複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』
- 日時: 2014/01/03 18:25
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
作者の今叫びたい一言 『ツイッター、始めました。>>205』 (By 作者)
序章、あとがき+読者様へ一言!! >>114
土下座で頼む、簡単アンケート!! >>115
↑アンケート円滑化のために、登場人物のリストを作りました!! >>123
オリキャラ大募集中!!!(こちらをお読みください。) >>140
【第一回 アンケート回答者リスト!! スペシャルサンクス!!】
・月葵様 →>>117
・るるこ様 →>>125
・檜原武甲様 →>>133
・李々様 →>>134
・八重様 →>>138
・エストレア様 →>>145
【オリキャラリスト!! スペシャルサンクス!!】
・李々様 →>>141 『明蓮寺 美夜』 >>151 『古屋 朱李衣』
・95様 →>>142 『葉隠 空冴』 >>146 『鳳凰院 龍雅』
・エストレア様 →>>145 『キル・フロート』
・檜原武甲様 →>>147 『知名崎 宇検』
・月葵様 →>>148 『結風 遥』 >>156 『矛燕』 『ゼヘト』
・グレイ様 →>>152 『周邊 蓮華』
・八重様 →>>155 『雛姫 容子』
・るるこ様 →>>166 『王 莉紅』 『鳳広炎』
クリックどうもありがとうございます。
おはようございます、こんにちは、そしてこんばんわ。
どうも初めまして。ご存知の方はお久しぶりです。
私の名前はヒトデナシと申します。
“自己紹介が終わったところで、この小説の注意点です。”
1、荒らしの方々は回れ右して去ってください。
2、読んでいただけるとすごくありがたいです。
3、コメントをもらうと、作者は歓喜に満ち溢れます。
“では次に、この小説はどんなものなのかを紹介いたします。”
1、この小説の中心の視点は基本、主人公である俺(作者ではありません。)が中心です。
2、この小説は、主人公が『もしもの世界』を体験したとき、どのように思うのか、またはどのように動くのかを描いたものです。
3、基本、自由である。
————と言った感じでございます。
では早速書いていきたいと思います。
楽しんでいただけると幸いです。
・登場人物・・・主要人物 >>119
黒川陣営 >>120
リバース陣営 >>121
DDD教団陣営 >>122
・イラスト広場(心優しい絵師様、常時募集中)・・・>>62
・用語説明・・・>>63
コメントを下さった優しい読者様
・月葵様
・八重様
・秘密箱様
・エストレア様
・小枝様
・るるこ様
・春野花様
・陽様
・修道士。様
・檜原武甲様
・李々様
・ちぇりお様
・95様
・グレイ様
・H様
・007様
———— 『もしも俺が・・・・。』目次 ————
【序章、日常編】
表紙→>>12 (八重様)
挿絵→ 第1幕 >>20 (るるこ様)
第6幕 >>89 (るるこ様)
第15幕 >>125 (るるこ様)
第1幕 『もしも俺が自己紹介をしたのなら……。』 >>1 >>7 >>8
第2幕 『もしも俺が自分の世界を紹介するなら……。』 >>14 >>16 >>19
第3幕 『もしも俺が風紀委員会を紹介したなら……。』 >>23 >>24 >>25
第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』 >>31 >>32 >>35
第5幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……続編。』 >>36 >>37 >>43
第6幕 『もしも俺(様)が華麗に参上したなら……。』 >>46 >>50 >>51
第7幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……。』 >>56 >>60 >>61
第8幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……続編。』 >>64 >>65 >>66
第9幕 『もしも俺(様)が異次元を渡るなら……。』 >>69 >>70 >>71
第10幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……。』 >>76 >>77 >>82
第11幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……続編。』 >>83 >>84 >>85
第12幕 『もしも俺が休日を過ごすのならば……。』 >>88 >>93 >>96
第13幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……前編。』 >>101 >>102 >>103
第14幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……後編。』 >>106 >>107 >>108
第15幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……終編。』 >>111 >>112 >>113
あとがき、そしてコメントを下さった方々に感謝の言葉を!! >>114
【第2章、闇人(やみびと)と天使編】
プロローグ >>124
第16幕 『もしも俺が日常を過ごしたのなら……。』 >>128 >>131 >>132
第17幕 『もしも俺がこれまでの事をまとめたなら……。』 >>136 >>159 >>160
第18幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……。』 >>163 >>164 >>165
第19幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……2。』 >>170 >>171 >>176
第20幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……3。』 >>181 >>185 >>186
第21幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……4。』 >>189 >>190 >>194
第22幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……5。』 >>198 >>201 >>204
第23幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……。』 >>206 >>209 >>210
第24幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……2。』 >>211 >>215 >>216
第25幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……3。』 >>217
------------ サブストーリー -------------
『交差する二人』・・・>>29 >>30
(300参照突破記念。黒川と水島の知られざる出会いの物語。)
『彼ら彼女らのクリスマス』・・・>>54 >>55
(600参照突破記念。元地山中学生の奇妙なクリスマスの物語。)
『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ。』・・・>>72 >>73
(1000参照突破記念。あまりにもカオスすぎた。お祭り過ぎた。黒歴史とか言わないで。)
『たった一つのバレンタインチョコ。』・・・>>86 >>87
(1300参照突破記念。遅くなりましたがバレンタインネタ。元地山中学に甘い展開!?ww)
『風紀委員会の日常日記。』・・・>>104 >>105
(1500参照突破記念。風紀委員会で極秘に行われる秘密の日記が明らかに!?)
『The Time Start Of ティアナ。』・・・>>109 >>110
(1800参照突破記念。霧島とティアナ、そしてあのゼロの復活の物語……?)
『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ2。』・・・>>127
(2000参照突破、日常編完結記念。もし俺メンバーのカオスな物語。
注意、この物語は18歳未満には刺激の強いちょっとした深夜族成分が含まれています。
お読みの際はにやけるお顔に気を付けて、一文一文丁寧にお読みください。By ヒトデナシ。)
『黒水SS By 火矢 八重様』・・・>>158
(トップレベルの作者様、火矢 八重様の執筆した黒水SS。
よく読んでくださる彼女でこそ書くことが出来る、レベルの高いSSですw
黒水SSは全ての読者様のモノ。皆様適当に妄想しちゃってくださいw
なお、もしも黒水SSを考えちゃった♪という神様がいるなら、
ぜひともこちらに投稿してくださればなと思いますw 私も読みたいですしねwww)
『花狩椿と銀色のいばら道』・・・>>168 >>169
(2500参照突破記念。花狩先生の少年時代の過去。
劣等感を胸に秘めた彼の前に現れた、ある人との出会いとは……?)
------------名誉、歴史--------------
・11月25日、『もしも俺が・・・・。』投稿。
・11月29日、100参照突破!! (ありがとうございます!!)
・12月02日、200参照突破!! (皆様の応援に感謝しております!!)
・12月06日、300参照突破!! (3は私の好きな数字です。とにかく感謝です!!)
・12月13日、400参照突破!! (嬉しい限りでございます。執筆ファイト!!)
・12月21日、500参照突破!! (500ですか!! 1000まで半分を切りました!!)
・12月24日、600参照突破!! (メリークリスマス!!)
・12月31日、700参照突破!! (2012年最後の日!!)
・01月05日、800参照突破!! (2013年、始まりました!!)
・02月12日、900参照突破!! (復活しました!! 皆様のためにも頑張ります!!)
・02月13日、1000参照突破!! (明日はバレンタインですか。皆様の応援に感謝!!)
・02月15日、1100参照突破!! (1000という大台を突破できてうれしいです!!)
・02月17日、1200参照突破!! (本編も10幕を突破。これからもバンバン書いていきますw)
・02月18日、1300参照突破!! (スリラーナーイト!! ……申し訳ない、深夜の悪乗りですw)
・02月21日、1400参照突破!! (もうすぐ1500!! 大感謝です!!)
・02月25日、1500参照突破!! (きたあああ!!! 1500参照ついに突破!!)
・02月27日、1600参照突破!! (おおぉぉ!! 応援に大変感謝です!!)
・03月01日、1700参照突破!! (ついに3月ですね!!)
・03月03日、1800参照突破!! (ありがとうございます!! ありがとうございます!!)
・03月06日、1900参照突破!! (もうすぐ2000ですね!! 頑張ります!!)
・03月09日、2000参照突破!! (2000参照突破しました!! 歓喜です!! 最高です!!)
・03月11日、2100参照突破!! (3000目指して頑張ります!!)
・03月11日、序章完結!! (始めの物語、無事に書き終えることが出来ました!! サンクス!!)
・03月18日、第2章、始まり!! (実はというと、サブタイトルに結構悩みましたwww)
・03月18日、2200参照突破!! (第2章も頑張ります!!)
・03月20日、2300参照突破!! (第2章、本格的にスタートです!!)
・03月26日、2400参照突破!! (もうすぐ2500ですね!! 頑張りますね!!)
・03月28日、2500参照突破!! (2500参照突破しました!! 3000目指して頑張ります!!)
・03月30日、2600参照突破!! (たくさんのオリキャラをありがとうございます!!)
・03月31日、2700参照突破!! (なんという快挙!! ありがとうございます!!)
・04月02日、2800参照突破!! (4月になりましたね!!)
・04月06日、2900参照突破!! (もうすぐ3000かぁ……。行けるといいなぁ。)
・04月14日、3000参照突破!! (うわぁぁああ!! 3000です!! 3000なんです!!!)
・05月01日、3100参照突破!! (長期休暇を頂きました!! 本日からまた執筆頑張ります!!)
・09月02日、4600参照突破!! (久々の執筆なので腕が鈍りまくりですねw)
・09月04日、4700参照突破!! (5000までもうすぐですね。頑張ります。)
・09月06日、4800参照突破!! (9月と言えば作者はもうすぐ誕生日とやらを迎えるわけですか。)
・09月09日、4900参照突破!! (もうすぐ5000ですね。頑張りますね。)
・09月12日、5000参照突破!! (5000です!! ありがとうございます。)
・09月14日、5100参照突破!! (私の誕生日です。ありがとうございます。)
・09月23日、5200参照突破!! (最近私の家族にPCを占拠される事が多くなりました。)
・11月18日、5300、5400参照突破!! (ここを建設して約一年になります。)
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.28 )
- 日時: 2012/12/08 12:04
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
“八重様”へ
はい、ついに解禁ですw 八重様の気になっていたあの物語が、ですww
以前出せなかったキャラも投入しております!! 最後は・・・ねw ←何が!?
・・・・バレタカw ええ、そうですよ。貴方様の影響ですねww
ありがとうございます!! これからも頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします!!
八重様もお体に気をつけて!! 執筆の方応援してます!!
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.29 )
- 日時: 2013/02/12 21:39
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
“サブストーリー 『交差する二人』”
「前編」
————これは『もしも俺が』、が始まる前に起きた、元地山中学校に入学した時の私の物語。
私、黒川は『元地山中学校』に入学した。
私の家から近いというのもあったし、この辺で有名な学校でもあったからだ。
一年B組。それが私の中学初めてのクラスルームだ。
同じクラスメイトとして、私の小学校からの友人である、『霧島 勇気』がいた。
はしゃぐとうるさい奴だが、知り合いがいたことには少し安心した。
そんなこんなで、私はまずは一ヶ月間、特に何もすることなく学校生活を過ごした。
皆、入学して一ヶ月間はそんなものだ。隣になった人に話しかけ、友達関係を作っていく。
皆不安なのだ。孤独になるのは怖いものだ。私もいつの間にか、友人に恵まれるような環境にいた。
そんな他愛もない学校生活を送っていた、ある日のこと、
「なぁ、水島愛奈ってどう思うよ?」
霧島がふと私に言った。何をいきなり言っているのか。そもそも誰なのだそいつは?
「知らねぇのか? ほら、最近噂になってるやつだよ。」
噂……? ああ、そういえば、と私はふと思い出した。
最近、男子生徒の中でちょっとした噂になっている女性、『水島愛奈』。
頭も良く、運動神経も良く、さらに容姿も良し、
さらにさらに性格も良いと、完璧な女性と評されるほど完璧な女性。
今まで何人もの男子生徒がアタックしていったらしいが、無惨にも玉砕されたそうだ。
そして驚いた事に、その完璧少女は私の席の隣だったのだ。今まで気付かなかったよ。
隣にいるのに名前を知らないなんて私はどれだけ失礼なのだろう。その点は謝罪したい。
だがまぁ————それがなんなのだろうか。
私はあまり恋愛というものに興味はない。自分でいうの何だが、縁がなかったわけではない。
私の事を好きになってくれた女性は今まででも沢山いた。
けれど、私はそれに答えられないだろうと分かっていた。
中途半端というのを私は嫌う。仮に恋をするのであれば、私は全力でしたい。
全力で誰かのことを愛し、そして一生を共にしたい。
私が望む恋というのは、しいていうならそういうことだ。
だから私は今まで振り切ってきた。私が恋を始める時は、私が誰かを本気で好きになった時だけなのだ。
おっと、失礼。話が逸れてしまった。今は水島愛奈の話だったな。
だからだな、結論をいうとだな、霧島に対して答えを返すのならば、
「……別に。」
ただ、これだけだ————。
————そして更に日が経つ。相変わらず水島愛奈の噂は絶えない。
一部の人間からは『聖女』なんて言われ始めているらしい。大げさだ。
……それにしても、真面目な子だな。
授業はキチンと受けている。宿題もちゃんと出している。
暇な時間は何やら本を読んでいる。小説だろうか?
基本的に一人でいるところが目立つ。あまりワイワイするのは好きではないのだろうか。
「あれが噂の水島ちゃん? 可愛いねー。」
確かに可愛いのは可愛いな。他の女子生徒よりも一歩抜き出ているな。
「ボクもまぁ可愛いけどねー。そう思うでしょ?」
……ソウダナ。オレモソウオモウヨ。
「ところで黒川クン、もしかして水島ちゃんに一目惚れ?」
バカをいうな。噂になっているから少し気になっただけ————
……!? この喋り方は————
私がそっと振り返ってみると、そこにいたのは私の小学校からの友人の一人である、『賀茂紫苑』。
いつの間に私の後ろにいたのだ。いや、そもそも君はクラスが違うだろう。
「あはは、本当にそうかなぁー? まぁいいやー、帰ろうよー黒川クン。」
そう言えばもう下校時刻になっていたな。そうだな、帰るか。
「霧島クン、柿原クンも校舎の出口で待ってるよ? 早く早くー。」
そう急かすな。慌てなくても今————
……いや、どうやらそうはいかないようだ。
「すまない、紫苑。先に3人で帰っていてくれ。」
「……黒川クン?」
私は見てしまった。この学校だけじゃない。どこの学校でもあるであろう、裏の姿を……。
私は紫苑をその場に残し、教室を出て、早足で廊下を歩く。
紫苑にはすまないが、私はこのまま帰るわけにはいかない。
私が見てしまったのは、『いじめ』。
3人ほどの上級生が、下級生からカツアゲするという場面をちょうど窓から見てしまった。
私はこのまま帰ることが出来た。だが私の正義がそれを許さない。
霧島も大概正義感が強い方だが、私も負けじと強い。
まぁ奴みたいに問答無用でボコボコにするような輩では私はないがな。
そして気付けば私は上級生3人の前に立ちふさがっている……。
「————なんだお前は? 邪魔なんだけど。」
当たり前だ。邪魔してるのだから。出来ることなら説得して丸く収めたいところ。
あまり喧嘩には発展させたくはない……。
「……お金を取ったのは分かっている。大人しく返してあげてくれないか?」
私は無駄な言動は避け、率直に言い放つ。これで丸く収まってくれれば、
「そっかぁ。見てたのかぁ。それじゃあ仕方ねぇなぁ————」
これで丸く収まってくれれば……
「おい、痛め付けてやれ。」
……やはりそうはいかないか。
奴らはパキパキと腕を鳴らしながら、ゆったりと近づいてくる。やれやれ、結局こうなるのか。
向こうは3人。上級生みたいだが、
「仕方あるまい————。」
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.30 )
- 日時: 2013/02/12 21:47
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「後編」
————カァカァと烏が鳴り響く夕暮れどき、水島愛奈はふと顔を上げる。
本を読み終え、もうすでに夕暮れ近い時間であることに気付く。
本を読んでいると時が経つのは早いな、と改めて実感する。
ふと窓を覗いてみると、授業が終わった生徒達が帰宅を始めている中、あるところでは喧嘩が勃発していた。
生々しい音をたて、軽い悲鳴やうめき声が聞こえてくるような気がするほど。
喧嘩をしている人の内、唯一私が知っていたのは、私のクラスメイトである黒川という人。
上級生であろう男3人をものともせず、ただ後ろにいる下級生(私と同級生)を守りながら拳を振るう。
そして気付けば、立っているのは彼一人だけだった。
一発も殴られることなく、軽やかな動きで上級生3人を鎮圧させてみせた。
喧嘩慣れ……しているようだった。彼はもしかしていつもこんなことをしているのだろうか?
弱いものを守るために、たとえ自分の手を汚してでも守りぬくような事を————。
————やれやれ。やっと倒れてくれたか。
やはり人を殴るというのは慣れないな。心にズキンとくる。
……今日も手が汚れてしまったな。
私は持参するハンカチで自分の拳についた返り血を吹き、
倒れた上級生三人を雨が降っても濡れないように近くの木の下に移動し、一息つく。
確か今日は午後から雨だった気がする。だから一応、な。
そして一番の目的は、奪われたお金だ。
上級生の懐を一人ずつあさっていくと、やはり奪われたと思われる財布があった。
「あ、あの……」
今まで一言も喋らなかった下級生(黒川と同級生)がやっと声を絞りだす。どうやら正解だったらしい。
「君のだろう? これからは気を付けるといい。」
スッと私が差し出すと、一瞬ビックリしたような表情を見せた。
どうやら私が横取りを狙った輩に見えたらしいな。それがすんなり返すものだから驚いたのだろう。
やれやれ、私はそんな卑怯者ではないというのに。輩でないと分かって安心したのか、目に涙を溜め、
「ありがとう……ありがとう……。」と、ただそう言われた。
……全く、やはり恥ずかしいものだ。感謝を言われるのはな。
そう、これでいい。
傍から見れば、私も輩と変わらないのだろう。ただ喧嘩大好きの少年にしか映らないのだろうな。
……それでいい。否、仕方ないのだ。他人の目なんてどうでもいい。
風紀委員会が正せていない治安を、私が拳を振るう事で正せるなら、
これほど幸せな事はあるまい————。
「…………これで、本当にいいのだろうか?」
そっと呟く。思わず漏れ出た本音。
自分の正義は、本当に正しいのか? いや、違う。
自分の正義は誰かに理解されるのか?、だ。
自分の手が汚れ、そんなことまでして、この正義は貫き通すほどの価値を持つモノなのか?
……誰にも理解されず、孤高を貫いてまで行うモノなのか?
“なんだ。私は結局、誰かに理解してほしいだけの、寂しい人間なだけじゃないか……。”
不安と寂しさ、そして孤独の辛さ。
自分の正義に対しての揺らぎ。自分の正義に対しての不安。
黒川の心は、不安と寂しさの二つで埋め尽くされていた……。
————少し落ち着いた後、私は自分の教室に荷物を忘れてきたことに気付く。
なので私は呼吸を落ち着かせた後、教室へと向かう。その途中のことであった……。
「あっ」
教室の前で、私は水島愛奈と目が合った。ほんの少しの沈黙。私と水島はそのまま少しの時間静止していた。
……いかんな。私は何をしているのだ。これではまるでどこかの青春ドラマではないか。
私は我を戻し、そのまま真っ直ぐに歩き始める。
水島の顔を見ることなく、教室のドアを開けようとする……。
「あ、あの!!」
水島がふと私に声をかける。
まさか声をかけられるとは思っていなかったので、ついドアを開けようとしていた手が止まる。
「あの……こっち、向いて?」
————————。
……!? なん、だと……? こっちをむけ? どういうこどだ?
いやいや、落ち着け。決していやらしい意味ではないはずだ。そう、そうだ。
確かに失礼だ。呼ばれたのにそちらを見ないのは。
断じてなんかそのいやらしい展開になるとかではないはず。
そう思った私はゆっくりと振り返って水島愛奈の方を見る。
向いたのはいいが、一体なんなのだ? 私は彼女に対して何かしてしまったのだろうか?
「動いちゃダメだよ……。」
そういいながら、近づいてくる水島愛奈。
おいおい!? どういうこどだ? 動くなって、というか顔が近いのだが……。
すると、彼女はポケットからハンカチを取出し、スッと私の頬を拭き取った。
その瞬間、私はハッと気付く。
血が滲む水島愛奈のハンカチ。
さっきの喧嘩でついた……返り血だ。
「怪我でも、したの?」
水島愛奈はジッと私を見つめ、問い掛ける。
怪我……してないさ。俺は一つも傷を負っていない。むしろ俺は……加害者なのだから。
「……さっき階段で転んでな。それで頬を————」
「黒川君は、いつもあんなことをしているの?」
私が言い切る前に、水島愛奈は私の言葉を遮るように言う。肩がピクッと震えた気がした。
見ていたのか。これはもうごまかしが聞かないな。
「……ああ。」
と、肯定するしかなかった。
だが、別に私は後悔などしていない。たとえばれたのだとしても、まぁ仕方がない。いずれはばれる事だ。
これが正しい、とは言わない。間違いだと言われても仕方がない。
本当にこれが正しいのかさえ、実はというと私にも自信はない。
だが、少なくとも私はこれが正しいのだと思っている。
話し合いでは解決せず、暴力を振るってでも、助けなければならない人達がいる。
それが罪だと言うのなら、私はそれを受けとめる。辞めるつもりはないがな。
「————それが、黒川君にとっての正しい事なら、それでいいと思う。」
水島愛奈はふと言った。私は別に何も言ってはいない。だがまるで、自分の考えが見透かされた様で驚いた。
「なぜそう思うのだ?」
私はふと聞いてみる。普通、あの場面を見れば軽蔑するはずだ。
私は理由があったとはいえ、拳を振るったのだから。それでもなお、そう言える理由は?
「私には、黒川君が悪い人には見えないから。理由も無しに拳を振るう様な人には見えないよ。
黒川君は正しいと私は思う。だから、そんな悲しそうな顔をしなくていいんだよ……?」
まさか。そんなわけがあるまい。私は何も言っていないのだぞ?
にも関わらず、彼女は私の行いを、罪を理解してくれるというのか?
……そうか。彼女に本当に見透かされていたのかもしれない。たったあれだけを見ただけで。
彼女は、優しい心を持っているのだな。目の前の事実だけを見るのではなく、人柄も見る。
……なんだ、いい子ではないか。悪くない。
むしろ、何か心に温かい何かを感じる。ドキドキと心臓が高鳴る。
————そうか、と私は理解した。これが好きという感情なのかもしれないな。
参ったな。いつの間にか、彼女のその優しさに惹かれていたとは。呆れた男だ。
だが私は、これでいいのだ。自信を持っていいのだ。
間違っていたと疑問に思っていた道を、正義を理解してくれる人もいた。
そうだ、私は選んだ。たとえ誰もが違うと否定しても、自分は自分の正義を貫く、と。
だが、不安だった。本当は誰か一人にでも理解してほしかった。
それがいつしか、孤独の寂しさによって忘れかけていた。
けれど、もう大丈夫だ。彼女の一言が、私の不安を消し去り、明確にしてくれた。
私はもう孤独ではない。彼女が理解してくれる限り、私は自分の正義に自信を持てる。
彼女が、私の背中を押してくれた。きっかけになってくれた。
もう、悩む必要もない。これが私が選んだ正義なのだから————。
これがきっかけとなり、黒川と水島は仲良くなり始める。
そして、黒川はさらに決意を固くする……。
“私が正す。私なりのやり方で、私の正義を貫くために……!!”
その背中に、あの言葉が存在し続ける限り————。
———————— Fin ————————
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.31 )
- 日時: 2013/02/12 23:58
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
————第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』————
「パート1。」
————現時刻は、午後3時30分。授業の終わりを告げるチャイムが鳴り終わって、10分が経過した。
授業を終え、生徒達は帰宅を始めていく。そんな中、私達はというと、近くの公園に移動していた。
それはなぜか? 理由は今から約10分前にさかのぼる……。
「————黒川、今なんつった!?」
授業が終え、私が言った言葉を信じられず、霧島は興奮気味に聞き返す。
別に大したことは言っていない。ただ私は、
「だから、今から研究のために『力』を使って、
『ドラえもんの世界』に行こうと思っているのだが、来るか?」
「なぁにが、『別に大したことは言っていない。(キリッ)』だッ!! 充分大したことだっての!!」
……おい、私はそんなドヤ顔で言ったつもりはないし、そもそも言っていないぞ?
心の中で思っただけだ。お前はいつから超能力者になった?
————ところで、以前私が話したことを覚えていらっしゃるだろうか?
私の『力』は『自分の脳内に描いた、もしもの世界に行くことが出来る』というものだ。
その力はあらゆる不可能を可能にする。それこそ、誰もが夢見る二次元の世界にだって行くことが出来る。
そして、今回私が初めて君たちに招待するもしもの世界が、『ドラえもん』の世界だという事だ。
『ドラえもん』を知らない人はあまりいないと思うが、一応解説しておこう。
何もかもがダメダメな人間、『のび太』を将来有望な人間に改造するために、
未来から来た猫型ターミネーター、『ドラえもん』が道具を使ってのび太を変えていく……
と、いうお話だ。若干違う? 問題ない。詳しくは『Wi○ipedia』を見た方がいい。
「ところで、どうして『ドラえもんの世界』なの? やっぱり秘密道具が魅力だから?」
水島は首をかしげて黒川に尋ねる。黒川はフッと笑い、
「それもある。が、一番の理由は私の『研究の進歩』だ。」
ドラえもんの持つ道具というのはどれも一線を越えている。
問答無用でどこでも行けたり、空を飛べたり、時空を超えて過去に行けたり、と。
無論、この世界ではまだ無いような技術がドラえもんの世界にはあるわけだ。
つまり、黒川はドラえもんの世界で自分の研究を進めるために行くのだ。
試したい試作品が山ほどある。これを向こうでより完全なモノに改造しようとそういうわけだ。
「私一人で行ってもいいのだが、せっかくだ。お前達も来てみたらどうだ?」
「……うん!! 行ってみたい!! 私はのび太君に会ってみたいな。」
「俺も行くぜ。あいつらと遊んで仲良くなりたいしな。」
水島と霧島の同意を聞いて、「決まりだな。」、と黒川は頷いて答える。
————そして現在、公園に移動したと、そういうわけである。
周りには人がいない。猫や犬すらいない、のどかで静かである。
「さて、ではさっそく始めるか————。」
そういえば、皆様は初めてだったな。ならこの際説明しておこう。
私の能力は『頭に思い描いた世界に行くことが出来る能力』。
私はそんな世界を『もしもの世界』と呼んでいる。
具体的には、まずは頭にキーワードを思い浮かべ、世界を具体的にイメージする。
この場合のキーワードは『ドラえもん』。そして漫画で見たような世界を思い浮かべる。
そして次に、自分たちの設定を付け加える。
言い忘れていたが、この能力はイメージさえすれば、自分たちの『立ち位置』を自由に決めることが出来る。
例えば、『のび太君の兄』というのを設定で強くイメージすれば、その世界に行った時、
『のび太君の兄』としての扱いを受けることになる。つまりキャラ付けが可能というわけだ。
今回はそんなことを考えてはいないので、今回の設定は、『のび太君達の友達』と設定する。
『のび太君の友達』というのを強くイメージする。
これで私達は『のび太君の友達』として世界に行くことが出来る。
ちなみに、もっと細かい設定を付けたすことも可能だが、頭を凄く使うし、疲れる。あまりお勧めはしない。
と言いつつ、ちゃっかり『細かい設定』をしている自分がいるのだが。
まぁ設定した内容は後に明かしてあげよう。
そして、そこまでの事を強くイメージしたうえで、
黒川は右手を前にゆっくり突出し、目を閉じる……。
そして強く、心に気持ちをのせて、今ここに唱える————。
“Information search————。Open、Possibility Gate ————”
(情報検索————。もしもの扉、今ここに開きたまえ————!!)
その呪文に応えるように、黒川の目の前に無数の光が集まり、
そして透き通るような綺麗な光を纏う、一つの扉が姿を現した……。
「ひゃあー、何度見ても凄い光景だねぇこれは。」
「……綺麗。この先に別の世界が……。」
霧島も水島も、前に現れた扉に感動の言葉を漏らす。
この先に広がる世界こそ、私達がこれから行く世界だ……。
「そうだ。さぁ、行こうか。もしもの世界、『ドラえもんの世界』へ————」
それぞれが一歩踏み出し、一人ずつ扉をくぐるように光へと進んでいく————。
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.32 )
- 日時: 2013/02/12 23:32
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「パート2。」
光に包まれた扉を開き、中へと入っていけば、
まるで星が降り注ぐように無数の光が通り過ぎる空間にたどり着く。心が温かく、落ち着くようだった。
————ほんの数秒後、その空間は消え、気付けば私はどこかの部屋にいる。
回りを見ると、本棚や机、押し入れがあり、下を見ればその辺に漫画や遊び道具が転がっている。
床は畳で、自分が立っている場所が、どこかの家の二階なのだと悟る。
その場所こそが、のび太君の家なのだ。
「……そうか、ここがそうか。そして————」
もう一つ気が付いた事、それはこの場にいたのが私一人だという点。霧島と水島はいない。
どうやら私の力がまだ不安定だったせいで、違う場所に飛ばされたらしい。
この世界のどこかにはいるはずなのだが……。
ふと、私がのび太君の机に触れようとした時だった————。
「どうしたんだい、黒川君。」
聞き覚えのある声が私を呼んだ。私の背後、窓がある方向から聞こえた。
……呼んだのは誰か、もちろん私には分かっている。
基本カラーは青。その愛らしい姿に子供たちは愛着を持ち、そして様々な道具を持つ憧れの猫型ロボット。
「————やぁ、ドラえもん。」
私の目の前に、確かにその姿があった————。
————同時刻、霧島と水島は公園にいた。
土管が並べられ、はたしてここは公園と呼べるのかというほど殺風景である。
少し肌寒い風が二人の間を吹き抜ける。その時、霧島はある事に気づく。
「ここ、知ってるぜ。のび太君達がよく集まる公園だ。」
霧島は土管に飛び乗り、その感触を確かめる。水島も土管に寄り添い、空を眺める。
特に騒がしいわけではなく、心が落ち着くほど静かであった。
「静かだね。私、てっきりもっと賑やかだと思ってた。」
「賑やかに感じるのは、のび太君が色々問題に巻き込まれるからだろ。」
霧島は陽気に笑う。水島もそれにつられてクスッと笑う。
「ところで黒川君はどこに————」
「おーい、霧島ぁ、水島ぁ。そんなとこで何やってんだぁ?」
公園の出入口の方から、大声でこちらを呼ぶ一人の男の子。
ポッチャリ体系の彼の手には野球のグローブとバットが握られている。
名前はジャイアン。確か本当の名前は、剛田 武だ。
「一緒に野球しようぜー。」
ジャイアンの隣にいる背の小さい男の子、骨川スネ夫は言った。
彼もジャイアンと同じく野球をしに行くようだ。
そもそも、なぜ二人とも俺たちの名を————?
「……そうか、確か俺たちはこの世界では、のび太君の友達として存在してるんだっけか。
だから奴らは俺たちを知ってるのか。なるほどなるほど……。」
霧島にしては、珍しく頭が冴えていたようだ。水島も納得したように頷く。
「おい、のび太ぁ!! 急がないと河川敷で試合が始まっちまうぞ!!」
ジャイアン達は後ろで走る少年に構わず、公園から立ち去るようにどこかに走っていった。
「あーん、待ってよぉ。置いてかないでぇー!!
————あっ、霧島君と水島ちゃん。君たちも野球するの?」
ジャイアンの少し後ろからようやく走って追い付いたと思いきや、
すぐさま置いていかれて、今はハァハァと息を切らして俺たちの前にいる男の子。
————彼こそ、この世界の主人公である、のび太君だ。
運動も勉強もダメ。運もついてないという不遇っぷりをもつ主人公。全く主人公には見えない。
そんな彼にも得意な事はあるのだが、それはまた別の話。
「ねぇ、霧島君。せっかくだし野球しに行かない? このまま何もしないのは勿体ないよ。」
水島がふと提案する。確かにな。せっかくのび太君達と触れ合えるチャンスなんだ。
黒川がどこにいるかは分からないがまぁいいか。それに、やっぱ身体を動かさないと————♪
「……だな。よし、行こうぜ水島ちゃん!! うー、楽しくなってきたぁ!! Yheaaa!!!」
「うん!! ————というか霧島君、なんだかいきなり元気になったね。」
「じゃあ僕と一緒に行こうよ。河川敷へ。」
霧島は土管から飛び降り、水島とのび太君と共に公園を後にする。
そして3人はジャイアン達の待つ、河川敷に向かった————。
「黒川君、今日は確か僕の秘密道具の見学にきたんだったよね。」
————視点は変わり、ここは再びのび太君の部屋。
黒川はドラえもんと向かい合うように座り、コクリと頷く。
無論、私はこの世界ではのび太君の友達としてキャラ付けされているため、不法侵入では決してない。
ちなみに、以前にも言ったが、実は設定を付け加えておいた。
それは、『私は今日、ドラえもんの秘密道具を見学しにきた』という設定だ————。
これによって、私は確実にやりたい事を実現させることが出来る。
だがその分、頭を使ったため少し疲れたがな。
「何か希望はあるかい? 希望があれば出してあげるけど?」
ドラえもんはニコッと笑って自分のお腹にある白いポケットをポンポンと叩く。
そのポケットこそ、幾千の道具が詰め込まれている、四次元ポケットと呼ばれるものだ。
あの中に私の見たいものも入っているのだ。
「そうだな、まずは定番のモノを出してもらおうかな?」
「うん? それはなんだい?」
ドラえもんが尋ねると、黒川はフッと笑って言った。
「『タケコプター』、さ————。』
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44