙→>>12 (八重様)
  挿絵→ 第1幕 >>20 (るるこ様)
      第6幕 >>89 (るるこ様)
      第15幕 >>125 (るるこ様)


   第1幕 『もしも俺が自己紹介をしたのなら……。』 >>1 >>7 >>8
   第2幕 『もしも俺が自分の世界を紹介するなら……。』 >>14 >>16 >>19
   第3幕 『もしも俺が風紀委員会を紹介したなら……。』 >>23 >>24 >>25
   第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』 >>31 >>32 >>35
   第5幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……続編。』 >>36 >>37 >>43
   第6幕 『もしも俺(様)が華麗に参上したなら……。』 >>46 >>50 >>51
   第7幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……。』 >>56 >>60 >>61
   第8幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……続編。』 >>64 >>65 >>66
   第9幕 『もしも俺(様)が異次元を渡るなら……。』 >>69 >>70 >>71
   第10幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……。』 >>76 >>77 >>82
   第11幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……続編。』 >>83 >>84 >>85
   第12幕 『もしも俺が休日を過ごすのならば……。』 >>88 >>93 >>96
   第13幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……前編。』 >>101 >>102 >>103
   第14幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……後編。』 >>106 >>107 >>108
   第15幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……終編。』 >>111 >>112 >>113

   あとがき、そしてコメントを下さった方々に感謝の言葉を!! >>114


【第2章、闇人(やみびと)と天使編】

  プロローグ >>124


   第16幕 『もしも俺が日常を過ごしたのなら……。』 >>128 >>131 >>132

   第17幕 『もしも俺がこれまでの事をまとめたなら……。』 >>136 >>159 >>160

   第18幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……。』 >>163 >>164 >>165

   第19幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……2。』 >>170 >>171 >>176

   第20幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……3。』 >>181 >>185 >>186

   第21幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……4。』 >>189 >>190 >>194

   第22幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……5。』 >>198 >>201 >>204

   第23幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……。』 >>206 >>209 >>210

   第24幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……2。』 >>211 >>215 >>216

   第25幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……3。』 >>217




    ------------ サブストーリー -------------


  『交差する二人』・・・>>29 >>30 
  (300参照突破記念。黒川と水島の知られざる出会いの物語。)

  『彼ら彼女らのクリスマス』・・・>>54 >>55
  (600参照突破記念。元地山中学生の奇妙なクリスマスの物語。)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ。』・・・>>72 >>73
  (1000参照突破記念。あまりにもカオスすぎた。お祭り過ぎた。黒歴史とか言わないで。)

  『たった一つのバレンタインチョコ。』・・・>>86 >>87
  (1300参照突破記念。遅くなりましたがバレンタインネタ。元地山中学に甘い展開!?ww)

  『風紀委員会の日常日記。』・・・>>104 >>105
  (1500参照突破記念。風紀委員会で極秘に行われる秘密の日記が明らかに!?)

  『The Time Start Of ティアナ。』・・・>>109 >>110
  (1800参照突破記念。霧島とティアナ、そしてあのゼロの復活の物語……?)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ2。』・・・>>127
  (2000参照突破、日常編完結記念。もし俺メンバーのカオスな物語。
  注意、この物語は18歳未満には刺激の強いちょっとした深夜族成分が含まれています。
  お読みの際はにやけるお顔に気を付けて、一文一文丁寧にお読みください。By ヒトデナシ。)

  『黒水SS By 火矢 八重様』・・・>>158
  (トップレベルの作者様、火矢 八重様の執筆した黒水SS。
  よく読んでくださる彼女でこそ書くことが出来る、レベルの高いSSですw 
  黒水SSは全ての読者様のモノ。皆様適当に妄想しちゃってくださいw
  なお、もしも黒水SSを考えちゃった♪という神様がいるなら、
  ぜひともこちらに投稿してくださればなと思いますw 私も読みたいですしねwww)

  『花狩椿と銀色のいばら道』・・・>>168 >>169
  (2500参照突破記念。花狩先生の少年時代の過去。
  劣等感を胸に秘めた彼の前に現れた、ある人との出会いとは……?)




------------名誉、歴史--------------


・11月25日、『もしも俺が・・・・。』投稿。
・11月29日、100参照突破!! (ありがとうございます!!)
・12月02日、200参照突破!! (皆様の応援に感謝しております!!)
・12月06日、300参照突破!! (3は私の好きな数字です。とにかく感謝です!!)
・12月13日、400参照突破!! (嬉しい限りでございます。執筆ファイト!!)
・12月21日、500参照突破!! (500ですか!! 1000まで半分を切りました!!)
・12月24日、600参照突破!! (メリークリスマス!!)
・12月31日、700参照突破!! (2012年最後の日!!)
・01月05日、800参照突破!! (2013年、始まりました!!)
・02月12日、900参照突破!! (復活しました!! 皆様のためにも頑張ります!!)
・02月13日、1000参照突破!! (明日はバレンタインですか。皆様の応援に感謝!!)
・02月15日、1100参照突破!! (1000という大台を突破できてうれしいです!!)
・02月17日、1200参照突破!! (本編も10幕を突破。これからもバンバン書いていきますw)
・02月18日、1300参照突破!! (スリラーナーイト!! ……申し訳ない、深夜の悪乗りですw)
・02月21日、1400参照突破!! (もうすぐ1500!! 大感謝です!!)
・02月25日、1500参照突破!! (きたあああ!!! 1500参照ついに突破!!)
・02月27日、1600参照突破!! (おおぉぉ!! 応援に大変感謝です!!)
・03月01日、1700参照突破!! (ついに3月ですね!!)
・03月03日、1800参照突破!! (ありがとうございます!! ありがとうございます!!)
・03月06日、1900参照突破!! (もうすぐ2000ですね!! 頑張ります!!)
・03月09日、2000参照突破!! (2000参照突破しました!! 歓喜です!! 最高です!!)
・03月11日、2100参照突破!! (3000目指して頑張ります!!)
・03月11日、序章完結!! (始めの物語、無事に書き終えることが出来ました!! サンクス!!)

・03月18日、第2章、始まり!! (実はというと、サブタイトルに結構悩みましたwww)
・03月18日、2200参照突破!! (第2章も頑張ります!!)
・03月20日、2300参照突破!! (第2章、本格的にスタートです!!)
・03月26日、2400参照突破!! (もうすぐ2500ですね!! 頑張りますね!!)
・03月28日、2500参照突破!! (2500参照突破しました!! 3000目指して頑張ります!!)
・03月30日、2600参照突破!! (たくさんのオリキャラをありがとうございます!!)
・03月31日、2700参照突破!! (なんという快挙!! ありがとうございます!!)
・04月02日、2800参照突破!! (4月になりましたね!!)
・04月06日、2900参照突破!! (もうすぐ3000かぁ……。行けるといいなぁ。)
・04月14日、3000参照突破!! (うわぁぁああ!! 3000です!! 3000なんです!!!)
・05月01日、3100参照突破!! (長期休暇を頂きました!! 本日からまた執筆頑張ります!!)
・09月02日、4600参照突破!! (久々の執筆なので腕が鈍りまくりですねw)
・09月04日、4700参照突破!! (5000までもうすぐですね。頑張ります。)
・09月06日、4800参照突破!! (9月と言えば作者はもうすぐ誕生日とやらを迎えるわけですか。)
・09月09日、4900参照突破!! (もうすぐ5000ですね。頑張りますね。)
・09月12日、5000参照突破!! (5000です!! ありがとうございます。)
・09月14日、5100参照突破!! (私の誕生日です。ありがとうございます。)
・09月23日、5200参照突破!! (最近私の家族にPCを占拠される事が多くなりました。)
・11月18日、5300、5400参照突破!! (ここを建設して約一年になります。)

Re: もしも俺が・・・・。『霧島覚醒。』 ( No.188 )
日時: 2013/09/05 18:22
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)


 "エストレア様"

お楽しみいただき光栄でございます。
この後も心臓ドキドキの展開が待っていますのでぜひとも楽しんでくださいw

おや、さすがでございますね。よくお気づきになられましたね。
現在ルエちゃんは暴走状態という事で目が変わっております。
この後の展開は後々明らかになるのでどうぞお楽しみにw

そうですね、これだけは言えます。次もいっぱい混乱します♪←えww

温かいお言葉をありがとうございます。執筆の方頑張りますので。

Re: もしも俺が・・・・。『霧島覚醒。』 ( No.189 )
日時: 2013/09/05 19:21
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)


    ————第21幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……4。』————


        「パート1。」



 誰かが叫ぶ音が聞こえる。誰かが悲鳴を上げている。
 誰かが戦う音がする。何かが交わる音がする。
 拳と拳を交える音が。地面を蹴り、跳躍する音がする。

 そして誰かが自分の頬に触れる感触がする……————。



  「…………。」


 ゆっくりと目蓋を開き、視界を開いていく。空が移り、自分は気絶していたのだな、と悟った。
 確か自分はガロンに挑んだ。しかし歯が立たず、守れず意識を閉ざした。
 決して浅い傷ではなかった。とても数分で目が覚めるようなダメージではなかった。しかし、


  「……まだ……動く……。」


 ————黒川は自分の身体がまだ動くことに驚きを隠せなかった。

 あの時ピクリとも動かなかった身体が、今では柔軟に動く。身体を起こすことも容易だった。
 そこで黒川は初めて気が付いた。最愛の人、水島愛奈が隣に座っていた事に……。


  「よかった……。黒川君、身体の調子は?」


 そう言った水島の顔は、安堵の表情であった。きっと自分は、また彼女に助けられたのだろう。
 そして何より、黒川はホッとした。彼女は、生きていた。誰かが救ってくれたのだろう。
 水島の手に、何かスプレーのようなものが握られてあった。見覚えがある。
 それはデュエルの時、ルエに挑んだ男が使っていた傷を治すスプレーと同系だった。


  「……そのスプレーで……俺を……?」

  「うん。ルエちゃんがね、渡してくれたの。一応持っておけ、って。」

  「……そうか。」


 きっとルエが水島が傷ついた時のために持たせていたものだろう。抜かりのない奴だ。
 そのスプレーを傷ついた私に使った、そんなところだろう。おかげで私はこうして動くことが出来る。


 ————それにしても、情けない話だ。

 私はまた、水島を危険な目に晒してしまっている。守りきれていない。
 幸い彼女は無事みたいだが、自分の力で守りきれないのがこれ以上なく悔しい。



  「黒川君……。」


 その思考を読み取ったのか、水島はそれ以上は何も言わずに黒川を抱きしめた。
 温かい抱擁に弱さを見せたくなってしまう。甘えたくなってしまう。しかし、


  「……今はその時ではないな。」


 スッと水島をゆっくりと引き離し、ゆっくりと周りを見渡した。

 黒川はすでに思考を切り替えていた。自分の置かれている状況、情報を認識しようとしていた。
 自分が気絶してまだそこまで経っていないようだ。今『もしもの世界』にいることがそれを証明している。
 そして周りを見てみるとガロンはおろか霧島の姿も見えない。だがどこかで戦闘が行われている音は聞こえる。


  「……愛奈。俺が気絶している間、何があったか簡潔に説明してくれるか?」

  「う……うん。でもね黒川君、実は私も気絶しちゃって……」

  「構わない。分かる事だけ教えてほしい。」


 水島はコクンと頷いて順々に話し始める。そして分かった事は、二つ。

 一つ、それは霧島が黒川達をガロンから救ってくれたかもしれないという点。
 そして二つ目は————



  「……ルエが暴走している?」


 黒川は驚いて思わず復唱してしまった。しばらく言葉を失ったまま唖然としてしまった。
 水島が気絶から回復した直後にどうやらルエが何やら苦しそうな表情をしているのを見たらしい。

 その原因が何なのかは分からないが、その暴走を止めるために霧島がルエと、
 そして突如現れた謎の二人がガロンと交戦しているようだ。



  「……その謎の二人とやらも気になるが、今はルエだな。」

  「ごめんね黒川君。私何もできなくて……。」


 水島は視線を下げて申し訳なさそうに言った。
 どうやら、守れなくて辛かったのは黒川だけではないらしい。
 彼女もきっと何もできないもどかしさに辛かったに違いない。私と一緒で。
 そんな水島の頭をそっと撫でて苦笑した。



  「……お互い様だ。だからこれで終わりにしよう。それに————」



 黒川はスッと立ち上がる。どうやら問題なく身体は動きそうだ……。




  「……時間が惜しい。助けに行くぞ、愛奈————」



 今もきっと霧島はルエと戦っている。そして礼も言わなければならない。だから行かなければ。

 苦しんでいるルエを、それを止めようとしている霧島を助けるために————。



Re: もしも俺が・・・・。『第21幕。』 ( No.190 )
日時: 2013/09/06 21:54
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)


       「パート2。」




 ————黒川達が目覚めたその頃、ガロンとリバースの二人は交戦を始めていた……。

 リバースの目的はDDD教団の一員であるガロンの殲滅。そして詳しい情報の入手。
 だがそれを簡単に教えてくれる程、敵も優しくも素直でもない。
 まるで今までお預けを食らっていた犬の如く、ガロンは二人に牙を向けてきたのだ。
 ちなみに、先ほど悍ましいほどの光を放っていた女の子は、現在霧島勇気と交戦している。
 ちなみに返事を聞かずに一方的に押し付けてきた。なぜなら、



  「ウラアアアアアアァァッッ!!!!」


 大暴れするガロンを止めるのが、僕達の出来る精一杯の事だからだ……!!

 とはいえ、ガロンはすでに幾度かの傷を負っていた。これは珍しい情報である。
 ガロンが少しでも傷を負ったという情報は未だに聞いたことがない。
 なぜなら彼は強すぎる。かなりの超人でなければ傷一つ付けさせてはくれない。

 『鍵』が負わせたのか、それとも霧島勇気が付けたのかは謎だが……



  「ぐッ……!! リオッ、お前も交戦しろッ!!」


 榊は目の前のガロンの体術を流しつつ、心底苦しそうに言葉を吐き出した。
 それを聞くまで自分は物思いにふけて戦いの最中だということを忘れていた。
 頭を振るい、地面に手を付けて自分の周囲にまるで生きているかのような植物を召喚する。

 リオは体術には長けておらず、どちらかと言えば後方からのサポートだ。
 先ほどの様に植物を操って遠くから戦うのが主流だ。
 対して榊は、体術と剣術に長けた接近戦のエキスパートだ。
 今もガロンの暴走に近い体術を止めていられるのは榊のおかげだ。しかし、



  「……あまりにも、強すぎますね。」


 思わず呟いてしまう。目の前の生き物は化物だ。消耗しているはずなのに、全快に近い榊よりもはるかに強い。

 一人なら負けるだろう。しかし今は二人いる————



  「————止まってもらいますよ。ガロン……。」



 瞬間、リオはパチンと指を鳴らした。

 直後に榊はガロンとの体術による交戦は止め、即座にバックステップをした。
 それを逃がすまいとガロンは距離を詰めようとするが……



  「全植物操 (ツリーマインド)』……!!」



 ガロンの周囲の地面から突如空に向かって勢いよく木々達が顔を出した。
 木々達はうねうねとうごめいており、生きているかのようだ。

 ガロンの道を阻むように現れた木々達はゆっくりと先端をガロンに向けた後、
 リオの手を下ろす合図とともに、ガロンに向かって突撃していく……!!


  「ははァ!! 相変わらず……」


 ガロンはニヤリと笑った後、両手をまるでナイフのように尖らせ、



  「お客様をご奉仕出来ねぇ植物どもだなァァ!!!」


 向かって来る植物をそのナイフのような手刀でいとも簡単に切り裂いていった。
 召喚された木々達はそれなりに固いし、太さもある。
 にもかかわらず、ガロンにとってはケーキにナイフで切れ目を入れることとなんら変わりはない。
 手刀だけでこいつは鉄をも切り裂けるのではなかろうかと思うぐらい、本物のナイフ顔負けだ。

 だが、これだけで攻撃の嵐が終わるはずもなかった……!!

 リオはその切り刻まれた植物を含め、ガロンの周辺にさらに植物を召喚して操り、
 ガロンを中心に木々達を竜巻の様に囲った後、ギュッとガロンのいる中心を締め付けた……!!
 まるで一つの塔の様な木造物が出来上がった。命名すると、『グリーンツリー』。
 この中心に埋められているのが犯罪者などとは考えたくもない。


  「榊、今です。やっちゃってください。」

  「分かってらァァ!!!」


 榊は咆哮しながら大きく跳躍する。肩に掛けている日本刀を抜きながら……。
 グリーンツリーの高さは10m程。その高さに近い所まで跳躍した。そして、



  「————オオオオオラアアアアアアァァァッッ!!!!!!」



 グリーンツリーの頂から日本刀の刃を侵入させ、そこから真下に刃をスライスさせていく。
 これまたケーキの様にグリーンツリーは縦に切れ線を残していく。
 榊の日本刀は火を抜くかのごとく火花を散らし、グリーンツリーごと真っ二つにする……!!

 グリーンツリーは綺麗に縦に割れ、うねりながら二つに分裂していく。
 頂から少しずつ左右に分かれ、グリーンツリーは音を立てて煙をまき散らして崩れていく。
 榊の日本刀は中に閉じ込めていたガロンごと真っ二つに切り裂いた、はず。

 もしかしたら知らない内に脱出していた、なんて事もあるかと思ったが、


  「……参ったな。どうすりゃ殺せるんだこいつ?」


 榊は煙の中にある人影を見て、ため息交じりに呟いた。

 確かに、崩壊していくリオの木造物であるグリーンツリーの煙の中に、
 漆黒のマントをゆらゆらと揺らすガロンの姿があった……。



  「さすがに今のはちとやばかったかもなぁ……。痛かったわ」


 ガロンは左肩から縦に付いた深い傷を指してそう言った。そこからは多量の血が流れている。
 普通の人間なら、真っ二つになっている所を奴は深手で済んだのか。しかもまだ立てるときた。
 榊の日本刀はそれなりに切れ味は良い。少なくとも、人を切り裂くことは難しくない。
 だが、ガロンの身体は真っ二つに出来ない程固いらしい。サイボーグか何かと疑いたくなる。


  「まぁいいや。もう一度切ってやらぁ。」

  「おっ、さすが威勢イイね若者よ。かかってきなさいよ。」


 挑発するガロンにカチンと来て日本刀をキラリと光らせて一歩踏み出そうとしたが、リオに止められた。
 リオは榊の前に立ち、ガロンに真剣な眼差しを向けて口を開いた。


  「……ちょっと待ってください榊君。この際なので、聞きたいことがあります。」


 リオの言葉に意外と思いつつも、榊も少しづつ頭が冷えてきていた。
 そういえば、このガロンから情報を聞き出すことも目的の一つだったな。


  「痛めつけてからでもよくね? 死なないだろ、こいつ。」

  「その痛めつけるという行為自体が困難と判断したため、今聞くのですよ。」


 それは遠まわしにガロンに勝つことが困難だと告げている様だった。いや、そう告げていた。
 リオはこの状況で二人相手でもガロンに勝つのは難しいと判断した結果取った行動だった。
 とはいっても、負けるつもりではない。勝つのではなく、殺すのだから。


  「あっはっは。嬢ちゃん、いさぎいいねぇ。どうだ? 俺とワンナイトするつもりは?」

  「残念ですが、僕では貴方を満足させるには幼すぎるかと。」

  「ぷっ、はっはっは。こりゃ一本取られた。いやー、失敬。それもそうか。」



 リオとガロンが何を話し合っているのかは大体分かる。俺も相応の年だからな。
 とはいえ、リオの対応は何なのか。9歳の対応じゃないぞ今のは。



  「……いいぜ、気に入った。お嬢ちゃんに免じて、おじさん少し質問に付き合ってやるよ。」

  「ご協力感謝します。」


 なんだかんだで丸め込むことに成功したリオ。おいおいマジか。
 ガロン・ヨルダンと言えば、DDD教団の中でもかなりの戦闘狂だ。
 そんな奴と話し合いとか成立するとは、微塵にも思ってはいなかった。

 ガロンはその場に座り込み、ふいーと一息吐く。
 無論、リオも榊も臨戦態勢は解いていない。日本刀も握ったままだ。



  「ではさっそく。————ガロン、貴方は『鍵』と接触しましたね?」



 リオはいきなり確信に近い質問をぶつけていく。その顔は真剣だ。

 『鍵』。その存在についてはリオも、リバースも知らない事だ。
 唯一知っている事、それは『鍵』と呼ばれる存在が世界を破壊する引き金になるという事。


 そしてその『鍵』とは————










  「————『鍵』である、黒川に貴方は何をしましたか?」



 そう、『鍵』とは黒川の事を指している。なぜなのか、それを不明だ。
 ただDDD教団は黒川の事を『鍵』だと言い、そして何らかの事を考えている。
 その何らかの事や背後に潜む本当の目的は今も謎で、闇に包まれている。
 しかし、ガロンは特に驚いた表情を見せず、意外にも冷静だった。



  「……そういや、あのぼっちゃんが黒川だったか。忘れてたな。」

  「どういうことですか?」

  「深い意味はねぇよ。ただ忘れてたのさ。喧嘩が楽しくてなぁ。」


 ガロンは思い出し笑いでもするかのようにくっくっくと笑った。
 前々から思っていた事だが、ガロンは他のDDD教団とは少し違う。
 ガロンに関しては、特に『鍵』について深入りが無いように見える。興味がないのか。

 しかし、『鍵』である黒川が何か関係しているのは間違いない。それは確か。



  「……という事は、ただ殴り合っただけ、ということですか?」

  「そういうこった。嘘はついてねぇぜ? それに、確かに黒川とやらは『鍵』と言われているが、

  ————『鍵』は引き金になるだけだ。それ以上の事なんてねぇよ。」


 ガロンの言った言葉は理解するのには情報が少なすぎた。情報屋であるリオが分からないぐらいに。
 榊も多少の事情を知っているとはいえ、この話についていく事は難しいだろう。


  「では『鍵』とは何なのです? それが示す意図は?」


 リオはさらに質問を重ねていく。そろそろ口を閉ざす頃かなと思っていたが、
 意外にもガロンは、「そろそろいいか……。」とだけ呟いて、話を続けた。



  「嬢ちゃん、『天使』っつうもんを信じるか? 聞いたことがあるかい?」

  「天使……?」


 天使とは、頭に輪っかみたいなものを付け、羽を生やしているあれのことだろうか。
 信じるも何も、あれは天国とかに浮遊してるものじゃないのか。いや、そもそも、


  「天使など存在するとは思えませんね。非常識です。」


  「でしょうなぁ。だがな、いるんだよなぁこれが。

  ————最終的に、世界を破壊するか、救うかを決定する天使様がな。」


  「……?」



 ガロンの言う意図がいまいちつかめない。話が飛びすぎている。
 『鍵』の話がなぜこんな『天使』とかいう話になるのか。現実味がなさすぎる。
 リオはキッとガロンを睨んで威嚇するように言う。


  「……もしかしてはぐらかしているわけではないですよね?」

  「怖い顔すんなって。信じられないのも分かる。今は普通の人間になりきって生活しているからな。
   その普通の人間が『天使』になるために、『鍵』である奴が必要になるのさ。

  『鍵』が『天使』の力を目覚めさせ、天使が降り立つ。そして————」


 ガロンはスッと立ち上がり、ニヤリと笑う。さっきまで無かった殺気も溢れだした……。





  「————『天使』の力を利用し、世界を破滅へと導くのさぁッ!!!!」


 ガロンからとてつもない強風が吹き荒れた。威圧にも似た感覚。背筋が凍る。

 それだけじゃない。それ以外にも何かが……『いる』!!



  「————!!」



 リオも榊も気づいた時には、遅かった。すでに、『攻撃されていた』。
 二人ともその位置に立ち尽くしたまま動かない。否、動けない。
 まるで金縛りにあったかのように身体が動かない。ピクリとも動けない。

 ガロンの攻撃じゃない、のは分かっている。なぜなら————





  「————うふふ、気づくのが遅いのよ、坊やたち〜。」




 攻撃した本人が、自分達の背後にいるからだ……————!!



Re: もしも俺が・・・・。『鍵。』 ( No.191 )
日時: 2013/09/07 12:02
名前: 007 (ID: pyHrCXZU)

ええ、どうも。神出鬼没の007です!。お久しぶりですね〜。自分はこの小説カキコに書く事自体がお久しぶりなんですけどwww。

ええ、遅いコメントとなって申し訳ありません、お帰りなさいです、ヒトデナシさん。自分はヒトデナシさんが戻ってくる間に初めから目を通して待ってしました(まぁ他の事もしていましたがww)。

ええ9月になり、自分も誕生日を迎える時期がやってまいりました。ちなみに自分は明後日が誕生日となっております。ええ。
なのでどんな誕生日になるか、絶対に悲惨になってしまう可能性が大ですwww。

なので、自分の誕生日を少しでも祝ってくれたらなと、というか「そうなんだ」だけでも構いませんww、知ってもらえればさえ良かったのでw。

自分ももうすぐ誕生日が迎えられますが、ヒトデナシさんも良い9月を迎えられる良いですね。

そして物語も激戦と言う熱い展開になってしまい、自分で予想外な事があって面白くなってきましたね。そして黒水をハッピーエンドに自分は迎えたいです!ww。
物語の更新を楽しみにしています。自分もこれからも見ていきますので、これからもよろしくお願いします。
そして自分の作ったオリキャラも格好良く使っていただきありがとうございます!。
それに関しては自分も感動しました、全部感動しましたけどww。
今後の葉隠も期待しています。
またの機会にオリキャラが作れたら、その時はお世話になるでしょう。
では、また。

P.S.葉隠があの後どうしたのか気になるなぁwwww。

Re: もしも俺が・・・・。『鍵。』 ( No.192 )
日時: 2013/09/08 14:06
名前: るるこ (ID: bs11P6Cd)


うはわあああ!おかえんなさい!!お久しぶりです!るるこです^^
ずっとPC前で正座してましたよ\(^o^)/しびれちゃったぜ!

とは言ってもカキコ自体実は久しぶりでして、たまたま更新してるかな〜?とストーキングという名の愛で覗いた所…きてるじゃないですかーΣ(・ω・ノ)ノ!

これは…運命ですね、私たち…!!(・´ー・` )どや

ガロンさん強さはんぱないですね!うっはー興奮が止まらない!わくわくしてます
ガロン好きですよ!わたし!!(σ´∀‘)σ

霧島君が能力者…だと!?きりしまぁ…惚れたぜ…!!やらないか?←!?
相変わらず愛奈たんはかわいいです。黒水すごく…すごくおいしいです!!!'‘ァ,、ァ(*´Д`*)'‘ァ,、ァありがとうございます!!!
ルエたんと愛奈たんは天使なんや!!

リバースかっこええ。cool!すごくcool!(海外風)
ルエたんの力の暴走に黒川くんが鍵、そしてまさかこの口調は…!!
ちょっと!!わくわくやばいですw私が暴走しそうなくらいhighになってます)^o^(
でわでわ、最近寒くなったのでお身体にお気をつけて!更新楽しみにしております♪


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